参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。本日は、両大臣の所信ということでお伺いをしたいと思います。
 本年、北朝鮮は挑発行動を繰り返しておりまして、これは断じて受け入れられることではなく、大変遺憾であることをまず表明をしたいと思います。
 一月の四回目の核実験、これを水爆実験と称して実験を行いました。さらに、九月九日には五回目の核実験として核弾頭の爆発実験を行ったと表明しております。また、核実験とともに大量破壊兵器の運搬手段であります弾道ミサイルの発射実験も繰り返し行っており、本年は新型のムスダン、また潜水艦発射弾道ミサイル、SLBMの実験を行っておりまして、技術的な進展を狙っているものと考えられます。
 こうした北朝鮮の核実験、弾道ミサイル発射実験は、我が国に対しまして安全保障に対する直接的な脅威であるとともに、NPTやIAEAによります国際的な核不拡散体制を脅かすものとして国際社会への、秩序への挑戦であるとも言えると思います。
 その意味で、この北朝鮮の核・ミサイル開発につきまして、我が国の安全保障の観点から、また国際的な核不拡散体制の観点から、その脅威認識に関しまして岸田外務大臣に見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、本年に入って北朝鮮は二回の核実験、そして二十発以上の弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、こうした挑発行動、ますますエスカレートしていると感じます。こうした挑発行動を通じまして、北朝鮮が核・ミサイル能力を増強していること、これは間違いないと思いますし、このことは我が国にとりまして新しい段階の脅威であると認識をします。
 そして、今御指摘のように、この北朝鮮による核・ミサイル開発、これ、関連する安保理決議に対する明白な違反であるのみならず、NPT、核兵器不拡散条約を中心とする国際的な軍縮・不拡散体制に対する重大な挑戦でもあると認識をいたします。
 こうした認識の下に、我が国は国際社会とともにしっかり連携をしながら、北朝鮮に対し自制を求め、そして累次の安保理決議ですとか六者会合の共同声明等の遵守を求めていかなければならないと考えます。
○山本博司君 次に、拉致問題の現況打開に向けての認識を伺いたいと思います。
 北朝鮮による核実験、また弾道ミサイル発射事件が続く中で、我が国にとりましては最重要課題でございますこの拉致問題を早急に解決するためにもあらゆる手段を尽くす必要がございます。
 今、国際社会全体がこの北朝鮮の核・ミサイル開発に注目している中で拉致問題が取り残されるのではないかと、拉致被害者家族やそして関係者の方々は非常に危惧をされておられます。日朝間にありましては、先ほどからお話がありますストックホルム合意の後で、対話と圧力の方針の下で北朝鮮と対峙をしてきたわけでございます。国連安全保障理事会の決議による制裁措置や、また我が国独自の制裁措置によって圧力は強化をされ、それをてことして拉致被害者の救出のための対話の道を追求をしていかなければならないという、今大変難しい局面に来ていると思います。
 加藤大臣は、先週もニューヨークで国連の事務総長と会談するほか、シンポジウム等にも出席をされて、拉致問題解決に向けて積極的な取組をされていると思います。また、米国や韓国との連携も重要な課題であると私は思っております。この拉致問題、最重要課題と掲げる安倍政権として、この状況をいかに打開をしていこうとしているのか、加藤大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、いまだ拉致被害者の方々の帰国が実現をしていない、またそれに向けての道筋も見えていない、誠に痛恨の極みであり、私、担当大臣としても、被害者、家族の方に申し訳ない、こういう気持ちでございます。
 その上で、今御指摘がありましたように、一連の北朝鮮の挑発的な行為、核開発、弾道ミサイルの発射等に対して、国連の新たな決議あるいは我が国含めた独自の制裁措置、こうした中で、御家族の皆さん方もそうした必要性については理解をし歓迎をしている部分がある一方で、この拉致問題が取り残されてしまうのではないか、あるいはこうした救出が遠のいてしまうのではないかと、こういうような不安や懸念も抱いておられますし、そしてまた、拉致問題が発生してから四十年以上たっている方もいらっしゃいます。
