参議院 厚生労働委員会 第8号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律案、いわゆるNC法案と呼ばれる法案につきまして、厚生労働大臣を始め、関係の方にお聞きを申し上げたいと思います。また、この法案に関連する様々な課題についてもお聞きをしたいと思いますので、明快な御答弁をお願いをしたいと思います。
 このナショナルセンターは、我が国において患者数、死亡数、医療費のいずれも大きな位置を占めるがんや脳卒中、心臓病など、その取組が国民的な課題である政策医療分野の疾患の病態解明や先進的な医療の開発研究、普及、医師の研修などに取り組んでおり、我が国の医療の中核的な施設としてこれまでも重要な機能を担っておりました。この法案では、このナショナルセンターを簡素で効率的な政府を実現させる行政改革の一環として、二〇一〇年度に非公務員型の独立行政法人に移行することとしております。たとえ独立行政法人化したとしても、この我が国の医療の中核的な役割、これは変わることがあってはならないと考えます。今まで以上に機能を充実させていただきたいと思います。
 そこで、まず、このナショナルセンターを独立行政法人へ移行させる趣旨はどういったものでしょうか。独法化することで得られるメリットについて、初めに御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 国立高度専門医療センターにつきましては、行政改革推進法、特別会計に関する法律等において非公務員型の独立行政法人とすることが決定されており、この法案はそのための所要の措置を講じるものでもあります。
 国立高度専門医療センターを非公務員型の独立行政法人に移行させれば、大学や企業との人的交流、優れた能力を持つ外国人幹部の登用などが可能となること、国の機関ではなくなるため民間資金の受入れが容易となること等から、より積極的な研究の実施などが可能となり、迅速な研究成果を達成することができることとなります。これによって研究機能を中核とする国立高度専門医療センターにおいては、国の医療政策と一体となって我が国の医療を牽引し、かつ我が国の保健医療の向上に寄与することとなると考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 資金調達ルートが広がる、また人材の確保や人事交流などがスムーズにいく、こういったメリットがあるということは大いに期待できるところでございます。
 さらに、この独立行政法人化に伴いまして、ナショナルセンターの目的はこれまでと比べてどのように変わっていくのか、これまでよりもどういった点について強化しようというお考えなのか、この点についての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 国立高度専門医療センターは、独法へ移行した後もがんや循環器病など国民の健康に重大な影響のある疾患について、研究機能を中核として臨床研究、他の医療機関への医療の均てん化等を行うことにより、我が国の医療政策の牽引者としてより一層大きな役割を担うことを目的とするものであります。各国立高度専門医療センターは、国の医療政策との一体性を確保しつつ、業務の効率性、質の向上や自律的運営の確保を可能とする独立行政法人となることで、目的達成のための取組は一層推進されることになると考えております。
 さらに、本法律案が成立した場合、研究開発力強化法に基づき研究開発法人となるものでありますことから、我が国全体の研究開発力を強化し、技術革新の創出を図り、日本の競争力の強化にも資するものと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 こうした目的の遂行のためにナショナルセンターの研究機能、充実させる必要がありますけれども、今後どのようにこの充実強化をさせていくお考えでしょうか。それぞれのナショナルセンターで中期計画を作っていくことになりますけれども、研究の充実についてどのように規定しているつもりでしょうか。これは大臣にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 一つは、病院と研究所、この連携を深めていくということでありまして、基礎研究の成果が病院という形で実用化されていくと。それからもう一つは、産学の連携で、これは新しい薬の開発含めて、やはり産業としての新しい分野も開拓していかないといけない。それから、今年から産学官の医療クラスターというものを薬、デバイス、両方についての開発について順次整備していると。それから、すべてのセンターがスーパー特区という形の位置付けをされております。
 いずれにしましても、こういう新しい時代に向けてのNCの効果的な活用をして研究開発能力を強めていきたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。これからもこうした研究機能の充実を図っていただきたいと思うわけでございます。
 本日は文部科学省からもお越しをいただいておりますけれども、研究機能の充実という点から研究開発力強化法についてお聞きをしたいと思います。
