<これまでの活動記録>


公明党参院幹事長(参院選予定候補=比例区)こば健太郎氏/福岡教育大学名誉教授 しいのみ学園理事長・園長曻(しょう)地三郎氏/党市民活動局次長(参院選予定候補=比例区)山本ひろし

 『生涯現役社会を構築。育児休業も取りやすく/こば』
 『3歳までが勝負。おもちゃ作りで愛情注ぎ、絆強く/曻(しょう)地』
 『「人の幸せ」を第一に制度の見直しに全力/山本』

100歳にして今なお現役、一昨年から3度も世界一周講演旅行に出掛けるなど、ますます元気な世界最高齢の教育学者・曻(しょう)地三郎博士(しいのみ学園理事長)。福岡市にある博士の自宅を、こば健太郎公明党参院幹事長と山本ひろし党市民活動局次長が訪れ、生涯現役の社会づくりや幼児教育の大切さについて大いに語り合ってもらいました。
 こば健太郎氏 曻(しょう)地先生は、今年も年頭からハワイ大学で講演され、6月以降、いくつもの海外講演が予定されているそうで、とても100歳とは思えないご活躍ぶりです。
 山本ひろし氏 本当にお元気ですね。今、大量退職が始まっている“団塊の世代”にとっても「さあ、これからだ」という生き方のお手本です。「生涯現役」で人生を楽しむ秘訣は何でしょうか。
 曻(しょう)地三郎博士 振り返ってみると、虚弱児だった私が今、健康なのは「一口30回噛む」という母の教えを97年間守ってきたからでしょう。それと60年以上続けている冷水摩擦、私が考案した棒体操、そして規則正しい生活ですかね。

 山本 韓国語は63歳から、中国語は95歳から勉強を始められたとも聞きました。NHKの番組でも紹介されましたが、先生の脳は30歳の若さだそうですね。
 曻(しょう)地 スパシーバ<ロシア語で「ありがとう」の意>(笑い)。ロシア語も勉強しています。
 私には老感(老いる感覚)がないんです。「もうダメだ」と思ったら、その日からダメになる。私はサインする時も「百歳翁」ではなく「百歳児」と書きます。人生90歳代までは助走、「100歳からが本番」です。
 こば 素晴らしい! 公明党は、誰もが65歳まで会社で働けるよう、高年齢者雇用安定法の改正を実現しました。今も採用時の年齢制限を禁じる法改正に取り組んでいるところですが、先生のお話を伺い、改めて「一律に年齢で引退を迫る」という社会ではダメだと感じます。「生涯現役社会」の構築に向け、しっかり頑張ります。
 山本 同時に、先生のように何歳でも健康で自立した日常生活が営めるような「健康長寿社会」づくり、「健康日本」をつくりたい。公明党は、介護保険制度に「介護予防」という発想を導入させましたが、できるだけ介護の手を借りることなく、長寿を喜べる高齢社会を築きたい。生涯学習や生きがいづくりにも全力で取り組みたいと決意しています。

 『子どもを守る!』
 曻(しょう)地 一人一人の幸せを一番に考え、行動しているのが公明党ですね。
 ただ、法律や制度は時に、人を置き去りにして運用されてしまう場合があります。例えば、全国初の知的障害者の施設として、しいのみ学園を設立した当初、私は法律の枠にはめ込もうとする行政と対決し、「法は守らない。子どもを守る!」と言い切って、施設の認可を取り消されました。以来23年間、補助金はゼロに。しかし、私の考えた治療教育の実践で、88人の卒園生から4人が大学を卒業しています。
 こば 法律を作る立場として、肝に銘じなければならないお話です。最近でも、障害者の自立を促す障害者自立支援法という枠組みができましたが、実際に施行されると、制度の問題点を指摘する声が寄せられました。早急に「特別対策」を講じる形で対処しましたが、実態に合わない制度や法律があれば、人の視点に合わせて制度を変えていく。それが「生活現場主義・公明党」の重要な役割だと思っています。
 山本 私も長女が重度の知的障害児ですから良く分かります。公明党は人間主義。福祉の現場の心を知る者の代表として「人の幸せ」を第一に考えて、諸制度の見直しに取り組んでいきます。