 この間には、当然、拉致被害者御本人、また家族の方々も高齢化をしていく中で、一刻の猶予も許すことができない、猶予もないというかなり切迫した思い、こうした思いを我々もしっかり共有をしながら、確かに状況はなかなか厳しい状況の中にはありますけれども、逆にこうした国際的な圧力が高まる中で、それをてこにしながら、また向こう、先方の北朝鮮のやっぱり動向もしっかり見据えながら、どういう方向がこの拉致被害者の帰国につながるのかよく模索をしながら、我々としてはあらゆる政策を駆使してこの問題の解決を図っていきたい、こういう姿勢をこれからもまたこれまで以上にしっかりと堅持して取り組んでいきたいと思っております。
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。もう是非ともしっかりとした対応を引き続きお願いをしたいと思います。
 次に、十一月三十日に国連安全保障理事会で採択されました決議でございます第二三二一号につきまして、その内容、そして政府の認識に関しまして確認をしたいと思います。
 今回の安保理決議におきましては、これまで抜け穴となっておりました北朝鮮からの石炭輸入の規制につきまして、二〇一七年一月以降で、年間で約四億ドル又は七百五十万トンを上限とするということになったわけでございます。これは、二〇一五年に比べまして輸出量が六二%の減となる計算であるというふうに聞いております。
 まず、今回の石炭の輸入規制の目的、この規制の狙いに関しまして説明を願いたいと思います。また、この石炭輸入規制はどのような仕組みでその実効性を確保しようとしているのか、お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(飯島俊郎君) お答えいたします。
 安保理決議第二三二一号は、九月九日の北朝鮮による核実験等を受け、本年三月の安保理決議第二二七〇号を強化し、北朝鮮への人、物、金の流れ等を更に厳しく規制するものであり、特に、委員御指摘のとおり、北朝鮮の外貨収入源となっている北朝鮮からの石炭輸入について、生計目的の輸入であっても年間で約四億ドル、七百五十万トンの上限を設定したものでございます。
 安保理決議第二三二一号を始めとする累次の安保理決議の履行につきましては、安保理の下部機関である北朝鮮制裁委員会が、各国が措置を実施するために取った行動及び制裁違反に関する情報の収集、検討等を行っております。特に石炭につきましては、加盟国が北朝鮮からの毎月の輸入量を北朝鮮制裁委員会に報告し、北朝鮮制裁委員会は、報告された輸入量や報告書を基に委員会が算出した輸入額等をウエブサイトで公表し、輸入額又は輸入量が年間の上限に近づく場合には北朝鮮制裁委員会が全ての加盟国に通知をする形で実効性の確保を図ることとしております。
 我が国は、北朝鮮からの石炭の……(発言する者あり)はい。中国を始めとする加盟国が決議を全面的に履行するように積極的に関与してまいりたいと思っております。
○山本博司君 先ほどからも、この議論、中国を含めてしっかり実効性を高めるということが大変大事でございますので、その確保をお願いをしたいと思います。
 続きまして、同じく安保理決議の中で、この特徴の一つとして、先ほども出てまいりましたけれども、北朝鮮の人権状況について深い懸念を表明して、北朝鮮が北朝鮮の人々のことを顧みず核兵器及び弾道ミサイルを追求していることを明確に非難したことが挙げられております。
 我が国は、EUとともに毎年、北朝鮮人権状況決議を国連総会や第三委員会に提起し、その決議の採択に尽力をしてきたわけでございます。また、近年、安全保障理事会におきましても北朝鮮の人権問題が議題として掲げられ、会合も開催されております。
 この拉致問題を含む北朝鮮の人権問題を安保理決議で初めて明確に取り上げた意義を外務大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の決議における人権問題ですが、今回の人権決議では新たに、北朝鮮にいる人々が受けている深刻な苦難に対し深い懸念を改めて表明するとともに、北朝鮮にいる人々の福祉及び固有の尊厳を尊重し確保することの必要性を強調するなどの言及が含まれました。
