参議院 厚生労働委員会 第5号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、介護に関する課題に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。
 冒頭に、先ほども南野委員からもございましたグループホームの火災についてお聞きを申し上げたいと思います。
 三月十三日の未明に、北海道札幌市のグループホーム「みらいとんでん」で七人の入所者が亡くなるという本当に痛ましい火災が発生したわけでございます。亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げる次第でございますけれども、昨年の三月十九日には、群馬県渋川市の高齢者入所施設、静養ホーム「たまゆら」でも火災が発生をして十名が亡くなったことも記憶に新しいと思います。
 厚労省では現地にすぐ職員を派遣をしたということでございますけれども、対応状況に関しまして御報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) この札幌で起きましたグループホームの火災において七名の方がお亡くなりになるという誠に痛ましい事故であり、心よりお悔やみを申し上げます。
 対応でございますけれども、火災発生の翌日に早速、厚生労働省が、全自治体を通じてすべてのグループホームにおいて防火体制に怠りがないよう非常災害対策に対する点検をしてくださいという通知を出させていただいております。当然、現地にも東京からも厚生労働省の職員が参りましたし、北海道の厚生局の職員を四名火災現場に派遣をしているところであります。翌日ですけれども、三月十四日には、本省の老健局の職員一人を火災現場に派遣をして調査をしたと。
 今のところ三点の問題点が、今のところでありますが、判明したということであります。このグループホームでは、用途変更に伴う建築確認申請が未届けであったということと、避難訓練をしなければいけないのにしていなかった、消防計画を立てなければならないのに立てなかったという三点で、まずは問題があったということであります。
 自動火災通報装置や火災通報装置、スプリンクラーについては、これは猶予期間とか延べ面積が小規模だというようなことで、この時点では義務化までには至っていないということであります。
○山本博司君 この火災を踏まえて、福祉施設とか居住サービスにおける安全対策を検討するということで、厚労省、総務省、国土交通省、三省での緊急プロジェクト、三省庁緊急プロジェクトですか、を開催をしたということでございますけれども、この概要に関しましてお願いしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これは私も出席をいたしまして、早速三月十六日に、グループホーム火災を踏まえた対応策についての三省庁緊急プロジェクトを立ち上げまして、これは消防庁、国土交通省と厚生労働省であります。そして、まずは一か月の期間をいただいてもう全グループホームを調査をしていこう、具体的な詳細にわたる防火防災体制についてまず現状把握をする、そしてそれを分析をして、できる限りの対応を打っていきましょうと、こういうことを確認をいたしました。
○山本博司君 是非とも、この一か月でございますけれども、現状、スプリンクラー等含めて対応がどうなっているか、様々な形の情報大事だと思いますので、是非ともお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、まずスプリンクラーの設置基準ということでお聞きをしたいわけでございます。
 消防法の施行令で定めますこのスプリンクラーの設置の義務対象というのは、昨年の四月の段階から、延べ床面積が一千平方メートル以上から二百七十五平方メートル以上ということでなったわけでございまして、今回の火災を起こした施設というのは二百五十平方メートルで対象外だったということでございます。ワンユニットということで、グループホームはそういう形でございますけれども、あと二十五平方メートル広ければこうしたスプリンクラーが設置されていた可能性もあったわけでございまして、このスプリンクラーの設置基準の問題と、それからもう一つは、費用負担が重いということでなかなか大変だということも一方あるわけでございます。
 その意味で、このスプリンクラーの設置基準を見直す、そういう必要性に関しての大臣の認識と、それともう一つは、この費用負担の軽減のために、なかなかやはり費用負担が重いということで、補助金等の助成とか、また介護報酬などの様々な観点から国が対応すると、こういう二点が必要ではないかと思うんですけれども、厚労省の立場からお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられたように、この消防法施行令によって、延べ床面積が二百七十五平方メートル以上についてグループホームではスプリンクラー設置が義務付けられているということで、当然その三省庁の検討チームではこの点も大きな議論になるというふうに考えております。
