発達障がい児などの教育支援 過去最多16ガ人が学ぶ

発達障がいなどのある子どもが、通常学級に在籍しながら一部の授業を別室で学ぶ「通級指導」ー。先月、文部科学省が公表した2020年度の調査によると、全国の小中高生のうち、過去最多となる16万4693人が通級指導を利用し、障がいのある子どもに対する適切な教育支援が広がっていることが明らかになった。
文科省は5月に専門家会議を立ち上げ、制度拡充への議論を加速。年度内に報告を取りまとめる方針だ。

教職員定数の改善公明が強力に推進
通級指導は、読み書きが苦手だったり、友人とのコミュニケーションがうまく取れないなどの児童生徒が、普段は通常学級に在籍しながら、個別の障がいの状況に応じて、一部の授業を別室で受けることができる制度。
文科省によると、この10年間で義務教育段階の子どもの数が1割減少する中、通級指導を受ける児童生徒は年々増加し、2.5倍に拡大。背景には、発達障がいのある子どもの数の増加に加え、通級指導に関する理解や認識が高まったことがあるとみられている。
通級指導を利用する子どもの障がい種別では、言語障がいが最も多く4万3632人(26.5%)注意欠陥多動性障がい(ADHD)が3万3825人(20.5%)、自閉症が3万2346人(19.6%)と続いた。

調査では課題も浮き彫りとなった。利用者が増え、適切な教育支援が広がる一方、2018年から通級指導を導入した高校では、制度を利用できなかった対象生徒が1100人に上った。希望しても通級指導が受けられない待機児童1100人の解消へ環境整備が急がれる。

通級指導の充実を巡っては公明党が強力に推進してきた。転機となったのは、17年度予算に盛り込んだ教職員定数の改善。16年度までの通級指導の担当教員数は、毎年の予算編成の度に決まる「加配定数」の一部だったが、公明党の強い主張で児童生徒数などに応じて自動的に決まる「基礎定数」に組み込んだ。
これにより25年度まで計画的に増員される見通し。
浮島智子文部科学部会長(衆院議員) は、通級指導のさらなる充実に向け「多様化するニーズや教員の確保に力を尽くす」と語った。