参議院 国土交通委員会 第2号 平成30年3月22日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、大臣の所信に対する質疑ということで、主に観光施策の推進に関しましてお伺いをしたいと思います。
 それでは、まず、大臣に観光施策に関しましてお伺いをしたいと思います。
 我が国の地方の活性化を図る上で、観光振興、大変重要なテーマでございまして、特に国内の観光客のみならず、近年急増しつつある訪日外国人の地方への誘致、これは今後の大きな課題でもございます。しかしながら、外国人観光客の訪問先を見てまいりますと、富士山などの東京周辺、また東京と関西を結ぶいわゆるゴールデンルート、また国際路線も充実しつつある北海道など、一部の地域に偏っているというのが今の現状ではないかと思います。
 政府は、二〇二〇年までに訪日客を四千万人、また消費額を八兆円という目標を掲げております。その鍵を握るのが地方の魅力発信ということになるかと思います。今ゴールデンルートが中心となっているこの訪日客の目をどう地方に向けさせるか、大変重要でございます。新たなルートを開発をしていく、こうした訪日客の流れを地方へと大きく転換をしていく、そのことが求められていると思いますけれども、大臣、今後の方針に関して伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 観光は我が国の地方創生の柱であり、訪日外国人旅行者数二〇二〇年四千万人などの目標を定めました明日の日本を支える観光ビジョンにおきましても、観光先進国への三つの視点の一つとして、観光資源の魅力を極め、地方創生の礎にと明記をされているところであります。
 観光ビジョンに盛り込まれた、文化財を観光資源として開花させる、国立公園をナショナルパークとしてブランド化する等について政府一丸となって取り組んできた結果、昨年の三大都市圏以外の地方部における外国人延べ宿泊者数は三千百八十八万人泊と対前年比プラス一五・八%となっておりまして、三大都市圏の対前年比プラス一〇・二%を上回り、着実に地方への誘客は進んでいると考えております。
 他方、観光ビジョンに掲げました二〇二〇年地方部における外国人延べ宿泊者数七千万人泊の目標の達成を通じて訪日外国人旅行者の地方誘客を進め、その経済効果を全国に波及させていくためには、これまで以上に訪日外国人旅行者の地方への来訪、滞在の拡大につながる取組を強化していく必要がございます。
 そのためには、各地域において観光地域のマネジメント及びマーケティングを担う法人であるDMOが中心となり、多様な関係者が広域的に連携した上で取組を進めることが重要であります。このため、地域固有の自然や生活文化を活用しながら、各地域における体験型観光の充実を図るとともに、広域連携DMO、地域単位のDMO、地方公共団体等の多様な関係者による広域的な連携に向けた取組の支援等を通じまして、訪日外国人旅行者の地方への来訪、滞在の促進をより一層進めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 今大臣お話ありましたとおり、このDMO、日本版DMOですね、大変これは大事な点でございます。官民が連携をして地域観光を推進する法人組織ということで、訪問客の調査や分析、また観光ルートの開発、こういったことを担っていく地域観光の司令塔であるわけでございます。
 例えば、私は地元、瀬戸内海でございますから、瀬戸内海沿岸の七県と事業者が設立をしましたせとうちDMOというのがございます。このせとうちDMOでは、歴史的な建造物や古民家、これを宿泊・商業施設として活用するとか、また地元のアイドルグループ、この連携などで推進をしているということもございまして、瀬戸内ブランドというのを確立をして、そして北海道とか沖縄と同じレベルまで訪日客の認知度を上げようと、こういう知恵を絞っての取組をしているわけでございます。
 その意味では、この地方の魅力、海外に発信をするということは、新たな訪日需要の掘り起こしにもつながると思うわけでございます。その意味では、DMO、大変大きな役割があると思います。このDMOに関しまして、支援体制どのように進めていくのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(田村明比古君) 訪日外国人旅行者の地方誘客を進めて、その経済効果を全国に波及させていくためには、各地域において、観光地域のマネジメント及びマーケティングを担う法人である今お尋ねのDMOが中心となって、多様な関係者が広域的に連携した上で取組を進めることが重要であります。
 今、例を出されました瀬戸内地域でございます。この地域の七県及び関係事業者で構成されるDMOである一般社団法人せとうち観光推進機構が、古民家の活用もございますけれども、そのほかにも瀬戸内海を周遊するクルーズ船や、瀬戸内しまなみ海道でのサイクリングなど、瀬戸内ならではの観光資源をクルーズ、サイクリング等のテーマに沿って集約し、国内外、国外が中心になりますが、ターゲット層に向けて戦略的な情報発信やプロモーションを実施しておりまして、これらを通じて多様な関係者が広域的に連携した取組がなされております。
 このような取組を推進するため、観光庁におきましては、全国各地におけるDMOの形成、育成に向けまして、DMOを登録支援する制度を創設しておりまして、現在、全国で百七十四の法人を登録し、これらの法人を始めとして、各地域におけるDMOの形成等に向けた取組に対しまして、関係省庁とも連携しながら情報、人材、財政の各側面から支援を行っているところでございます。
