参議院 総務委員会 第3号 令和2年11月24日

○伊藤岳君 私聞いたのは、デジガバ閣僚会議で検討したのかと聞いたんですが、お答えありませんでした。私見た限りは、検討した経過はありません。
 マイナンバーカードの普及の掛け声は盛んですが、一方で個人情報漏えい等によるリスクの問題が置き去りにされているのではないかと思います。
 質問を一つ飛ばさせていただきます。
 そういう中で、「保険証 将来的に廃止 マイナンバーカードと統合」という新聞報道、これは産経の十八日付けの記事ですが、この記事に私大変びっくりしました。この記事では、自民党のデジタル社会推進本部が第一次提言として、「健康保険証をマイナンバーカードと一体化した上で、移行を進めるため、将来的には保険証の廃止を求めた。」としています。
 保険証が廃止されるようなことになれば、マイナンバーカードを通院のときなどふだんから持ち歩くことになり、カードの紛失、盗難、個人情報漏えい等の危険性は更に格段高まることになります。
 今日は、山本厚労副大臣に来ていただきました。この自民党のデジタル社会推進本部の第一次提言、つまり健康保険証とマイナンバーを一体化した上で将来的には保険証の廃止との立場は、厚労省も同じ立場なのですか。
○副大臣(山本博司君) 伊藤委員にお答え申し上げたいと思います。
 このマイナンバーカードを健康保険証として利用する目的、これは診療時における確実な本人確認と保険資格確認を可能として、医療保険事務の効率化、さらには患者の利便性の向上等を図るものでございます。
 マイナンバーカードを保険証として利用するためには、電子証明書を読み取るための端末などの医療機関等での利用環境の整備、これが必要でございます。骨太方針等の中では、令和四年度中におおむね全ての医療機関での導入を目指すこととされておりまして、少なくともそれまでの間は従来の保険証とマイナンバーカードの利用とは併用することになると思います。
 あわせて、できる限り多くの方々にこのマイナンバーカードを取得いただくことが必要でございまして、まずは令和四年度中までにほとんどの被保険者のマイナンバーカードの取組を実現すべく、関係省で協力しながら全力で取組を進めているところでございます。
 また、従来の健康保険証で資格確認を行っている訪問看護や柔道整復等におきましても、マイナンバーカードを保険証として利用するための環境整備、これが必要でございます。
 今後、こうした環境整備の導入、検討状況を踏まえながら、保険証の在り方、これを検討する必要があると思っております。
○伊藤岳君 この将来的には保険証の廃止ということについては副大臣触れられていませんでしたが、これは大変重大な報道だと思います。注視をしていただきたいと思う。
 保険証とマイナンバーカードの一体化では、医療機関の財政的負担も大きくなります。
 マイナンバーカードでの受診には顔認証が使われる。カードに記録された顔写真データと窓口に来た人の顔を確認して同一人物か確かめるというオンライン資格確認システムというものですが、このシステムを導入するためには多額の設備投資をしなければならないし、設備投資後のメンテナンス費用も掛かります。
 このオンライン資格確認システムについて、二〇二一年、つまり何と来年三月までに六割程度の医療機関、薬局において導入を目指すとしていますが、副大臣、なぜそんなに急ぐ必要があるんですか。
○副大臣(山本博司君) 今委員御指摘のとおり、六割程度の導入を令和三年三月までに目指している次第でございます。
 このマイナンバーカードを所持して医療機関、薬局を利用する患者にとりまして、利用できる医療機関等を限定されることなく、望む医療機関を選択できるということは大変重要でございまして、より多くの医療機関や薬局に迅速に導入いただく必要ございます。
 例えば、患者が利用するメリットとしては、申請をせずに窓口での限度額以上の支払が不要になったり、また、転籍等で保険者が変わっても、手続をすれば保険証の発行を待たずに受診が可能であります。また、過去の薬剤情報等を医師に提供することでより良い医療も受けることができることが可能でございます。
 また、医療機関等にとりましても、例えば事務作業の縮減であるとか、特定健診情報の閲覧によってより質の高い診療が可能になる等のメリットがあるわけでございます。
 こうしたことに鑑み、厚労省としては、より多くの医療機関、薬局にこのオンライン資格等のシステムを導入していただけるように積極的な支援をしてまいります。
○伊藤岳君 住所が変わったときに簡単だと言いましたけど、人間、そんなに何度も住所変えるものじゃないと思いますよ。
 先ほど本人確認がスムーズになると言いましたけれども、来年から変更される保険証には個人を識別する二桁の番号が記載されます。これを目視する方が顔認証システムよりもはるかに本人確認がスムーズになる。しかも、カードと保険証が混在して窓口が混乱したりという問題も現れてくるんじゃないでしょうか。
 副大臣、オンライン資格確認システム導入整備等の支援は医療情報化支援基金で行うということですが、設備メンテナンスの費用については含まれていますか。
○副大臣(山本博司君) 今のこの医療情報化支援基金ですね、九百十八億円でございまして、これは初期導入費用の補助事業ということで行っている次第でございます。その意味では、顔認証の一台無償であるとか、診療所、薬局に対しては、また、そのシステム改修やパソコン等の費用に関しましても、十一月十七日で四十二万九千円を上限に実質補助、全額補助ということになっている次第でございます。そうしたことを、メリット等あるということもございまして、この導入後に発生する機器のメンテナンス等の対応に関する費用は補助対象としていないところでございます。
 こうしたオンライン資格の確認の導入のメリットに関しまして、医療機関等に対しては丁寧に周知をし、そのメリット等の効用を訴えてまいりたいと思います。