参議院 総務委員会 第6号 令和2年3月19日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、令和二年度の財政計画、また地方税法、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、総理を中心にお聞きをしたいと思います。
 まず、新型コロナウイルスの感染防止対策に関して伺いたいと思います。
 この新型コロナウイルス感染症に関する地方財政上の対応は喫緊の課題でございます。既に政府は令和元年度の予備費による対応を実施しておりますけれども、増大する可能性のある費用負担につきまして、引き続き地方自治体が必要かつ十分な対応ができるように財政上の支援を講ずる必要がございます。
 この点につきましては、三月十一日の本会議におきまして総理にお聞きをいたしました。総理からは、地方負担が見込める事業については手厚い地方交付税措置を講ずる、今後とも地方公共団体の財政運営に支障が生じることないように適切に対応するとの力強い答弁をいただいた次第でございます。あらゆる場面に対応できるように、地方との情報共有を進めて対応していただきたいと思います。
 また、総理は、三月十四日の記者会見におきましても、今後も機動的に必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講ずると、この旨を表明していただきました。私も、与党の一員としまして、この地域経済の実情を十分に踏まえながら全力で取り組んでまいりたいと決意をしております。
 先週末、地元の香川県に参りました。観光業界の会長にお会いしまして、約百社あるホテル等のこの二月分のキャンセルは十二万件、三月は毎日のようにキャンセルが発生し、前年比七割減というふうなお話もいただいた次第でございます。
 また、四国最大の水族館が宇多津町でオープンが決まっておりましたけれども、これが延期になった次第でございます。
 そこで、総理にお聞きしたいと思いますけれども、今後の経済対策におきまして、こうした地方の地域経済の実情も十分に踏まえていただき経済財政政策を講じていただきたいと思いますけれども、総理の認識をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新型コロナウイルス感染症の影響が経済に対して、経済全般にわたって甚大な影響を及ぼし始めていると認識をしております。特に、世界規模で人の移動が縮小する中、海外からの観光客の減少によって地域経済にも多大な影響が生じていることは、まさに委員の御指摘のとおりであろうと思います。
 感染拡大防止の徹底に加えて、経済面では雇用の維持と事業の継続を当面最優先に全力を挙げて取り組んでいるところでありますが、今後も、世界経済の動向も注意深く見極め、必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたいと考えています。
 現在はあくまで感染拡大の防止が最優先でありますが、その後は日本経済を再び確かな成長軌道へと戻すため、一気呵成に思い切った措置を講じていく考えであります。地域経済を牽引してきた観光についても、反転攻勢、再び観光需要の喚起、振興に取り組んでいきたいと考えています。
 本日より、観光業を始め、今般の感染症によって影響を受けている方々を対象に、地域の声、現場の声をお伺いするヒアリングを集中的に実施をしていく考えであります。こうした声に耳を傾け、地域経済の実情を十分に踏まえながら、この難局を乗り越えるための方策を政府・与党一丸となって練り上げていきたいと、このように考えております。
○山本博司君 是非とも対応をお願いしたいと思います。
 次に、地方創生に向けた取組に関して伺いたいと思います。
 過疎地域は、少子高齢化による人口減少によりまして、地域経済の縮小や担い手の不足、地域コミュニティー機能の低下などが懸念をされております。
 こうした中、現行の過疎法があと一年余りの令和三年三月末に期限を迎えることから、次期過疎対策に向けた検討を行うべき時期に来ていると思います。
 現在、総務省としましても有識者会議などで議論を進めておりますけれども、この過疎法は議員立法でございますので、我々公明党といたしましても、過疎地に関するプロジェクトチームとしても、現地視察を繰り返しながら現場の声を聞かさせていただいております。
 これまでにも、過疎地域に指定された過疎債、これが非常に使いやすいということで、大変、現地に行ってもお話を聞く次第でございます。この過疎地域の、人口では全国の八・六%にすぎませんけれども、面積は六割を占めております。食料や水の供給、国土の保全等、やはり過疎地の果たす役割というのは重要な機能を持っております。
 この人口減少、高齢化、集落の衰退が加速している状況に歯止めを掛ける施策が大変大事でございます。
 先日も、島根県の邑南町、ここは関係人口で取り組んでいる地域でございました。廃線となった三江線、鉄道のイベントをやったり、また、空き家を改修しながら、大人のDIY木の学校、こういったことに取り組みながら、過疎地域の活性化に向けた支援をしておられました。