 この北朝鮮にいる人々には、我が国を含む各国からの拉致被害者も当然含まれることで関係国の認識は一致をしております。加えて、こうした記述が、従来は前文に書かれていたものが主文に書かれるということで、言及が強められています。これについては、国際社会全体のこの人権問題に対する強い懸念が強く示されたものであると認識をしております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 時間の関係で質問を飛ばさせていただきます。
 最近の北朝鮮をめぐる各関係国の動向について、政府の認識を伺いたいと思います。
 まず、アメリカですけれども、トランプ氏が次期大統領に決まったことによりましてどのようなこれから対北朝鮮政策が打ち出されるのか、これまでの政策の見直しがあるかどうかということも含めて見通せない状況がございます。いずれにせよ、日本にとりましては、この拉致問題の重要性ということを新政権にも認識させることが日本外交の役割であると考えるわけでございます。また、韓国の政治状況も、地域の安全保障環境の平和と安全のために、日本と韓国、この連携強化の継続ということは大変大事であると思っております。
 こうした日本、アメリカ、韓国、この連携について、今後どのような形で外交を展開をしていくのか、外務大臣に確認をしたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 従来から我が国は、日米韓三か国の連携を重視しながら北朝鮮問題にも取り組んできました。九月に日米韓外相会合を開くなど様々な取組を行ってきたわけですが、今回、この北朝鮮に対する独自の措置ということについても、日米韓、タイミングにおいても様々な内容においても、しっかり連携をしながら取り組んだ次第であります。
 御指摘のように、米国、政権移行期にあります。韓国は内政、大変不透明な状況にあります。こういったときだからこそ、是非日本が日米韓の連携もしっかりリードするべく取り組んでいかなければならない、このように考えます。
○山本博司君 やはり、どんな政権になったとしても拉致問題は最重要課題であるということを銘記しながら、この日米韓の連携の強化の継続ということを是非外交の上で図っていただきたいと思います。
 それでは、最後の質問でございますけれども、この北朝鮮に対して影響力という意味では中国の協力は欠かせることはできないと思います。この拉致問題の一日も早い解決のためにも、あらゆるチャンネルを活用して中国に問題解決のための行動を促していかないといけないと思います。
 また、北朝鮮との友好な国家の関係として、キューバについても日本外交の力を発揮するときであると思います。本年九月に公明党の山口代表がキューバを訪問した折にも、北朝鮮問題の重要性を強調し、理解を求めたわけでございます。その後、安倍総理もキューバを訪問されております。
 このような北朝鮮に影響力を持つ国の政府間、また議員間の交流ということは大変大事でございますけれども、こうした点に関しましての大臣の所見を最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、中国、キューバといった北朝鮮に大きな影響力を有する国に対して我が国の立場を伝え、そして北朝鮮への働きかけを求めていく、これは大変重要なことであると思います。
 中国については、北朝鮮の度重なる挑発行動に対して具体的措置を講ずるべきであるとして、総理、外相を始め様々なレベルにおいて責任ある常任理事国としての建設的な対応、これを求めてきています。
 キューバについても、昨年、私が現職の外務大臣としては初めて訪問させていただき、今年九月には安倍総理が現職総理として初めて訪問いたしました。北朝鮮に対する我が国の取組を説明し、拉致問題について理解と協力を求めた次第であります。あわせて、同じく九月に山口公明党代表にもキューバに御訪問いただき、北朝鮮へ働きかけをいただいたこと、このことも高く評価するところであります。
 是非、こうした中国やキューバを含む関係国と緊密に連携を続けていきたいと考えます。
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。