 また、平成三十年度予算におきましては、DMOを中心とした地域の関係者が適切な役割分担の下に広域的に連携して行う観光コンテンツの充実、受入れ環境整備、プロモーション等の取組に対して支援を行うことといたしております。
 観光庁といたしましては、訪日外国人旅行者の地方誘客が促進されるよう、DMOを中心とした広域連携を推進するため、全国各地のDMOに対し、関係省庁とも連携しながら、引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非ともこの推進を、観光庁、率先をしてお願いをしたいと思います。
 次に、観光施策と密接に関係をする港湾の整備についてお聞きをしたいと思います。
 私は、中国、四国の主要の港湾、ずっと視察、回ってまいりました。その意味で、港湾といいますのは、大変企業の立地や雇用の創出という地域経済にとりまして大きな役割、ストック効果という形でこれは大変大きな役割が担っているということを大変痛感をした次第でございます。
 それと、さらに観光振興の面からも港湾というのは大きな役割を担っているわけでございます。二〇一六年三月に取りまとめられました明日の日本を支える観光ビジョンにおきましては、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人という、こういう新たな目標が設定されているわけでございます。この目標をクリアするために、この急増するクルーズ需要やクルーズ船の大型化に対応するために、ハード、ソフト両面の取組によるこのクルーズ船の受入れ環境の整備を飛躍的に推進することが肝要であると思います。
 先ほど紹介しましたせとうちDMOでは、先ほど観光庁長官からお話しになりましたけれども、このせとうち観光活性化ファンド、DMOがその活性化ファンドを活用して事業化支援をした第一号案件として、昨年十月より宿泊型の小型クルーズ客船のガンツウ、これが就航しているわけでございまして、中国、四国の瀬戸内海沿岸の景勝地を周遊しているということで、大変上質な旅を楽しめるということで好評を博しているわけでございます。
 今後、こうしたクルーズ船の寄港拡大への受入れ整備の増強というのが急務でございます。私の地元の香川県でも、高松港の貨物岸壁を活用しながら、現状より更に大型のクルーズ船の誘致に乗り出している次第でございます。こうしたクルーズ船による大きな推進というのは大変大事でございます。その意味で、この港湾の整備、今後どのように進めていくのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(菊地身智雄君) お答えいたします。
 近年、我が国の港湾へのクルーズ需要は急増しておりまして、二〇一七年は、訪日クルーズ旅客数が前年比二七%増の二百五十三万人、クルーズ船の寄港回数は前年比三七%の二千七百六十五回と、いずれも過去最高を記録しております。
 委員が先ほどお話しになられました、政府が目標として掲げております訪日クルーズ旅客、二〇二〇年に五百万人という目標の達成に向けましては、昨年の二倍のクルーズ旅客を受け入れていく必要がございまして、クルーズ船による観光振興の効果を地方に広げるためにも寄港地の全国展開を図ることが必要だと考えております。このため、既存岸壁の改良や延伸、クルーズ船の受入れを希望する自治体とクルーズ船社との商談会の開催など、ハード、ソフト一体となった施策を展開しているところであります。
 例えば、高松港の朝日地区におきましては、十一万トン級のクルーズ船の寄港に対応するため、二〇一六年に係船柱の改良工事を実施をいたしました。また、二〇一七年度には、高松港や松山港などの関係者で構成する四国における瀬戸内海クルーズ振興検討会を開催いたしまして、クルーズ船の誘致に取り組みました結果、来年、高松港と松山港に十一万トン級のクルーズ船でありますダイヤモンド・プリンセスの初寄港が決定をしたところであります。
 国土交通省といたしましては、港湾管理者とも連携をしながらこうした取組を進め、地方の港湾におけるクルーズ船の受入れ環境の整備を推進してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非とも、地方のクルーズ船の推進を含めてよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 それでは次に、四国新幹線の整備ということでお話をお願いをしたいと思います。
 ちょうど昭和六十三年四月に開通しました瀬戸大橋、今年で三十周年を迎えるわけでございます。先ほどもありましたけれども、北海道でもそうでございますけれども、瀬戸大橋も三十周年。本州と四国を結ぶ交通の要、また人流、物流の大動脈として、この瀬戸大橋、多くの方々に利用していただいているわけでございます。
 この瀬戸大橋は道路と鉄道の併用橋でございまして、鉄道部分は既に完成当初から新幹線が導入できる、こういう規格となっております。地元では、昨年七月に、四国新幹線の整備促進期成会、これが発足をいたしまして、誘致の機運が高まっているわけでございます。
 昨年十一月には、私も、四国四県の地元の日本青年会議所四国協議会のメンバーとともに、この四国新幹線の導入を目指しまして、基本計画から整備計画への格上げを求めます十二万三千四百二名分の署名を持って石井国土交通大臣の下にお届けをし、お話をしたわけでございます。
 この新幹線が完成をしますと、新大阪―高松間が一時間十五分、四国各県の県庁所在地まで一時間半前後で到着できることになりますので、関西からの日帰りの出張も活発になるという、この交流圏域の拡大が見込まれているわけでございます。
 また、観光の振興におきましても大いに貢献すると思います。費用対効果、よく言われておりますけれども、BバイCは一・〇三、また沿線人口におきましても、北陸新幹線や東北新幹線よりも格段に多いことから考えますと、この妥当性はあるのではないか、こう考えているわけでございます。
