参議院 財政金融委員会 第2号 令和4年3月8日

第208回国会 参議院 財政金融委員会 第2号 令和4年3月8日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、所信に対する質疑ということで、財政と金融、基本的な見解に関しまして伺いたいと思います。
 まず初めに、予算に関して伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症による厳しい状況、これは依然として続いておりますけれども、特にオミクロン株の感染拡大に直面している現状、厳しさが更に増しております。感染者や濃厚接触者の増加で社会機能維持への負荷、これも重くなってきている次第でございます。
 この感染症による危機を乗り越えて、新しい資本主義に向けて成長と分配の好循環を実現していくことを目指していくためにも、この二〇二一年度補正予算、そして今審議されております二二年度の本予算のこの十六か月予算、これを迅速に執行し、国民生活と経済の再生、これを図ることが大変重要であると思っている次第でございます。
 そこで、大臣にお伺いしますけれども、この十六か月予算の意義ということに関して見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、日本の経済につきましては、新型コロナの国民生活や経済への影響というものが依然として続いている状況でございますことから、まずは新型コロナ対策に万全を期していく必要があり、同時に、この感染症による危機を乗り越えて、新しい資本主義に向けて成長と分配の好循環を実現していく必要があると、そのように考えております。
 このため、政府としては、いわゆる十六か月予算の考え方に基づきまして、令和三年度補正予算と令和四年度予算を一体的に編成をして、これらの実現のための諸施策に必要な予算措置を盛り込んだところであります。
 政府といたしましては、この十六か月予算の考え方に沿って、令和三年度補正予算に盛り込まれたきめ細やかな支援策を早期にお届けするとともに、令和四年度予算の早期成立を図り、盛り込まれた諸施策を着実に実行していくことが重要であると考えております。
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。
 今大臣がおっしゃられたとおり、この十六か月予算の早期執行と、特に二二年度本予算の早期成立が求められるわけでございますけれども、この予算案の中で、特にコロナ対策に関して伺いたいと思います。
 この二二年度予算案の中には、コロナ対策の予備費としておよそ五兆円、これが計上されております。昨今のこうしたオミクロン株の感染拡大の状況を見ますと、予期し得ない状況、これも考えられる次第でございます。
 私は、昨年、菅内閣、また岸田第一次内閣の厚生労働副大臣を担当させていただきました。また、ワクチン接種推進担当の内閣府の副大臣も兼務させていただいた次第でございますけれども、今、特にこのワクチンの三回目の接種の加速化であるとか、また、療養施設とか治療薬、経口薬ですね、この確保を含めて、この医療提供体制の拡充というのが大変重要になってくると思う次第でございます。
 それとともに、ポストコロナの展望、これも描いていかなくてはならないんではないかと思います。そのときそのときのこの状況を、臨機応変に対応が求められると思いますけれども、公明党は一貫してこのワクチンの確保や治療の確保を含めて提言をしてまいりました。
 この予備費を含めて、コロナへの対策予算、どのように編成をしているのか、岡本副大臣にお伺いをしたいと思います。
○副大臣(岡本三成君) 山本委員には、前厚労副大臣の時代から様々御指導をいただき、ありがとうございます。
 現在、オミクロン株の感染拡大に直面をし、国民生活や経済への影響が依然として続いている中で、新型コロナ対策に万全を期すことが大変重要であります。
 令和三年度補正予算におきましては、公明党の皆様からも様々な御要望、御提案をいただきまして、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、病床の確保や医療人材の確保に要する十分な規模の緊急包括支援交付金、ワクチンの接種体制確保のための費用、治療薬につきまして、承認をされました経口治療薬等の買上げ費用、飲食店向け時短要請協力金など、総額二十兆円規模の予算を確保いたしました。
 オミクロン株の感染拡大等に関しまして、これらの予算を活用して現在対応をさせていただいております。
 あわせて、十六か月予算の考え方の下、令和三年度補正予算と一体として編成をいたしました令和四年度予算におきましても、新型コロナ予備費五兆円、先ほど委員御指摘のとおり措置をいたしまして、予期せぬ状況に備えて現在対応しているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 このコロナ対策に関連しまして、予算の繰越しに関して伺いたいと思います。
 二〇年度予算では、過去最大の三十兆円を超える予算、これが未執行となりました。三回編成しました補正予算約七十三億円のうち四割を使い残していたということもございます。
 この予算、国内景気の下支えをする経済対策の重要な柱でございますので、早期執行が求められたわけでございます。しかしながら、未執行の場合は翌年に繰り越すことも可能であると思います。二一年度予算におきましても未執行の部分は発生することが想定をされます。まずは予算の早期執行、これを進めることが前提ではございますけれども、その上で翌年度への繰越しということもあると思う次第でございます。
