参議院 内閣委員会 第19号 令和3年5月18日

○石川博崇君 是非力強く取り組んでいただければというふうに思います。
 このコロナ禍において、出産後、産後うつのリスクが増えることが指摘をされております。
 昨年十月、午前中も触れましたが、筑波大学の松島みどり准教授らが実施した調査では、出産後一年未満の母親二千百三十二人のうち、産後うつの可能性のある方がおよそ二四%に上りました。一般的に産後うつが発症率一〇%と言われているのに比べて、このコロナ禍では倍以上に増えているという結果でございます。
 新型コロナの影響で、人と接触の機会、外出の機会、これが極端に少なくなったこと、収入の落ち込みなど経済的な不安が影響しているというふうにも見られております。また、この調査で興味深いのは、産後うつの可能性があるとされた母親のうち、三分の二が自分自身がうつ状態にあるという認識ができていないということも分かっております。
 こうした自覚がない産後うつを患っているお母さん、母親に対しても積極的な支援を行うべきというふうに考えておりますけれども、山本厚労副大臣の御見解をお願いできればと思います。
○副大臣(山本博司君) 本改正案では、子育て家庭の個別の状況を関係機関相互で共有し、家庭の状況に応じた必要な支援へと結び付けることを目的として、市町村計画におきまして定めるよう努める事項に、地域の子ども・子育て支援を実施する関係機関相互の連携の推進に関する事項が盛り込まれたと承知している次第でございます。
 厚生労働省としては、自覚なく産後うつを患っている母親への支援は大変重要なものと考えておりまして、体の回復や精神状況の把握のため、産後二週間、産後一か月などの時期の産婦に対する健康診査に係る費用を助成をしている次第でございます。
 この産後健診におきましては、産婦の精神状況につきまして客観的なアセスメントを行うことによりまして、産後うつのリスクを早期に発見する機会になるものと考えております。さらに、自治体におきましても実施している新生児訪問におきまして、その母親に対しまして精神的支援を行うことも求めております。
 加えて、産後うつなどの不安を抱える妊産婦に寄り添った支援を行う観点から、母子の心身のケアを行う産後ケア事業につきまして、本年四月から施行いたしました改正母子保健法を踏まえまして、事業の全国展開に踏まえた予算の拡充を行っております。
 令和二年度が二十七億円ですけれども、令和三年度は四十二億円に拡充している次第でございまして、今般の法改正の趣旨も踏まえて、保健医療や福祉の関係機関とも連携しながら、産後うつを患っている母親に対しましての支援、しっかりと取り組んでまいります。
○石川博崇君 この点は今後ともしっかり議論をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、残された時間でヤングケアラーの取組について伺ってまいりたいと思います。
 昨日、政府のヤングケアラー支援に向けたプロジェクトチームが取りまとめをしていただいたことが大きく報じられております。
 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の育ち、また教育に影響があることから、実態の把握あるいは支援の強化、これが急務の課題でございます。菅総理も、ヤングケアラーにつきまして、病気がちの親を幼い頃から世話したり、障害のある兄弟の面倒を見ることにより、学校に通えない、友達と遊べないなど、子供らしい暮らしができないことは大変つらいことだと思っていますと、そういうふうにおっしゃっていただいております。
 令和三年、今年の三月、厚生労働省、文部科学省が連携をして先ほど申し上げましたプロジェクトチームを立ち上げ、共同議長に山本厚労副大臣に就いていただいておりますけれども、このプロジェクトチームを立ち上げた意義につきまして、まず御所見をいただきたいと思います。
○副大臣(山本博司君) ありがとうございます。
 今委員お話ありましたヤングケアラーにつきましては、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の育ちや教育に影響があるといった課題がございますけれども、なかなか家庭内のデリケートな問題であることや、本人や家族に支援が必要である認識がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくいという構造になっていた次第でございます。そのため、先ほど、ヤングケアラーの方々、認知症の祖父母を介護するとか、障害のお母様とか、様々、このヤングケアラーを早期に発見して支援を行うためには、福祉、介護、医療、教育、こういった様々な分野が連携することが重要でございます。
 そこで、関係機関の連携をより一層推進し、ヤングケアラーの支援につなげる方策につきまして検討を進めるために、本年三月、私と丹羽文部科学副大臣を共同議長とするプロジェクトチームを設置し、この分野横断的な検討を進めることにしたものでございます。
