参議院 厚生労働委員会 第7号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は一般質疑ということでございますので、介護従事者の処遇改善策についてと、先日の児童福祉法、労働基準法でも議論となりましたワーク・ライフ・バランスに関連しまして大臣の御見解をお聞きを申し上げたいと思います。いずれも生活に密着をしております内容でございます。今後の方向性を示すことが大変重要になりますので、御見解をお伺いを申し上げたいと思います。
 それでは、初めに介護従事者の処遇改善についてお伺いを申し上げたいと思います。
 十月三十日に発表されました今回の生活対策の中に、介護報酬の三%引上げを行い、介護保険料の急激な上昇を抑制するために国費千二百億円を投入するとともに、介護人材などの十万人増強を目指すこととしております。報道等によれば、月額二万円の賃金引上げにつながるのではないかと、このような報道もされておりますけれども、介護従事者の皆様にとりましては大いに期待をしているところでもございます。
 まず最初に、介護従事者の処遇改善の対策につきましての概要を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 介護従事者の処遇改善策でございますが、今、二万円というお話がございましたが、そこは、介護報酬は介護事業者に払われますので、雇用形態、常勤、非常勤の別とか勤続年数、事業規模の別等ありまして、介護報酬三%の引上げがすべて一律に介護従事者の賃金引上げにつながるものということではございません。
 ただし、介護報酬をできるだけ介護従事者の処遇改善、介護従事者の確保に結び付けていくと、これは大変重要なことでございますので、介護従事者の処遇改善に向けてはいろいろな対策を講じたいと思っています。
 第一に、介護報酬改定では、手厚い人員配置をするところ、有資格者を多く配置するところ、一定の勤続年数の方を雇用しているところ、常勤職員の多いところ、あるいは地域差を反映する、あるいは小規模事業所への対応等、きめ細かく処遇改善が進むような方向での改定を予定しております。
 それから、介護従事者の雇用管理改善については、職業安定行政の方で、キャリアアップや処遇改善に努めた事業所については助成をするというようなことも予算要求をいたしております。
 さらに、事業主の取組を促すために、経営モデルの提示ですとか、給与の改善が本当に行われたか事後検証をするとか、給与水準については情報公開を促進していくなどの取組を進めていくということで、いろんな多角的な取組を進めてまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 具体的な点について確認をしたいと思います。
 この介護報酬、先ほどもお話がございました三%の引上げ分、これは事業所側に回っていくということで、介護従事者の給料が三%分上がるという担保は取れておらないわけでございます。今、事業者の経営も大変厳しい状況であるということで、事業の運営費用等にも使われる可能性も否定できないわけでございます。本当に従事者の方々にとってこうした待遇改善が成るのかどうかということが大事でございます。
 今回の生活対策の国民の生活不安の解消、こういう目的から考えますと、介護報酬のアップ分が直接介護従事者の方々に、給与に反映されるような仕組み、これが大変重要であると思いますし、また、それをどのようにチェックをして事後の調査や指導、このように行っていくか、大変大事でございます。
 この点に関しての見解をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 介護報酬の中でもこれは基本的にサービスを受ける方のサービスの評価を事業主にお払いするというものですが、介護報酬の中でも介護従事者の処遇改善に結び付けていく工夫をいろいろやっていかなきゃならないだろうということで、今、社会保障審議会の介護給付費分科会の方でも検討をお願いしております。
 したがって、手厚い人員配置をするところは普通のところよりも評価するとか、一定の勤続年数を勤めているところについては評価をしていくとか、そういうような介護従事者の処遇改善に着目して、介護従事者の給与水準が上がるような形での報酬の設定を行うことによって事業主が介護従事者の給与改善に努めていただけるような、そういう枠組みを検討していると、そういうことでございます。
○山本博司君 この辺りが一番大事でございますので、しっかりと、今論議をされていると思いますけれども、お願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、そういう報酬面、介護従事者の処遇ということに関しますと、今給与面に関しましては様々なこうした取組もあるわけでございますけれども、トータルな様々な課題もございます。そうしたキャリアアップができるような体制の整備ということも大事ではないかなと思います。特に研修の充実とか有資格者の正当な評価、こういったものも含めまして、介護従事者が仕事にやりがいが持てる、また将来に希望が持てるシステムを構築することが大変重要ではないかなと思います。