 地域経済の活性化だけでなく、この観光振興を図る意味でも、基本計画にとどまっている今四国新幹線でございますけれども、次の整備計画を目指しまして、大変大事であると思いますので、大臣の認識をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 四国における新幹線につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、四国新幹線、大阪市―大分市間、四国横断新幹線、岡山市―高知市間の二路線が基本計画路線として位置付けられているところであります。
 国土交通省におきましては、整備新幹線の整備の推進状況等を踏まえまして、各地域から基本計画路線等の鉄道整備に関する様々な御要望をいただいているところであり、平成二十九年度より四国新幹線等の基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等の在り方に関する調査に取り組んでいるところであります。
 平成三十年度予算案にも所要の調査費が引き続き盛り込まれているところでありまして、国土交通省といたしましては、この調査に取り組みまして、我が国における今後の幹線鉄道ネットワーク等の在り方について検討を行ってまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非とも、大臣、この整備計画格上げの推進をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、国際観光旅客税に関しまして確認をしたいと思います。
 この国際観光旅客税に関しましては、森林環境税とともに二十数年ぶりの新たな税目の創設ということでございます。目的税ではないけれども特定財源であると、こう言われるように、使途が限定されると、こう聞いております。二〇二〇年訪日外国人四千万人の目標達成に向けた施策に充当することが、これからの観光施策の推進に大きく寄与すると思います。
 そこで、この法案では使途につきましてどのように規定をされているのか、このことをまず確認をしたいと思います。
○政府参考人(田村明比古君) 今お尋ねの国際観光旅客税の使途でございますけれども、今国会に提出させていただいております国際観光振興法の改正法案におきましては、二〇二〇年訪日外国人旅行者数四千万人等の目標に向けまして、第一にストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、第二に我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、第三に地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度の向上、この三つの分野に充当する旨規定されております。
 あわせて、本財源を充当する施策につきましては、既存施策の単なる穴埋めをするのではなく、受益と負担の関係から負担者の納得が得られること、また、先進性や費用対効果が高い取組であることなどを基本的な考え方とする旨規定しているところでございます。
 また、こうした考え方に基づき、平成三十年度予算における平成三十一年一月七日からの徴収による総額六十億円の歳入につきましては、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備等によるCIQ体制の整備など、特に新規性、緊急性の高い施策に充てることといたしております。
 平成三十一年度以降の税収を充当する具体の施策事業につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方を十分に踏まえまして、民間有識者の意見も聞きながら、中身をしっかりと精査してまいりたいと考えております。
○山本博司君 今御説明いただきましたこの使途につきまして少し危惧することは、出国に係る税ということで、例えば、出国に係る国際空港、外国航路に関係する港湾のみが整備対象となるのではないかと、こういう懸念もございます。地方の空港や港湾では、設備の老朽化、またバリアフリーの未整備、入国管理者などのCIQの設備や人員の不足が問題となっておりまして、今後はそうした地方のインフラの充実に財源を振り向けることも大事な視点ではないかと考えます。
 都市部だけでなく、地方の観光施設においても整備が進むように取り組むべきと考えますけれども、今後、使途を、細目を検討する際に何らかの方向性を示すべきと考えますが、この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(田村明比古君) 先生御指摘の地方の観光施設、具体的にどのようなものが含まれるのかというのは十分に今承知しておりませんけれども、少なくとも、これまで一般財源等で行っている既存施策の財源の単なる穴埋めとするようなことは適切でないというのは先ほど申し上げたとおりでございます。
 他方、今後、いわゆるゴールデンルートから地方部への訪日外国人旅行者の誘致を推進するに当たり、地方部における観光資源の魅力の向上や受入れ体制の整備というのは非常に重要であるというふうに考えております。
 そうしたことも踏まえまして、平成三十一年度以降に観光財源を充当する事業につきましては、先ほど申し上げました基本的な考え方に基づきまして、民間有識者の意見も聞きながら、中身をしっかりと精査してまいりたいと考えております。
○山本博司君 以上で質問を終わりたいと思いますけれども、観光の、特に地方のその推進ということを更によろしくお願い申し上げる次第でございます。
 以上でございます。