○石川博崇君 PTを立ち上げられて、精力的に議論を行い、また当事者の声も聞きながら進めてこられたこと、敬意を表したいというふうに思います。
 昨日、このプロジェクトチームで取りまとめがなされたものと承知をしております。これが具体的に今後どのような支援につながっていくのか、併せて山本厚労副大臣に伺いたいと思います。
○副大臣(山本博司君) 本年三月に設置しました私と丹羽文部科学副大臣を共同議長とするPTにおきましては、三月から四月にかけまして、関係者へのヒアリング等を通じまして、早期に発見して適切に支援につなげるための方策について検討を進めてきたところでございます。
 また、四月には実態調査ということで、五・七%、十七人に一人という、中学生でございますけれども、一つの教室に二人ぐらいいるという、こういう実態調査も途中で発表させていただきました。
 昨日開催のPTにおきましては、今後講ずるべき施策を取りまとめた次第でございます。
 具体的には三つの柱になっておりまして、早期発見、早期把握ということでございますけれども、福祉、介護、医療、教育機関の職員等に対する研修、さらには地方自治体における実態調査等によりまして、ヤングケアラーの早期発見、把握をするということが一点目でございます。それから二点目は、様々な施策の中でも、ピアサポート等の相談支援、また子供の介護力によらない適切な福祉サービスの運用、さらにはヤングケアラーがいる家庭への支援の在り方の検討等の支援策の推進。そして三番目には、広報啓発等を通じた社会的認知度の向上、こういったことの内容を盛り込んだところでございます。
 このうち、運用等でできるものにつきましては今年度から取り組むとともに、来年度の予算要求につきましても検討を進めてまいりたいと思います。
○石川博崇君 是非よろしくお願いいたします。
   〔理事徳茂雅之君退席、委員長着席〕
 あわせて、同じ調査になりますけれども、通信制高校に通うヤングケアラーの、そのうちの六五・三%がほぼ毎日家族の世話をしているという結果でございますし、また、二四・五%は一日七時間以上世話に費やしているということでございます。また、四〇・八%が自分の時間が取れないと回答し、そういった過酷な状況にもかかわらず、その中の六三・三%が相談先を持っていない、まあ相談をしていないということが明らかになっております。
 こうした調査の結果を踏まえますと、このような通信制高校に通うヤングケアラーの孤立は突出しておりまして、この懸念を払拭するためにも特に手厚い支援が必要だと考えております。
 山本厚生労働副大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○副大臣(山本博司君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のように、今般の実態調査によりますと、世話をしている家族がいると回答した者のうち世話の頻度をほぼ毎日と回答しましたのは、通信制高校生は六五・三%、全日制の高校二年生は四七・六%ですので、かなり高いわけでございます。また、平日一日当たりに世話に費やす時間を七時間以上と、こう回答しましたのは、通信制の高校生は二四・五%、全日制高校生、二年生の場合は一〇・七%ですので、約二倍以上となっている次第でございまして、この実態調査からも、通信制高校生に重い負担が掛かっている実態は、認めるのは、御指摘のとおりでございます。
 こうした通信制高校生を含めまして、ヤングケアラーを孤立させないということは、大変取組は重要であると認識しておりまして、そのためにも、例えば福祉、介護、医療、教育等の関係者による早期発見、こういった施策が必要であると思います。さらには、当事者のピアサポート等の悩み相談の支援、こういったことも含めまして、孤立しがちなヤングケアラーに必要な支援が届くようにしっかりと取り組んでまいります。
○石川博崇君 是非よろしくお願いいたします。
 このヤングケアラーへの支援につきましては、各地方自治体でも取組が進んでおります。兵庫県の神戸市では、全国でも珍しいヤングケアラーの専門相談窓口を六月から設置する予定というふうに伺っております。また、埼玉県では、教職員の方々への研修を行って、欠席がちになってきた、あるいは忘れ物が多い、こうした子供たちのSOSの兆候、これを見逃さないように研修を進めるというふうに伺っております。
 政府として、こうした各自治体が取組を進めているヤングケアラー支援の好事例、これを収集し、そして横展開を図っていくことが極めて重要なんではないかというふうに考えますけれども、山本厚労副大臣の御所見をいただきたいと思います。
○副大臣(山本博司君) PTにおきましても、そうした当事者のそれぞれの取組、各自治体の取組の例ということでヒアリングをした次第でございます。
 その意味で、神戸市における専門相談窓口の開設の事例であるとか、埼玉県における教職員向けの研修等におきましても、こうした地方自治体においての先進的な取組が行われている次第でございます。その意味では、委員御指摘の好事例をこの各地方自治体に横展開をするということは大変効果的だと思っている次第でございます。
