参議院 総務委員会 第5号 令和2年3月18日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、令和二年度地方財政計画、地方税法及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきましてお伺いをしたいと思います。
 まず、防災・減災対策に関して伺います。
 令和元年度には、八月の前線に伴う大雨、また九月の台風十五号及び十月の台風十九号等により、各地で河川の氾濫による堤防の決壊や住宅の浸水など甚大な被害がもたらされました。また、一昨年は、西日本豪雨災害におきましても、私のふるさと愛媛県でも肱川が氾濫をしたり、また、岡山県倉敷市の真備町では小田川の堤防が決壊するなど、河川の氾濫、決壊により甚大な被害がもたらされていました。
 こうした深刻な被害を踏まえまして、令和二年度の地方財政対策におきましては、緊急浚渫推進事業費の創設、緊急防災・減災事業費及び緊急自然災害防止対策事業費の対象事業の拡充や技術職員の充実に係る地方財政措置、これを行うこととしている次第でございます。
 この中で、この緊急浚渫推進事業の創設は、自治体の単独事業として、緊急的に管理する河川のしゅんせつや土砂の撤去、樹木の伐採などを実施できるようにするものでございまして、被害を未然に防ぐためにも大変重要な事業でございます。
 まず、大臣にはこの創設の意義等に関してお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 一昨年の集中豪雨も人命が失われる事態になりましたし、特に昨年の台風第十九号では七十一河川百四十か所の河川堤防が決壊して、多くの方が犠牲になられました。
 やはり、昨今の台風や集中豪雨の被害では、河川において堆積土砂の撤去ができていない、また、樹木の伐採ができていないということによって越水するという状況が起きておりますので、平素からの維持管理というのはもう喫緊の課題だと思いました。そういう問題意識がありましたので、地方財政計画に新たに緊急浚渫推進事業費をまずは九百億円計上するとともに、その地方負担額に地方債を特例的に充当できるようにということで、地方財政法の改正案を今国会に提出しているところでございます。
○山本博司君 これまで、一級河川の指定区間であるとか二級河川、また準用河川のしゅんせつ事業、これは地方公共団体の単独事業で実施するしかありませんでしたので、もう大変今回の措置で自治体の皆様喜ばれていらっしゃいます。その中でも、自治体が優先度の高い対策箇所を河川の維持管理計画などに位置付ければ、土砂の除去などを含めて掛かる費用の七割を地方交付税を措置できるようになるものでございます。
 しっかり活用できるように具体的な検討を進めるべきでありますけれども、既にこの対象河川となるべき河川というのは選定されているんでしょうか。また、緊急的にしゅんせつを行うということであれば、比較的危険度が高い箇所、これが優先的に工事を進めるべきと考えますけれども、この河川の選定状況に関して伺いたいと思います。
○政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。
 本年度、国土交通省と連携をいたしまして、都道府県等が緊急に実施する必要がある河川等のしゅんせつ事業につきまして調査したところでございます。このため、特に一級河川、二級河川を管理されておられます都道府県、指定都市におきましては、緊急にしゅんせつが必要な河川等の箇所を把握できているというふうに承知しておりまして、今後、河川維持管理計画等に位置付ける中で明確化されると考えております。
 一方で、市町村につきましては、準用河川あるいは普通河川の管理者でございますけれども、河川の状況把握が十分でないケースもあるというふうに考えております。総務省といたしましては、本事業債の詳細等について国土交通省と連携して積極的に情報提供しておりまして、特に市町村を中心に早急に対象箇所の選定を進めていただいて、本事業債を活用して河川等のしゅんせつを積極的に実施していただきたいと考えております。
 なお、事業初年度となります来年度でございますけれども、河川維持管理計画等に位置付ける前に着手したしゅんせつも本事業の対象とすることとして事業の進捗を図りたいと考えております。
