参議院 厚生労働委員会 第3号 令和2年11月19日

○塩田博昭君 やはり、国民の二人に一人ががんになる時代ということでございますので、がん情報というのはやっぱり探し続けてしまう。がん難民にならない、そういうことを考えると、国としてはやはり別な予算を立てるぐらいの勢いでやることが必要だと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
 では、次の質問に移ります。
 今、新型コロナの影響で老人福祉・介護事業の倒産が急増しておりまして、東京商工リサーチが先月、十月八日に発表したリポートによりますと、今年、二〇二〇年の一月から九月までの倒産件数は九十四件、前年同期比で一〇・五%増と過去最多を更新をしている状況でございます。さらに、倒産には至らないものの、休廃業や解散を余儀なくされた事業者も過去最多の三百十三件で、やはり前年同期比で一九%増と、このような結果になっております。中でも、倒産全体の八割を元々経営基盤の弱かった訪問介護や通所、短期入所が占めているという実態が浮かび上がっております。
 一方で、公益社団法人全国老人保健施設協会が行ったコロナ禍における介護老人保健施設の経営への影響調査を見ても、新型コロナの流行前と比べた収支の状況について、今年五月の時点で通所リハビリは八割、老健施設でも六割が悪くなったと答えておりまして、十月になって老健施設は五割が悪くなったままで回復をしていないと、このような状況がございます。
 先月、秋田県で社会福祉法人の理事長からお話を伺いました。そこは、特養ホーム、通所リハビリ施設、訪問介護など幅広く展開をされておりますが、厳しい経営状態を訴えられました。その中で、例えばということで、農業には共済や収入保険というのがあると、老人福祉・介護事業にもいざというときのために同じような制度をつくってほしいと、このように言われました。それほど現場では危機感を抱いているということでございます。
 経営難を補償するようないわゆる保険制度は難しいのかもしれませんけれども、コロナ感染症によって高齢者の介護施設の利用控えや自粛、さらに、今再びの感染拡大の中で、更なる特例加算の検討であるとか、場合によっては地域医療介護総合確保基金の柔軟な活用を検討するなど、何らかの経営を下支えする制度が必要であると思います。
 老人福祉・介護施設は、各地域の公的な福祉サービスを提供する貴重な社会資源であり、今や医療機関と同様に欠くことのできない社会インフラであると、このように思います。各施設では、種々の感染防止策の費用の増加などもあることから、二〇二一年の介護報酬改定においては、報酬の引上げを始めとしてあらゆる経営支援策をしっかり実施をして、休業、倒産を防ぐべきであると考えております。厚生労働省の見解を伺いたいと思います。
○副大臣(山本博司君) 塩田委員にお答えをしたいと思います。
 新型コロナ感染症が拡大する中、私も、高齢者施設や介護施設の現場等を回らせていただきながら、本当に介護サービス等が利用者やその家族の生活を継続する上で大変欠かせないものであるということが実感をいたしましたし、再認識をした次第でございます。
 そのため、国としても、この介護事業者に対しまして、介護報酬の特例的な弾力的措置でございますとか感染症対策の実施のために掛かる必要な掛かり増し費用の助成であるとか、さらには介護施設等における感染防止対策として多床室の個室化や簡易陰圧装置等の設置に必要な費用の助成等を行い、必要な支援を行ってきたところでございます。
 こうした中、令和三年度においても介護報酬改定が予定をされております。改定におきましても、地域包括ケアシステムの推進など、これまでの報酬改定でも取り組んできた取組を一層推進をしていくことに加えまして、今、今回の感染症、さらには災害への対応力を強化する必要があると考えている次第でございます。
 そうした考え方に基づきまして、現在、社会保障審議会介護給付費分科会におきまして議論を進めておりますが、この予算等の対応もしっかりと組み合わせながら、介護事業者の、今委員からも御指摘ありました経営状況、それぞれの事業所ごとの、まあ事業の分類ごとにも違いがございますので、この経営状況や、地域において適切な介護サービスが安定的に提供される必要性であるとか、さらには、保険料等の国民負担や介護保険財政に与える影響などを踏まえながら、必要な対応を予算編成過程でしっかりと検討してまいります。