 厚生労働省としては、このヤングケアラー支援の在り方等につきまして、今年度、モデル事業ということで検討をしている次第でございます。その成果を各地方自治体に周知することによりまして、各自治体における取組、これを推進をしてまいりたいと思います。
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。
 まずは、通告に従いまして、病児・病後児保育について伺っていきたいと思います。
 この病児・病後児保育といいますのは、子供が病気になったとき、病院、保育所に一時的に預かってくれるという国の制度であります。これは、一時預かりとして受け入れてくれる病院、保育所の協力なしにはもちろんこれ成り立ちません。
 子育て世帯におきましては、本当にいつ子供というのは熱を出したり病気になったりするというのは、本当にいつもどきどきしながら子育てをしているという方は多いと思うんですけれども、こういったこの病児保育、これに関しては今年度も、子ども・子育て支援新制度、これに予算の方も拡充していっていただいているということで、大変是非ともしっかりと拡充はしていっていただきたいんですけれども、何点か御質問をさせていただきたいと思っています。
 これケースとしては少ないかもしれませんけれども、これ以外に、看護師さんが保護者の自宅に、子供がいるその自宅に訪問するという形もありますけれども、大体はそういう例えば保育所に併設されている、そういったケースが多いかと思います。そういった中で、この急な子供の病気に対してこれはセーフティーネットとなっているわけですけれども、これ国として、地方自治体がやっているとはいえ、国としてこの今の現状をどういうふうに需要と供給を把握されているのか、まずはお答えください。
○副大臣(山本博司君) ありがとうございます。
 この病児保育事業につきましては、子供が病気の際の保育ニーズに対応するための非常に重要な事業であると認識しております。厚労省としても、各市町村における取組を支援するために、事業に要します経費の補助、これを行っている次第でございます。
 この交付金の交付実績によりまして、毎年度の全国の実施状況を把握しております。令和元年度では、病児保育の実施箇所数三千三百七十四か所、年間利用児童数約百八万二千人となっている次第でございます。
 また、子ども・子育て支援法に基づく、市町村が今後のニーズを踏まえて策定した計画、これは第二期子ども・子育て支援事業計画でございますけれども、各地域における令和六年度までの需給見込み、これも算出しているわけでございますけれども、そうしたことも踏まえまして、この必要なサービスが提供されるように支援をしてまいりたいと思います。
○高木かおり君 御答弁ありがとうございました。
 元々この病児、もう一つ病後児保育、これ含めると、かなりそもそも運営というのが厳しいと言われているかと思います。これは、例えば利用者さんは、具体的に言うと、前日に、大体子供というのは急に病気になったりして、その本当のもう高熱が出ていて大変な状況のときはもちろん医療機関にかかるわけですけれども、少し落ち着いた状態、ただ保育所には行けない、こういった状況のときですので、前日、もう直近で予約が入るわけですね。その後、急にまた熱が下がったり、やっぱりその利用者さんの都合で、祖父母にやはり預けるのでといってキャンセルが入ったりもしてしまいます。これに対して、いろいろあるかとは思いますけれども、やはりその病児保育をされているような医療機関ではキャンセル料を取らなかったり、そういった大変不安定な運営であるということなんですね。そこに加えて、今コロナ禍の中で大変この利用者が減っているというふうにお聞きをしております。
 この収入面についてちょっと伺っていきたいんです。
 この病児保育、この制度はでも本当に意義があるものではあるんですが、この病児保育を運営していくということに対して、やはり、これ今、各医療機関、病児保育によっていろいろと差はあるとはいえ、七、八割減少しているというところもお聞きをしております。
 この病気の子供たちがコロナ禍で外出を控えたり、そういったことで数が減っていくということはいいことではあるんですけれども、やはりこの運営をしていく側からすると、これ補助金はこの利用者数に応じて適用されるわけで、利用されるわけで、この加算単位というのが、やはりこの利用者が減少することによって収入減に直結してしまうということがあるかと思います。
 大変これ存続が危うくなっていくと。これ本来ですと、利用者も徐々に徐々に近年伸びていっている中で、どんどん拡充をしていっていただきたいというお願いをしたいんですが、まずはその存続ができるようにしっかりとやっていかなければいけないということで、今日は、今日資料添付もさせていただいておりますけれども、病児保育事業の単価見直しについてなんですね。これを、しっかりとこの存続をまずはさせていく、そしていずれは拡充をしていくということで、政府としての課題、それをどのようにクリアをしていくのか、この単価の見直しについても補足説明を入れながら、是非御見解を伺いたいというふうに思います。
