参議院 総務委員会 第15号 平成29年5月30日

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 今日は、四人の参考人の皆様、大変貴重な御意見、御提言をいただきまして、感謝を申し上げる次第でございます。
 森富山市長におかれましては、二〇一二年、参議院の文教委員会の視察におきまして、ちょうど富山のライトレールを視察したりとか乗車させていただいて、また小中一貫教育を実施している芝園小・中学校という民間委託のところを訪問させていただく等含めまして、大変お世話になりました。ありがとうございました。
 それでは、地方自治法改正の中で、特に監査制度の充実強化という点を最初に森参考人と江藤参考人にお聞きをしたいと思います。
 今回、監査委員の選任ということで、自治体の判断によって条例を定めることで議員のうちから監査委員を選任しないことも可能という内容がございます。議選監査委員の選任の義務付けの緩和ということでございますけれども、その見解といいますか、実際、富山市でも二人の方が今選任をされているということで、今後こうしたことに関してどのようなことを思っていらっしゃるかというのが森参考人でございます。
 そして、江藤参考人は、そのことも含めまして、この監査委員の専門性の向上をどう図っていくかとか独立性の確保をどう担保していくかということも含めて、この監査委員の制度の問題点についてお聞きをしたいと思います。
○参考人(森雅志君) これも若干答えにくいんですが、全く個人的な見解としては、議選の監査委員を置くか置かないかはその自治体によって決めると、条例化するというのは極めて妥当ではないかというふうに思います。
 それは、実態を見ると、議会の中の人事とは申せ、最もこの監査能力が高いと思われる人が必ずしも議選の監査委員になっているということにはなっていない自治体が多いと思います、一つのポストになっている部分がありますので。しかし、それはそれで大事なんだという考え方も否定できませんので、それをそれぞれの自治体ごとに判断していくということが妥当ではないかというふうに思います。
 私は、それよりも、監査委員に補佐人を付けるとかそういう制度をつくっていく方が監査能力は全体として高まっていくだろうというふうに思っています。
○参考人(江藤俊昭君) 独立性、専門性の議論があるんですが、その前に、議選についてというのを私先ほど言いましたけれども、すごく識見だけでしっかりと監査ができるかどうかという議論の中で、やっぱり議選という役割も本来は果たす重要なものではないだろうかというふうには思っています。それをそれぞれの自治体で議論するというのが今お話しのように大事なことかなというふうに思っています。
 ただ、根本的なことを言いますと、やはりその専門性、独立性の議論との絡み合いで、議選がいながらも、首長が任命権者になっていて、その首長をしっかりと監査できるかどうかという根本的な問題は確かにあると思うんですね。それは今回の法改正ではありませんので、これはちょっと一応おいておきますが。
 今の議論の中で、専門性そして独立性の議論の中で、専門性については、私は大都市部と地方との関係から考えると、やはり大都市部というのはそれなりに公認会計士だとか税理士とかがいて、ある程度そういうところに委ねていく、これ、識見というのはあり得ると思うんですけれども、地方に行くと、その人材というのがなかなか育っていない。そういう中でどういう人をそこに位置付けていくかどうか。人探しなんですね。だから、そういう意味では、職員OBとか議員OBとかあるいは議選の議論とかという議論の中で考えていくというのがまず一つですね。それと同時に、今回制度化されました監査の専門委員というんでしょうか、こういうものを活用しながら、恒常的ではなくて、そういうふうな人たちの意見を踏まえながら行うような専門性を増していく、今後こういうふうな議論が大事じゃないかというふうに思っています。
 同時に、先ほど独立性のがありましたけど、根本的な問題はともかく、やはり監査委員の自立性ということであれば、今回監査委員で監査基準を明確にしていく、これをほかのところとも比較ができるようになっているということですから、これに沿いながら行うということであれば、少しはこの独立性という議論というのは進むのではないかというふうには私は期待をしています。
 以上です。
○山本博司君 ありがとうございました。
 江藤参考人に引き続いてお聞きをしたいと思うんですけれども、今、人口減少、高齢化、過疎化がどんどん進んでおりまして、私は四国なんですけれども、四国で高知県の大川村が、町村総会、人口四百五名で高齢化率が四四%ぐらいのところ、今定数六でございますけれども、ここで、要は議員のなり手等がいなくて、実際、町村総会を検討していくようなことが今議会で動いております。
 毎日新聞の調査では、議員定数十未満で百五十四の町村の議会の議長の約四割が、議会を廃止して有権者が直接予算案や条例案を審議する町村総会に移行することも将来検討する可能性があるということで、今日も読売新聞で特集をされておりましたけれども、この町村総会に関してどう考えるかということと、それから、今議員のなり手がいない、不足しているという、この解消する方策ということでお聞きをしたいと思いますけれども。
