参議院 本会議 第14号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 私は、自由民主党、公明党を代表して、ただいま議題となりました厚生労働委員長岩本司君の解任決議案について、賛成の立場で討論をいたします。
 去る十二月十七日の厚生労働委員会の理事懇談会においては、十八日の委員会運営について協議を行い、様々な話合いの結果、最終的に与野党が歩み寄り、採決が前提でなく、野党三党が提出の雇用関係四法案の審議を行い、その過程と状況を見た上で、審議後の理事懇談会において採決など今後の審議を検討するとの協議が調い、各党の時間配分がほぼ決まりかけておりました。ところが、民主党理事が携帯メールでのやり取りを理事同士で見合わせ、唐突に休憩を言い出し、一同が唖然とする中、岩本委員長が協議調わずとして、明日の委員会は審議、採決を行うと宣言し、席を立たれたのであります。残された社民、共産のオブザーバー理事からも、その後、岩本委員長に撤回の申入れをされたそうでありますが、話合いによって一定の合意がなされたにもかかわらず、委員長職権で採決まで決めたことは、議会政治のルールを無視した暴挙であり、到底許されるものではありません。
 国会法第四十八条には、委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持すると規定しています。しかしながら、岩本委員長は、委員会の議事を整理せず、秩序を保持するどころか、自らが乱したのであります。これは議会制民主主義の根幹を揺るがす大問題であると言わざるを得ません。それは、与党の委員が抗議するだけでなく、共産、社民の野党の委員からも批判の声が上がっていることから明らかであります。
 さらに、昨日の委員会の審議の中では、共産党委員からも、審議を尽くすために委員会を休憩し、理事会を開くべきであるとの問いかけに対し、岩本委員長は発言を拒否しておりました。また、我々与党が、採決の前に、審議を尽くすべきと委員長席の前に抗議に行ったときも、全く耳を傾けず、意見をすべて無視する態度でありました。このような態度を傲岸不遜と言わずして、何を言うのでありましょうか。
 岩本委員長は、今回のみならず、さきの通常国会においても解任決議を出されており、この国会においてもまた同じ過ちを繰り返しております。解任決議を突き付けられているにもかかわらず、何の反省もなく、またもや委員会の秩序を乱したのであります。たとえどこからか何らかの指示を受けたとしても、委員長としての冷静な判断が求められるのは当然のことであり、こんなやり方では委員長たる資格がないと断ぜざるを得ません。
 岩本委員長は、昨年十月二十三日の厚生労働委員会における委員長就任のあいさつで、皆様方の御指導、御協力を賜りながら、公正かつ円満な委員会運営に努め、その重責を果たしてまいりたいと述べていましたが、あれは真っ赤なうそだったのでしょうか。岩本委員長が、かつては東京都渋谷区の区議会議員として地域の問題に地道に取り組んできたことを知る者の一人として、こうした行動を大変に残念に思います。
 雇用情勢は百年に一度とも言える大変厳しい状況であり、スピード感を持って対策を講じることは与野党問わず共通の課題であります。しかしながら、野党三党が提出した法案は既に政府が取り組んでいる対策の後追いであり、年末年始の対応ができない全く的外れなものでありました。雇い止めで仕事を追われ、住まいを追われる人たちに対して政治が手を打っていくということになっていないのであります。
 そうした法案であるからこそ、我々与党は、参考人などの意見聴取を実施して、慎重な審議を尽くすべきであると主張してまいりました。審議を尽くすべきとは、野党の皆さんもこれまで言ってきたことであり、二時間余りの審議のみで採決まで行うのは、初めに採決ありきではないでしょうか。雇用問題に本当に真剣に取り組む姿とは到底思えません。
 国民の雇用に対する不安を政局に利用しようと考えているならば、公平中立であるべき委員長の座を汚すものであり、一刻も早くその座から退くべきであると強く訴えるものであります。
 以上、岩本委員長の委員会運営は、立法府としての議会の品位をおとしめ、ひいては参議院無用論を惹起させてしまうものであり、国民不在、国民無視に必ずつながるものであると指摘して、厚生労働委員長岩本司君の解任決議案に賛成の討論を終わります。(拍手)