<これまでの活動記録>

 次世代の白内障手術として、遠くも近くもよく見える多焦点眼内レンズの活用が注目を集めている。
 多焦点眼内レンズだと、ほとんどの場合、眼鏡に依存しない生活が可能となり、現在の手術に比べ、高齢者のQOL(生活の質)をさらに高めることができる。このため公明党は、早期の保険適用に取り組んでいる。

 白内障は、加齢などが原因で本来、透明である目の水晶体(レンズに相当)が濁り、物がかすんで見えたりする病気。この濁った水晶体を取り出し、代わりに人工の眼内レンズを挿入するのが白内障手術だ。1992年4月からの保険適用は、公明党の歴史の中でも代表的な実績の一つであり、今日までの手術実績は約1000万件に上る。

 保険適用前は両眼で30万円程度の費用がかかり、多くの高齢者が負担の重さから白内障手術をあきらめていた。それが、保険適用によって患者負担が大幅に軽減され、手術を受けた高齢者から、「視界が一変した」などと大いに喜ばれている。

 ただ、現在も広く使用されている眼内レンズは、1カ所しかピントが合わない単焦点レンズで、ピントが合う距離以外を見るのに視力を補完する眼鏡が必要になるケースが少なくない。

 これに対し、多焦点眼内レンズは遠くも近くもピントが合う遠近両用のため、およそ40歳代からの老眼の治療にも有効だ。高齢期に白内障になり、多焦点眼内レンズを挿入することは、白内障と老眼を同時に治療することを意味する。

 問題なのは、高額な治療費。多焦点眼内レンズの利用は自由診療のため、費用は両眼で90万~120万円程度かかる。

 2008年7月から、多焦点眼内レンズの挿入手術は、将来的な保険適用のための評価を行う「先進医療」に位置付けられた。これにより、一定の基準を満たす先進医療の実施医療機関では、診察、検査、投薬など通常の治療と共通する部分は保険が適用され、費用は両眼で数十万円に抑えられている。それでも高額なことに変わりはない。

 そのうえ、9月1日現在の同実施医療機関は全国54カ所(厚生労働省のホームページで確認できる)と、大都市圏以外では、1県に1カ所あるかないかだ。

 このため公明党の山本博司参院議員は、09年6月の参院厚生労働委員会で、多焦点眼内レンズの早期保険適用を強く主張。政府側から「本年秋ごろに関係医療機関から実績報告をいただいた上で専門家の意見を聞きつつ、保険導入について検討していきたい」との答弁を得た。

 『さらに理解広げよう』
 多焦点眼内レンズの存在は、国民にほとんど知られていないだけでなく、眼科医の間でも理解が十分に浸透していないのが現状だが、その保険適用は高齢者にとって大きな朗報となるものだ。身近な治療となるよう、理解の輪を広げるとともに、早期の保険適用を求めたい。

 (2009年9月14日付 公明新聞より転載)