 このときの延べ床面積の議論のときにも聞いておりますのは、かなり今申し上げた床の面積以下の施設でありますと、スプリンクラーを義務付けられると費用がなかなか賄えなくなってしまうと、こういうような論点も出されたところでありますので、これを議論するときは、やはり費用負担というのもこれは欠かせない議論になると思いますので、まずは実態把握をした上で、先ほどのチームで、この点についても一つの論点として議論をしていきたいと思います。
○山本博司君 私ども、この点のお願いをしたいと思います。
 もう一つの観点は、今回、夜間ということで、入所者九人に対して一人の夜勤職員の配置ということでございました。これは平成十八年四月からの運営基準の強化によって、グループホームの場合、一ユニット、九人に一名以上の夜勤職員の配備ということになったためでございますけれども、実際のこの火災状況、テレビ等でもいろいろ様々報道されていますけれども、九人の認知症の高齢者を一人の職員ではもう対応がなかなかできないというのが実態であるわけでございます。
 しかし一方、こうした夜間の職員を増員させるというようなことは、なかなか運営上、職員の処遇からも大変な状況であるということでございますけれども、こうした職員の配置基準に関しまして見直す必要があるとお考えなのかどうか。
 また、もう一方では、こうしたグループホームの火災時に、近隣の住民の助けを求めるような体制もできているような施設等もあると聞いておりますけれども、こうした地域との協力体制でお年寄りが安心をして安全に暮らせる環境整備という意味では大変大事でございます。
 この二点に関しての大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 当然、その安全に暮らすことができる環境整備というのは、重要であることはもう言うまでもありません。
 今の夜勤職員の件でありますが、今御紹介いただきましたように、各ユニット、九人だと思いますけれども、各ユニットに一名以上の夜勤職員を配置するというのは平成十八年四月一日からでありまして、それ以前は宿直でもいいと。つまり、宿直というのはそこで寝ててもいいというような形の職員配備でありましたが、夜勤というのは、これはきちっと起きていて夜中も対応するということに平成十八年四月一日から強化されたところであります。
 その中で、我々としては、この問題については慎重に考えなければならないということで、どこまで人を増強して、グループホームの負荷がどこまで掛かるのかというようなこともありますので、まずはこのスプリンクラーとかあるいは警報装置、あるいは、今回、報道によりますと、そのストーブの近くに洗濯物というようなことも、まだ我々としてはその実態をつかんでいるわけではありませんけれども、いろいろな注意をすれば防げたものがあったのかないのかということもよく見極めて、この点については慎重に検討するということであります。
○山本博司君 是非、この一か月の中での様々な調査ということでお願いを申し上げたいと思います。
 次に、介護保険制度を取り巻く課題に関しましてお聞きを申し上げる次第でございます。
 今、六十五歳以上の方の人口が二千八百九十八万人ということで、総人口の二二・七%ということでございまして、これから十五年後の二〇二五年には三千六百万人を超えるんではないか、三〇%行くのではないかというふうな試算も出ているわけでございます。ちょうど介護保険が十年。スタートの時点では、要介護認定の方々は二百十八万でございましたけれども、今二〇〇七年では四百五十一万人、二〇二五年には七百五十万人を超えるんではないかということで、やっぱり介護を取り巻く環境というのはこれから急速に深刻化してくると思います。老老介護とか、また介護離職とかということでの問題がございます
 公明党は、こうした介護の問題ということを、全国三千人を超える地方議員とともに、昨年の十一月—十二月かけまして全四十七都道府県での介護の総点検を実施したわけでございます。まず、街頭のアンケート、七万六千人以上の方々、また要介護認定者、家族の方々、また介護の事業者、経営者の方を含めた介護事業者の方、また介護に働く従事者の方々、そして地方自治体の担当者の五部門に分けまして実態調査を行いまして、十万件を超える介護現場の貴重な声を聞いたわけでございます。
 こうした十万件を超える調査を基にしまして、公明党として十二の重要課題の政策提言、当面をする六十四の対策につきまして、新・介護公明ビジョン、こういう提案を鳩山総理に、二月二十四日に山口代表以下お伺いをして、介護ビジョンを提言したわけでございます。また、三月九日には、私たち、地方議員の代表と併せまして、長浜副大臣のところにこの内容を含めて申し入れをさしていただきました。その際には大変にありがとうございました。
 この介護ビジョンに関しまして、鳩山首相自身が大いに政府として参考にすると、このように前向きな姿勢を示されたということを聞いております。また、長妻大臣にも指示をされたということを聞いておりますけれども、安心をして老後を暮らせる長寿社会の実現のためには、介護の問題は待ったなしの政治課題でございます。是非とも、政府として真正面から取り組んでいただきたいわけでございます。
 長妻大臣もこの所信の中で述べられておりますけれども、二年後の平成二十四年の報酬改定には介護報酬と診療報酬の同時改定を迎えてくる、介護と医療の連携が重要な課題だと。また、大臣は高齢者の支え方についても、今の騎馬戦型からいずれ肩車型になると、このような表現をされておりまして、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みを模索されていると思います。
