参議院 国土交通委員会 第17号 平成27年6月30日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案に関しまして国土交通大臣にお伺いをしたいと思います。
 昨年の四月に、新しいエネルギー基本計画、閣議決定をされまして、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化していくこととされております。今回の法律案は、義務化の一環として大変重要な法律案であると考えます。
 そこで、まず、これまでの取組についてお聞きをしたいと思います。
 住宅、建築物の分野に関しましては、これまで運輸など他の産業に比べて建築物の省エネルギー化がなかなか進んでおりませんでした。これはどのような理由であったのか、また今回の法律案によってどのぐらいエネルギー消費を押し下げる効果があるのか、まず確認をしたいと思います。
○政府参考人(橋本公博君) 建築物に係るエネルギー消費は、住宅において生活する際に消費するエネルギーと、オフィスビルや商業ビルなどにおいて経済活動の際に消費するエネルギーの両方がございます。
 今までこのエネルギー消費が増加をしてきた原因といたしましては、まず住宅につきましては、世帯数の増加、それからエアコンなどの設備機器の世帯当たり保有台数の増加などがエネルギー消費量増加の原因と考えられます。オフィスビル等の住宅以外の建築物につきましては、まず床面積の増加、それから営業時間の延長といいましょうか、長くなったということがエネルギー消費量増加の原因と考えられております。
 今後の見込みでございますが、住宅につきましては、今後世帯数が減少するということで、現状のままでも二〇三〇年にはエネルギー消費量が二〇一二年と比較して一三%程度は減少する見込みでございます。
 一方で、オフィスビル等の住宅以外の建築物につきましては、本法案による適合義務化等の措置を講じなかった場合には、やはり床面積が増加する等でエネルギー消費量が二〇三〇年には現状に比べて約三%増加をするというふうに見込んでおります。しかしながら、今回のこの法案の措置を講じることができれば、二〇三〇年には現状よりもエネルギー消費量を減少に転じさせることができる、ゼロあるいはマイナスにできるというふうに見込んでおります。
○山本博司君 次に、義務化の対象拡大に関しましてお聞きしたいと思います。
 新築住宅・建築物につきましては、二〇二〇年までに省エネルギー基準の適合を義務化していくのであれば、段階的に戸建て住宅を含めまして小規模の建築物にまで順次着実に義務化の対象を拡大していくこと、これは大変重要な課題でございます。この対象を拡大していく際には、予定されている時期、また範囲、これを早期に明らかにした上で、建築物のエネルギー消費性能の向上の必要性、また効果、これを理解をさせていくことが大変必要だと思います。
 この義務化の対象拡大、今後どのように進めるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(橋本公博君) 今後の規制の在り方につきましては、省エネルギー基準への新築建築物の適合状況の推移を見ながら判断をする必要があると思います。その際には、規制による費用負担と効果のバランス、規制の必要性に対する国民の皆様の理解、それから大工、工務店や建築主等の申請側、審査側の両方の体制整備の状況などを総合的に勘案して判断をする必要があると考えております。
 今回、義務化の対象とした大規模な住宅以外の建築物につきましては、省エネ化が既に相当進んでおり追加的な費用負担が小さいこと、エネルギー消費量としては新築建築物全体の約三分の一をカバーするなど規制による一定の効果が期待できることなどから、規制の対象としたところでございます。
 今後の規制の在り方につきましては、エネルギー基本計画等において二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化する方針が閣議決定をされておるところでございますけれども、規制はやはり痛みを伴うものでございます。残念ながら、現段階で、いつ、どのように、どこまでということを申し上げる状況にございませんが、今後、省エネ基準への適合状況等の推移を見ながら、国民の皆様の理解を十分に得て、必要な時期に必要な措置をとるように進めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非、これは二〇二〇年という目標がセットされているわけですので、具体的な形で早い段階でのそういう部分の見通しを出していただきたいと思います。
 次に、戸建ての住宅トップランナー制度に関しましてお聞きしたいと思います。
 今回の改正では、基準に適合しない場合は必要に応じて国交大臣が勧告、公表、命令をすることができることになっております。それで、この年間百五十戸以上の建て売り住宅のトップランナーの基準、この適合状況、現在どのようになっているのか、また今後の制度の見直しに関してはどのように進めるのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(橋本公博君) 住宅トップランナー制度は、平成二十一年度に施行されまして、五年後の平成二十五年度を目標年度として、当該年度以降、平成二十五年基準に定める一次エネルギー消費量より供給する住宅の省エネ性能の平均値がおおむね一割削減された水準を満たすことを努力義務として課してきたところでございます。
 住宅トップランナー基準に適合することが特に求められる事業者、先ほど議員御指摘になりました、年間百五十戸以上建て売り一戸建て住宅を供給している事業者さんは平成二十五年度で六十四社ありまして、そのおおむね九割に当たる六十社が基準に適合しております。制度が施行された平成二十一年度の適合率が一割程度でございましたので、このトップランナー制度は現在までに一定の成果を上げたものというふうに考えております。
