参議院 厚生労働委員会 第2号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。今日は大臣の所信質疑ということで、介護、雇用対策、障害者施策について質問を申し上げたいと思います。
 初めに介護報酬の改定に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 介護報酬がこの四月から改定をされまして、介護事業者からは報酬アップに取り組んでいることに関しまして評価する声も上がっております。特に、以前より指摘しておりました、人件費の高い東京二十三区の報酬単価の引上げ、若しくは夜勤、専門性の高い職員が多い事業所への加算の新設などの点が大いに期待をされております。これまでの給付抑制方針を転換をして介護現場の人手不足の解消や待遇改善に重点を置いていると考えられますが、今回の改定の主要なポイントについてまず説明をしていただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 二十一年度介護報酬改定の主なポイントでございます。
 まず第一に、今回の改定は介護従事者の処遇改善というところに重点を置きました。主な内容としては、手厚い人員配置を行う事業所の評価、それから介護福祉士の有資格者を多く配置する事業者の評価、それから勤続年数が長い人を置くところの事業者の評価、あるいは正社員の多い事業者の評価といったことで待遇改善に結び付けるというようなことをしております。
 さらに、中山間地については特別の配慮を行っております。また、医療から介護へのリハビリテーションの連続の確保、さらには認知症対策等、そういった点にも配慮いたした改定を行っているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今回の報酬改定が実際に介護従事者の給与にしっかり反映をされて待遇改善が進むことが求められております。介護報酬は、サービス提供の対価として事業者に支払われるために、どのように使うかは事業者に任されております。事業所の規模や経営状況で介護従事者への対応が変わる場合もあります。
 社会保障審議会介護給付費分科会の下に調査委員会が設けられて、事後の検証が行われることになっておりますけれども、介護従事者の報酬がアップしているかを確認をする具体的なチェック体制、スケジュールに関しましてどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 介護報酬自体は四月からの改定でございますが、四月分について、事業者は五月の頭ぐらいに請求をすると。そして最初に、そのアップになった介護報酬が事業者の下に届くというのは六月ぐらいになるというのが流れでございます。
 したがって、私ども四月から団体を通じて処遇改善に向けた取組方針をできるだけ把握するということをするとともに、本年の秋を目途に先ほど委員の方からお話ありました給付費分科会の調査実施委員会において給与水準についてどうなったかと、今回の介護報酬改定によって事業者ごとにどんなふうな改定前、改定後の賃金状況になったかについての把握をしたいというふうに考えているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 やはり、直接介護従事者が本当に待遇が改善されているかどうかということは大変大事な部分でございますので、赤字補てん等で使われてしまってはこれはどうしようもないわけでございますので、この点しっかり体制をお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、大臣にお聞きをしたいと思います。
 今回、報酬のアップがされたとしても、介護従事者の給与というのは、今日の午前中も午後もこの介護の問題で議論がございましたけれども、他の産業と比較してまだ低い水準にあることは間違いございません。この待遇改善が十分に進まないと、今後増大をする介護需要に対応できないために、更なる介護従事者への支援策が求められるようになると思います。
 大臣もお話がございましたけれども、介護報酬をアップをさせるだけでなくて、別の雇用対策として直接介護従事者に手当てをするという方法もあると思いますけれども、介護従事者の更なる処遇改善に向けて大臣の御決意をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今回の三%を補正で面倒を見ました。本来的には雇用保険料を上げる形でやることになるわけですから、負担と給付のバランスをどう考えるかというのは非常に重要だと思います。
 しかし、こういう厳しい状況の中で、ただ単にその介護報酬のアップだけではなくて、経営モデルを提示すること、それから一生懸命やる事業主に対する更なる支援策をやる、さらにはコンスタントに検証をやっていって、ちゃんと成果上がっているかと、そういうことも含めてやりたいと思いますし、今後もこの成果を見た上で更なる、先ほどちょっと雇用保険と言っちゃった、介護保険の話ですけど、介護保険の保険料の上がるということなんですけれども、いずれにしましても、総合的な政策を取ることにより、検証作業を進めていく過程でまた必要な手当てが出てくれば、迅速にかつ機動的に対応していきたい。