 さきの通常国会では議員立法で研究開発力強化法が成立しており、我が国の研究開発の効率的推進及び科学技術を通じたイノベーションの創出を進める上で大変重要な法律であると思います。先ほどのNC法のメリットという中でもお話がございましたけれども、これからの研究開発型独立行政法人において資金調達とか人材交流が活発に行われることが大変重要になると思います。
 そこで、文部科学省にお聞きを申し上げますけれども、この研究開発力強化法の趣旨と、財政面、人材面についてどのような措置を講じているのかにつきまして御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(中原徹君) 御説明申し上げます。
 研究開発力強化法は、議員立法として本年六月五日に可決成立いたしまして、十月二十一日に施行されておるわけでございます。その目的でございますが、今先生おっしゃいましたように、国による研究資金などの配分から研究成果の展開に至るまでの研究開発システム改革を行うことにより、公的研究機関、大学、民間も含めた我が国全体の研究開発力を強化し、イノベーションの創出を図り、日本の競争力を強化するということでございます。
 本法は、その内容といたしまして幾つかの要素を含んでおりますが、まず、研究開発等の推進のための基盤の強化ということで、この中には、科学技術の教育でございますとか、それから人材の育成でございますとか、それから若手研究者の育成ですとか、そういった内容が含まれてございます。また、競争の促進、それから国の資金により行われる研究開発等の効果的、効率的な推進、それから成果の実用化の促進、こういった内容につきまして必要な事項を定めてございます。
 御質問のございました研究開発法人の研究開発能力の強化などにつきましては第三十一条から三十三条の辺りに規定されてございまして、第三十一条におきましては、国並びに研究開発法人及び大学等に対して事業者等からの資金の受入れの促進などに必要な施策を講じることを規定してございます。また、三十二条におきましては、国に対しまして、研究開発法人、大学等の柔軟かつ弾力的な資源の確保に必要な施策を講じなさいということが規定されてございます。また、第三十三条関係でございますけれども、研究開発法人に対しまして、いわゆる行政改革推進法の第五十三条第一項の規定の適用に当たっては、研究開発能力の強化などが図られるように配慮しなければならないといった旨が規定されてございます。
 本法の施行を受けまして、今後とも各府省連携いたしまして研究開発力の強化のために必要な施策の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 研究開発力の強化、もうとても重要な視点でございます。公明党も科学技術立国、これを標榜しておりまして、積極的に推進をしていきたいと考えておりますので、この研究開発力強化法の目的が広く普及するように是非取り組んでいただきたいと思います。
 特に、今、先ほどもお話がございました第三十一条では、事業者などからの資金の受入れの促進について必要な措置を講じることと、こうしておりますけれども、寄附金とか民間資金の受入れが容易になれば、新たな研究に取り組めたり、今まで以上に積極的な研究が行えるようになるなど、良い成果が期待できますので、是非とも促進策を講じていただきたいと思います。そして、この六つのナショナルセンターも研究開発法人として我が国の国際競争力の強化と国民生活の向上に寄与できるように、是非とも対応をしていただきたいと思います。
 今見てまいりましたように、この独法化は、人員面、財政面において効率化を図るとともに、研究機能を充実させて医療の進歩、質の確保を目指すということで、効率性と医療の質をどう両立させていくかが重要であると思います。先に独法化した国立病院機構では、個々の病院の経営黒字化を急ぐに余り、不採算な診療科を閉鎖するという事態も起きており、国民の財産とも言える病院の在り方について、効率化だけでなく、担うべき役割を踏まえた十分な検討が必要であると思われます。
 そこで、財政面の手当てについて確認をしたいと思います。
 午前中も議論が出ましたけれども、まず運営交付金についてお伺いを申し上げたいと思います。
 国立高度専門医療センター特別会計では、平成二十年度予算の歳入は千五百二十億円であり、そのうちおよそ四分の一の四百三十八億円は一般会計からの繰入れとなっております。国からのこの運営交付金を始めとする必要な財源を確保することは大変重要なことでございます。しかし、先行して独法化した法人を見ると、厳しい状況が明らかになっております。
 例えば、国立病院機構では毎年一%ずつ運営交付金が削減されております。また、国立大学機構では毎年二%の運営交付金が削減されており、財政運営に重大な影響を与えております。独立行政法人化した後においても、これまでと同規模程度の国からの運営交付金を確実に措置することがナショナルセンターの機能を維持するための最低限必要なことと考えます。
 そこで、この財政的な基盤の強化についてどのような見通しをお持ちなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 現在、国立高度専門医療センターに対しては、研究、研修、情報発信等の不採算な業務の実施に必要な経費及び施設整備の財源として、一般会計から平成二十年度予算では約四百三十八億円の繰入れを行っております。独法移行後においても、各センターにおいてこれらの不採算な業務を引き続き実施するための経費として、運営費交付金の交付が不可欠であります。