 『廃品で「手作り」』
 曻(しょう)地 私は教育に80年間携わってきて、「3歳が人生の勝負どころ」だと分かったんです。3歳を過ぎたら手遅れだとは申しませんが、3歳で入園した子が、しいのみ学園で学んだ後に保育園や幼稚園に移れることはあっても、4、5歳で入園した子で移れるケースは、まれなのです。
 こば 幼児期の教育で知能や生活力が飛躍的に伸びることは、科学的にも、3歳を境に脳細胞の発達状況が違ってくる点で指摘されています。
 曻(しょう)地 だから、3歳児への効果的教育方法を広めたいと、2003年から「手作りおもちゃ親子愛情教室」を始めたのです。
 牛乳パックや空き箱、トイレットペーパーの芯など、どこの家庭にもある材料で親子が協力しておもちゃを作り、一緒に遊ぶ。「手作り」だから子どもが手先を動かし、脳の発達・活性化が進みます。親子の共同作業で協力し合う大切さも学び、自分で作った達成感や満足感も得られます。
 こば 既成のおもちゃではないので自由な発想で工夫でき、創造性や感性も育めそうですね。
 曻(しょう)地 この方法を米国・コロンビア大学の講演で紹介したところ、同大学の教育学部長が(1)子どもの創造性を伸ばす(2)物を大切にする(3)感謝の心が育つ――として、「この方法はアメリカの教育水準を引き上げる可能性を持っている」と評価してくれました。
 山本 教育は今、いじめや学級崩壊、不登校、親子の断絶など、多くの課題が山積しています。核家族化や共働き家庭の増加などの大きな変化を考えれば、家庭での「生きる力」を育む幼児教育のあり方に目を向ける必要性を強く感じます。
 こば そうした諸課題の解決へ、公明党は3月に緊急提言『現場からの教育改革』を発表しましたが、子育て中の親が集って専門家から助言を受けられるよう、カナダで効果を挙げている「親教育プログラム」の普及を提案しています。

 『目の輝きに驚く』
 曻(しょう)地 私は「親」だけを教育するのではなく、「親子一緒で」楽しく協力して何かを作ることの効果を強調しています。3歳児までは、親の愛情を無条件で受け止め、親に作ってもらう喜びや尊敬の念も自然にわいてきて「お父さん偉い!」「お母さん偉い!」と目を輝かせます。この目の輝きに、参加した多くの親が驚いているのです。
 こば 「親」ではなく「親子」が大事だと。勉強になります。
 山本 公明党は、生まれた赤ちゃんに良い絵本をプレゼントして、赤ちゃんと親が心触れ合うひとときを持つきっかけをつくる「ブックスタート事業」などを各地で進めてきましたが、「手作りおもちゃ教室」も、広く紹介し普及させていきたいものですね。
 こば 同時に、先生のご指摘通り「親と子が幼児期を共に過ごすべき」となれば、育児休業をより取りやすくし、期間も3歳まで拡充していくことが重要になります。
 曻(しょう)地 そうですね。「生きる力」は親子の絆が強く結ばれる中で伸びていきます。手作りおもちゃが広く普及していく中で、少年犯罪やいじめ、児童虐待なども減っていくと考えています。
 山本 貴重なご意見、参考になりました。政策に反映できるようしっかり検討し、取り組んでまいります。本日はありがとうございました。

 福岡教育大学名誉教授しいのみ学園理事長・園長曻(しょう)地三郎氏 1906年、北海道生まれの100歳。広島文理科大学卒。教員生活を経て福岡学芸大学教授。54年、私財を投じて全国初の知的障害児の教育施設「しいのみ学園」を設立、現在も理事長・園長。医学・文学・教育学博士。三歳児教育学会会長。中国・長春大学名誉教授。福岡市在住。

 (2007年5月6日付 公明新聞より転載)