福岡県内の日本財団の「国立国会図書館の蔵書デジタル化プロジェクト」の障がい者就労施設を視察する目的で、23日・24日と2日間時間をとりました。
23日午前北九州市戸畑区の「インクルとばた」(就労継続支援B型事業所)を訪問。
日本財団から准チームリーダー村上智則氏、特定非営利活動法人輝HIKARI金子訓隆代表理事が同行。また公明党から2人の県議(大塚勝利・松下正治)が同席。
運営は、社会福祉法人北九州手をつなぐ育成会(小松啓子理事長)。秋野参議院ご夫妻とも縁深い法人です。
小松啓子理事長(福岡県立大学名誉教授)、阿高和憲理事、横田博之経営戦略課課長、NPO法人セルプセンター福岡 宮地博司就労支援部長と概要を伺い、意見交換。
小松理事長挨拶、全体の事業概要(宮地部長)、北九州拠点・デジタル事業(横田課長)の概要説明の後、現場視察。意見交換・質疑応答。と充実の時間となりました。

【北九州拠点における日本財団の視察および知的障害者デジタル化事業 懇談の概要】

  1. 事業の背景と目的
    本事業は、日本財団の支援のもと、福岡県内5カ所に設置された「就労支援の場」の一つ、北九州拠点を中心に進められています。
    主な目的は、デジタル化業務を通じた「工賃向上」と「一般就労への移行」です。
    福岡県は全国的に見て障害者の平均工賃が低い水準にあり、共同受注の仕組み(複数の施設が連携して大規模な案件を受ける体制)を導入することで、この課題解決を図っています。
  2. 北九州拠点の体制と特徴
    北九州拠点では、単一の法人ではなく、6法人7施設が「ワンチーム」となって業務に取り組んでいる点が大きな特徴です。
  • 対象者: 当初は知的障害者が95%を占めていましたが、現在は身体・精神障害を含む3障害すべての方が参加しています。
  • 支援体制: 施設単位ではなく工程単位でチームを編成しており、職員が自施設以外の利用者も支援することで、支援力の向上と交流が促進されています。
  1. 主要業務の進捗状況
    デジタル化事業は「国立国会図書館(NDL)案件」と「県公文書案件」の二本柱で構成されています。
  • NDL業務: 今年度は50万コマ(約100万ページ)の計画に対し、最終的に55万コマ(計画比110%)を達成。
    全国13拠点との共同受注体制のもと、高品質な成果を納品しています。
  • 県公文書業務: NDL業務の閑散期(2月~6月)を埋める役割も担っており、電話帳やマイクロフィルム、図面のデジタル化など、多岐にわたる行政資料のデータ化を行っています。
  1. 成果と具体的なエピソード
  • 工賃の劇的向上: 従来のB型事業所の平均工賃(約2〜4万円)に対し、本事業にフル参加した利用者の中には月額10万円を超えるケースも出ています。時間単価換算では1,000円を超える実績も報告されました。
  • 一般就労への進展: 過去3年間で累計10名以上の利用者が一般企業への就職を果たしており、定着率も約8割と良好です。
  • 利用者の変化: 難易度の高いフランス製スキャナーを使いこなす知的障害者の事例などが紹介され、「褒める支援」と「実績の可視化(モチベーション向上)」が、障害者の未知の可能性を引き出す鍵となっていることが強調されました。
  1. 課題と今後の展望
    懇談では、現場の負担軽減とさらなる発展に向けた以下の提言がなされました。
  • 行政との連携強化: 北九州市内の文書デジタル化において、既存のネットワーク(セルプセンター福岡等)をより円滑に活用できる契約体系の整備が求められています。
  • 福祉現場のIT・AI活用: 支援員が作成する「個別支援計画」や日々の記録業務が大きな負担となっており、生成AIなどの活用による業務効率化と、それに対する公的補助の必要性が訴えられました。
  • 全国へのモデル展開: 福岡の「共同受注・拠点型モデル」は、徳島や高知、埼玉など他自治体からも注目されており、今後さらなる全国展開が期待されています。
    (日本財団)
    事業名:障害者施設における印刷物の電子化作業に係る機器整備(施設外就労)
    団体名:(特)セルプセンター福岡
    事業費総額:1億304万円
    助成金額: 1億304万円(補助率100%)
    就労種目:印刷物等の電子化
    機器内容:スキャナー、組立式暗室、作業台、耐火書庫等
    参加者:約24名( B型)*7事業所参加
    工賃目標 B型:8万円
    (福岡県平均工賃 13,673円(B型))