 なお、今後の取組につきましては、また次のステージに行くわけでございますけれども、まだ具体的な水準設定等は行っておりませんけれども、今回の法律、新法に基づく趣旨等も踏まえまして、適切な目標年次及び目標水準を定めたいというふうに考えております。
○山本博司君 省エネ基準の義務化は、規制を厳しくするだけではなくて、優遇策を活用するということも大変大事になります。今回の法律案では、容積率の緩和をする特例、これを設けておりまして、省エネ基準に適合している建築物にエネルギー消費性能、これを表示できることになっております。今後は、この制度を活用するとともに、補助制度などの優遇措置、これも検討して省エネルギー性能の高い機器の設置を推進すべきと考えますけれども、この誘導措置に関しましてどのように進めるのか、お聞きしたいと思います。
 また、この改正が通常国会で成立した場合は、二〇一六年四月一日の施行を目指すことになると思いますけれども、あと一年でございます。この誘導措置、活用するには、準備に向けた相当の周知、これも必要であると考えますけれども、この二点、お伺いしたいと思います。
○副大臣(北川イッセイ君) 本法案におきましては、更なる省エネ性能の向上のために、表示制度、それから容積率の緩和制度による誘導的措置を講じておるということでございまして、今先生からお話しのとおりでございます。
 まず、表示制度につきましては、建築物が省エネ基準に適合していることについて広告などにおいて表示する制度です。省エネルギー性能に優れた建築物が市場で高く売れる、高く貸せるような市場環境が形成されるように制度の普及を図ることとしております。
 次に、容積率の緩和制度につきましては、コージェネレーション設備、省エネ設備の導入などに伴い通常の設備よりも大きな設置面積が必要となる、かなり大きなビルなんかですと非常に大きな面積が必要でございますので、そういう場合には、その設置面積について容積率の算定対象から外すということとしておるわけであります。
 これらの制度の活用が図られるよう、関係事業者などへの説明会の実施、分かりやすいパンフレットの作成、配付などにより、関係事業者や住宅購入者などに対して制度の周知を図ってまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 次に、誘導措置にもつながる省エネ住宅ポイントについて伺いたいと思います。
 この省エネ住宅ポイントにつきましては、公明党も積極的に推進をして二〇一四年度補正予算案に必要経費八百五億円を確保いたしました。
 前回の住宅エコポイントに関しましては、合計百八十九万戸、三千四百億ポイント以上、これが発行されまして、リーマン・ショック後に大変冷え込んだ住宅市場、これが下支えをしまして大変大きな効果があったと思います。
 本年三月十日から受付を開始しておりますけれども、三か月が経過をしておりますけれども、この実施状況を報告いただきたいと思います。
○政府参考人(橋本公博君) 省エネ住宅ポイントは、平成二十六年度補正予算と平成二十七年度当初予算におきまして合計九百五億円を措置したところでございまして、本年三月から受付を開始したのは今御指摘のとおりでございます。
 五月末までに、新築で約二万戸、ポイントにして五十九億ポイント、約五十九億円分、リフォームで三・六万戸、約二十七億ポイント、二十七億円分、合計五・五万戸、八十七億ポイント、予算額に対して約一〇%のポイントを発行しておるところでございます。
 今回の省エネ住宅ポイントは、着工前、契約時点で申請ができます。従前のエコポイントは工事完了後でございます。単純比較はできませんが、従来制度では同時期の割合が一・五%でございましたので、やはり相当積極的に御活用はいただいておるものだと思っております。特に、既存住宅につきまして、本年度より、リフォームの対象設備を拡充するとかあるいは中古住宅を購入してリフォームを行う場合にポイントを加算するなど、リフォームに関する制度の充実をしておりまして、この分野の活用が特に大きいのではないかと考えております。
○山本博司君 是非、好調だというふうにお聞きしましたけれども、推進をお願いしたいと思います。
 今お話ございましたように、実施状況、住宅エコポイント事業においてもリフォームの割合が相当大きいということでございます。新規住宅購入のついでに制度が利用されるのではなくて、住宅設備の新しい需要が喚起しているということを意味するのであれば、大変これは大きな意義があると思います。また、昨年末に成立しました空き家対策特別措置法、本格施行になっておりまして、この中で、市町村の空き家の活用事業に関しましても助成費用を拡充することが盛り込まれております。こうした改修の際に、断熱窓とか高効率の空調とか給湯設備などの省エネルギー性の高い機器が設置されれば、新たに活用される空き家も増えてくると思います。
 また、我が国の木造の家というのは、築二十年から二十五年で上物価値はほぼゼロになると言われておりますけれども、省エネルギー性能とともに耐震性とかバリアフリー性能についても、一定の基準をクリアしますと社会的資産ということも価値が上がるのではないかと思います。
 こうした既存建築物の省エネルギー改修を促進するためにも、リフォームに対する支援の充実、更に検討すべきではないかと思いますけれども、太田大臣の見解を伺います。
○国務大臣(太田昭宏君) 建築物に使われるエネルギーの削減に当たりまして、既存の建築物の省エネ改修は大きな課題になっています。