○副大臣(山本博司君) 私も、四国を回って病児保育の方々の経営されているお話も聞かさせていただきながら、今委員が言われている御指摘というのは、その部分があると思います。
 病児保育事業に関しましては、感染症の流行、また病気の回復による、今ありました突然の利用キャンセル、これによりまして、利用児童数の変動が大きくて経営が不安定にあると、こういう指摘があるわけでございます。
 その意味で、平成三十年度予算におきまして、運営費の基本単価の充実、これを図るとともに、利用児童数に応じた加算につきましても、年間利用児童数が二千人を超える場合の補助単価、これを新たに設定するなど、上限を見直して、利用児童数に応じた加算を行うなどの拡充を図ったところでございます。
 また、今委員が御指摘されている今日提出されている資料でございますけれども、この令和三年度におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえながら、提供体制を安定的に確保するために、事業実施に最低限必要なこの事業費相当が確保できるように、利用児童数によらない基本単価の引上げなどの見直しを行ったところでございます。
 具体的には、病児対応型では一か所当たり今まで約五百万でしたけれども、約それを二百万上げて約七百万にした形でございます。看護師、保育士一人分を、最低限必要な事業相当を確保できるようにこうした基本単価を引き上げたわけでございます。
 こうしたことも含めまして、引き続き、地域におけるこの病児保育事業の提供体制の確保におきまして必要な支援、今後とも行ってまいります。
○高木かおり君 是非よろしくお願いします。
 今回のこの単価見直しは本当に良かったなというふうに思っておりまして、そもそもが、先ほど申し上げたように、運営がなかなか厳しくて、地域でもこの病児保育って、もう一つは病後児保育も含めてなんですが、やはりこれ働く子育て世代にとってはすごく心強い事業なんですよね。それが今、繰り返しで申し訳ないですけれども、これを存続をしていくということはすごく重要で、なかなかそもそもが手を挙げていただきづらいということもお聞きをしておりますので、ここは踏ん張って国が支援をしていっていただきたいというふうに思います。子育て世代のセーフティーネットということでお願いをしたいと思います。
 続いて、このコロナ禍において、この病児保育ではコロナにかかったお子さんを預かるということはないというふうには聞いているんですが、なかなか無症状であったりとか、そもそもの感染症対策というのをこの病児保育の中でどのように対応されているのか、この点について伺いたいと思います。
○副大臣(山本博司君) 病児保育事業を実施するに当たりましては、看護師や保育士等の職員を配置するほか、病児保育の専用スペースを設置した上で、この児童の静養、隔離のための機能を持つ観察室などの病児の受入れを行っておりまして、他の児童への感染に配慮するように求めている次第でございます。
 また、病児保育を利用する場合には、事前にかかりつけ医に児童を受診させることにしておりまして、施設と保護者の協議の上でこの受入れの決定をすることになっております。この際、必要に応じて、児童の症状や処方内容等を記載した連絡票がございますけれども、これを作成し、症状の確認を行うことになっております。
 さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けまして、補正予算におきまして、職員が感染症対策の徹底を図りながら業務を継続的に実施していくための補助、これを行っている次第でございまして、引き続きこの感染症対策を講じるための必要な施策を進めてまいりたいと思います。
○高木かおり君 ありがとうございます。
 この病児保育は、事前に、そもそも利用する前に、きちんと子供一人一人のいろいろな既往症ですとかアレルギーの有無ですとか、そういったこともしっかりとまずは提出をして、今おっしゃっていただいたように、医療機関と連携をしてきちんと対応していっていただいているということであると思います。この子育て世帯、特に忙しい働く保護者にとっては、こういった病児保育でのいろいろな知識をそういったところで得られるという観点からも大変私としては重要な事業であるというふうに思っておりますので、是非とも今後も存続、拡充をお願いをしたいというふうに思います。
 それでは、次に参りたいと思います。
 今日、通告、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーということでございます。