 この介護問題に対する大臣の認識をまずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) まず、私の大きな仕事は少子高齢社会の日本モデルをつくるということで、世界で最も早く少子高齢社会に突入した日本が日本独自のあるべき社会の姿を描いて、それが最終的に、ほかの先進国もいずれは、日本並みかどうかは別にして、少子高齢社会になるわけでありますので、お手本となるような、視察にどんどん来てもらえるような、そういう仕組みをつくるということが重要です。
 その中で介護は本当にその中核に位置する考え方でありまして、公明党からいただいたビジョンを私なりに読ませていただいて考えますのは、三つ考え方があると。つまり、在宅介護も充実していこう、施設介護もそれは適切に充実して、最終的にその介護を受ける方、御家族がどちらでも選べるような形にできないかという論点。そしてもう一つは、それを担う介護職員の方の処遇を改善していきましょうという論点。そして、私としては、そういう論点の中で、ある意味では町づくり、一つの目配りができる地域に小規模の施設があって、そこから在宅の介護のステーションにもなるし、そこでショートステイとかデイサービスも担っていくような、そんなようなイメージの一つの理想というのがあると思います。
 そういう理想に向かって進むということが必要でありますが、先ほど来出ておりますように、保険料の負担、あるいは公費の負担、そういう財源についてもきちっと議論をしていくという必要があると思います。
○山本博司君 ありがとうございます。
 やはり、今回の総点検運動で、今大臣も言われましたけれども、三つの不足があるということを様々な観点で実態が明らかになっております。一つは、介護施設の不足、またもう一つは在宅支援体制の不足、三つが介護労働力の不足という三つの不足への対応が大事だということで、我々もしっかり取り組まないといけないということであります。
 そして、そうした中でこれからお聞きしますのは、そうした具体的な課題に関しまして何点か伺いたいと思います。
 今回の調査で、市町村、自治体にもアンケートをいたしました。そのアンケート項目の中で今後充実していきたいサービスは具体的に何かと、このことを複数回答で聞いたところ、一番多かったのが小規模多機能居宅介護、これが五割弱を占めております。続いて認知症対応型のグループホーム、そして介護老人福祉施設、この順で多い答えだったわけでございます。
 そこで、この小規模多機能型の居宅介護ということでお伺いをしたいと思います。この通いを中心として随時訪問とか宿泊といった、あらゆるこのサービス体系がそこに含まれておりまして、地域で大変この二十四時間三百六十五日の在宅介護をサポートする大変大事な事業であると思います。その意味で、今現在一日四万人程度のこの事業規模を六十万程度まで大幅に引き上げるべきだというのが私たちの提言でございますけれども、この事業の重要性に関しまして大臣はまずどういう御見解でございましょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 先ほど申し上げましたように、やはり大体目配りできるような地域的な広さの中で在宅施設が適切に整備されるということで、その一つの中核が今言われた小規模多機能という施設だと思います。
 ここは、デイサービスで昼間、御高齢の方がそこで過ごす、あるいはこれはよく言われることでありますけれども、老老介護がもう今六割近くにもなってしまいました。自宅でお年を召した方、自分の両親などを介護する、介護をする側が六十歳以上の方が今やもう六割に近いということで、レスパイトと言われる、介護する側が休みを取らなきゃいけないということで、その介護を受ける方がそういう小規模多機能の施設でショートステイということで一泊とか泊まっていただいて過ごすというようなことで非常に当然訪問介護あるいは訪問看護、看護師さんも含めた一つの拠点となるというのが一つの理想だというふうにも思いますので、これは今おっしゃられたように、昨年の十月時点で三・八万人が利用者数だということで、まだまだ整備をしていく必要があるというふうに考えております。
○山本博司君 是非とも、推進をお願いを申し上げたいと思います。
 もう一つが認知症対応型のグループホーム、今回のケースでございますけれども、やはりアンケート等でもこのグループホーム、是非入りたいんだけれどもなかなか入れないという方々の希望が多い形でございます。
 特別養護老人ホームは、非常にこの食費とか居住費を軽減する制度があるわけでございますけれども、グループホームには適用されないということで利用者負担の軽減も求められているわけでございまして、年金だけの方々がやはりこうしたグループホームということでもなかなか入れないということもございます。こうしたグループホームをやっぱり増設をしていくということが大変大事だと思います。その点に関しまして、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) このグループホームのみならず、先ほど言われた三つの不足ということを言われましたけれども、施設の不足の中に私もこのグループホーム、老健、特養は入っていると思いますので、この三つ等を合わせて三年間で十六万ベッド分の増強をしていきたいということでありまして、この認知症の方々がお暮らしになるグループホームにつきましても更なる拡充を進めていきたいと思います。