 いずれにしましても、介護の現場で働く人たちの待遇の改善、更に進めていきたいと思っております。
○山本博司君 大臣ありがとうございます。是非とも処遇改善、全力でお願いを申し上げたいと思います。
 今回の報酬改定に関しまして、評価する声がある一方で、いまだに改善すべき点が、考える点がございます。例えば、サービス提供責任者に関しましてでございますけれども、これまでは全く評価がされていなかったことが今回初めて評価をされましたのは大きな前進でございます。これは昨年の委員会でも参考人の方々、サービス提供責任者の役割という意味でお話があった点でございます。
 しかし、今回は初回と緊急時の対応だけが加算されることになっておりまして、サービス提供責任者の業務の負担量から考えますと加算を更に増やすべきと考えますけれども、この点の御見解をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 今回の改定では、サービス提供責任者について、今委員からお話がありました初回時や緊急時などの特に労力が掛かる点についての評価をしました。
 さらに、もう一つは、特定事業所加算という加算があるんですけれども、そこのサービス提供責任者の要件の見直しを行って、この事業所加算が取りやすいような対応も行っております。
 さらに、この審議の過程において、サービス提供責任者の職業能力開発の機会の充実や、業務の具体化、標準化を更に推進することというようなことが指摘もされておりまして、今後ともサービス提供責任者の支援についていろんな取組を推進していきたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、報酬改定では、新規に創設をされる特定事業所加算の算定要件の一つとして主任介護支援専門員、いわゆる主任ケアマネジャーが評価される仕組みに見直されております。このため、今後、主任ケアマネ研修の受講を希望する人が増えると予想がされますけれども、現状の研修体制では地域によってばらつきがあるなど、今後の対応には十分ではないのではないかという気がいたします。
 私の地元の愛媛県でございますけれども、この主任ケアマネ研修は一年に一回、十一日間のコースがございますけれども、定員六十名でございますけれども、毎年九十名近くの方が申込みをするわけでございまして、受けれない方がいらっしゃるということがございます。ですので、今後どんどんそうした方々が増えると思います。受講を希望する人が必ず受講できるような体制を整えなければ、まさしく絵にかいたもちになってしまう可能性がございます。
 各都道府県の研修体制を充実させるためにどのような対策を講じていくお考えなのか、この点につきましてもお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) 主任ケアマネジャー、平成十八年に創設されましたが、十八年度、十九年度で合計一万人ということで、毎年五千人ぐらいということでございます。いろいろ事業所全体の質が向上したといったような効果が報告されておりまして、この確保というのは重要な問題だというふうに思っております。
 今回、特に特定事業所加算の算定要件の一つとなりましたということから更に充実を図っていく必要があるということで、全国の課長会議でも受講希望者が漏れなく受講できるような研修体制を整えるよう要請いたしましたし、今、さらに、二十一年度にどのぐらい研修実施計画が行われるかということの各都道府県の調査もしておりますので、この調査結果も踏まえて、研修体制の整備を行っていく予定でございます。
○山本博司君 ケアマネジャーの方は十二万人いらっしゃるわけでございますので、そうした体制が漏れなく各都道府県で実施できるようにお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、この委員会でも、私、何回か質問をさせていただきました、介護サービス情報の公表制度につきまして質問をしたいと思います。
 今まで、内容の充実、また制度の周知徹底、手数料水準の見直し、こういう点を指摘してまいりました。これらの点につきまして平成二十一年度から見直しが行われるとのことでございますけれども、具体的な改善状況について御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(宮島俊彦君) この介護サービス情報公表制度は、手数料が高過ぎるということと、介護サービスを選択する際に有効に機能していないんではないかというような指摘がございました。逐次見直しを行っておりますが、来年度においても訪問調査体制の効率化とか報告の簡素化のようなことを行うように要請しているところです。
 十八年度は五万五千円の手数料でしたが、簡素化を進めておりまして、二十年度は四万四千円に下がっており、二十一年度は更に下げるべく、先ほど申しましたような簡素化等の努力をしたいというふうに考えております。
 また、この情報が利用者に活用されなければならないというようなことがもう一つの取組としてございます。この情報の活用の方法について例えば世田谷区などでいい取組が見られますので、このような取組を普及して利用者の利便に資したいというふうに考えているところでございます。