 そこで、この繰越しということをどのように考えているのか。予算の単年度主義にたがうことになるのではないかと、こういう意見もあるわけでございますけれども、財務省の見解を伺いたいと思います。
○副大臣(大家敏志君) 令和二年度から令和三年度への繰越しにつきましては、昨年三月末の時点で約三十兆八千億円でした。新型コロナ対策については、感染の影響が不明の中で万全の対応を期すため、切れ目ない支援を行うべく十分な予算を措置したことや、コロナ関係の事業の中には地方自治体や事業者等からの申請を受けて支出するものも多いことなどの事情もあり、予定した年度中に支出に至らなかったものもありますが、足下では、令和二年度から三年度へ繰り越された予算につきましては、GoToトラベル事業等を除き、おおむね着実に執行が進んでいると承知をしております。
 また、令和三年度補正予算につきましては、執行を担う各省庁とよく連携をし、事業の状況等を確認しながら、予算の効果的、効率的な執行を促してまいりたいと考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 鈴木大臣にお伺いをしたいと思います。
 二月十八日の閣議後の会見におきまして、今のところは危機のさなかにあり、必要な財政出動はちゅうちょなく行う段階と、こう考え方を述べられた一方で、累次のコロナ対策の編成で、足下の財政状況、より一層厳しさを増しているのは事実、こうされまして、財政健全化の旗はしっかり掲げ続けなければならないと、このように述べられたと伺っている次第でございます。大臣が言われる危機のさなかはちゅうちょなく行う、大変重要なことであると思う次第でございます。
 また、新型コロナ対応で計上しました関連予算、このことを特別会計化することにつきまして、経済を立て直した後に検討する必要があるとの発言をされたとも伺っている次第でございます。
 そこで、このコロナ対策の特別会計化についての見解を大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今現在、我が国は新型コロナという危機のさなかにあるわけでありまして、国民の命や暮らしを守るためには、必要な財政支出、これはちゅうちょなく行わなければならないと、そのような段階にあると思っております。そのために、これまでにない巨額の補正予算等によりまして新型コロナに対応してきたところでありますが、それにより足下、財政状況がより一層厳しさを増している、これは事実でございます。
 今後、まずは新型コロナの危機を乗り越え、経済を立て直し、財政健全化に向けた取組を、向けて取り組んでいく、こうした基本的な方針を踏まえまして、コロナ対策の特別会計化についてという御指摘の点につきましては、その必要性等も含めて検討していく必要があるのであると、そういうふうに思っております。
○山本博司君 私は、この特別会計化ということに関しましては、将来的な話というふうに理解しておりまして、まだまだ時期尚早という気がするわけでございます。今は、やはり必要な財政出動、ちゅうちょなく行っていくという方向で是非御検討をいただきたいと思う次第でございます。
 その上で、この財政健全化について伺います。
 先日の所信の中で、鈴木財務大臣は、財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗を下ろすことなく、経済財政運営と改革の基本方針二〇二一等における二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標の達成に向けて、歳出歳入両面の改革をしっかり進めてまいります、こう述べられまして、財政健全化目標の堅持を表明をされているわけでございます。
 この財政健全化に関しましては、歳入歳出の見直し、これが不可欠でございますけれども、そのためにも着実な経済成長が求められているわけでございまして、まずこのコロナ対策、万全を期すべきと考えておる次第でございます。
 この財政健全化に対する取組に関しまして、どの部分に優先的に注力して進めるお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
○副大臣(大家敏志君) 新型コロナの危機を乗り越え、経済を立て直し、財政健全化に向けて取り組んでいくことにより、次の世代に未来をつなげていくことが我々の責任であると考えております。このため、新型コロナ対策に万全を期しつつ、成長戦略として科学技術立国、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障といった分野にしっかりと予算措置を行い、経済成長を実現してまいりたいと考えております。
 また、分配戦略として、各種の施策の実施により賃上げの実現等を目指し、成長と分配の好循環を図ってまいりたいと考えております。
 その上で、財政は国の信頼の礎であり、財政健全化の旗を下ろすことなく、二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化目標等の達成に向けて、歳出歳入両面の改革にしっかりと取り組んでまいります。
○山本博司君 この財政の健全化に対しましても、やはり歳出歳入の見直しも、やはり経済成長の軌道が確かなものになることが大前提になると思う次第でございます。