 この点につきましてどのように取り組んでいるのか、この部分をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 御指摘の点、介護従事者がやりがいを持って働くということのためには大変重要な点だろうと思っております。
 厚生労働省では、十八年四月に介護職員基礎研修というのを創設しております。これは、介護従事者が段階的に知識、技能の向上を図れるように、ステップアップしていけるようにするという対策でございます。また、さきの十八年改定の際にも、訪問介護の事業所などでより専門性の高い人材を確保する事業所には報酬上の加算を導入しました。また、今回の介護報酬改定でも、専門性の評価、キャリアアップの推進と、あるいは介護福祉士が一定割合雇用されている事業者は評価を行うというようなことで、介護従事者が仕事を通じてキャリアアップ、能力向上を図っていって生きがいを持って働けるような体制を是非整備したいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 こうした研修の充実なども含めた職場環境の改善、これは大変介護従事者にとりまして大事でございますので、多様な取組をお願いを申し上げたいと思います。
 次に、安心と希望の介護ビジョンにつきましてお伺いを申し上げたいと思います。
 本年五月二十日の当委員会でも質問をさせていただきましたけれども、介護施設などで介護職員が一定の条件を付けて医療行為であるたんの吸引を行えることを要望してまいったわけでございます。十一月十二日に行われました安心と希望の介護ビジョン会議では、あるべき介護の将来像を示すたたき台をまとめており、その中で、経管栄養とかたんの吸引など、原則として医療職しか認めてこなかった一部の医療行為が行える療養介護士の創設を提言をしております。質の高い介護ケアを行うためにも大事な観点であると思います。
 今後も更に議論を尽くすべき課題であると思いますけれども、この会議での検討状況について御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 安心と希望の介護ビジョンの会議では、療養介護士の創設ということが途中段階で盛り込まれておりました。
 ただ、これについては、将来的な方向は間違っていないけれども、介護福祉士という資格があるのに新しい資格を新たに新設しなくても権限を移譲すればいいのではないかというような、いろんな、そのような意見が出されまして、最終的な報告の中では、当面は、利用者の重度化が進んで夜間も含めた医療的なケアのニーズが高まっているそういう施設で、必要な研修を受けた介護従事者が医師や看護師との連携の下に経管栄養や喀たん吸引を安全性が確保される範囲で行うことができる仕組みを整備する、さらに、将来的には介護従事者が質の高い総合的なケアを提供できるようにするため資格や研修の在り方を検討するというようなことで、最終結論をいただいたところです。
 私どもとしては、この結論を踏まえまして、介護現場で一定の医療ケアについて、介護従事者が安全性を確保した上で研修等を行った上で従事できるようにならないか、今後検討を進めていくことが必要だというふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともその推進をお願いを申し上げたいと思います。
 次は大臣にお聞きをしたいと思います。
 ちょうど先月、十一月十一日、介護の日ということでございました。それに関連をしまして、前日に舛添大臣も二階経済産業大臣とともに介護・福祉ロボットの開発状況、これを御覧になって、テレビ等でも放映がございました
 こうした介護支援機器の技術開発、今後の介護を受ける方にとりましても利便性が増すだけではなく、介護に従事をする方の身体的、精神的負担の軽減にも大いに役立ち、人材不足の解消にも貢献ができるのではないかと思います。また、高齢化に伴う介護需要の増大に対応するためには、今からこうした技術開発を積極的に進める必要があると思います。こうした技術開発を行う企業、団体に対しまして何らかの助成、支援を行うなど、戦略的な手を打つべきと考えます。
 こうした点につきまして、どのような支援をするお考えなのか、介護ロボット体験の御感想も含めて大臣にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 先般、二つのロボットを体験しました。
 歩行アシストといって、腰に付けると、ももを持ち上げるのが楽になります。非常に、ですから一人横に付いていなくても一人で歩ける。それから、食事の方は、マイスプーンといって、とにかくロボットが口に運んでくれる。極めて優れた性能を持っていまして、お豆腐とか御飯の粘着物、それからもう本当にあらゆる日本の食材が口に運べるようになっています。