○山本博司君 是非ともこの介護サービス情報の改善ということを進めていただきたいと思います。
 アクセス数というお話がございましたけれども、例えば一か月で、高知では千七十三、一か月に千七十三アクセスしかない、大阪は五万二千八百十九、約五十倍でございます。非常に千とか二千とかという県が多いわけですけれども、そうすると、一日大体三十件とか四十件ぐらいしか見ていないのが今のこの状況であるわけでございますので、そういう内容の改善も含めた周知徹底ということをお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、介護給付費の伸び率から推計いたしますと、今後三年間で約十八万人程度の介護人材が必要になると、こう見込まれております。人手不足の解消というのは喫緊の課題でございます。また、急速な景気悪化で増える失業者への対策としても、人材の育成、確保、定着が重要でございます。厚生労働省内の雇用関連の担当部局と介護関連の担当部局が連携をして取り組むべきと考えます。介護人材の確保に向けて具体的にどのように取り組まれるお考えか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今、現に働いている方々の処遇を改善しないと、これは新しい職場に来ようという人にとって励みになりません。まずこれをやります。それから、二十年度の補正、それから二十一年度予算案におきまして、雇用改善に取り組むような事業主に対して支援をする。それから、今朝も議論ありましたけれども、介護福祉士の養成、こういうことにきちんと取り組む学生に対する修学資金を拡充する。それから、ハローワーク含めていろんなところでいいオリエンテーションをやる、これも重要だというふうに思っておりますので、こういうことを総合的にやりたいと思っています。
 私が母親を介護していたのはもう十年以上前になるんですが、そのころは希望に燃えた若者がたくさん来ていて、一緒に勉強したり、各地で私もそういう勉強会を催したりしていたんですけれども、そういう若者が今どうなっているかということを考えると非常に胸の痛む思いをするんで、もう一度ああいう目を輝かせてこの仕事に取り組みたいと、こういう若者を支援することに全力を挙げたいと思っております。
○山本博司君 是非ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、雇用対策に関しまして質問を申し上げたいと思います。
 百年に一度と、こう言われる経済の急速な悪化の中で、国民の雇用不安がかつてないほど高まっております。その中において、事業の縮小とか休業を余儀なくされても従業員を解雇せずに、休業などで雇用調整を行う企業に対して手当や賃金の一部を助成する雇用調整助成金制度の申請件数が急増しているとのことでございますけれども、まずこれまでの利用状況に関しましてお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 雇用調整助成金の利用状況でございますけれども、休業等実施計画届の提出件数で見た場合には、昨年十二月の提出件数が千七百八十三件、対象者数が十三万八千五百四十九人、一月の提出件数が一万二千六百四十件、対象者数が八十七万九千六百十四人に達しております。昨年十一月の対象者数が八千八百七十三人でございましたので、これと比較いたしますと、十二月は約十六倍、一月は約百倍になるなど、利用が急増しているところでございます。
○山本博司君 大変多く、急増な形の利用ということでございますけれども、この制度、本当に雇用維持に大きな役割を果たしていると思います。今後も利用が期待される。その一方で、休業計画の届出の煩雑さとか提出書類の多さとか、また受給までの時間が非常に掛かる、申請だけでも二か月ぐらい掛かるとか、また、内容が限定をされているということを理由に、例えば残業相殺の撤廃とか大幅な緩和の見直しというのが各地方からも上がっていると思います。より使いやすい仕組みにすることが早急な対応と考えるわけでございますけれども、大臣の見解をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今委員が御指摘された問題がまさにその問題でありまして、これは簡素化、迅速化ということを今全力を挙げて図っております。書類なんかについて簡素化できないか、それからハローワークの体制充実を図るなどして作業の迅速化ができないか。一気に八十八万という一月の量になったものでちょっと追い付かないところがありますが、全力を挙げて迅速化、簡素化に努めたいというふうに思っておりますし、それからさらに、使い勝手のいいように、先ほど残業相殺の話もありましたけれども、そういういろんな御指摘を受けて、一つずつ改善をしていきたいと思っておりますし、さらにこの雇調金については、ワークシェアリングを含めいろいろ使い道がまだあると思いますんで、労使とよく相談をしながら、更なる使い勝手の良さ、そして拡充、こういうことを図っていきたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、住宅の確保策に関しましてお聞きをしたいと思います。