○参考人(江藤俊昭君) 地方自治の観点からこの住民総会をどう議論するか、なかなか短時間では議論できないんですが、総務委員会としては是非、地方自治法の場合は九十四条で住民総会が設置することができる、これは議会に代えてという限定があります。それから、九十五条で、しかもその運営については議会の運営を準用すると入っているんですね。これ、使いづらいんですね。本当にその住民総会というのをかじを切るとすれば、ここを改正しない限り恐らく無理だろうというふうに私は思います。
 その上で原則的なことを言いますと、民主主義というのは議論する場の設定なんですね。大川村の有権者は四百弱だと思いますけれども、これを半数住民が集まって本当に熟議というのが、しっかりした議論ができるのかどうなのかと。
 日本の場合は世界と違いまして、多様な公共サービスを担っているわけですね。そうすると、一年中住民総会を開いているわけにはいかない。そうすると、ある程度の議論をする空間が必要になってくるのではないでしょうかということで、私は住民総会否定派ではないんですけれども、そういう設計ができるかどうか。さらには、技術的な問題として、定足数過半数ということで、そういうふうな高齢者を含めて半数が集まるかどうか、これ、是非検討、慎重にというんですかね、検討した方がいいかなというふうに思っています。
 なり手不足の議論からこういうふうな議論が果たしてできるかどうかと。私は、今、町村の中で、町村のレベルでいうと二〇%が無投票当選者数ということで、これ、まさに、このなり手不足を解消していかなきゃいけないということは民主主義にとって大事だというふうに思っています。その場合、やはりその議会の魅力なんですね、議員になったときの魅力、従来の口利きとは違う議会の魅力というのを有権者、住民の前に示さなきゃいけない。そう頑張っている議会、たくさんありますね。
 それからもう一つは、御存じのように、例えばなり手不足の町村においては、議員報酬月二十万ということなんですね、二十一万ですけれども。そういう中で、議会の役割が高まっている中で、そういった条件が本当に整備していかなきゃいけない、それでできるかどうかも含めて考える、そういうことを考えるいい機会としてこの住民総会の議論を私も活用したいなというふうに思っています。
○山本博司君 ありがとうございます。大変大事な課題であると思いますので、ありがとうございました。
 それでは、森参考人にお聞きしたいと思います。
 今、この行政改革の様々な取組ということでお話をいただきました。そういう中で、包括外部監査、これを行っておられるということもございましたし、その課題とか、あと、先ほどの窓口の部分で、さわやか窓口推進運動ですか、お話がありました。その始めた経緯と、それからあと、この窓口業務の意義といいますか、このことを、今やっていらっしゃることを含めてちょっと御見解をいただきたいと思います。
○参考人(森雅志君) 中核市ですので、包括外部監査は義務付けられておりますので、当然、制度が始まったときからずっとやっております。公認会計士の先生は、その包括外部監査人によりますが、六人から八人ぐらいの補佐人的な人とセット、チームで監査をいただいていますので、かなり広範な分野に監査を受けますので、緊張感も生まれて大変いいというふうに思います。会計監査、業務監査含めてですが、いろいろ指摘をいただくことは毎年ございますので、当然ながら、それについてはきちっと改善していくということが責務だろうというふうに受け止めますし、組織としてもそういう対応をしてきております。殊更現時点でここに課題があるかと言われると、余り感じません。
 それから、職員の接遇その他につきましては、先ほども言いましたが、私は基礎自治体はフェース・ツー・フェースが原則だと思います。全国の自治体の流れは、ワンストップサービスにするとか出先を統合するとかインターネットで入ってくるとか、様々な取組が進んでいますが、最後はそこへ行かざるを得ないとは思いますけれども、財源的にですね、しかし、やれる範囲はきちっと職員と市民とがフェース・ツー・フェースで仕事をやっていくということは大変大事だというふうに思います。
 介護保険法の地域包括支援センターも三十二か所あります。八割の人は二キロ以内に住んでいますので、保健師が巡回するといっても自転車でできるくらいの対象者のエリアです。そのように、とにかく一番基礎的な行政サービスというものはきちっとやっていくということが大事だという思いでおります。
 一方、市町村合併によって重複した施設についてファシリティーマネジメントをやっていくということは、それも合併の大きな狙いだったというふうに思っていますので、合併して縁周部を切り捨てるという視点ではなくて、重複した機能を一つにしていくということ自体は避けて通れないですし、やるべきだろうというふうに思っています。したがって、そういう意味ではかなり苦労しながらやっているというふうに思います。
 それから、先ほど中山先生のお話の中に行革をやって公共事業の財源つくるというふうな御指摘がありましたが、いささか驚きまして、そんな思いは全く持っておりません。結果としてそういうふうな視点で見ることができることが起きてくるかもしれませんが、行革は行革ですし、基礎的な住民サービスはちゃんと守るということはいつも意識していますので、最初に行革ありき、人減らしありきというふうなスタンスで仕事をすべきではないというふうに思っています。
○山本博司君 以上で終わります。ありがとうございました。