 独法化後の各センターの収支については、まだ未確定な要素もあるため、単純に推計することは困難でありますが、各センターの安定的な運営が可能となるよう、運営費交付金の確保について適切に対応していくこととなります。運営費交付金の具体的な算定基準及び方法については、独法化後の各センターの業務が確実に実施できるよう、関係各方面との調整に努力していきたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今回の修正でも財政上の配慮、これが盛り込まれておりますので、今後の予算の確保に関しましてはしっかりと対策を講じていただきたいと思います。
 次に、借入金への対応についてお伺いをいたします。
 ナショナルセンターの行う研究事業は、基礎的な研究や研究開発のリスクが高いなど、不採算な場合があり、全体で長期借入金の借入残高は約千八百億円あるとお聞きをしております。これが独立行政法人化した後においても経営の足を引っ張ることになりかねないと思います。この借入金を抱えたまま独法化しても、安定的な運営が維持できるのかどうか、とても疑問に思うわけでございます。
 行政改革推進法の第三十三条二項には、六つのナショナルセンターは、国立高度専門医療センター特別会計の負担に属する借入金に係る債務の処理その他これらの機関の事務及び事業の適切かつ安定的な運営を維持するために必要な措置を講じた上で、独立行政法人に移行させるものとする、こう定められております。この条文は借入金について何らかの措置を規定しておりますけれども、具体的にどのような措置を講じるお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 国立高度専門医療センターについては、独法化後においても、がんや循環器病など国民の健康に重大な影響のある疾患について、研究機能を中核として臨床研究、医療の均てん化、政策提言を行うこと等により、我が国の医療政策の牽引車としてより一層大きな役割を担うことを目的としております。
 一方、国立高度専門医療センター特別会計においては、建物及び医療機器の整備に要した長期借入金債務が存在しているところであります。これらの債務の法人への承継については、行革推進法第三十三条第二項の規定及び衆議院における修正で追加していただきました財政配慮規定を踏まえ、適切に対応する必要があるものと考えております。
 具体的な措置の内容につきましては、今後の決算等の状況を踏まえて関係各方面と協議していくことになりますが、調整に努力していきたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 関係機関と協議するということでございますけれども、利払いとか借入金の返済に追われて本来の研究とか診療ができないなどという、こういう事態は起こらないように対応していただきたいと思います。
 次に、人件費の面からお聞きを申し上げたいと思います。
 ナショナルセンターにおきましては、高度な医療を実施するためには人員の強化が必要であると思います。独立行政法人の人件費については、総人件費改革として行政改革推進法の第五十三条には五年間で五%以上の人件費の削減を定めております。いよいよ新しく独立行政法人になる、そして新しく中期計画を立てて研究開発に取り組もうとしているときにこの第五十三条は足かせになってしまうのではないでしょうか。一律の削減は独法化した意義を低めてしまうのではないかとの懸念の声があると思いますけれども、厚生労働省としてはどのようにお考えなのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 独立行政法人においては、行革推進法第五十三条により、役職員に係る人件費の総額について平成十八年度以降の五年間で五%以上を減少させることを基本として、人件費の削減に取り組むこととされております。
 一方で、国立高度専門医療センターにつきましては、行革推進法第三十三条において、機関の事務及び事業の適切かつ安定的な運営を維持するために必要な措置を講じた上で独立行政法人に移行させるものとすると規定されており、また、研究開発力強化法においては、独立行政法人へ移行後に研究開発法人となることが法定されており、同法において人件費削減の取組の運用に当たっての配慮が行われることと規定されております。
 こうした趣旨も踏まえまして、各センターが臨床研究などの役割を適切に果たし、運営に支障を来すことのないよう、関係各方面との調整を進めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 このことに関しまして行革推進本部に対しましてもお聞きを申し上げたいと思います。
 人件費の削減につきまして、独立行政法人に対してこの行政改革推進法第五十三条の規定は、平成十七年度の額から十八年度以降の五年間で五%以上減少させることを基本としております。しかし、ナショナルセンターの独立行政法人化は平成二十二年四月からでありますから、期間が一年しかございません。五年で五%というのであれば一年で一%とも読み取れるわけでございますけれども、この第五十三条の適用の仕方についてどのように行われているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(青木一郎君) お答え申し上げます。