○山本博司君 やはり、西日本豪雨災害でも離島等にもお伺いさせていただきましたけれども、離島等はやはりなかなか、松山市であっても、中島という小さな町ですけれども、普通河川ということでなかなか、堆積した土砂が残っていて、これをどうするかということはその当時からも言われておりました。そういう意味では、こうした制度ができたということは大変有り難いと思っております。
 次に、この河川のしゅんせつの範囲に関して伺いたいと思います。
 土砂の撤去また樹木の伐採など、その河川のしゅんせつ箇所の作業負担、これは対象になると思いますけれども、それ以外はどこまでが対象になるのか。川砂は他の堤防整備や建築資材として有効活用ができると思いますけれども、例えば資材などには活用せず、しゅんせつした土砂を処分地で埋め立てる場合には、その埋立場所の確保や、また埋立場所が山林であればその山林の林道の整備、また搬出、また輸送、こういうのが費用が掛かる場合がございます。
 ですから、まさしく川上から川下に至るまで、そのしゅんせつされた土砂を埋め立てする場所も含めて、こうしたことも含めて、範囲に関して確認したいと思います。
○政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。
 緊急浚渫推進事業債につきましては、河川等の個別計画に緊急的に実施する必要がある箇所として位置付けたしゅんせつ事業を対象としております。
 そのしゅんせつ事業に要する経費の範囲でございますけれども、地方団体の事業遂行に支障がないよう、必要な関連費用を含めて幅広く本事業債の対象としたいと考えております。
 具体的に申しますと、土砂等の除去でございますとか樹木伐採に要する費用のほか、土砂の除去等に当たって必要となります測量設計費でございますとか、仮設道路の設置等の附帯工事費、それからお話にもございましたけれども、除去した土砂等の運搬処分費、これらも対象とすることとしているところでございます。
○山本博司君 やはり小さな町や村では土木職員としてもほとんどおりませんので、そういうことも含めて、その危険箇所ということを根絶するような、そうした部分も予算に含まれるということでこれよろしいんでしょうか。
○政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、その選定をする際に例えば委託をするというようなことがあるかとは存じますけれども、基本的にはそういうその一連の経費について今回事業債の対象としたいと考えております。
○山本博司君 こうした緊急浚渫推進事業費の創設によって国が支援をするということは、財政的な枠組み、とても大事でございます。しかし一方で、地域の川は地方に任せると、こういう観点から、地域の河川の管理については地方自治体が責任を持って担えるように見直して、また、一級河川の管理権限の移譲を進め、これに関連する国の出先機関の見直しを進めてきたというこれまでの地方分権改革の流れとの整合性を図る必要があると思いますけれども、こうした国の関わり方と地方分権との関係に関して、制度設計においてどんな点確認をしたのか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(長谷川岳君) 私も、昨年、台風十九号の被災県であります福島県を訪ねまして、地域あるいは都道府県の河川の強靱化の必要性を強く感じたところでございます。また、昨年のこの台風十九号においては、国の管理河川の約十倍の都道府県、市町村の管理する河川が氾濫したという認識をしています。
 一方で、この緊急浚渫推進事業を着実に実施するためには、地方団体の自主性あるいは自立性というのが十分に発揮されるように、自由度の高い制度とすることが重要だというふうに考えます。このため、しゅんせつの具体的な箇所については、国からの技術的な助言を踏まえつつ、地方団体が地域の実情に応じて設定することとしております。今回のこの本事業債の活用に当たっては、個別計画に記載する事項については、しゅんせつの緊急性、計画性を明らかにするために、最低限必要となる実施箇所や実施期間等に限定することとしております。
 今後、地域の実情に応じた河川等のしゅんせつが緊急かつ集中的に実施されるように、地方団体の御意見も十分に伺いながら、国土交通省とも連携をして丁寧に対応してまいりたいと考えます。
○山本博司君 あくまでも地方が主体的に決めていくということが重要であると思います。