○山本博司君 やはり地方で、どうしても今第四次のこういう計画に基づいて平成二十三年ぐらいまでですかね、ですからその先の部分が見通しがないとなかなか地方自治体もこうした施設とかグループホームを造る場合でもなかなかできないということがございますので、山井政務官はこのグループホームに関しましては何冊も本を書かれていらっしゃるわけでございますので、是非とも力を入れてお願いを申し上げたいと思います。
 もう一つは、都市部のケアハウスの普及に関しましてお聞きをしたいと思います。
 高齢者が増える中でも、介護保険のサービスを受けるほどではない方々、身体機能が低下をして独りで暮らすには不安がある方々、これはこの見守り機能のある住宅であるケアハウスのニーズが大変高まっております。ところが、都市部では地価の高騰でなかなかこの普及が進んでいないということがあるわけでございますけれども、今回、厚労省として規制緩和を進めてこの低料金のケアハウスの普及に取り組んでいるということを聞くわけでございます。この取組に関しましてお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これについては、要介護度が比較的軽度で低所得の高齢者に対する受皿として軽費老人ホーム、いわゆるケアハウスというのがあるわけでございますけれども、これについて規制緩和を図るということで、平成二十二年度、来月から実施をしていきたいと思います。
 まず、一つについては、居室面積基準を緩和しようということでありまして、これは都市部を中心とした地域においてでございますけれども、二十一・六平米以上から七・四三平米以上に引き下げるというようなことで利用料を抑えられるのではないかということでございます。そういうような形と、東京都の自治体の計画でありますが、平成二十二年度から二十三年度までの三年間で二千四百人分を目標に整備を推進するということで、こういう規制緩和も受けてこういう目標を立てられたのではないかというふうにも考えておりますけれども。ただ、緩和をしても、もちろん安全というのは重要でありますので、防災・防火体制というのは、これはきちっと確保をしていくということであります。
○山本博司君 安全面も含めて是非ともこの推進ということでもお願いを申し上げたいと思います。
 次に、ショートステイに関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 ショートステイ、これ、要介護者の方々が施設に期間限定で短期間入所をして日常生活のお世話や機能訓練などを受けることができる介護サービスの一つでございまして、在宅介護に当たっている家族の身体的、精神的負担の軽減とか、家族が急に病気とか冠婚葬祭とか仕事、旅行などで一時的に介護ができない場合などに有効に利用されている状況でございます。
 ただ、私も地域を回る中で、このショートステイ、入れたいんだけれどもなかなか入れないという、そういうことを言われる部分がたくさんございます。これも、絶対数の不足とともに、ほかの施設に入れない待機待ちの方々が実際そこをショートステイに使っていて、いざというときに、緊急性のときにはなかなか空き状況にないというのが今のショートステイの実態であるということを、様々なお話を聞いたわけでございます。
 こういう意味でのショートステイの拡充ということと、もう一つは家族の方々、大変介護うつということもございますし、こういう休息とか休暇を保障するレスパイトケア事業というのをもっと拡充しないといけないと思うんですけれども、この点に関しまして大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) このショートステイについては、サービス受給者数というのが二〇〇一年からずっと増やしてきておりまして、二〇〇一年に比べると二〇〇九年は一七六%になっているということで、二十六・二万人がショートステイを利用されているということでありますが、おっしゃられるように、まだまだ不足をしているというのは事実であります。
 これについて拡充をする努力をしていくということで、市町村の地域包括ケア推進事業の予算というのも新規に付けさせていただくなどしておりますけれども、一つは、二年後に診療報酬と介護報酬の同時改定の議論が始まりますので、その中で、例えばこういうショートステイとかデイサービス、そういうものに対する介護報酬の評価を手厚くしていくというのも一つの論点になろうかと思いますけれども、その前にもできることについては拡充策を取っていきたいと思います。
○山本博司君 次に、今回の調査では、介護事業者、約四千五百八十七件調査をしたわけでございます。そうした中で、この介護保険制度の見直しに何が必要と考えるかという、こういう点の部分でまず第一番目に上がりましたのは、事務量の軽減、これを何とかしてもらいたい、これ六四・六%でございました。そして、その中で三番目に情報公開制度の見直し、これが三八%ということで、やはりまだどこに行ってもこの情報公開制度の問題というのが皆さん指摘をされるわけでございます。