 行革推進法第五十三条第一項は、五年間で五%削減することを基本とすると規定することにより、個々の事情に応じて必要な調整を可能とする規定となっております。
 例えば、平成十九年十月に設立されました郵便貯金・簡易生命保険管理機構は、平成二十三年度までの四年間で四%以上削減を行う旨中期計画において規定しているように、法の適用期限が五年より短い場合には必要な調整を行っているところでございます。
 こうした例を見ましても、一年平均一%以上の削減ということは一応の目安になると考えておりますが、行革推進法第五十三条の実際の適用に当たりましては、主務省である厚生労働省から具体的な状況を把握させていただいた上で適切に対応してまいりたいと考えております。
○山本博司君 独立行政法人化した後のナショナルセンターに対する行政改革推進法第五十三条の適用に当たりましては、研究開発型というこのナショナルセンターの果たしている機能、これを十分に留意した上で人件費削減対象、これを見直すなどの適切な対応をすべきと考えますけれども、この点に関しましての御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(青木一郎君) お答え申し上げます。
 国立高度専門医療センターは、国民の健康に重大な影響のあるがん、循環器病等に関する医療の調査研究及び技術開発等を行い、国内の医療水準をリードし、国際的な医療研究のネットワークに参画していくという大変重要な役割を担っておられる機関であると承知しております。
 この国立高度専門医療センターについては、独立行政法人化されますれば、いわゆる研究開発力強化法において研究開発を行う重要な独立行政法人として位置付けられることになるわけでございます。既に研究開発型の独立行政法人に対しましては、行革推進法第五十三条第一項の運用に当たりまして、研究開発力の強化及び研究開発等の効率的な推進等の政策的意義、必要性にかんがみまして、例えば競争的研究資金により雇用される任期付職員等の方について配慮するということをしておるところでございまして、国立高度専門医療センターが独立行政法人化された場合につきましても同様の取扱いをすることになると考えております。
 いずれにいたしましても、独立行政法人化後の国立高度専門医療センターに係る行革推進法第五十三条の適用につきましては、厚生労働省から具体的な状況をお聞きした上で適切に対応してまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 是非、他の研究開発法人と同様に、このナショナルセンターに対しても十分な配慮をお願いを申し上げたいと思います。
 次に、医療の均てん化についてお伺いを申し上げたいと思います。
 ナショナルセンターでの研究開発の成果が全国に普及することは大変重要なことであると思います。地域による格差がなく、我が国全体の医療レベルの底上げができるようにしなくてはなりません。この独法化においても、国立病院機構との政策医療ネットワークの連携とともに、国に対して政策提言を行うなど、これまで以上にナショナルセンターとしての機能強化が求められていると思いますが、これらの機能強化について今後どのように取り組むお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 医療の均てん化に当たりましては、国民や医療関係者に対する診断、治療法などの情報発信のほか、地域の医療機関で指導的役割を担う人材の育成等が必要と考えており、法案において各センターの業務として人材育成も規定しております。また、法案成立後に国が示すことになる中期目標においても、人材育成に関して定めることを考えております。具体的には、センター自ら質の高い研修を実施するとともに、モデル的な研修や講習手法を開発し普及することにより、我が国の医療政策の牽引車として地域の医療水準の向上に寄与してまいりたいと考えております。
 ネットワーク機能、政策提言機能などと併せて、この人材育成も併せて、医療の均てん化に取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 現在の産科、小児科を始めとしまして、医師不足の状況とか地域による医師の偏在など、大きな問題となっております。また、先ほど申し上げましたけれども、国立病院では不採算な診療科の閉鎖という事態も起きております。
 こうした状況を踏まえれば、情報の提供、また良質な医師を育成する研修体制の充実、国内外からの短期、長期の指導医の招聘、交流などを拡充をする必要があると思います。そうした役割を担えるのがナショナルセンターであり、国の中核施設として積極的に人材育成に取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、この医師不足や地域の偏在を解消するためにどのように対応するお考えなのか、御見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) ナショナルセンターを医師不足対策の一つとして使えという御意見、これはまた傾聴に値すると思います。安心と希望の医療確保ビジョン、その他様々な施策を行っておりますけれども、医師不足地域に医師を派遣する。さらには、勤務医の勤務環境が非常に劣悪なので、この処遇の改善をやる。それから、医学部定員、来年度は六百九十三人ということで過去最大に増やすと。それから、臨床研修制度の今問題点についても検討会が行っておりますし、それから周産期医療の問題、救急医療との連携、これも行っております。さらに、無過失補償制度、これが来年から入りますので、脳性麻痺の子供が正常分娩で生まれた場合に補償することができる。その他、様々な施策を行っておりますし、予算的にもそれを反映させております。