 この事業、五か年で四千九百億円の規模で行いますけれども、このしゅんせつを確実に自治体に実施してもらうためには、できるだけ早くこの河川維持管理計画にしっかりと位置付けをしてもらう必要が、重要でございます。
 例えば、しゅんせつすべき危険箇所が例えば複数の自治体に管理が分かれている場合もあると思います。そういう場合は、それぞれの自治体が同時に実施をしなければ効果が発揮できない場合もあるかと思います。
 そこで、国土交通省、今日来ていただいておりますのでお伺いしたいと思います。
 この推進事業を各自治体に理解してもらうためにも、国からの情報提供や、国や都道府県また各市町村との連携、きめ細やかな丁寧な説明、これが必要であると思いますけれども、この事業計画を立てるための国交省としての支援、具体的に教えていただきたいと思います。
○政府参考人(塩見英之君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、地方公共団体、とりわけ市町村におきましては、河川管理に精通をいたしました技術職員が大変少のうございますので、全国的な知見や経験を有しております国が適切に支援を行っていくということは極めて重要だと思ってございます。
 このため、国土交通省におきましては、平成二十五年度から、地方団体からの技術的な相談に一元的に対応するための体制といたしまして、保全技術に関する支援チームというものを各地方整備局に設置をいたしております。この支援チームを通じまして、様々な相談に対してきめ細かな技術的な支援をこれまでも行ってまいったところでございます。
 今回の緊急浚渫推進事業につきましては、まず、先生御指摘のとおり、地方団体に広く周知をすることが大事でございますので、河川担当者が参加をいたします様々な全国会議でありますとかブロックの会議がございます。そういう場を活用いたしまして、県を通じまして市町村等にも広く周知をさせていただきたいというふうに思いますし、その上で、技術職員が少なくて計画の立案など対応が難しいという市町村に対しましては、今申し上げました整備局の技術支援チームにおきまして、計画の作り方でありますとか市町村の間での連携の在り方、こういったことにつきまして丁寧に技術的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 この制度の積極的な活用によりまして、適切な河川管理を推進してまいりたいと考えてございます。
○山本博司君 この技術支援チームは平成二十五年度からあったということでございますので、ただ、今回新たな事業でございますので、特に市町村におきましては人がいないということもございますから、しっかり総務省と連携しながら自治体に対して啓発をしていただきたいと思います。
 次に、技術職員の充実に関して伺いたいと思います。
 これまで、災害のたびに土木や建築などを専門とする職員が現場で不足する事態が繰り返されてまいりました。昨年の豪雨災害でも、県の技術力だけでは限界があるため、平成二十七年の河川法の改正で盛り込まれた権限代行の制度を活用して、河川を管理する県の権限を代行して復旧工事を行うケースもございました。こうした技術職員は、国民の生命や財産を守るために重要な役割を担っているのに、これはなかなか現状を分かっていないということもありまして、しっかりと確保すべきではないかと思います。
 この技術職員に関して、推移と配置状況に関して統計があれば御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。
 市町村における技術職員、これは土木、建築、農林水産技師でございますが、この総数は、平成九年の八万五百六十六人をピークといたしまして減少してまいりましたが、防災・減災、国土強靱化などへの対応の必要から、平成二十四年の六万九千七百四十八人を底として増加に転じておりまして、平成三十一年は七万四千二百三十六人となっております。
 しかしながら、平成三十一年四月一日時点では、市町村のうち約七割に当たる千百八十九団体におきまして土木、建築、農林水産技師のいずれかが未配置となっているという状況でございます。
○山本博司君 今回の措置で、都道府県を中心とする大規模自治体が新規採用などで増員をし、必要な人材を事前に確保するようにして、その都道府県等から各市町村に必要な技術職員を派遣することが可能になります。
