3日午後、東京都立中央ろう学校 竹見昌久主任教諭が国会事務所に来訪。下野参議院議員からの紹介です。

「耳が聞こえなくても同じスタートラインに」光で合図する陸上競技の装置(スタートランプ)をデフリンピック東京大会に向け、普及を進めてもらいたい等の要望を伺いました。

ろう者(聴覚障害者)の国際総合スポーツ大会、デフリンピックが2025年に東京で日本初開催されます。竹見先生は陸上競技の短距離走で、音ではなく光でスタートの合図をする装置「スタートランプ(光刺激スタート発信装置)」の開発を主導されてきました。

「スタートランプ」は2011年に試作を始め、2019年に製品化。きっかけはスタートで出遅れた生徒の「もう普通校の大会に出たくない」という声。「何とかならないか」と陸上関係のつてで、スポーツ機器製造販売を手掛ける「ニシ・スポーツ(江東区)」を紹介しもらい、開発を提案。

国際大会で使われる外国製の装置は既にある中、大きく足元で邪魔になる外国製品から手のひらサイズの試作を重ね、国内の他、海外での国際大会にも出向き採用を訴えてこられました。そうした努力が2016年世界ろう者陸上選手権等で採用され、デフリンピックでは昨年のブラジル大会で初めて使われました。

竹見さん達はデフリンピック 東京大会の採用も含め、全国の障害者スポーツ大会でも採用されるよう要望されています。

「コンマ1秒が勝負の短距離で、スタートは重要です。一般の大会で聴者と並んで走る場合、合図は新盤の声とピストルの音のみ。聞こえない選手は周りの様子から判断して出る為、遅れてしまいます。光により装置があると不利な条件がなくなります。」との事。

装置はピストルなどスタートを合図するケーブルで接続するほか、有線でつながなくても使えるよう、音に反応して光センサーも付いています。ランプが9台入ったフルセットは319万円と高価で、導入 自治体は栃木県、宮城県、仙台市にとどまります。

また現在陸上競技以外にバレーボール、バスケットボールなどの競技に使用する「見えるホイッスル(光刺激合図伝達装置)も開発されています。

伺った要望について、スポーツ庁等とに確認しながら、対応を進めてまいります。大変有意義な取組みに感銘を受けました。ありがとうございました。

【デフリンピック】
 五輪やパラリンピックと同様、4年に1度夏季・冬季大会が開かれる世界規模のろう者スポーツ大会。1924年に世界初の障害者スポーツ大会としてパリで始まった。国際オリンピック委員会(IOC)に名称使用を認められ、2001年から正式に現在の名称に。昨年9月の国際ろう者スポーツ委員会総会で、次回25年夏季大会の開催地が東京都に決定。
日本で初開催となる。