参議院 消費者問題に関する特別委員会 第7号

○委員長(山本博司君) ただいまから消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、浜田和幸君、金子恵美さん及び金子洋一君が委員を辞任され、その補欠として横峯良郎君、一川保夫君及び安井美沙子さんが選任をされました。
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○委員長(山本博司君) 消費者安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。松原内閣府特命担当大臣。
○国務大臣(松原仁君) ただいま議題となりました消費者安全法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 消費者被害の発生又は拡大を防止するために、消費者庁設置と同時に、消費者安全法が制定され、消費者の被害に関する情報の消費者庁による一元的な集約体制と当該情報に基づく的確な法執行の確保が図られたところであります。
 しかしながら、生命身体分野の消費者事故等の原因を調査究明し、再発又は拡大の防止につなげる知見を得るための調査を行う体制は、十分には整備されておりません。社会が複雑化し、科学技術が進化した現代社会においては、消費者一人一人が注意するだけでは、生命身体被害に係る消費者事故等を避けることができない実態にあります。広く消費者が遭遇する事故等について、当事者の責任追及とは別に、その原因を科学的、専門的に調査究明し、再発又は拡大の防止につなげることが消費者の生命身体の安全確保にとって重要であります。
 また、財産分野についても、依然として既存の法律では対応できない、いわゆるすき間における財産被害はなくなっておらず、迅速な対応がなされている状況にあるとは言えません。すき間において消費者の財産被害が発生又は拡大し、事後的に行政として対応することの繰り返しであり、すき間を狙った悪質商法との闘いが消費者行政の歴史であったと言えます。
 このため、生命身体被害に係る消費者事故等を調査する機関を設置し、事故等原因の調査等に関する制度を整備するとともに、財産被害の発生又は拡大防止のために内閣総理大臣が事業者に対して勧告等の措置をとることができるようにするため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、消費者庁に、消費者安全調査委員会を設置します。消費者安全調査委員会は、生命身体に係る消費者被害の発生又は拡大防止を図るため事故の発生原因や被害の原因を究明することが必要であると認めるときは、自ら立入検査等の権限を行使して調査を行うとともに、他の行政機関等によって行われる関連する調査等の結果の評価を行い、必要に応じて意見を述べ、活用することとしております。事故発生の際の被害の軽減を含め消費者被害の発生又は拡大防止のために講ずべき施策及び措置について、調査や評価の結果に基づいて内閣総理大臣に対し勧告をし、あるいは適時に内閣総理大臣及び関係行政機関の長に意見具申を行うことができることとしております。なお、被害者に向き合うという姿勢が重要であるとの観点から、被害者等への回答制度を含む事故調査の申出制度を設けるとともに、被害者等に対し適時適切に情報提供を行うこととしております。
 第二に、いわゆるすき間事案に関し、事業者に対する行政措置を導入します。消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引により多数の消費者に財産被害を生じさせる事態であって、すき間事案の場合には、消費者被害の発生又は拡大防止のために内閣総理大臣が自ら事業者に対し勧告をし、命令をすることができることとしております。また、消費者庁と関係行政機関等との連携を更に実効性あるものとするために、内閣総理大臣が消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために相当であると認めるときは、関係行政機関等に、消費者被害の発生又は拡大防止に資する情報を提供することができることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び概要でありますが、この法律案につきましては、衆議院において修正が行われたところであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(山本博司君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員永岡桂子さんから説明を聴取いたします。永岡桂子さん。
○衆議院議員(永岡桂子君) ただいま議題となりました消費者安全法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の趣旨は、第一に、消費者安全調査委員会は、重大事故の被害者等から事故等原因調査等が必要である旨の申出があった場合において、事故等原因調査等を行わないこととしたときは、速やかに、その旨に加え、その理由を、当該被害者等に通知しなければならないこと。
 第二に、何人も、事故等原因調査等が必要である旨の申出をしたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを受けないこと。
 第三に、この法律の施行前に発生した生命身体事故等も、事故等原因調査等の対象となる旨を明記すること。
 以上が本法律案の衆議院における修正部分の趣旨であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(山本博司君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十分散会