 その際、派遣の仕組みに関してどのようにつくっていくのか。都道府県と各市町村とがスムーズに職員派遣ができるようにするためには一定の統一ルールを国として用意すべきと考えますけれども、こうした仕組みづくりに関してお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。
 今御指摘をいただきましたように、都道府県などにおいて技術職員を増員をし、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、今後の大規模災害に備えて、復旧復興に必要な中長期派遣の要員を確保するための新たな仕組みを令和二年度から創設することといたしたところでございます。
 具体的には、都道府県などが技術職員の増員を行った人数の範囲内で、市町村支援業務に従事する技術職員数と、今後大規模災害が発生した場合に中長期派遣が可能な技術職員数、この双方を満たす人数、つまりいずれか小さい方の人数でございますが、この人件費につきまして地方交付税措置を講ずることといたしております。
 その上で、平時の市町村支援につきましては、公共工事の発注関係事務ですとか公共施設の点検、補修等の業務の支援などを想定しておりまして、具体的な業務の内容や方法につきましては、地域の実情に即して、都道府県などと市町村の間で定めて総務省に報告していただくこととしております。
 また、大規模災害が発生した場合の中長期派遣につきましては、派遣調整を円滑に行うために地方三団体、指定都市市長会と総務省とで設置する確保調整本部におきまして、あらかじめ都道府県などから報告を受けました中長期派遣可能な技術職員数に基づきまして派遣調整を行うことといたしております。
 以上でございます。
○山本博司君 次に、緊急防災・減災事業債について伺います。
 この緊防債、午前中も議論がありましたけれども、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災・減災のための地方単独事業を対象としております。地方自治体からは、避難所として活用される学校体育館へのエアコンの設置など、様々な防災対応の整備を行う中で、使い勝手が良く、とても評価が高いものであり、幅広く活用されております。
 今回の地方財政政策では、対象事業の拡充とともに、令和二年度末までに着工した事業については、令和三年度以降も現在と同様の地方財政措置を講ずることになっております。しかし、その事業期間は今のところ令和二年度までとなっておりますので、各自治体からは、この事業期間の延長や恒久化を求める要望が出ております。この緊防債の重要性を考える上で延長、継続をするべきではないかと思いますけれども、総務省の見解を伺います。
○副大臣(長谷川岳君) 委員御指摘のとおり、緊防債は、特に陳情、要望の中では、使い勝手がいいと、是非とも延長してほしいという声をいただいているのは確かでございます。
 その上で、緊防債、緊急防災・減災事業債は、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある地方単独での防災・減災事業を対象としており、この令和二年までを事業期間としております。本事業債については、これまでも地方団体の声をお聞きしつつこの対象事業の拡充を行っておりまして、令和二年度からは、令和元年台風十九号などの被害状況を踏まえ、指定避難所あるいは災害対策拠点施設の浸水対策事業などを新たに対象とすることにいたしました。
 地方団体においては、本事業債を活用し、先ほど議員も言われました、指定避難所へのエアコンあるいはトイレの設置、それから災害対策拠点施設の耐震化、それからブロック塀の対策、そして避難路の整備などの緊急性の高い防災・減災対策を進めるために、事業期間の延長を求める要望を強くいただいております。
 このため、まずは地方団体が来年度に整備予定の事業に安心して取り組むことができるように、来年度末までにこの建設工事に着手した事業について、今回、令和三年度以降も現行と同様の地方財政措置を講ずることといたしました。その上で、令和三年度以降の本事業の在り方については、地方団体の皆さんの取組状況、御意見などを十分お聞きして適切に検討してまいりたい、そのように思います。
