9日朝、高松駅からマリンライナー号で岡山へ。穏やかな瀬戸内海です。岡山駅から新幹線みずほ号で福岡県小倉駅へ。

1988年より北九州を拠点に "「ひとりにしない」という支援 " を目指し困窮孤立者の生活再建に包括的伴走をしているNPO法人抱樸(ほうぼく)を視察。
NPO法人輝「HIKARI」の金子訓隆代表理事((株)マイクロブレイン 取締役)が同行。公明党から4人の北九州市議(成重正丈・村上直樹・中島隆治・冨士川厚子)が参加。

奥田理事長とは滋賀県のアメニティーフォーラム等で毎年お会いしており、「奥田さんの生き様に大変感銘を受けて一度北九州を訪れ、視察させて下さい。」と以前からお願いをしておりました。
本日実現が叶いました。

NPO法人抱樸の活動、希望のまちプロジェクト等を伺いと共に、プラザ抱樸・抱樸館など視察。

36年間でホームレス状態から自立した人数は3716人。現在も継続してサポートしている人数1076人。ボランティアとして登録している人数は1923人。
炊き出しで配ったお弁当の数15万2025食。路上生活者等からの相談件数は14万7433人。現在子どもから大人まで27の事業を展開しています。

奥田さんたちが行う「支援付き住宅」や「炊き出し」などの取り組みにおいて、抱樸の活動理念ともなっているのが、どんな状況下においても「ひとりにしない」という伴走型支援です。

その理念にまつわるエピソードを奥田さんが話してくれました。
1990年、北九州市で中学生がホームレスを襲撃するという事件が起こりました。襲撃を受けた当事者から相談を受けた奥田さん。
「その方は、困っている一方で、中学生たちの気持ちが分かると言いました。夜中の1時や2時にそんなことをしているのは、家があっても居場所がないんじゃないか、親はいても心配してくれる人はいなんじゃないか。自分も帰るところがないからこそ分かるんだと」。その言葉を聞き、ホームレス問題の本質は「人と人のつながりがないこと」にあるのだと気付かされたといいます。

それから30年が経ち、路上だけではなく社会全体が孤立や孤独の問題がひしめく世の中の現代。「経済的困窮と社会的孤立の問題、貧しさと寂しさを同時に解決していく仕組みが、今の日本社会には必要だと」一貫して取り組まれています。

【奥田知志氏(おくだ ともし)プロフィール】
■職歴・経歴
1963年生まれ。関西学院神学部修士課程、西南学院大学神学部専攻科をそれぞれ卒業。九州大学大学院博士課程後期単位取得。
1990年、東八幡キリスト教会牧師として赴任。同時に、学生時代から始めた「ホームレス支援」を、ボランティアとしてだけでなく、教会の課題として継続し、北九州市において、3716人(2023年12月現在)以上のホームレスの人々を自立に導いたNPO法人「抱樸」(旧北九州ホームレス支援機構)の理事長としての重責も担う。

その他、社会福祉法人グリーンコープ副理事長、共生地域創造財団理事長、国の審議会等の役職も歴任。毎日新聞社福祉顕彰など多数の表彰を受ける。NHKのドキュメンタリー番組「プロフェッショナル仕事の流儀」にも2度取り上げられ、著作も多数と広範囲に活動を広げている。