参議院 国土交通委員会 第5号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は平成二十七年度予算案の委嘱審査ということで、予算に関連します港湾施設の整備、また道路、航路の整備に関しましてお伺いをしたいと思います。
 まず、港湾施設の整備に関しましてお聞きをいたします。
 我が国は四方を海に囲まれておりまして、港湾は国民の日々の生活に必要な物資の輸出入のほとんどを取り扱っておりまして、海上輸送と陸上輸送の結節点として物流や人の流れを支える大事な交通の基盤でございます。また、地方創生や成長戦略が大きなテーマとなっておる昨今にありましては、港湾は、地域における企業立地、また雇用の創出といった社会資本のストック効果の発現という観点から、この港湾の機能強化をすることが我が国の国民生活の質の向上や産業活動の発展に大きな役割を果たすと考えております。
 私は中四国を中心に港湾を回っておりますけれども、二月に宇部港を視察いたしました。この宇部港の臨海部には百九十五の事業所が立地をしておりまして、約一万人の雇用があります。今後の港湾の機能強化ということを見越しまして火力発電所の建設が検討されておりまして、その投資額は約三千億円でございます。また、数百人規模の雇用創出にもつながるということでございまして、港湾はまさにストック効果が非常に大きいということを痛感をしたわけでございます。
 本年二月には、交通政策基本法に基づく初の交通政策基本計画、これが閣議決定をされました。コンパクト・プラス・ネットワークという、こうした我が国の国土のグランドデザインの基本方針におきましても重要な役割、これを担っていると考えますけれども、大臣にこの交通政策基本計画における港湾の位置付けということに関して認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 二月に閣議決定しました交通政策基本計画におきましても、主に成長と繁栄の基盤となる国際・地域間の旅客交通・物流ネットワークの構築の中で施策の推進が位置付けられておりまして、港湾は極めて重要であるという認識をしています。
 具体的に国際コンテナ戦略港湾、これを推進をしているわけですが、大水深コンテナターミナルの整備、二〇一三年度は三バースから、二〇一六年度、十二バースまで持ってきました。国際海上バルク貨物の輸送コスト低減のための資源エネルギー等の安定かつ効率的な海上輸送網の形成ということも大事ですし、それから二〇二〇年、クルーズ船で入国する外国人旅客数をクルーズ船百万人時代、そこまで持っていこうと、こういうことでクルーズ振興を掲げています。
 例えば、国際バルク戦略港湾ということでは、小名浜港で石炭対応の水深十八メートルの岸壁ということをやっておるわけでありますけれども、大体それでやりますと、海上輸送コスト、ここは石炭なんですけれども、四割ぐらい安くなるんですね。それから、この間北海道に行きましたが、釧路港で穀物対応の水深十四メーターの岸壁を整備中ということで、これができますと、同じように穀物を入れる場合、そして背後地には酪農が広がっておりますが、四割低減するというような状況もあります。
 様々な意味で港湾のストック効果を最大限に発揮して、地方創生、また我が国全体の経済力の維持向上ということに寄与したいと、このように考えています。
○山本博司君 大変港湾、大事な、重要性ということで同じ認識でございます。
 同じく、中国方面の港湾地域の中で広島港も視察をさせていただきました。そこで自動車産業の方のお話を聞く機会があったわけですけれども、そのときにも地域の経済を支える重要なインフラということを改めて痛感をしました。しかし、自動車の運搬の大型化が進む中で、この既存岸壁に大型船が対応できないために喫水調整をしていたりとか、また輸出する完成の自動車、これを取り扱う岸壁が一つのバースしかないために、現状でも船舶の沖待ちの状況が頻繁に発生すると、こういうことで大変非効率な輸送が発生している点というのが課題でございました。
 自動車産業というのは、まさしく広範な関連産業を持っておりますし、裾野が広い地域の基幹産業でございます。地域の貿易収支の稼ぎ頭でもあるわけでございますけれども、こうした課題の解決というのが大変重要であると考えますけれども、広島港の今後の整備方針、伺いたいと思います。
○政府参考人(大脇崇君) お答え申し上げます。