○山本博司君 是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 さらに、緊急防災・減災事業は復興・創生期間の令和二年度まで、また、緊急自然災害防止対策事業は防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の期間の令和二年度までとなっておりまして、今後の取扱いが注目されております。
 昨今、地震や水害が頻発して災害の規模も大きくなっております。先月も、一昨年の西日本豪雨災害で甚大な被害を受けました岡山県の倉敷の真備町を視察させていただきましたけれども、一級河川である高梁川と支流の小田川の合流点を約四・六キロメートル下流に付け替える工事の進捗状況、確認をいたしました。この工事は二〇二三年度に完成する予定のことでございます。
 緊急対策が終了する令和二年度以降も、この中長期的な視点での防災・減災、あと国土強靱化対策に十分な予算、これを確保し続けて災害に備えないといけないと思いますけれども、大臣にこの防災・減災対策の充実強化ということで決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 私は、国の究極の使命は国民の皆様の生命と財産を守り抜くことだと思っております。
 昨今、非常に甚大な被害をもたらす自然災害が多発しておりますので、委員がおっしゃった、防災・減災、国土強靱化は非常に重要な取組でございます。
 三か年緊急対策におきましては、大規模風水害や土砂災害に対応した緊急消防援助隊の装備の充実ですとか、地域防災力の中核を担う消防団の災害対応能力向上のための資機材の配備、また、ケーブルテレビ事業者の光ケーブル化などの事業を盛り込んでいますから、これらの取組は着実に実行をしてまいります。
 また、令和元年の房総半島台風や令和元年東日本台風などの災害を踏まえまして、令和元年度補正予算によって、これも緊急消防援助隊の装備を一層充実させるということと、それから、防災行政無線の戸別受信機やLアラートなどによる住民に対する情報伝達体制の強化を推進することとしております。それから、今お話がありました緊急防災・減災事業債や、先ほど申し上げました緊急浚渫推進事業債などによって、地方が単独事業として実施する防災・減災対策を推進いたしてまいります。
 この三か年緊急対策の終了後につきましても、対策の進捗状況を踏まえながら必要な予算を確保して、皆様の生命、財産を守る取組はしっかり進めてまいります。
○山本博司君 大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、地方税に関連して伺います。
 まず、地域社会再生事業費について伺います。
 昨年の税制改正におきまして、地域間の財政力格差の拡大や消費税率の引上げに対応して税源の偏在是正措置が講じられ、新たに地方法人特別税、地方法人特別譲与税の制度が創設をされました。こうした措置を活用して、令和二年度からはこの地域社会再生事業費が設けられることになった次第でございます。
 この事業費は、財政状況の厳しい小規模自治体にとりましては、人口減少や高齢化、インフラ老朽化などの対策に活用できることから、大変重要な事業費であると思います。この事業費が地域社会の維持、再生に寄与して、また、都市と地方が支え合い、共に持続可能な形で発展するためという偏在是正措置創設当初の理念の実現に資するように活用が期待をされます。
 そこで、副大臣、この創設の意義を説明いただきたいと思います。
○副大臣(長谷川岳君) 令和元年度の税制改正大綱において、大都市部が将来にわたり発展していくためには地方の活力の維持が不可欠であり、都市と地方が支え合い、共に持続可能な形で発展していくために、地方法人課税における新たな偏在是正措置を講ずることとされました。
 現在、地方では、人口減少、少子高齢化が長期にわたって進行していく中で、特に地域社会の持続可能性の確保が急務となっております。しかしながら、こうした取組の必要性が高い地方部の団体においては、人口減少あるいは事業所の減少など、税収の伸び悩みにより一般財源は減少又は小さな伸びとなっており、このような財政需要に対する財源を安定的に確保する必要があると考えます。
 このために、令和二年度の地方財政計画において、偏在是正措置により生じる財源の全額を活用し、地方団体が地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策に取り組むための経費として地域社会再生事業費を計上したものでございます。