 短期的な緊急な課題から中長期的な課題まで、大きなビジョンを持ってこの医師不足問題に取り組み、そして地域医療を国民にとって安心したものにしたいというふうに思っております。
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。
 このナショナルセンターの機能を充実をして、是非こうした問題の解決に取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、NC法案に関連をしまして、具体的な課題についてお伺いを申し上げたいと思います。
 まず、我が国の重要な課題の一つである難病対策についてお伺いをしたいと思います。先ほども、午後からもお話がございました。
 厚生労働省は、患者数が少なく、原因が不明であって、治療方法が確立していなく、長期にわたる生活への支障がある難病について難治性疾患克服研究事業を行っており、現在のところ百二十三疾患、来年度からは七つ増えて百三十疾患が対象となる予定でございます。ところが、この研究対象となっていない難病を患っている方々から、難病に指定してほしい、この研究事業の対象としてほしいとの要望が相次いでおります。
 来年度の概算要求では、この難治性疾患に関する調査研究を大幅に拡充するために、現在の約二十五億円から四倍の百億円に引き上げるよう要求しており、是非とも強力に推進を図っていただきたいと思います。
 まず、この難病対策への大臣の決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 患者の数が少ないというような理由でこういう方々が救えないということがあってはならないというふうに思っておりますので、この難病対策、社会全体できちんと対応するんだと、そして難病対策のような課題に正面から取り組む社会というのがこれからのふさわしい福祉社会であるというふうに思っておりますので、予算要求を含めて、今日もまた全力を挙げて財務省と折衝しているところでございます。
 様々な財政的な難しい要因はございますけれども、是非これを実現させるべく努力をしたいと思いますので、委員の先生方の御支援も賜りたいとお願い申し上げます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今も大変な状況だと思いますけれども、是非とも頑張っていただければと思います。我々も応援をしていきたいと思います。
 それでは、難病対策の研究につきまして、これまでも疾患別に各ナショナルセンターにおいても研究が進められておりました。
 先日もパーキンソン病の患者会の方とお会いをいたしましたけれども、国立精神・神経センターで行われている副作用の少ない治療方法の研究に大きな期待を寄せていました。しかし、一部では、今回の独法化によって業務の効率性ばかりが追求されるのではないか、希少性があり、なおかつ原因も治療方法も分からない、そのためにすぐ成果が上がらないといった難病のような研究はないがしろにされるのではないか、こうした危惧の声も上がっております。難病の患者さん、御家族は、こうした研究予算の四倍増という大変大きな期待を抱く一方で、この独法化によって難病研究が切り捨てられるのではないかとの不安を感じている方もいらっしゃるわけでございます。
 こうした声にどのようにおこたえするつもりなのでしょうか、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 国立高度専門医療センターのうち例えば国立精神・神経センターにおいてパーキンソン病に係る研究課題に取り組むなど、各センターにおいて難病の研究についても精力的に取り組んでいるところであります。
 独法化後においても、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に関しては、臨床研究の推進、医療の均てん化などを行うことにより、その解決のための役割を果たしていくこととしております。そのため、難病など希少疾患の分野や研究開発のリスクが高い分野であっても、我が国の医療技術の向上を図る上で必要な研究については引き続き実施していく必要があると考えております。
 厚生労働省としては、今後策定する中期目標などを通じて必要な研究が着実に実施されるよう対応してまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非とも引き続き研究を継続をしていただきたいと思います。
 次に、特定疾患とするよう要望書等が提出されている疾患への対応についてお伺いを申し上げたいと思います。
 我が党では、様々な難病の患者さんとか御家族、支援者の方からも数多くの意見、御要望をお伺いをしております。特に、渡辺副大臣もよく御存じだと思いますけれども、私のところにも、エーラス・ダンロス症候群やマルファン症候群、ジストニア、プラダー・ウィリー症候群、また遠位型ミオパチー、そして再発性多発性軟骨炎などの疾患の患者さんや御家族の方たちが難病として指定して原因の解明と治療方法の確立とともに医療費の助成をしていただきたいとの御要望が数多く寄せられております。
