障がい者と健常者が直面するコミュニケーションの‘壁'をなくそう!

障がい者と健常者が直面するコミュニケーションの‘壁'をなくそう!
障がい者が円滑に情報を取得利用し、意思疎通していけるよう、国を挙げて取り組みを進めるための「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」(議員立法)が5月に成立し施行された。同法の制定の背景や経緯などをまとめた。

超党派の議連で法案取りまとめをリード

公明党は東日本大霙災から間もない11年5月以降、全日本ろうあ連盟などと意見交換を重ねながら、障がい者の情報取得・コミュニケーションを保障するための法整備の検討を進め、超党派議連での法案取りまとめをリードしてきた。
この法整備に先立ち、視覚障がい者や発達障がい者らが読書しやすい環境を整える読書バリアフリー法(19年成立)、聴覚障がい者がテレビ電話による手話通訳などを介して電話を利用できる電話リレーサービスを制度化する法律(20年成立)などの制定を、障がい者団体などの要望を聞きながら実現してきた経緯もある。
今回の新法の成立・施行を受けて5月25日に開かれた公明党と関係9団体の懇談では、公明党の尽力に感謝の声が寄せられた。
超党派議連の幹事長を務める公明党の山本博司参院議員と党障がい者福祉委員長の三浦信祐参院議員は、「法律で掲げた施策が全国で進むよう、地方議員とカを合わせて取り組んでいく」と意欲を語っている。

避難の呼び掛けが聞こえない、聞こえても目が見えない人や足が不自由な人は自力では逃げられない…。
2011年の東日本大震災では、こうした状況で命を落とした障がい者が多く、障がい者の死亡率は、住民全体と比べて約2倍に上ったとのデータもある。
命を守ることができても、避難所では、目が見えず重要な張り紙情報があることすら分からない、アナウンスが聞こえず食料などの配給が受けられないといった不便を強いられた。
突き付けられた厳しい現実が契機となり、障がい者の情報の利用しやすさや意思疎通に焦点を当てた法整備を求める声が次第に高まっていった。これを受けて17年に設立された超党派の議員連盟が、障がい者団体と意見交換を重ねながら法案をまとめ、成立したのが、「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」だ。
同法は、施策を進める基本理念として▽地域にかかわらず等しく情報取得などができるようにする▽障がい者でない人と同_内容の情報を同一時点において取得できるようにするなど4項目を掲げた。
これにのっとった施策を策定・実施することを、国や自治体の「責務」と明記。
情報取得などに用いる機器やサービスの開発・提供の支援、防災・防犯に関する情報を取得できるようにする体制充実といった施策を示し、実施に必要な法制上財政上の措置を講じるよう政府に義務付けている。
特に、機器やサービスの開発・提供の支援に関しては、需要が小さいため、技術開発などをためらう企業が少なくないことから、積極的に後押しする方針を明確にした。