○山本博司君 次に、未婚の一人親家庭の支援に関して伺います。
 今回の地方税法等の改正におきまして、国税と同様に、個人住民税における未婚の一人親に対する税制上の見直しが行われました。これにより、婚姻歴の有無による不公平感の解消が図られ、子供の貧困対策は一歩前進をしたわけでございます。
 制度の周知徹底を図るとともに、この控除の申告の際に婚姻歴の有無が職場などに知られることがないように、プライバシーに配慮した制度設計に努めていただきたいと思いますけれども、この点に関して確認をしたいと思います。
○政府参考人(開出英之君) お答えいたします。
 一人親に対する税制上の対応につきましては、今回、全ての一人親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、婚姻歴の有無による不公平と、男性の一人親、女性の一人親の間の不公平を同時に解消することといたしました。これに伴いまして、法律の規定におきましても、未婚の一人親についての新たな控除の体系を設けるのではなく、必要のない区分を統廃合し、全ての一人親について同一の一人親控除を適用することとしております。
 また、控除の適用を受けるための申告手続につきましても、この法律上の区分に従いまして全ての一人親について同一の手続とし、婚姻歴の有無等を申告していただく必要がないよう、プライバシーに配慮した制度設計にしたいと考えております。
○山本博司君 本日は厚労省にも来ていただいておりますので、お聞きをしたいと思います。
 今回の見直しにもかかわらず、多くの一人親家庭は低所得世帯であって、所得控除をしても手元にお金が残らないとの指摘もございます。
 厚労省の推計では、この平成二十八年十一月の時点で約百四十二万世帯、このうち五割が貧困世帯と見られております。経済的な困窮を見逃していては、親から子へと続く貧困の連鎖を断ち切ることができません。
 今回の見直しにとどまらず、この一人親家庭に対する更なる支援策の強化、これをすべきと思いますけれども、厚労省、認識を伺います。
○政府参考人(依田泰君) お答え申し上げます。
 一人親家庭に対する支援につきましては、就業支援を基本としつつ、子育て生活支援や経済的支援などの施策を総合的に進めるところでございまして、例えば、児童扶養手当につきましては、近年、多子加算額の倍増でございますとか、全部支給の所得制限限度額の引上げを行ったほか、今年度からは、支払回数を年三回から年六回とする等の拡充を図ってきたところでございます。
 また、一人親の障害年金受給者につきましては、現在、障害年金額が児童扶養手当額を上回ると児童扶養手当が受給できないという状況にございますけれども、児童扶養手当の受給が可能となるよう併給調整の方法を見直すことといたしまして、所要の法案を今国会に提出しているところでございます。
 今後とも、新たに策定した子供の貧困対策に関する大綱に基づき、一人親家庭の所得状況や生活実態、経済状況の変化等を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと存じます。
○山本博司君 しっかり一人親家庭への支援をお願いしたいと思います。
 次に、高等教育の無償化に関して伺います。
 本年四月から、公明党が強く推進してきました高等教育の無償化、私立高校授業料の実質無償化が大きく前進をいたします。令和二年度より、国が年収五百九十万未満の私立高校世帯に対しまして就学支援金を拡充し、年額三十九万六千円を上限に授業料を無償化する方針で進めております。
 これまで自治体独自で実施してきたこの私立高校授業料の支援は、国から補助が加わることで自治体における更なる拡充に向けた環境が整います。浮いた予算を何に使うかは各自治体の知恵の絞りどころになると思いますけれども、既に独自の拡充策を発表している自治体もございます。これまでずっと私立高校無償化を取り組んできた東京都では、都議会公明党の強い主張を受けて、対象世帯を七百六十万未満から九百十万未満に拡大をして、子供が二人以上いる多子世帯への支援も強化することになっております。
 しかし、一方では、国からの補助により浮いた自治体予算を他の予算に回すことも考えられて、地域間格差が生じる可能性も否定できません。この地方自治体の負担の実態に応じて地方交付税の算定に適切に反映するなど、幅広い支援が必要でございます。この教育無償化が真に教育環境の充実につながるように各自治体に周知すべきと考えますが、文科省の見解を伺います。