 これは情報公開サービスは、本来、利用者のニーズに合ったサービスを選ぶということで大変大事な制度であるわけでございますけれども、私はこの委員会でも二回質問をさせていただきまして、様々な課題がある。
 一つはアクセスの数ということで、これも平成二十一年十月の調査ですと、大体月、各県六千件ぐらいのアクセスだと。一番最低は月百件。月百件ということは、三十で割ると一日三件、三件のアクセスしかない、こういう情報公開サービス、利用者が一体、ほとんどアクセスしていない、この介護の事業者もアクセスしていないという、そういう状況が今の実態。これは前回も指摘させていただきました。やはり、見ていただいても分かるように、もうそれは実際利用者の方がそれを具体的に利用しようという気にならない。ですから、実際ある県では民間のこういった別の有料のサービスを利用してどんどんやられているケースもあるというふうに聞くわけでございます。
 この問題、また、あと費用負担の問題、これも当時私が、平成十八年のとき五万円ぐらいから、四万円、三万円とか下がっておりますけれども、まだ負担が大きいということ。そして、調査に来られる方の質の問題もいろいろ指摘されている部分でございます。今、厚生労働省で有識者等の研究会を設けてこのことに関して検討を進めると、こう決断をされてスタートされると聞きましたので、この具体的な検討状況を教えていただきたいと思います。
○大臣政務官(山井和則君) 山本委員にお答えを申し上げます。
 公明党におかれましては介護総点検ということで、やっぱり事務量ですね、現場が困っているのは事務量が非常に十年で増えてきてしまったと。そういうふうな声も踏まえまして、今、厚生労働省でも、事務量をいかに減らすかというパブリックコメントを行っております。まだ最終的な取りまとめには至っておりませんが、今、私も日々それを拝見させていただいておりますが、その中でも、残念ながら、この情報公表制度について、山本委員御指摘のように自己負担が高い、手間が掛かると。そして、それは大事なんですね、情報公表は。公表は大事なんですが、その割には利用率が少ないと、だから何とかしてほしいと、改善してほしいという声が非常にたくさん今寄せられております。
 ですから、山本委員の御指摘を踏まえまして、このことについてもどういうふうに改善できるのか、これから検討してまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 予算が一億円ぐらい付いているということでございますかね、やはりお金を掛けてやっていらっしゃるわけですけれども、事業者の方々は逆にお金を払ってやっていらっしゃるわけですから、こういう見直してもらいたいという上位に出ている部分に関しては、是非ともお願いを申し上げたいと思います。
 次に、同じ、介護従事者の調査をいたしました。一万二百八十六件の、この介護に働いていらっしゃる方々の離職率が高い原因ということで、まず一番目の収入が低い、八二・五%、辞めた方が大変多いということでございますけれども、そして心身の負担が大きいというのは七五・四%、こういう従事者の方々。そして、大変今こういう介護の問題では、介護の従事者の方の処遇改善をしてもらいたいという声が強いわけでございます。
 津田委員もこのお話をされましたけれども、介護の漫画の「ヘルプマン」というのを大臣は御存じでございましょうか。これ、津田委員が舛添大臣に質問をされたんです。これは四国のくさか里樹さんという方が作者でございまして、私も四国で、高知でお会いをさせていただいたんですけれども、この介護の問題をリアルに、百太郎と仁という二人の若い、そういう登場によって、ちょうど十三巻目が介護従事者の待遇改善という、大変これはすばらしい、本当に津田委員が大臣に勧められた、前回、舛添大臣に勧められたわけでございますけれども、そういう意味で、この介護の処遇改善どう進めていくかということが大変大事でございます。
 最近のこの介護従事者の処遇改善、様々前政権でもやったわけでございますけれども、その調査結果をまず教えていただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これは平成二十一年九月時点と前年同月を比較しまして、介護従事者の平均給与額、これが約九千円増額をいたしました。これについては、そうですね、九千円増額しました。そして、今、一・五万円月額賃金を引き上げようということで、それに相当する介護職員処遇改善交付金というのを創設をいたしまして、それは申請を今促しているところでございまして、今その申請はかなり多くの事業所が申請をしていただいているということでありますが。
 ただ、この処遇改善の交付金でありますけれども、必ずしも月額の給料に上乗せになっていないと、一時金になっている部分もございますので、私どもとしては、極力お給料にこの一万五千円は上乗せをしてほしいというお願いをしているところであります。