 非正規労働者などが離職した際に、社員寮を出て住居を失う場合があり、これに対応するために、昨年末より一万三千戸の雇用促進住宅の活用が、最大百八十六万円の住宅・生活資金の貸付けなどが実施されております。しかし、二月末までに約四千九百戸の活用にとどまっております。
 三月末までに十五万人以上の非正規労働者が職を失うとの数字もある中で、更なる対応が求められていると考えますけれども、どのような対応をするつもりでしょうか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 今お話ございましたように、現下の悪化する雇用失業情勢の中で、離職して住居を失う方あるいはそのおそれのある方に対しまして積極的な住宅支援を行っていくことが極めて重要であると考えておるところでございます。
 このために、今お話ございましたように、昨年末から全国のハローワークにおいて雇用促進住宅への入居あっせん、あるいは住宅・生活支援の資金融資の相談などの支援を実施しているところでございます。それぞれ相当数の実績も出てきているところでございます。
 さらには、離職後も当面引き続き社員寮等への入居継続を可能とするよう事業主に強く要請するとともに、このような措置をとった事業主に対しましては、助成金を支給することとしているところでございます。
 雇用情勢依然と厳しい中、そしてまた、これからの年度末に向けて、仕事を失った方に対する就労、生活、あるいは住まいの支援に全力を尽くして、お一人お一人の生活の安定が早期に図られるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 それでは、大臣にお聞きをしたいと思います。
 与党の雇用対策のプロジェクトチームでは、雇用のセーフティーネットを強化していくと、こういう中で、雇用保険の加入期間が短いために失業手当がもらえない人とか受給期間を過ぎた人に対しまして、生活保護に至る前の新たな再就職支援策として、いわゆる就労・生活支援給付の創設を提唱しております。
 この制度は、職業訓練を受けることを前提として生活支援を行うもので、これまで日々の生活を稼ぐだけで精いっぱいで、職業訓練で技能を身に付けてスキルアップができずにいた人にとっては大変朗報であると思います。
 こうした新たなセーフティーネットが有効に機能することが大変重要であると考えますけれども、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 様々なセーフティーネットがございます。雇用保険のセーフティーネットがまずあって、最後は生活保護があります。その間どうするか。これは、足立委員でしたか、午前中御議論あったように、民主党さんの方でも両方の間のセーフティーネットを考えると。今委員がおっしゃったこの就労・生活支援給付も同じような趣旨だというふうに思います。
 政府といたしましても、就労中の生活支援を支える仕組みはつくっていますし、それを拡充し更に使いやすくする。それから、一定の要件の下で返還免除、つまりインセンティブを与える、出席率八割とか、そういうことを含めて。ですから、これは民主党、公明党を含め、各政党の皆さん方からも御提言ありますし、三月三日には労使の代表からの御提言もいただいておりますので、そういう点を踏まえながら更なるセーフティーネットの拡充を図りたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、外国人雇用対策に関して質問を申し上げたいと思います。
 先日、浜松のハローワークを視察をいたしました。大変外国人の方々がもうあふれているような状況でございまして、外国人の相談件数も一月は二千百七十八件、昨年の七倍以上になっているということでございまして、本庁では対応できないということで、近くの場所に別の形の対応をするというぐらいたくさんの方が来ていらっしゃいました。
 その中でも、初めてハローワークに通う新規求職者、これも一月では百五十二人ということで、大変多くの方が来ておられたわけでございます。雇用を切られた外国人労働者が急増していることは間違いございません。そのうち、残念ながら、紹介件数といいますか、百八十六件で、就職ができた人は四十八件と非常に少ない。職に就けない実態というのが明らかでございます。
 ちょうど私もそのときに、ブラジルの男性の方が来ておられまして、その方にお聞きしますと、七年間働いていた製造会社、一月に解雇をされて、子供二人を抱えてハローワークに通っているけれどもなかなか仕事が見付からないと、経済状況の悪いブラジルにも帰ることができない、そういうことで大変不安の声があったわけでございます。そういう方々というのは特に言葉の壁が大きくて、日本語の読み書きができないと紹介ができないということで、浜松市では外国人向けの初級日本語集中教育支援プラン、こういった対策を実施をされておりましたけれども、大変厳しい状況になっております。
 こうした外国人労働者とその家族の生活を守るための対策、このことに関しまして、雇用対策といいますか、どのように講じているか、お示しをしていただきたいと思います。
○政府参考人(岡崎淳一君) 先生に御視察いただきました浜松を含めまして、日系人の集住地域におきましては、ハローワークへ新規に求職に来られる方は非常に増えております。十一月から一月までの三か月間で新たに来られた方が九千人を超えているというような状況でございます。