 総理にこの過疎地域の活性化に向けた基本的な認識を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 必要であれば、この後、詳細については総務大臣から答弁させますが、過疎地域は、国土の保全や食料、水の供給など、国民全体の生活に関わる重要な公益的機能を有している一方で、著しい人口減少と高齢化の進展、存続困難な集落の発生など様々な課題に直面しており、過疎地域の課題の解決に向けて施策を講じることは重要であると認識をしております。
 御指摘の過疎対策法は、これまで議員立法として制定をされてきたところでありますが、現行の過疎対策法が令和三年三月末に失効することを踏まえ、現在、政府としては新たな過疎対策について議論をしているところでありまして、今後の各党各会派の議論にも資することとなるように、しっかりと検討を進めてまいります。
○山本博司君 ありがとうございます。
 次に、地方創生に関してお伺いをしたいと思います。
 地方創生に関しまして、今年度で第一期が終わり、令和二年度より、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略の下での取組が新たに始まります。平成二十七年度に創設されましたまち・ひと・しごと創生事業費は、これまで毎年度一兆円が計上され、この令和二年度も引き続き一兆円が計上されました。また、地域社会再生事業費、これも四千二百億円などの施策も新たに創設されたわけでございます。こうした施策を一層着実に推進し、地域の活性化を図ることで地方財政の改善が進み、経済の好循環を進めていく、大変効果が大きいと考えるわけでございます。
 先日の本会議におきましても、総理から、あらゆる施策を総動員して、若者たちがその未来を託することができる地方創生を進めていく、こういう決意を伺いました。
 この東京への一極集中の流れはなかなか改善されないところでございますけれども、そうした中において、東京に向かわず自分のふるさとで頑張る、また、東京から、地方にこそチャンスがあると考えて、地方に向かう若者たちを力強く後押しをするということが非常に大切であると考えます。
 先日、長野県の山ノ内町に行ってまいりました。ここはスノーモンキーで有名な温泉街でございます。こうした若者を中心に起業、地域活性化に取り組んでいる好事例だと思います。こうした若者たちが夢と希望を持てる持続可能な地方創生に向けて、更なる充実強化が求められておりますけれども、総理の認識を伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま御紹介いただいた山ノ内町の温泉街は、日帰り客が多くて滞在に結び付いていないという課題に対して、若者ならではの発想で、空き店舗などを活用しておしゃれなバーやカフェ、若者向けの宿泊施設を開業した結果、ここ数年、滞在客が増加をしたと承知をしております。
 若者が将来に夢や希望を持ってチャレンジできる、そうした地方をつくることが、新しい活力を生み出し、持続可能な地域をつくる鍵であろうと考えています。
 地域おこし協力隊は、任期終了後も六割の若者が定住をしています。これを八千人規模に大きく拡充していきます。東京から地方へ移住し、起業、就業する場合に、先ほど答弁させていただいたように、最大三百万円支給する制度についても、もっと使いやすくしていきたいと思っています。
 こうした施策を総動員することで、第二期総合戦略では、地方にこそチャンスがあると考える若者たちの背中を力強く後押しをしていきたいと考えております。
○山本博司君 最後に、防災・減災、国土強靱化対策に関してお聞きしたいと思います。
 一つは、緊急防災・減災事業債でございます。この事業期間は令和二年度までとなっておりまして、各自治体からは、この事業期間の延長、恒久化を求める要望が出されております。この事業は、地域の防災・減災対策の重要な財源で、エアコン等の設置が可能になる大変効果の高い事業でございます。
 総理には、この延長、継続を是非とも拡充していただきたいという点と、そしてもう一つは、この防災・減災、国土強靱化、これも対策としては、三か年の緊急対策の期限は令和二年度までになっております。この緊急対策終了後も、やはり中長期的な視点での防災・減災、国土強靱化対策に十分な予算を確保し続けて災害への対応に備えていかないといけません。この二点に関して確認したいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 近年の災害の激甚化を考慮すれば、防災・減災、国土強靱化を中長期的視点から進めることは重要であると考えています。このため、一昨年末に、近年の災害から得られた教訓や社会経済情勢の変化等を踏まえて、国土強靱化基本計画を見直し、中長期的な目標や施策分野ごとのハード、ソフトにわたる推進方針を明らかにしたところであります。
 今後とも、必要に応じて国土強靱化基本計画を充実させながら、必要な予算を確保し、オールジャパンで防災・減災、国土強靱化を進め、国家百年の大計として災害に強いふるさとをつくり上げてまいりたいと思います。
 また、令和二年度までを期限としている緊急防災・減災事業債のその後の対応についても、地方団体の取組状況や御意見等も十分にお聞きをして適切に検討してまいりたいと思います。
○山本博司君 以上です。ありがとうございました。