10月は啓発強化月間「てんかん」正しく理解を

10月は啓発強化月間「てんかん」正しく理解を

【仙台市での市民公開講座から】
診断・治療は日進月歩 多くが通常の生活送れる
10月は「てんかん月間」。てんかんは脳の病気の―つで、患者の数が“100人に1人" といわれ、珍しいものではない。患者の多くは適切な治療により、ごく当たり前の日常生活を送っている。
だが、いまだ誤解や偏見が根強く学校生活や就職などで必要以上の制限を受けることが少なくない。
てんかんへの理解を啓発するため仙台市内で先月開催された市民公開講座の内容を紹介するとともに、公明党の取り組みについて党てんかん対策推進プロジェクトチームの山本博司座長(参院議員)に聞いた。
今回の催しは東北大学病院と第55回日本てんかん学会学術集会が共催し「知って安心、てんかん」をテーマに開かれた。
会合では、東北大学院医学系研究科の神一敬准教授が疾患別の交通事故(2013年~19年)の原因は、心臓疾患が最多の15%、次いで脳内出血など脳疾患が13%との統計を紹介。てんかんが原因の事故は統計上、多くないものの、事故の際、他の病と異なり病名が強調して報道されがちだと指摘した。その上で、免許の再取得、更新や返納に際し「患者への情報提供と専門医がアドバイスできる体制の充実」を訴えた。
同科の大沢伸一郎助教は「ビデオ脳波モニタリング」の普及で診断精度が上がり、治療法も心臓ペースメーカーに似た電気刺激装置を植え込む「迷走神経刺激療法」や外科手術が進歩していることを説明。「てんかん医療は日進月歩。数年前、治らなかった症例が治療できる場合もある。主治医と相談してほしい」と述べた。

学校、職場での知識普及が課題
また、「修学旅行の参加を断られた」「プールで皆と違う色の帽子を着用させられた」といった児童生徒の患者の声を紹介。東北大学病院小児科に勤務する植松貢准教授は「外来受診の際、子どもや保護者が希望すれば、教員に同席してもらい理解を求めている」と
述べ、学校現場での知識の普及を強く求めた。
同病院てんかん科の藤川真由助教は国立研究開発法人が18、19の両年に企業対象に実施した「てんかんと雇用」の調査結果を紹介し、68.5%の企業がてんかん患者を雇用したことがない現状を指摘。「医療現場と職場の連携が重要だ。
企業でも発作時対応への環醤備が進められれば」と強調した。同病院の中里信和てんかんセンター長は「てんかんを公表する患者は少なく、孤立しがちだ。告知しやすい社会をめざし、さらなる啓発活動を続ける」としている。
会合に参加した日本てんかん協会東北ブロックの松崎幸司副理事は「東日本大震災の時、偏見を恐れて避難所に行けず苦労した患者が多くいた」と述懐。「市民に理解が広がり、共生できる社会に」と望んだ。

当事者の目線で政策推進
公明党てんかん対策推進プロジェクトトチーム 山本博司 座長

公明党は、てんかん患者が、どこでも安心して適切な治療や相談、就労支援を受けられるよう、てんかん診療拠点病院の全国への展開、拡充を進めてきました。
また、子どもに多い難治性てんかんの治療薬「ブコラム口腔用液」の早期承認を推進。児童生徒が学校で、てんかん発作を起こした場合、教職員らによるプコラム投与の対応を求め、実現できました。
これからも患者、家族と同じ目線で、てんかん医療の地域格差解消や交通費支援、教職員への研修などをめざし、正しい知識の普及・啓発に取り組んでまいります。