 一つには、やはり日本語の問題ありまして、これは就職の際にももちろん問題がございますが、その前にまずハローワークで相談する際にも言葉の問題がございます。これにつきましては、そういう急増している状況を踏まえまして、通訳の増配置を行っております。これは各所のハローワークの状況を聞きながら、これは必要な数を必ず配置するという方針の下にやってきているということでございます。
 ただ、今度は、相談してもやはり事業所に採用していただかなきゃいけないわけではありますが、ハローワークの担当者の話を聞いていましても、ある程度日本語がしゃべれる方については何とか就職先を紹介できるんですが、やはり事業主の方に言葉、日本語がしゃべれないんですけれどもと言うと、それではちょっとと、こう言われる場合が相当多いと。そうしますと、御本人の日本語能力も高めていかないとなかなか就職に結び付かないんではないかと、こういうふうに思っております。
 この点につきましては、二十一年度予算でございますが、日本語能力の向上を含めた日系人の方々への就労準備研修というのを予算化しております。これをきちんとやることによりまして、まず日本語を学んでいただきまして、その後、必要であれば職業訓練も受けていただきまして、できるだけより安定した職場に就職できるように努力していきたいと、こういうふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 浜松に行った後で外国人学校にも行かさせていただきました。ちょうどその学校は昨年の二月に参議院の調査会で訪れた場所でございまして、その学校、百二十名の在籍者がもう今九十六名ということで、十二月から親の仕事がなくなって帰国をしていくという状況でございまして、その様子が一変としておりました。授業料が払えないということで三十六名が免除している形で、学校側として、日本語の教育を無料でやったりとか、また、校長先生を中心として履歴書の書き方とか、一緒になって就職活動をしているというようなことがございまして、やはり大変こういうところにもっともっと対応することが大事でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 同じく、今度は障害者の雇用対策でお聞きをしたいと思います。
 障害者の雇用の場におきましても、この景気後退に伴いまして、大変厳しい状況に置かれております。厚生労働省のまとめによりますと、昨年十一月に解雇された障害者の人数は二百三十四人、十二月が二百六十五人、今年の一月は三百七十人と、例年の水準からほぼ倍増をしている状況でございます。また、全国社会就労センター協議会が一月末から二月上旬に行ったアンケート調査では、回答を寄せた授産施設のうち、約三分の二近く、四百十六施設・事業所から、仕事の受注とか自主製品の製作等に大変大きな影響がある、仕事が来なくなったということが回答をされているわけでございます。特に愛知県の自動車産業の下請で大きな影響があるということでございまして、景気の後退の影響というのは本当に今や至る所にあるわけでございます。私も今そうした授産施設とか作業所を回らさせていただいても、やはり皆さん同じように仕事がなくなってきているという声でございます。
 こうした弱い立場の人たちにしわ寄せが行く状況は決して許されるものではございません。こうした状況において障害者の雇用を確保するためにはどのような対策を講じていくのか、そのことをまずお聞きしたいと思います。先ほどの障害者の雇用維持ということで、雇用調整助成金等も、やはりこうした障害者の助成率をアップするとか、そういったことも含めて検討すべきじゃないかと思います。また、ハート購入法の成立がまだでございますけれども、国とか地方自治体が作業所とか授産施設にこうした物品の購入とか清掃作業とか、こういったことを積極的に発注すべきだと考えますけれども、御見解をお願い申し上げたいと思います。
○政府参考人(岡崎淳一君) 先生の方から数字言っていただきましたように、解雇者数も最近急増しております。そういった中で、やはり障害をお持ちの方、再就職するにつきましてもなかなか困難な面があるのは御承知のとおりでございます。そういう中で一つには、やはりそうはいっても、この厳しい情勢ではございますけれども、企業に雇用の場をつくっていただく必要があるだろうというふうに思っています。
 障害者の雇用率自体は順次上がってきておりますが、まだ法定雇用率に行っていないという状況でありますし、そういうことは要するに法定雇用率まで雇用していない事業所も多いという状況でございます。そういったところに、厳しい中ではありますけれども、やはり障害者雇用を理解していただいて雇用していただくということが必要だろうと思っております。
 また、そういう中で、中小企業等なかなか厳しいところにつきましては、障害者を初めて雇うような中小企業に対しましての新たな助成制度の創設でありますとか、あるいは特定求職者雇用開発助成金、障害者にも適用になりますが、これの助成金額のアップ、これらも行っておりますので、こういう助成制度も使いながら企業の理解も得て就職の場を増やしていきたいと、こういうふうに思っております。