 広島港は自動車産業を始めとします基幹産業を背後に抱える中国地方の国際拠点港湾でございまして、昨年の完成自動車の輸出台数が約三十九万台に達するなど、全国有数の完成自動車の輸出拠点となっております。
 一方、先生御指摘のとおり、広島港では自動車運搬船の大型化や岸壁数の不足、それから港湾施設の老朽化などの課題への対応が必要となっております。そのため、埠頭の再編と併せまして、宇品地区の自動車輸出岸壁の機能強化、これの計画が出されております。この埠頭再編の事業化につきましては、さきの交通政策審議会の答申も踏まえまして、国土交通省としても新規採択時評価が適当ということでしておるところでございまして、本日の御指摘も踏まえ、検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○山本博司君 しっかりこの点も進めていただきたいと思います。
 次に、物流の拠点としての港湾ということでお聞きしたいと思います。特定地域振興重要港湾でございます、私のふるさとの愛媛県の八幡浜港、これは豊後水道対岸の大分県の別府港、また臼杵港、この二つのフェリー航路が就航しておりまして、京阪神から東九州、南九州、これを結ぶ最短の経路である四国の中での大変重要な拠点となっております。加えて、九州東岸におきましては東九州自動車道の整備が進んでおりますので、交流人口の増加によりますこうした地方創生、これが期待する中で、この物流、人流の拠点としての八幡浜港の重要性というのは一層増しているところでございます。
 しかし、八幡浜港のフェリーターミナルといいますのは岸壁の老朽化が進んでおりまして、地元や港湾利用者からは、フェリー岸壁の再整備、これを望む声が大きくなっております。
 この八幡浜港の今後の整備に関しましても認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 八幡浜港は、四国の西部に位置して、四国と東九州をフェリーで結ぶ物流、人流の重要な結節点であると、重要な役割を担う港湾だという認識をしています。
 平成二十五年の四月にみなとオアシス八幡浜みなっとがオープンして、一年間で約百三十万人もの人が訪れる地域の観光交流拠点ともなっており、私も行きまして、その場所を見てまいりました。これらの取組によりまして、昨年、日本港湾協会から、地域の活性化に最も寄与した港として、ポート・オブ・ザ・イヤー二〇一三を受賞したということを聞いているところです。
 一方、この八幡浜港では、フェリーターミナルの老朽化対策、防災機能の強化が課題となっているところでありますが、本年三月二十七日に内閣府が認定した愛媛県及び八幡浜市の地域再生計画にもこれらの課題への対応が位置付けられてきたところです。国土交通省といたしまして、この計画の実現に向けまして必要な支援を検討してまいりたいと考えています。
○山本博司君 ありがとうございます。是非とも推進をお願いしたいと思います。
 さらに、観光振興の面からの港湾という意味では大きな役割を担っております。先ほど大臣からもお話ございましたように、世界のクルーズ人口が増大するとともに、クルーズ船の大型化、これも進展をしておりまして、年間千二百回を超えるクルーズ船が今百港以上に寄港しているということでございまして、政府でも、このクルーズ船につきまして百万人時代、これを目指しているとされております。
 今後増加するこうしたクルーズ船の寄港を受け入れるための旅客ターミナルの整備とか、また入管設備の強化、これも乗船客の利便性を向上させる対応が必要であると思いますけれども、国交省と法務省からその対応を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(大脇崇君) クルーズ船につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、観光立国実現に向けたアクション・プログラム二〇一四におきまして、二〇二〇年にクルーズ百万人時代の実現を目指すということとされておりまして、関係者一丸となって取り組んでおるところでございます。
 具体的には、全国百八の自治体の長から成ります全国クルーズ活性化会議と連携いたしまして、クルーズ船社が必要とします寄港地情報の国内外への一元的な発信、それからクルーズ船の寄港に合わせました官民一体となったイベントの開催、クルーズ埠頭に免税店を臨時出店する際の手続の簡素化、クルーズ船の寄港の増加や大型化に対応するために貨物埠頭などの既存ストックの有効活用、こういったことを推進しているところでございます。