 今、今後の先行きに関しましては、各政策の効果や海外経済の改善もございまして、着実に景気が持ち直していくことが期待をされるわけでございますけれども、しかしながら、下振れリスクにも十分注意をする必要もございますし、その際に、大変懸念材料が物価高でございます。この物価動向に関しましては、足下の物価上昇、為替による影響もございます。また、原油などのエネルギー価格の高騰を抑えるためには、円安是正、これも検討課題であると思う次第でございます。
 その上で、このガソリンなどの燃油価格の高騰の状況、長期化しますと、今大変コロナ禍で苦境に立つ、もう二年もこういう状況が続いているわけでございますので、事業所の皆様、経営、大変命取りにもなるということで、大変厳しい状況もございます。
 今、さらにはウクライナ情勢、この緊迫化によりまして、更なる原油価格の高騰も懸念されているわけでございます。今、激変緩和措置を含めて、実効性ある対策、これは大変重要でございますけれども、政府を挙げてしっかり取り組む必要がございます。そのために、今日は経産省からこうした高騰対策に関しましての内容に関しまして、説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(山下隆一君) お答え申し上げます。
 先週の金曜日でございますが、原油価格高騰対策について、官房長官の下で関係閣僚会議が開催され、政府として原油価格高騰に対する緊急対策を取りまとめたところでございます。
 経済産業省といたしましては、燃料油の急激な価格高騰を抑えるために、今年度の一般予備費を三千五百億円活用し、ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とした激変緩和事業について当面の間の緊急避難的措置として、元売事業者に対する価格抑制の原資の支給額の上限を一リットル当たり五円から二十五円に引き上げ、国民生活等への不測の影響を緩和するといったことを取りまとめたところでございます。
 なお、与党からいただいた提言なども踏まえまして、トリガー条項以上の規模とするべく支援上限の大幅な拡充を行ったものでございます。
 今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するかも見極めながら、あらゆる選択肢を排除することなく、何が真に効果的な対策か、政府全体で不断の検討を行ってまいりたいと思ってございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 これ、当面の緊急対策ということでございますけれども、実効性のあるものにしていく必要があるわけでございます。
 その意味で、この、財務省にお伺いをしますけれども、財源の確保を含めて答弁をいただきたいと思います。
○副大臣(大家敏志君) 今ほど話もありましたけれども、先週四日に関係閣僚会議で拡充を決定をし、五円から二十五円に引き上げることとし、この制度の拡充に必要な予算を手当てするために、同日、令和三年度一般会計予備費について三千五百億円の使用を決定したところであります。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今世界中で加速する、こういうインフラを背景にしまして、コロナの感染拡大への対応、これまで大規模なこの金融緩和を導入してきた世界各国の中央銀行、ここへ来まして量的緩和の縮小であるとか利上げなどの金融引締め、かじを切っている次第でございます。もしこの雇用改善、さらには賃金の上昇が本格化する前に物価上昇がどんどん続いていきますと、家計の所得環境を圧迫し、消費にも影響する可能性がある次第でございます。
 今、様々なお話ございましたけれども、政府におかれましては、物価やこうしたエネルギー価格を含めまして、今後とも世界経済の動向を注視していただきたいと思う次第でございます。
 それでは、最後の質問になりますけれども、今回の予算、税制改正におきまして、賃上げに積極的な企業に対しまして法人税から一定割合を控除する税制を強化するということであるとか、補助金による支援、これによりまして賃上げをしやすい環境づくりに力を入れている次第でございます。
 総理からも、業勢が回復した企業には三%超の賃上げを期待するという発言もございましたけれども、いよいよ春闘も大詰めとなっておる次第でございます。
 成長と分配の好循環のための施策をしっかり進めていくことが重要でございまして、こうした賃上げに向けた取組に関しまして、最後に鈴木大臣の見解を伺います。
○国務大臣(鈴木俊一君) 岸田内閣におきましては、賃上げは成長と分配の好循環によりまして持続可能な経済を実現するために重要課題と位置付けているものの一つであります。
 そのため、政府といたしまして、賃上げに向けたあらゆる施策を総動員することとしておりまして、山本先生今御指摘のような賃上げ税制の拡充に加えまして、看護、介護、保育等の公的価格の引上げ、補助金によります中小企業の生産性向上のための支援、公共調達における加点措置、下請対策の強化など、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備、そして最低賃金の見直しなどの施策に取り組んでいきたいと考えております。成長の果実が賃金の上昇や雇用の拡大につながり、消費の拡大を通じて更に次の成長に結び付くという好循環、これが実現すること、これが重要であると考えます。
 財務省としても、引き続き関係省庁と連携して持続的な賃上げの実現を目指してまいりたいと思っております。
○山本博司君 以上で質問を終えて、後の同僚の杉議員に託したいと思います。