 また、ハローワークにもそういう障害者の方々も求職者が増えておりますので、これは補正予算でも措置いたしましたけれども、障害者の方を担当する雇用支援員、ハローワークの職員、非常勤の職員でありますが、これについても増員しましたので、そういった方を含めまして丁寧に就職支援をしていきたいと、こういうふうに思っております。
 また、授産施設等の発注の問題も御指摘いただきました。これにつきましても非常に重要な問題と思っております。
 一つには、企業からの発注を何とか維持できないかというふうに思っておりまして、これにつきましては、二月の六日でございますが、渡辺副大臣に日本経団連に行っていただきまして、その際、障害者の雇用維持等々とともに授産施設等への発注につきましてもお願いをしてまいりました。また、国、地方公共団体からの発注というお話もありましたが、これにつきましては、二月十日付けで都道府県知事等あてに発注への配慮につきまして要請をいたしておりますし、各省庁の官房長等あてにもその旨の要請をしております。
 こういった様々なことを通じまして、障害者雇用、あるいは授産施設を含めましてでありますが、働く場の確保に全力を尽くしていきたいと、こういうふうに考えております。
○山本博司君 障害者の雇用の対策ということで是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、雇用の最後でございますけれども、ハローワークに関して御質問したいと思います。
 ハローワーク、職業相談とか職業紹介、雇用保険の給付など、もう多岐にわたっての窓口になっておりますけれども、現在の厳しい雇用情勢を反映して業務量が飛躍的に増大をしておりまして、そのため相談窓口の待ち時間が長くなるなど、限られた人員での対応には限界に近くなっている場合もございます。私もこの一か月、浜松以外にも渋谷にも参りました。また、昨日は地元の高松にも参って地方の実態を見たわけでございますけれども、もう大変混雑をしている状況がございました。
 今後も更に失業者が増加をすれば、大変事務量等も増えてくるということがございます。ハローワークの人員とか組織体制の充実強化は急務の課題でございます。その意味で、専門相談員の増員であるとか社会保険労務士の方々の活用とか、また商工会議所などの方々の連携とか民間のマンパワーの活用、これも重要でございます。相談体制の更なる充実強化を図るべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) 今お話ございましたように、現下の厳しい雇用失業情勢等を踏まえまして助成金の申請も急増しておりますし、雇用保険の受給者も増えている。さらには求職者の方々も大幅に増加しているわけでございまして、こういったことに対応できるようにハローワークの体制強化を図っていくことが重要であると考えているところでございます。
 このため、まずハローワークにおける職業相談とか職業紹介等を実施する相談員につきましては、今年度の補正予算、一次と二次予算で約千三百人増員しているところでございますし、さらに平成二十一年度予算案におきましては、キャリアコンサルタントや社会保険労務士等の方々も活用できる、民間の方々の活用ができる相談員の増員も盛り込んでいるところでございます。
 今後とも、ハローワークの必要な体制整備、その強化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山本博司君 是非とも、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それでは、視覚障害者の支援策に関しまして質問を申し上げたいと思います。
 我が国の視覚障害者、今三十万人いると言われておりますけれども、糖尿病などの病気を原因とする中途失明者の増加により、点字を利用できない人が全体の九割を占めております。ほとんどの視覚障害者は各種の契約書や申請書を始め、税金とか年金などの行政文書の内容が分からず、ほかの人に読んでもらわなきゃならないほど著しい情報の格差があるわけでございます。
 こうした格差を解消する技術として、音声コードが我が国で開発をされました。公明党は、この音声コードの普及に全力を挙げておりますけれども、二月十六日にも太田代表が河村官房長官に申入れを行ったところでございます。障害者権利条約においても、第二十一条では情報の利用、第二十二条ではプライバシーの尊重が規定されており、視覚障害者に限らず、情報バリアフリー化が必要不可欠の課題でございます。
 舛添大臣とは、こうした障害者施策のユニバーサル社会の構築についてかつて何回か議論をしたことがございますけれども、長年、海外に在住された経験も踏まえて、情報バリアフリーに対する個人としての認識をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 情報のバリアフリー化、これは極めて大切だと思いますので、視覚障害の方、これは音声コードを利用する、今おっしゃったとおりなんで、こういうことの普及を更に進めてまいりたいと思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 また、最近では一部の選挙公報や裁判員制度の通知など、少しずつではございますけれども、行政文書の音声コード化が進められております。そうした中で、年金記録は国民にとって重要な行政情報でございまして、本年四月からねんきん定期便が送付され、その封筒にはねんきん定期便であることを示す音声コードが印刷されることになっております。しかし、そこから一歩進んで、情報バリアフリーやプライバシーの尊重という観点から、視覚障害者が自分自身の年金記録情報を確認できるようにすべきでございます。