 こうした取組の結果、昨年、我が国へクルーズ船で入国した外国人旅客数、前年比二・四倍の約四十一万六千人に達しております。寄港したクルーズ数は、先生御指摘のとおり千二百三回ということで、過去最高ということでございます。
 引き続き、クルーズ百万人時代を目指して、ソフト、ハード一体となった取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○政府参考人(佐々木聖子君) お答えいたします。
 本年の一月から、法務大臣が指定するクルーズ船の外国人乗客を対象として船舶観光上陸許可という制度の運用を開始したところでございます。この制度におきましては、一般の上陸審査と比べ、個人識別情報の取得や出入国記録、いわゆるEDカードという書類ですが、その記載内容等を簡素化するなどし、簡易な手続で上陸を許可することとしております。
 法務省といたしましては、今後とも、当該制度を活用するなどして、クルーズ船の乗客に対する迅速、円滑な審査に努めてまいります。
○山本博司君 是非ともその推進をお願いをしたいと思います。
 このクルーズ船の専用岸壁の整備を進めている具体例といたしまして、鳥取県の境港がございます。境港は、日本と韓国とそしてロシアの三国を結ぶ我が国唯一の国際フェリー、これが就航しておりまして、クルーズ船の寄港回数が日本海側では最多でございます。また、北東アジアでのゲートウエーとしての大変重要な港湾でもあるわけでございます。
 しかし、現在はこの貨物埠頭に設置した仮設の旅客ターミナルを使用しておりまして、大型クルーズ船は原木などを取り扱う岸壁に係留せざるを得ないことから、景観若しくは異臭の問題、また入港手続等で乗客の受入れ体制が十分ではない、こういう点がございます。
 また、境港は、今後想定されております太平洋側の地震、これが発生した場合の人流、物流の代替機能として高いポテンシャルを擁しておりまして、このターミナルの整備ということは国土強靱化や防災・減災ニューディールの実現に不可欠であると思っております。
 私も現地を視察した際には、官民挙げてのこうした体制が整っておりまして、鳥取県、島根県両県の山陰地方の地域活性化に懸ける思いを強く感じたわけでございますけれども、この境港の貨客船ターミナルの整備に関しましての状況を御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(大脇崇君) 現在、境港におきましては、内航RORO船の定期航路開設を見据えました官民連携によります流通プラットホーム協議会の活動がございます。それから、クルーズ船の誘致活動も行われておりまして、民間企業と地域が連携して積極的な地域活性化の取組が進められていると承知してございます。
 御指摘の貨客船ターミナルにつきましては、内航RORO船の定期航路開設に伴います新しい貨物需要の増加、こういったものに対応するため、境港外港竹内南地区におきまして埠頭の再編事業として計画されているところございます。
 このターミナルの整備は、日本海側の幹線物流網の強化や輸送効率化、それからリダンダンシーの確保など、中国地方の産業発展のためにも大変重要な事業であるというふうに認識してございます。この事業化につきましては、交通政策審議会の答申を経まして、国土交通省といたしましても新規採択時評価が適当ということとしているところでございまして、本日の御指摘も踏まえまして検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○山本博司君 是非とも、この境港も含めまして推進をお願いしたいと思います。
 さらに、高規格幹線道路の整備ということで伺いたいと思います。
 先ほどお聞きいたしました、四国の西の玄関口でございます八幡浜港から四国の8の字ネットワークであります四国横断自動車道につなぎ、九州と四国、京阪神を結ぶ広域高速ネットワークを形成する地域高規格幹線道路でございます大洲・八幡浜自動車道の整備、これはまだ道半ばでございます。このルートが完成しますと、宮崎や大分から京阪神地域に物資を運ぶ場合には、フェリーに乗船した場合でも本州ルートよりも二百キロほど短い距離で、しかも早く到着ができるという、こういうメリットがございます。
 このうち、八幡浜市街から大洲市の境でございます八幡浜道路、夜昼道路は、これは一昨年、太田大臣に要請を行い、予算委員会でも質問したところでございまして、整備が進んでおりますけれども、ここから先の大洲西道路がこれは未整備区間でございます。