 こうしたいまだに研究対象となっていない疾患の方たち、これは来年度のこの四倍増の研究事業を大変熱いまなざしで注目をされておるわけでございますけれども、十月二十九日に発表されました平成二十一年度の厚生労働科学研究費補助金の公募要項では、難治性疾患克服研究事業のうち、仮称ではございますけれども、研究奨励分野において実態を把握するための研究を行うこととなっており大変注目しておりますけれども、この点を含めまして、現在研究事業の対象となっていない疾患についてどう対応していくお考えなのか、渡辺副大臣からお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(渡辺孝男君) 難病患者の方々のためには、原因解明や治療法確立に向けた研究が大変重要でありまして、国としましても、こうした研究事業、難治性疾患克服研究事業でありますけれども、これを実施をしているというところであります。
 この研究事業については、本年の六月二十三日の特定疾患対策懇談会におきまして、これまで研究が行われていないその他の難治性疾患についても実態把握等の調査研究を推奨する仕組みの設置が提言をされたところでありますけれども、これを受けまして、政府としては、今後どのように対応していくのか更に検討していく方向にございます。
 それから、なお、平成二十一年度からは、これまで組織的、体系的に研究が行われてこなかったその他の難治性疾患についても実態把握そして診断基準等の作成のための調査研究を行うことも含めて検討をしているところでありまして、今後、難病対策の推進に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。
 先ほど、奨励的な研究ということのお話がありましたけれども、公募等を通じましてそういう研究も進めていきたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 本日は、研究事業についてお伺いを申し上げましたけれども、このナショナルセンターが独法化しても引き続き難病に対する研究が行われますように予算の確保をお願いしたいと思います。
 また、医療や就労の相談に当たる、先ほどもお話がありました難病相談・支援センターの充実など、生涯にわたって治療を必要とする難病の方々が安心をして生活を送れるようにするためにも、総合的な施策の拡充を行っていただきたいと思います。
 次に、ハンセン病問題の解決促進についてお聞きをしたいと思います。
 今回の法案が成立しますと、国立の病院、療養所などの施設はほとんどが独法化して、最後に十三か所あるハンセン病の療養所が残ることになります。私は、中国、四国地域を回る中で、岡山県の長島愛生園とか邑久光明園、また香川県の大島青松園などの国立ハンセン病療養所を訪問し、居住者の方々から数多くの要望を伺っているわけでございます。特に、香川県の大島青松園は全国で唯一の離島にある療養所でございまして、平成十六年の台風では高潮で施設が浸水をいたしました。また、施設が老朽化しているために入院病棟の集約など新しい居住整備計画が出されて、今後も居住者の方たちが安心して暮らせる体制づくりが求められております。
 そこでお聞きいたしますけれども、この大島青松園の居住整備計画の現在の進捗状況、どのようになっているのか、御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 大島青松園の施設整備計画につきましては、本年四月二十五日に入所者の皆様がおいでになり御要望を承ったところであります。大島青松園における居住者等々の施設整備につきましては現在、所要の手続を進めているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。居住者の皆様、本当に平穏な生活ができるようにバックアップをしていただきたいと思います。
 次に、ハンセン病療養所の将来構想についてお伺いを申し上げたいと思います。
 国立ハンセン病療養所の入所者の平均年齢八十歳近くと高齢化をしております。また、ハンセン病問題の解決は早急に取り組む必要があると思います。さきの通常国会にはハンセン病問題の解決の促進に関する法律が超党派の議員立法として成立をしており、医療施設の存続や地域開放のための必要な措置を講じることができると規定をされております。
 先ほどの大島青松園におきましても様々な議論があるわけでございますけれども、将来的には、瀬戸内海の自然を生かしながらアレルギー疾患の子供たちの療養施設として活用し、ハンセン病の歴史も学べるようにすべきとの様々な提案もあり、今後大いに検討する必要があると思いますけれども、そのためには、この国立ハンセン病療養所という医療更生施設の性格との整合性が図られ、入所者の療養に弊害が生ずることなく生活環境の確保に資するという観点から地域開放を進めるべきと考えます。
