参議院 厚生労働委員会 第6号 令和2年12月1日

○塩田博昭君 ありがとうございます。
 今後、インフルエンザの流行を考えますと、例年一月下旬から二月上旬にかけてピークを迎えるということでございますので、厚生労働省はこのピーク時までにPCR検査や抗原検査の能力を一日当たり五十四万件まで引き上げると、このように聞いておりますけれども、この約五十四万件という数字は各都道府県の見込み件数を機械的に合計したものだというふうに伺っております。
 検査能力については、比較的精度の高いPCR検査と抗原定量検査で合計二十万件と、簡易キットを用いる抗原定性検査の三十四万件を加えて五十四万件。国立感染症研究所がまとめた新型コロナの病原体検査の指針によりますと、PCR検査と抗原定量検査は症状がある人に加えて無症状者への検査にも活用できると、一方で、簡易キットを用いる抗原定性検査については無症状者への検査は推奨されていないと、現状では発症二日から九日目の有症状者の確定診断に用いられているということでございます。
 こうした特性に応じた検査体制について、インフルエンザとの同時流行が懸念される冬に向けて全国の都道府県で十分な能力を整えることが迫られていると、こう思います。十分な検査能力の構築に向けて、厚労省の考えをお伺いいたしたいと思います。
○副大臣(山本博司君) 塩田委員にお答え申し上げます。
 この冬の季節性インフルエンザの流行期に対応するために、各都道府県におきまして、地域の医療機関において発熱患者等への検査を簡易、迅速に行うことができる抗原簡易キットを積極的に活用いただくとともに、無症状者の検査も行うことができるPCRや抗原定量検査を適切に組み合わせて検査体制整備計画を策定いただいております。この整備計画では、最も検査需要が集中するピーク週に一日四十六万件程度の検査需要、それに対しまして、必要な検体採取、検査分析能力の確保も見込んでおりまして、近年のインフルエンザの流行期と同程度の発熱患者等の検査需要があっても対応可能なものとなっております。
 厚労省としては、抗原簡易キットの増産の要請やPCRと抗原定量検査の設備整備の補助などによりまして都道府県等の体制整備を支援したところでございまして、引き続き冬のインフルエンザの流行期に向けて検査体制の確保を図ってまいります。


○塩田博昭君 今御答弁いただいたように、まさに、この冬、一月、二月にかけてピークが来るというふうに言われていますので、そこに向けてしっかり万全の体制で臨んでいただければというふうに思います。よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、感染が急拡大をしている地域の医療体制の強化についてお伺いをしたいと思います。
 今、重症者の増加など、医療現場の逼迫が深刻化をしております。今既に入院できる病床の逼迫度合いが強まっておりまして、病床の使用率が七〇%を超える地域が北海道と今兵庫県、東京も六三%に達しているとの報道もございました。
 医療崩壊はやはり断じて阻止しなければならないと。総理も勝負の三週間と言われている中、更なる手だてが必要な地域には厚生労働省として果敢に先手を打つべきであると、このように思います。
 マスクや医療用の手袋、防護服、消毒薬などの供給体制の再確認と再徹底、必要な医療機器や医薬品の補給、また隣県を含めた医療機関における病床の広域調整とか、考えられる支援策の全てを集中すべきだというふうに思います。
 また、医師や看護師の不足についても、政府は自衛隊の活用も含めて全国的な支援を早急に検討すると十一月二十五日のコロナ分科会の提言でもあったように、今できることは全て実施すべきというふうに考えます。
 さらに、年末年始の医療機関が手薄になる時期に向けて、今から万全の対策を講じるべきであると思います。
 厚生労働省の見解をお伺いいたします。
○副大臣(山本博司君) お答えいたします。
 現在、新規感染者数が過去最大の水準になるなど、最大限の警戒状況が続いております。感染の拡大に伴いまして、幾つかの都道府県では医療提供体制への負荷が更に厳しさを増しておりまして、危機感を持って対応している次第でございます。
 医療提供体制を万全なものとするためには、これまで、医療機関において必要となる個人防護具などの物資につきましても、医療現場のニーズに応じまして必要な医療機関へ無償配付するなど取組を行っているほか、病床に関しましては、各都道府県におきまして事前に病床確保計画を策定し、それに沿って病床の確保を進めていただいております。委員御指摘の都道府県間の広域調整につきましても、地域ごとに取組が進んでおりまして、厚労省としても必要に応じた支援を行ってまいります。
 さらに、先日の分科会からも提言がありましたように、医療従事者の不足につきましては、医療体制が逼迫している地域への全国知事会、さらには委員御指摘の自衛隊等と連携した医療スタッフの派遣、さらには重症者が多くなる地域に対して関係学会と連携した専門医の派遣等を行うこととしております。
 また、年末年始におきましては各医療機関等が平時と異なる体制を取ることが想定されることを踏まえまして、各都道府県に対しまして、地域の医療機関や医師会等の関係者と事前に調整した上で、入院体制の確保等に関しあらかじめ準備を進めていただくよう促していきます。
 引き続き、国民の命と暮らしを守り抜くという強い決意の下で、地方自治体とともに更にその連携を強化し、万全の対策を講じてまいります。


○塩田博昭君 今大臣から御答弁いただいたように、やはり十分な人、そして予算、これがやはり大事になってくるというふうに思いますので、是非よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、ワクチンの国際的枠組みへの日本の積極的な支援についてお伺いをしたいと思います。
 新型コロナワクチンを共同購入する枠組みのCOVAXファシリティーに日本は九月十五日に正式に参加をしております。公明党は、この五月にワクチンや治療薬開発の専門チームを立ち上げまして、ワクチン調達に関する提言書を厚生労働大臣に提出するなど、積極的にこの国際的枠組みへの参加を働きかけてまいりました。その結果、既に百八十か国を超える国が参加するまでになっていると伺っておりまして、多くの開発途上国にもワクチンが供給されることになっています。今後も、日本がこのような国際的な枠組みへの積極的な支援、参加を通じて国際的なリーダーシップを発揮していくことは重要であると、このように考えております。
 今後、更に開発途上国へはワクチンや治療薬、診断薬の供給を含む感染症拡大防止への支援が必要であると、このように思います。今後も日本政府として、グローバルファンドやGaviワクチンアライアンス、グローバルヘルス技術振興基金などの国際保健機関等を通じて、開発途上国へのワクチンや治療薬、診断薬の供給のための国際協力を引き続き推進すべきと、このように考えます。山本厚生労働副大臣に見解をお伺いしたいと思います。
○副大臣(山本博司君) 公明党からも御提言いただいておりますけれども、委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスを含む感染症が世界的に終息していくためには、途上国を含めてワクチンや治療薬等への公平なアクセスが確保されることが大変重要でございます。
 このため、各国政府やWHO等の国際機関によるCOVAXファシリティーの取組に加えまして、グローバルファンド、Gaviワクチンアライアンス、グローバルヘルス技術振興基金、GHIT等によって、途上国に対する主要な感染症の予防、治療、予防接種率の向上や医薬品研究開発等について国際共同の取組が行われているところでございます。
 こうした中で、日本政府としても、グローバルファンドやGaviワクチンアライアンス、またGHITにそれぞれ拠出を行う等を通じましてこうした取組に貢献しております。引き続き、国際社会や関係団体との連携をして取り組んでまいります。