 平成二十七年度に調査費を計上し、早期事業化が地元の強い要望でございます。この大洲西道路の早期事業化を進めるべきと考えますけれども、今後の見通しについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(深澤淳志君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の大洲西道路、これは今おっしゃったように、大洲・八幡浜自動車道の一部を形成しておりまして、大洲市と八幡浜市を結ぶ全体で十三キロメートルの地域高規格道路であります。先ほど来お話のある、八幡浜港から四国8の字ネットワークへのアクセスとして非常にこれは重要な路線だと考えております。
 御指摘の大洲西道路につきましては、大洲・八幡浜自動車道の中で唯一未事業化区間ということで、現在その整備に向けまして、愛媛県において計画的に調査を進められているというふうに聞いております。
 今後、この大洲西道路の早期整備に向けまして、国としても愛媛県に対して必要な支援をしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○山本博司君 是非この点もお願いをしたいと思います。
 それでは、大臣にお聞きしたいと思います。このミッシングリンクの解消という点でお聞きをしたいと思います。
 これは全国に共通することでございますけれども、高速道路は道路がつながって初めてその効果が現れ、途中で切れていたら限定的な効果しかありません。しかし、特に高知県、また徳島県の太平洋に面した地域では、南海トラフの巨大地震に備えるためにもこのミッシングリンクの解消ということが早期に求められております。
 三月二十一日の宇和島道路、この開通式典の際には、愛媛県知事とともに、四国横断自動車道の内海から高知県の宿毛の間の早期事業化に関しまして西村副大臣に要望したところでございますけれども、大臣、このミッシングリンクの解消ということに関して御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 高速道路につきましては、災害に強い国土づくりということ、リダンダンシーということ、そして物流の効率化あるいは観光、こうしたことで非常に整備効果はあるというふうに思います。
 四国におきましては、いわゆる8の字ネットワーク、これを整備を進めてきたところでありますけれども、現時点では整備率は七割にとどまっているという状況です。
 例えば今、御地元の、ありました愛媛県でいいますと、四国横断自動車道の内海—宿毛間を含めた四国8の字ネットワークが強化されるということは大事だと考えておりまして、防災面におきましては、切迫する南海トラフの地震への対応、そしてまたリダンダンシーの確保、そして物流面においては、マダイを始めとする農水産物を東京や大阪などの大消費地まで早く運べると、宿毛は相当その物流という点では期待をしていることだと思います。
 今後とも、四国の8の字ネットワークの早期実現に向けまして、計画的に整備や調査を進めていきたいと、このように考えています。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 最後に、大臣に離島航路の課題ということでお聞きをしたいと思います。
 外海離島の鹿児島県の三島村、これは唯一の航路を今村営で週三便を限度に運航しております。以前より島民の方々は、一日に一便、毎日本土に向かえる運航体制を念願しておられました。二〇一二年の五月に、私は地元の鹿児島の県議とともに離島対策本部としまして現地を訪問した際にも、枕崎港までの航路の延伸の要請を受けております。三月十二日にも三島村の大山村長と大臣に申入れを行いましたけれども、是非とも島民の悲願が実現できますような点をお願いしたいと思いまして、質問させていただきます。
○委員長(広田一君) 時間が参っておりますので、簡潔に御答弁願います。
○国務大臣(太田昭宏君) はい。
 この件につきましては非常に大事だと思っておりまして、許可申請が三月二十七日、航路の延伸について行われました。速やかに審査を進めて、五月には結論を得るようにしたいと考えております。
 延伸区間の国庫補助対象化についても、現地で九州運輸局が鹿児島県及び三島村と意見交換を行っています。非常に大事だという認識をしておりますので、地元自治体ともよく相談をしながら、できる限りその意向に沿うようにしたいと考えています。
○山本博司君 ありがとうございます。
 以上で終わります。