 これは一つは、介護を受ける立場に立ったときに、ちょっと今日散歩したいんだけれども、だれか頼むの嫌だなと、それが気が重いから行かない。そういう気兼ねなしに、今日天気いいから、今日のように天気いいと、歩きたいときに歩行アシストの機械があればできます。
 それから、やっぱり食事の介護というのは非常に大変で、先ほどの石井委員のお話にもありましたけれども、嚥下障害があったり口腔障害が起こった人たちにどうするか。しかし、自分の意思で自分が食べたいものを口に運べるということは本人の気分にとっても非常によろしいんですね。
 ノーマライゼーションという観点から大きな成果が上がるとともに、介護の人材がこれだけ足りないというようなときに人材の代わりにこのロボットがやってくれるというのは非常に大きいと思いますんで、様々な支援策を講じておりまして、我が省も福祉用具研究開発助成事業というようなことをやっていますんで、これは経済産業省とも連携して、今後、我々の優れた技術、これを介護、福祉の分野に活用して、ノーマライゼーションの達成、そして家族を含めての介護をする側の負担も減らしていく、こういう方向で努力したいと思っております。
○山本博司君 是非とも積極的な支援をお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、最後の介護の分野でございますけれども、そうした更なる高齢化に伴いまして介護従事者の人材確保というのは急務となっております。これからも継続をして対策を講じていかなくてはなりません。さきの通常国会の介護保険法の審議の際にも、処遇改善を求める附帯決議が付いたわけでございます。また、介護従事者の処遇改善法も全党一致で成立をいたしました。
 改めて、大臣に介護従事者の処遇改善に向けた決意をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今おっしゃった処遇改善法、これの精神を受けまして、そしてまた、先般十月三十日にプラス三・〇%の介護報酬改定ということを生活支援対策として打ち出しました。
 こういうことも含めて、やはり最大の問題は、きちんと処遇をされてないために離職率が高くなる、そしてこれではとても結婚して家庭を持つわけにいかないという声が高まっているので、そういうことのないように、今からやはりこの介護の現場で誇りを持って働いていただけるような、そういう処遇の改善に全力を挙げてまいりたいと思います。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今後、介護報酬改定があるわけでございますけれども、更なる処遇改善をお願いをしたいと思います。
 次に、前回に引き続きまして、ワーク・ライフ・バランスについてお聞きを申し上げたいと思います。
 これまでの児童福祉法の審議、また労働基準法の審議の中で、人口減少社会において労働人口の確保のためには女性や高齢者の方などが働きやすい環境の整備が課題であると申し上げてまいりました。また、そのためには、男性を始めとした多くの労働者が子育てや地域ボランティアなど家庭や地域生活にも十分な時間を確保できるような多様な生き方を選択できるようにすべきと考えております。
 そこで、今後の様々な課題について、取組状況に関しましてお聞きをしたいと思います。
 まず、児童扶養手当制度についてお伺いを申し上げます。
 この児童扶養手当制度は対象が母子家庭に限られておりますけれども、父子家庭は母子家庭同様一人親にもかかわらず対象外になっております。その理由として、父子家庭の収入が母子家庭に比べて高いからと、こう言われておりますけれども、様々な調査報告によりますと、現状の所得制限より下回る父子家庭が数多くあるとのことでございます。こうした状況は非正規雇用の増加とか景気の動向に影響された結果であると考えられ、東京の港区では父子家庭への助成が今年度からスタートをしております。子供の養育という観点からこの父子家庭に対しても国として何らかの支援をすべきと考えますが、御見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(村木厚子君) 父子家庭についてのお尋ねでございます。
 平成十八年度の全国母子世帯等調査結果によりますと、父子家庭の収入、これ平均しますと四百二十一万円、母子家庭は平均をいたしますと年収で二百十三万円ということでございます。先生御指摘のように、確かに父子家庭の中にも所得の低い世帯がございますが、平均で見ますと、母子家庭に比べると父子家庭は経済的な基盤は母子家庭よりもかなり良い状況にあるということでございます。
 また、父子家庭のほとんどが就業をしておられまして、母子家庭の就業率、これは日本は母子家庭も非常に高い水準にあります。八四・五%の方が就業しておられますが、父子家庭はそれより更に高く九七・五%。常用雇用率で見ますと、母子家庭は四二・五%にとどまっているのに対しまして、父子家庭は七二・二%というような状況にございます。
 こうした母子家庭と父子家庭との全般的な収入や就業の状況を見ますと、父子家庭に対しまして母子家庭と同じように児童扶養手当を支給するということにつきましては、財政が非常に厳しい中で慎重に検討する必要があるというふうに考えているところでございます。