 システムの開発が必要となると考えますけれども、このねんきん定期便における音声コードの導入状況につきまして御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(石井博史君) ねんきん定期便への音声コードの導入状況についてお答え申し上げます。
 今お話がございましたように、この四月からすべての加入者の皆様に対しましてねんきん定期便を送付することにしてございます。加入期間あるいは標準報酬などの記録を御確認いただくということになってございますが、この取組においてやはり大事なのは、御本人が御自分の記録を確実に確認いただくという点であろうかと思っておりまして、視覚障害をお持ちの方にも御確認いただけるように配慮することが必要であるというふうにこれまで考えてきたところでございます。
 今回、この課題に対する一つの対応策といたしまして、ねんきん定期便の送付用の封筒に音声コードというものを付しましてお送りすることとしたところでございます。今先生の方からもお話がありましたように、具体的にはこの音声コードによりまして、まずはこの郵便物は社会保険庁が送付したねんきん定期便であるということ、それからねんきん定期便専用ダイヤルなどの照会先の説明を音声によりましてさせていただくことができるようになっているわけでございます。これによりまして定期便であるということとともに、約七千万の方々に音声コードを付した封筒をお送りすることになりますものですから、一般の方々にも音声コードというものに対する認知あるいは理解、そういったものの深まりが期待できるのではないかというふうに思っております。
 それで、中身でございますけれども、年金記録は、御案内のように、お一人お一人異なります。相当長い方もいらっしゃいますし、それからこれを音声化することにいたした場合、甚だ、毎月毎月の過去の履歴なんかも音声化するということで、聞き取りにくいというような問題もあろうかというふうに思っております。
 そういうようなことから、今回直ちにということでの内容に関する音声化というのは、問題もそういうことがありますものですから、見送らせていただいておりますが、しかしながら今後、国民お一人お一人の視点に立って考えていった場合には、これはやはり実現するという方向で取り組むべき問題なんだろうということで、更に研究を重ねていかせていただければというふうに思っている次第でございます。
○山本博司君 是非ともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後に一問だけ、この音声コードの導入に伴いまして、音声コードを読み取る装置、この普及も大事でございます。活字文書読み上げ装置というのがございますけれども、今現在、三十万人の視覚障害者に対しまして五千台しか普及がしておりません。更なる普及策が求められると思います。行政文書の音声コード化を実施するとともに、国や地方自治体の窓口に活字文書読み上げ装置を配置するなど、普及促進をすべきと考えます。
 障害者自立支援対策臨時特例交付金では、こうした視覚障害者の支援緊急基盤整備事業が盛り込まれておりまして、様々この整備が拡充することになっておりますけれども、こうした音声コード普及のための研修、広報にも使われますけれども、具体的な取組について、最後、御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(木倉敬之君) 御説明申し上げます。
 今先生御指摘のように、この音声コード、これはパソコン等で無償のソフトで自分で作れると。一・八センチのこの中に文字が八百字入るわけでありますから、これをしっかり御活用いただくためにも、音声コードをしっかりといろんな文書等で活用いただくこと。それから、その読み上げ装置というものをいろんな窓口あるいは個人の手元に置いていただくことということで、日常生活用具の方は十五年度からでまだ五千台、毎年千台以上伸びては来ておりますが、市町村の方でだんだんと普及が進んでおると。
 公共機関の窓口等にも置いていただくということで、今御指摘のように、三年間の基金の事業で、これまで自立支援の普及のための基金の事業で応援をしてきましたが、さらに来年度以降も、補正予算を付けていただきましたので、この普及を図ってまいりたい。
 それから、やはり簡単に作成をできていろんな文書にこれが印刷できるということをよく知っていただいて御活用いただくということをしっかり知っていただきたい。我々も全国の研修会やるんですが、各地方自治体でのいろんな研修の場でこれを知っていただいて、いろんな印刷物に入れていただきたいということを具体例をもって今お願いをしておるところでございますので、この研修事業、我々も応援しますが、新たな基金の仕組みの中でも、この研修事業自体、広報事業自体に対して支援を行ってまいりたいと、そういうふうに思っておるところでございます。
○山本博司君 以上でございます。ありがとうございました。