 国立としてこのハンセン病の療養所を今後も存続させていくのであれば国が最後まで責任を持って対応すべきと考えますが、どのように地域開放を行っていく考えなのか、厚生労働省としての見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) ハンセン病問題解決促進法において、国は、入所者の良好な生活環境の確保を図るため、国立ハンセン病療養所の土地、建物、設備等を地方公共団体又は地域住民等の利用に供する等の措置を講ずることができることとされております。
 この措置を講ずるに当たりましては、当事者である入所者の意見を尊重することとされておりますことから、まずはそれぞれの施設におきまして、当事者であります入所者の皆様の御意見を十分にお聞きしながら、併せて医療更生施設としての性格との整合を図りながら、入所者の皆様に対する医療の提供に支障がない範囲で検討していくことが大切と考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともこうした入所者の方々の意見を尊重した上で将来構想を御検討いただきたいと思います。
 次に、肝炎総合対策についてお聞きをしたいと思います。
 午前中も家西先生から質問がございました。公明党としても、また与党PTとしても申し入れた内容等、大事な内容でございますので重複した質問があると思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず、昨年十一月に与党でまとめました新しい肝炎総合対策の推進に基づきまして、本年四月から肝炎インターフェロン治療の医療費助成制度がスタートしておりますけれども、治療実績はどのようになっているのか、また予想を下回っているとすれば原因をどのように考えているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) 本年四月に開始いたしましたインターフェロン医療費助成制度につきましては、都道府県別の四月から八月の申請者等の実績を取りまとめ、先日来公表しているところでございます。
 申請者数の全国集計では、四月が五千四百一件、五月は五千九百四十九件、六月は六千七百四件、七月は四千七百五十件、八月は三千六百四十件となっております。実績が目標を下回っている原因につきましては、制度開始当初の周知不足の影響も考えられますが、様々な原因も考えられ、現時点では何らかの評価を直ちにできる段階ではないと考えているところでございます。
 厚生労働省としましては、引き続き自治体等を通じた制度周知を徹底するとともに、今後実績が目標を下回っている原因について実態をしっかり把握し、一人でも多くの方がこの助成制度を安心して利用していただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 十万の目標に対して大変まだまだ厳しい状況であるわけでございます。また、こうした地域の偏在もあるわけでございまして、肝疾患診療の連携拠点病院が一か所もないのが十七都道府県に及んでおります。中国でも山口、鳥取がないわけでございますけれども、こうした肝炎インターフェロン治療の受療者を増加するためには、拠点となる病院を増やし、この制度を周知徹底することが必要であると考えます。
 都道府県とか医療機関に対してどのような対策を講じていくのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) 肝炎の診療体制の整備に関しましては、各都道府県で肝炎診療の中核医療施設であります肝疾患診療連携拠点病院の指定と、当該拠点病院を中心とした診療ネットワークの整備などが進められるよう、厚生労働省として取り組んでいるところでございます。未指定の自治体に対しましては、担当者が直接出向き指定促進に努めているところでございます。今後とも必要な働きかけを行ってまいります。
 また、インターフェロン医療費助成制度につきましては、これまでも政府において広報を実施するとともに、都道府県を通じ住民や医療機関に対し周知を図ってきたところでございます。しかしながら、各自治体の広報状況を調査したところ、自治体間で取組に差が見られたため、十一月二十一日に都道府県肝炎対策主管課長会議を開催し、改めて肝疾患診療連携拠点病院の件と併せ、各自治体に対し周知徹底を要請したところでございます。さらに、治療を必要とする方により効果的に助成制度について周知をするために、医師会等を通じた医療現場における周知など、取組を検討しているところでございます。
 引き続き、多くの患者さんに十分な情報が伝わるよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○山本博司君 また、インターフェロン治療を受療する方々、先ほどの午前中の家西先生からもお話がございました。数週間の入院とか、ほぼ毎週の通院が必要となります。会社に勤めている人の場合は、そのために会社を休まなくてはならず、会社側の理解が得られずに受療を断念をする場合があるとも言われております。
 この受療者を増やすためには会社側の理解を得ることが求められますけれども、この事業者の理解を得るためにはどのような国として施策を講じていくお考えなのか、大臣からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 既に経団連に対して通知を発出いたしましたけれども、近々、私自ら赴きまして、従業員がこういう場合にきちんと休暇が取れるような体制を整えていただくように、更に要請をしたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 是非とも、一人でも多くの肝炎患者の方が治療が受けられるように理解の輪を広げていただきたいと思います。