 午前中も参考人質疑の中でもこのスクールソーシャルワーカーの役割等もお聞きをさせていただいて、改めて重要な点であるなというふうに私自身も思っているところなんですが、今、いじめや不登校、それから問題を起こしてしまう児童、これは、問題を起こす子というのはやっぱり問題を抱えている児童なんだという視点が重要なのかなというふうに思っております。子供の心の問題だけではなくて、家庭での親との関わりですとか生活環境、こういったことも、やはりいろいろな要素が複雑に絡まっているというふうに考えた方がいいのかもしれません。この児童に耳を傾けて問題を解決する身近な存在というのがスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーということになってくるんだと思うんですね。
 このスクールソーシャルワーカー、これは、約十年ほど前に、スクールカウンセラーがあってスクールソーシャルワーカーという、連携をする役割のスクールソーシャルワーカーができたということなんですけれども、今日はこの人材確保についてちょっと伺いたいと思います。今どのようにこの対策を行っているのか、まずはお答えください。
○高木かおり君 ありがとうございました。是非ともお願いをしておきたいと思います。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、最後の質問に入らせていただきたいと思います。
 チャイルド・デス・レビューについてでございます。
 このチャイルド・デス・レビューというのは、子供の予防できる死亡を減らすための死亡登録・検証制度ということで、欧米では既に導入されているということで、死亡統計の一つであることは周知されているかとは思います。
 このチャイルド・デス・レビューなんですけれども、我が国でも、これ二〇一七年の改正児童福祉法の附帯決議で、虐待死の防止に資するよう、あらゆる子供の死亡事例について死因を究明するチャイルド・デス・レビュー制度の導入を検討するということから現在に至るかと思います。そして、昨年度は、予防のための子供の死亡検証体制整備モデル事業、こういったことも成育基本法に基づいての事業というふうに理解をしております。
 そういった中で、やはりこの今回の事業は、標準化されたフォーマット、すなわち死亡調査票を作成して、そこに、医学的死因に加えて、家庭、家族環境、それから養育状況など、こういったものを、社会的原因を収集していって死因を多角的に検証していくと。そのデータは各都道府県で蓄積をされていって、最終的には国へ、予防可能な子供の死亡を減らす目的のためのデータということになって、社会に、子育て世帯へも還元されるというふうに想定をしておるわけですが、そこでちょっと質問をしたいと思います。
 このCDRのデータの収集、それから分析をするに当たって、標準化したフォーマット、この死亡調査票の開発、このCDRの核と、その開発というのはCDRの核となるというふうに思っているんですが、このモデル事業で調査検討されている死亡調査票を用いて、どのようなステップでこの死亡検証していくのか、御説明いただけますでしょうか。
○副大臣(山本博司君) 子供が不慮の事故等により亡くなるケースがある中で、効果的な予防策を導き出し、予防可能な子供の死を防ぐということは大変重要であると考えております。
 そのために、厚生労働省におきましては、令和二年度から七つの府県で、予防のための子供の死亡検証、CDR体制整備モデル事業、これを実施しております。令和三年度においても引き続きモデル事業を継続しているところでございますけれども、このモデル事業におきましては、医療、行政、保育、教育等の関係機関に対しましてデータ収集の協力を依頼をするということ、また、関係機関は標準化をしたこの死亡調査票に死亡事例の医学的、社会的情報を記載するということ、また、整理されたこの死亡調査票に基づいて、関係機関によって構成される多機関検証ワーキンググループを開催し、死因の調査を実施すると、こういう手順で予防策を今検討しているところでございます。
○高木かおり君 ありがとうございます。
 今コロナ禍で進めていくということも大変なことだというふうには思っておりますけれども、このCDRを構築していくためには、なかなか、まあ当然ですけど、単年度というふうにはいかないと思います。実働させるためにも少なくともこのモデル事業は五年ですとかそういった長期の期間を要するのではないかというふうに思いますけれども、今後の調査研究に向けた展望というのを再度副大臣の方からお答えいただけますでしょうか。
○副大臣(山本博司君) 今答弁いたしましたとおり、このCDRにつきましては、昨年度は七自治体でモデル事業を実施しておる次第でございまして、令和三年度におきましても、引き続きこのモデル事業、継続しているところでございます。
 あわせまして、厚生労働科学研究におきましても、CDRの調査研究、これは、わが国の至適なチャイルド・デス・レビュー制度を確立するための研究、こういったことの研究も実施をしている次第でございまして、こうしたモデル事業、また調査研究の実施状況を踏まえまして、関係省庁とも連携しながら今後の制度化に向けて検討を行ってまいりたいと思います。