○山本博司君 この処遇改善に関しまして、やはり介護従事者の方々、待遇を改善をしていくということは大変大事な部分でございます。民主党もこのマニフェストで、月々四万円の給与増、これを掲げていらっしゃいますけれども、具体的に処遇改善、この四万円に対する取組をお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 私ども、四万円、一か月のお給料を引き上げていきたいというふうに申し上げておりますのは、今申し上げた九千円、そして一万五千円、そしてあと一万六千円を増額をして、トータルで四万円の目標を達成をしたいということでございまして、あと一万六千円分の増額でございますけれども、これについては今検討をしているところでありまして、介護報酬の中に入れますと、もちろんそれによって保険料とかあるいは自己負担に跳ねてまいりますので、それを外に出した基金的な形で措置をするのかどうかという手法も含めて検討をしているところでありますが、トータルで四万円の目標を達成をしていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 報酬なのか基金なのか、様々なことあると思いますけれども、やはり現実の部分のこの介護従事者の待遇改善、これはもう喫緊でございますので、お願いを申し上げたい次第でございます。
 もう一点、介護職員の処遇改善交付金の中の対象の問題で、やはり皆さんからの要望は、チームでやっている部分がありますから、介護の分野だけじゃなくて、看護の方々とか、やはり事務職員の方々とか、そういう方々にも対象を拡大をしてもらいたいというのが喫緊ございます。この点に関してはいかがでございましょうか。
○国務大臣(長妻昭君) これも国会でも御指摘をいただくテーマでありますけれども、今の段階ではまず介護職員ということで待遇改善をしていこうという、処遇改善をしていこうということでございまして、チームの方全体ということも大変重要な論点だというのは理解をしておりますけれども、まずは財源的な問題もあり、介護職員の処遇改善ということに取り組んでいくということであります。
○山本博司君 是非とも、このことに関しましてはお願いを申し上げたいと思います。
 そして、介護以上にもっと深刻な処遇改善ということでは、障害者の福祉従事者の処遇改善ということでございます。
 私も、地方をずっと回って、介護の現場もそうですけれども、障害者の現場も回らせていただきましたけれども、よりもっと厳しい給与体系でございまして、やはりこれも大事な部分だと思います。
 厚労省は今月の三日に障害福祉サービス従事者の処遇改善の調査結果を公表されました。二〇〇九年の四月に実施しました障害福祉サービス事業者向けの報酬改定では、常勤職員の平均月収が二〇〇八年から二・四%、七千百七十六円増え三十万五千六百六十円、一月ですね。非常勤職員の方では二千四百六十一円増の十一万九千九百六十二円ということで、まだまだ厳しいのが実態でございます。
 介護報酬を五・一%上げたりとか、また交付金等での対応をしたわけでございますけれども、この点での大臣の障害者福祉従事者の処遇改善ということでもお話をしていただきたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられたように、二十年九月から二十一年九月でそれぞれ改善はしているわけでございますけれども、これについても、福祉・介護人材の処遇改善事業という中で、障害福祉の現場で働く職員に対しても一人当たり平均月額一・五万円の賃金引上げに相当する金額を事業者に対して助成をするということになっているところであります。
 今後、介護保険と同様に、先ほど申し上げました四万円の賃金の引上げの実現に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○山本博司君 是非とも、この介護の分野また障害者の従事者の方々の処遇改善をしていただきたいと思います。
 最後に一点、ちょっと飛ばした課題でございますけれども、医療と介護の問題でございます。
 今までも指摘をさせていただいておりましたけれども、介護施設における介護職員の医療行為の実施でございます。特に、夜間などの緊急時の介護職員によるたんの吸引ということで、このことに関しまして現状どんな状況なのかということを最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(長妻昭君) これもいろいろ指摘をいただいているところでございますけれども、介護職員がたんの吸引とか胃瘻による経管栄養などについて実施するということでございますけれども、今モデル事業というのを実施をしておりまして、昨年九月から全国百二十五施設で実施をしております。今申し上げたことについて、看護職員と介護職員が連携して実施するというものでありまして、そのモデル事業の実施状態も分析をした上でこの検討会議も設置をしております。特別養護老人ホームにおける看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方に関する検討会というのも設置をいたしましたので、そのモデル事業での分析をきちっとした上で、特養において介護職員がたんの吸引等を実施することについて結論を得ていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 今、介護全般質問させていただきました。是非とも、大事な課題でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。