 次に、新しい治療方法についてお聞きを申し上げたいと思います。
 インターフェロン治療が効かない難治性患者にも高率の有効性が認められているペグインターフェロンとリバビリンの併用療法について、二〇〇四年二月に承認された現在の四十八週投与ではなく、更に治療期間を七十二週延長することで効果が出ている事例もあり、医師が必要と認めた場合には医療費助成期間の延長を認めるべきと思います。
 最近の肝炎治療戦略会議がこの件につきまして検討され、大変いい方向に進んでいるとのことでございますけれども、この点に関しましての見解をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) インターフェロン医療費の助成期間につきましては、薬事法の承認を受けて通常の投与期間は四十八週間であるとされているところから、現在、同一患者さんについては一か年を限度としているところでございます。しかしながら、七十二週投与の有効性に関する海外の文献があることや、日本におきましても、一定の条件に合致する場合には標準の四十八週を超えて七十二週で有効性が認められるとする研究報告が出されたところでございます。
 そこで、専門家によりこの点について御検討をいただき、有効性、安全性の両面から、タイプ1bについてはこのような治療方法は否定されるものではないとの見解が先月十四日に取りまとめられたところでございます。この取りまとめを踏まえつつ、タイプ1a等、その他のタイプにつきましても、今後の対応について関係各方面と検討してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非とも推進をお願いを申し上げたいと思います。
 また、全国で三百万とも四百万とも言われる肝炎患者の救済には、インターフェロン治療を始めとするこれまでの治療方法を充実させるとともに、新しい治療方法の研究開発を推進し、総合的な肝炎対策を講じなくてはならないと思います。
 厚生労働省が、本年度より七年間でB型・C型肝炎、また非代償性肝硬変や進行性肝がんなどの肝疾患の治療成績の改善を目指して肝炎研究七か年戦略を進めておりますけれども、この戦略について御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(上田博三君) 肝炎対策におきましては、有効な治療法の開発が極めて重要なものと認識をしております。このため、本年六月には、国内の肝炎の専門家から成る肝炎治療戦略会議を開催し、肝炎研究七か年戦略を取りまとめていただいたところでございます。
 この戦略では、肝炎研究について現状及び課題を整理する、また研究の今後の方向性や新たな研究課題、継続すべき研究課題及び具体的な達成目標を設定する、また研究を進めるための基盤事業を整備するなどを内容としているところでございます。具体的には、七年間に期待できる治療効果として、一つは、B型・C型ウイルス性肝炎の治癒率等の上昇、二つ目、肝硬変、肝がんの五年生存率の改善などについて数値目標を掲げているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、この戦略の策定を受けて、例えば、副作用の少ない治療法、治療薬の開発などについて十分な研究が実施できるよう必要な研究費を確保するとともに、戦略の内容を今後の研究課題の設定に反映して、目標の達成に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○山本博司君 最後に、この国立国際医療センターの国府台病院に肝炎対策の総合的な研究拠点として肝炎・免疫研究センターがこのほど設置をされております。今後、どのように研究開発を含め取り組んでいくお考えなのか、最後に御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(外口崇君) 厚生労働省健康局長の全国C型肝炎診療懇談会の報告書、平成十九年一月二十六日におきまして、肝炎対策の均てん化をより一層推進する観点から、中核的役割を担う国の医療機関の必要性が報告されたところであります。こうした中核的な医療機関の機能として、情報提供機能、拠点病院間における情報共有支援機能、研修機能などが求められるため、国内の感染症の拠点であります国立国際医療センターにその機能を担わせることが適切でありますことから、国立国際医療センター国府台病院で取り組むこととしたところであります。
 本年十二月より、肝炎・免疫研究センター内に設置された肝炎情報センターのホームページ上において、肝炎患者、肝臓専門医等に向けた肝炎等の症状、検査、治療に関する情報や肝疾患診療連携拠点病院の紹介などの情報発信を始めたところであります。
 また、肝炎等の国民に重大な影響を与える疾患に対し、基礎研究から臨床研究への実用化研究等を官民が連携するための開放型研究拠点等を整備することとしており、肝炎に対する新薬を始めとした新たな治療法の開発を推進していくこととしております。
○山本博司君 ありがとうございました。
 以上で終わります。
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