○政府参考人(矢野和彦君) お答え申し上げます。
 高校生等の修学支援につきましては、高等学校等就学支援金による支援と各自治体における支援が相まって行われることが重要であると考えております。
 このため、各自治体に対して、制度改正の通知や会議等の場を通じまして、地域の実情に応じた支援の充実を促してきたところでございまして、今年四月からの私立高校授業料の実質無償化に当たっても、例えば今委員が御指摘の東京都の例とか、あるいはそのいわゆる崖の部分に充当している、こういう例がございますので、こういう自治体の支援の取組について、支援が更に充実するよう、引き続きしっかりと周知してまいりたいと考えているところでございます。
○山本博司君 次に、企業版ふるさと納税について伺います。
 今回の見直しで、企業版ふるさと納税の期限が五年延長されるとともに、税制優遇措置が拡充され、これまでの税額控除の割合を約三割拡大し、税負担の軽減幅を合計で約九割に広げることになりました。この制度は、これまでも観光や産業の振興などに地域の特色を反映したものが実施されておりました。岡山県の玉野市では、地元企業の寄附金によりまして、市立高校に機械科が新設をされ、旋盤などの実習施設が造られまして、市内でも就労する若者を増やしたいと玉野市でも意気込んでおる次第でございまして、地域に活気を取り戻す好事例であると思います。
 しかし、まだまだ、ふるさと納税に比べると、企業版ふるさと納税、もっと活用されていいと思いますけれども、この点に関して内閣府から確認したいと思います。
○政府参考人(辻庄市君) お答え申し上げます。
 企業版ふるさと納税につきましては、今委員から御紹介ございましたように、大変優れた事例も出てきておりまして、寄附件数、金額共に着実に積み上がってきておるものの、平成三十年の寄附実績でございますけれども、約三十五億円にとどまっておるという状況でございまして、活用の余地は大きいと考えております。
 今回、制度改正によりまして大幅な制度改正を行ったところでございますけれども、どの程度寄附が集まるか正確に見込むことは難しいところでございますが、企業にとってより本税制を活用しやすくなったことから、寄附額も相当程度増えるものと見込んでおるところでございます。
 また、自治体にとっても、手続の簡素化等により事務の効率化が図られることから、従来、手続等に割いていた労力を企業とのパートナーシップの構築ですとか魅力的な事業の企画、実施などに注力していただくことによりまして、官民連携の取組が進み、事業の質の向上も図られるものというふうに期待しておるところでございます。
○山本博司君 最後の質問になるかと思いますけれども、先日の参議院本会議におきましても、島根県の海士町の事例を紹介させていただきました。地方創生としての若者等を含めて取り組んでいる事例でございました。
 この令和二年度から第二期まち・ひと・しごと総合戦略の下で新たな取組が始まるわけでございますけれども、持続可能な地方創生に向けての更なる充実強化が求められております。この地域活性化に向けた取組ということを高市大臣に最後に確認をしたいと思います。
○国務大臣(高市早苗君) 私はよく申し上げることですが、どこに住んでも、安全に暮らすことができて、質の高い教育や必要な福祉サービスを受けることができて、そして働く場所がある、そんな地方を各地につくっていく、これがとても大切なことだと思っております。
 総務省も、引き続き、ローカル一万プロジェクト、また分散型エネルギーインフラプロジェクト、これをしっかり、稼げる地域をつくるために取組を進めてまいりますし、また、地方への人の流れをつくるという意味では地域おこし協力隊は大変成功している政策だと思いますので、ここも引き続き力を入れていくとともに、関係人口に今注目が集まっています。関係人口の拡大、好事例の横展開といったことも進めてまいりたいと存じます。
 それから、あとはテレワークの普及も、それから5GやIoT、AIといった最新技術の恩恵を地方でも受けられるように、特に田舎に行くほど、私は、遠隔でいろいろな操作ができる、そしてまた地域交通の確保ですとか遠隔医療ですとか、そういった恩恵を被ることが大事だと思っていますので、しっかりと取組を進めてまいります。
○山本博司君 以上で終わります。