 住宅につきましては住宅ローン減税や贈与税の非課税措置の上乗せ優遇をさせていただき、非住宅につきましては断熱性能の向上や設備の高効率化に対する補助あるいはLEDなどの省エネ設備導入や省エネ改修を行った場合の法人税の減税、こうしたことをさせていただいております。
 また、既存住宅の省エネ改修を促進するには、地元の町場の工務店等に活躍をいただかなくてはならないと思いまして、その意味では、中小工務店、大工の施工技術の向上を図るということで、講習会を行ったり断熱施工技術の習得ができるよう、様々な補助を行っているところです。
 これらの支援を通じまして、既存建築物の省エネ改修ということは非常に大事なので努めていきたいというふうに思っています。
○山本博司君 是非とも推進をよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、スマートウエルネス住宅に関してお伺いをしたいと思います。
 ICT技術と省エネを生かすことで、高齢者とか障害者とか子育て世帯の多様な世代が交流をして安心して健康に暮らすことができる住宅を目指すという点は大事な視点であると考えます。特に、住宅の断熱性能の向上がヒートショックの防止や居住する人の健康維持、また生活の質の向上につながることから、実証実験など是非推進をしていただきたいと思います。今、有識者等の研究会で検討が続いているということでございますけれども、その推進状況、御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(橋本公博君) 高齢者を始めとする多様な世代が安心して健康に暮らすことができるスマートウエルネス住宅の推進は、大変重要な課題でございます。特に住宅の断熱化は、住宅内の温度差に起因するヒートショック現象の防止など、スマートウエルネス住宅を推進する上でも有効と考えられます。したがいまして、断熱化が居住者の健康状況に与える効果を検証する取組に対して私ども国も支援をしております。
 具体的には、先ほど前田委員の御質問にもお答えをいたしましたけれども、公募により選定された事業者が平成二十六年から三年間で、断熱改修を予定をする全国で約千八百戸の住宅を対象として、改修の前と後で居住者の血圧、生活習慣、身体活動量などの健康への影響を比較をする科学的な調査を行うこととしております。一年目である昨年度は、まず六百四十軒について改修前の調査を実施したところでございます。
 今年度以降、調査を行った住宅の断熱改修を実際に行って、改修後の調査も行う予定でございまして、引き続きこれらの取組に対する支援を行ってまいります。
○山本博司君 大変大事な部分でございますので、推進をお願いしたいと思います。
 その際に、住宅のICTの利活用ということも大変大事になってきます。住宅のIoT、インターネット・オブ・シングス、IoT化に向けまして取組を活発化させることで、従来インターネットに接続されていなかった住宅がインターネットに接続されることで、ビッグデータを取得、分析することで様々なサービス、新たな産業が期待をされております。
 今般の成長戦略におきましても、個人情報の保護、これを十分に配慮した上で、ICTの利活用やIoTの進展、これは一層の取組の強化が求められております。大量のデータを分析することで、例えば暑い浴室から出るときにどのぐらいの温度差があると体調崩す人が多いのかと、こういう傾向をつかむことができますので、こうした知見を蓄積することで健康で快適に暮らせる家の条件が浮かび上がって住宅メーカーは新たな家造りに生かすことができると、こういうことももう既に民間ではやっておりますけれども、このビッグデータとかICTの活用、大変重要でございます。民間だけに任せるのではなくて、国としても積極的に研究を推進すべきと考えますけれども、大臣の認識を伺います。
○国務大臣(太田昭宏君) 御指摘のとおりだと思います。
 家電や電気設備等をインターネットにつなげてエネルギー等をコントロールする、また、そうした出てきたところの温度とかそういうことのビッグデータを使って、そして住宅の、いわゆるスマート住宅あるいはヒートショック対策ということについて乗り出すというようなことが極めて大事だというふうに思っています。
 そういう意味では、いろいろ、千葉県の柏の葉スマートシティとかあるいは藤沢市のスマートタウンということで取組が進められたりしているところもあるわけでありますけれども、国としても、そうしたことについて、民間のそうした研究ということ、そして様々な知見というものを更にバックアップできるような体制を取りたいと、このように思います。
○山本博司君 是非とも、これは国を挙げてお願いをしたいと思います。
 最後に大臣に伺います。
 安倍総理は、地球温暖化対策をめぐりまして、先日のサミットで、G7で、二〇三〇年度に温室効果ガスの排出を一三年度比で二六%減らす目標を表明しました。この温室効果ガスの削減に向けた省エネ住宅対策、最後に大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 二〇一三年度比で二〇三〇年度のCO2排出削減量の目標は二六%減なんですが、そのうちこの建築部門につきましては、業務その他の部門で三九・九%減、家庭部門で三九・三%減と、このようになっているところです。
 非常に大事な目標達成のための役割を担うということが住宅であろうというふうに思っておりまして、そうしたことや、今日の御質問の中にも様々御指摘のありました健康ということを含めて、これからしっかり省エネ住宅ということ、併せて健康や省CO2ということだということをよく踏まえて対応したいと、このように思っています。
○山本博司君 ありがとうございます。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。