 ワーク・ライフ・バランスということで申し上げると、特に父子家庭の方はどちらかというとワーク、仕事の方よりもライフの方に不安を感じておられる御家庭が多いということで、特に家事に関する負担感が非常に強いということ。それから、母子家庭に比べまして相談相手がいないというのが非常に父子家庭からは悩み事として挙がってきているところでございます。そういったことを配慮をいたしまして、特に父子家庭に対しましては、まずは子育てや家事の面でのニーズに対応した支援を特に重点として行っていきたいというふうに考えております。
 保育や子育てにかかわる相談、子育て世帯に対する一般的な支援策、これは母子家庭も父子家庭も併せてでございますが、今後とも充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 子供の養育を社会が支えるといった観点、大変大事でございますので、是非御検討をいただきたいと思います。
 また、女性が子育てをしながら働くことができる社会の実現には、多様な生き方を認めることが求められております。育児や介護による休業を積極的に取得できるような促進策とともに、育児期の短時間勤務制度の導入も必要でございます。今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会では本年七月に報告書をまとめておりますけれども、この概要とこれまでの検討状況に関しまして簡潔に御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(村木厚子君) 男性、女性が仕事と家庭を両立をしていくということは非常に重要な問題だというふうに思っております。特に、育児休業につきましては、男性は非常に普及率が低いわけでございますが、女性につきましてはもう九割近くの方がこれを取得していただけるようになりました。
 しかしながら、お子さんを出産して勤め続ける女性の割合、特に第一子を出産した前後でそのまま会社で勤め続ける女性の割合はいまだに三割台にとどまっているというような状況でございます。そうした意味で、女性が休業を取るだけではなくて、休業が明けた後しっかりと働き続けられる体制をつくるということが急務だというふうに考えております。
 今、御紹介をいただきました七月の報告書におきまして、そういった問題意識に立ちまして、休業明け、家庭と仕事をバランスを取りながら働けるような仕組み、とりわけ短時間勤務の仕組みが非常にこれから重要になるのではないかということ、それから男性の方の家事、育児参加のための施策を更に充実する必要があるといったようなことが報告書として取りまとめられたところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 ちょっと時間がありませんので、ワーク・ライフ・バランス関係、飛ばしたいと思います。
 最後に、大臣にお聞きをしたいと思います。社会保障の在り方に関しましてお聞きをしたいと思います。
 午前中も論議がございましたけれども、社会保障国民会議でも最終報告が出されました。少子高齢化社会を迎えるに当たりまして、医療、年金、介護、福祉などの必要な施策を推進するほど財源の問題に直面するわけでございます。麻生総理は将来の税制についても発言をされておりますけれども、大臣は毎年この二千二百億円の社会保障費の削減についても大変御苦労をされておりますが、将来の社会保障費と税制の在り方について大臣の今の御見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 社会保障政策が持続可能であるためには、財源の裏付け、とりわけ安定した財源の裏付けがないと駄目だというふうに思っております。
 しからば、それをどこで求めるかというときに、今まさに来年度について二千二百億円をめぐって様々な議論をし、その中で予算の獲得に努力をしているところでございますけれども、中長期的に見たときには、私は、やはり消費税を含めた税制改革ということ、そういうことを国民的なスケールできちんと議論をする、そして、やはり負担がなければ給付はないんだと、負担と給付のこの関係についてしっかりとした自覚を持つということがあっていいと思います。
 総理は中福祉中負担ということをおっしゃっておられますけれども、私は、どちらかというと高福祉高負担というようなぐらいの気持ちでなければ、今から医療水準も上がっていく、福祉の水準も上がっていく、薬の値段にしても上がっていく、医療機器もそうです、そういう中でやはり人の命を守るというためにはコストが必要であると。私は、社会保障に必要なコストを税制議論をした上で掛けても、必ずセーフティーネットとしての役割がきちんと果たせるならば、さらに国民に安心を与え、国民が明日に向かって希望を持って富を生み出していけると思いますので、そういう形の社会の構築を考えたいと思っております。
○山本博司君 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。