参議院 災害対策特別委員会 第8号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 今日は初めに、被災者生活再建支援金についてお伺いを申し上げたいと思います。
 これから仮設住宅の建設が進んで、避難所での生活から新しい生活を始めると。その意味で、手持ちの生活資金、ますますこれは重要となってまいります。被災者生活再建支援法に基づく支援金の支給、また全国の皆様から真心から義援金をいただいているわけですけれども、それを手元にお届けする、これが第一歩であると思います。
 そこで、この生活再建支援金の週間ごとの支給の進捗状況、そして義援金の主要県別の支給状況について、厚労省、内閣府から御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(原田保夫君) お答えを申し上げます。
 支援金でございますけれども、支援金につきましては、これは都道府県から委託を受けて財団法人の都道府県会館が支給業務を行っております。
 この申請と支給の件数、状況でございますけれども、一回目の支給を行いました四月二十八日まで千五百十四件の申請がございまして、二百三十九件を二十八日に支給をしております。それから、二回目の支給がありました五月十三日までの間で、四月二十九日から七千二百七件の申請がありまして、五百三十四件を支給をしております。それから、五月十四日から三回目の支給を行いました五月二十日までの間で五千七百二十六件の申請がございまして、五百八件を支給をしてきたところでございます。
 なお、三回目の支給後、五月二十四日までに四千三十三件の申請がございまして、千二百四十八件の振り込み手続が行われておりまして、これにつきましては二十七日に入金の予定というふうに承知をしております。
○政府参考人(清水美智夫君) 義援金につきまして私の方から御説明を申し上げます。
 日赤等が義援金を受け付けているわけでございまして、二千億円を超えているわけでございますが、そのうち七百二十億円が被災しました都道県に送金されてございます。
 都道県では、その管轄下の百八十三市町村に対しまして二百八十一億円送金しているということでございまして、市町村におきましては、百五の市町村におきまして六万二千件、二百六億円というものが被災者のお手元に渡っているというのが全体像でございますが、各県別で言いますと、岩手県では十九市町村、五千六百件、十七億円が被災者のお手元に、宮城県では十八市町村、四千五百件、十三億円が被災者のお手元に、福島県では二十六市町村、四万九千百件、百七十一億円が被災者のお手元に配付されているということでございます。
 義援金の支払が遅いではないかという御指摘をいただいてございます。私どもも、義援金につきまして、被害の全容が分からなくとも一部からでもお支払いいただきたいと市町村にお願いしてございます。また、弔慰金と別になってもいいから義援金だけでも早期に配付したらどうかというふうなお願いもしてございます。
 また、大臣からの指示もございまして、やはり現場で実際何が問題になっているのかよく実態を把握するようにという指示がございましたので、総務省の本省の人間と私どもの本省の人間が今週末、来週初めに現地に行って、いろいろと市町村等の滞りの実情、問題点などを把握するという予定にしてございます。
○山本博司君 まだまだ被災者の方々の手元に届いていない、スピードが遅いというのが実態でございます。
 義援金に関しましても、岩手、宮城は十七億円ぐらい、十四億円ぐらいという実態で、百億、二百億と来ているわけですけれども実態そういう状況であるわけでございますし、この生活再建支援金に関しましては、約一万八千件が申請されているにもかかわらず、今週の金曜日でやっと二千九百件ぐらいが支給されているという実態でございます。
 やはり被災者の方々も着のみ着のままで、一刻も早く手元資金が欲しいと、こういう状況をどう改善するかということが大変大事であるわけでございます。それで、この生活再建支援金に関して絞ってお聞きをしたいと思います。
 まず最初に、この生活再建支援金、手続的に簡素化をしてスピードアップしていくということで、住民票がなくてもいい、また罹災証明書の手続を簡素化する、また液状化の被害認定新基準、公明党も様々提言をして改善をされました。
 そして、津波被害という特殊性からも、住宅浸水地域、長期避難地域、こういうことで罹災証明がなくても支援金の申請は可能となってきているわけですけれども、ただ、この長期避難地域の指定、県が決定をすることになっておりますけれども、国が長期避難地域と定めて構わないとする地域、この一覧を各県に案内をして進めているわけですけれども、現時点で気仙沼市、多賀城市、女川町しかまだ指定がされていないという現実がございます。
 やはり、罹災証明がなくても被災者の生活再建支援金が受給できる制度、せっかくつくったのであればその制度を生かす、これが大事だと思いますけれども、認定を進めるための取組、このことをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(原田保夫君) お答え申し上げます。
 長期避難世帯に関するエリアの設定でございますが、これにつきましては、今回の津波被害についてはこういった仕組みを活用するようにということで、四月十二日に三県にお示しをしているところでございます。これにつきましては、基本的には都道府県がするということでございますので、一義的には都道府県にその具体的なエリア設定については任せるところでございますが、こういった状況でございますので、我々は参考のためにということで具体的なエリアを一覧表としてお示しをしたということを併せてやっております。
 これを受けて、先ほど御指摘ございましたように、宮城県で気仙沼、多賀城、女川町で合わせて約一万世帯が長期避難世帯として認定されるという見込みでございます。それから、今後、岩手県でも近々に順次この設定がされるというふうに聞いているところでございます。福島県につきましても現在検討していただいているということでございます。
 我々も引き続き県などに対して働きかけてまいりたいと思いますが、一方で、多少実情を申し上げますと、これは基本的に県も市町村の意向を聞いてエリアを設定するということでございまして、一部の市町村で、一部に慎重な御意見もあるようでございますので、我々もいろいろ県に丁寧に御相談に乗りながら、今後こういった長期避難世帯の認定について積極的に働きかけてまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 皆様のお手元にこの支援金支給ということの流れがございます。まず、被災者の方々は市町村、都道府県を通じて申請をするわけですけれども、その申請のスピードを上げるということで、簡素化であるとか、また自治体の機能が喪失したところはやはりどんどん人を派遣して体制を整えていくということが今されているわけですけれども、今大きく先ほどの進捗状況を見ても問題になっておりますのは、市町村、都道府県から送った先がこの被災者生活再建支援法人、財団法人都道府県会館で処理をして、そして被災者の方々に支給をするという形でございます。
 通常これは二週間でやっていくというのが形でございますけれども、御存じのようにこの部分は委託をしておりますから、昨年までこの基金部という方は二人しかおりませんでした。入力される方は一人。昨年一年間で約八十件、年間八十件、三億円の処理という形ですから、今回、約数千億円の規模で十万件以上の処理をこの母体がするということですから、当然これはもう未曽有の事務作業が発生をするということですから、ここの事務作業が滞らないようにしていただきたい。これは再三ゴールデンウイークの前の予算委員会でも、石井政調会長とかまた木庭幹事長が松本大臣にも申し上げた形でございます。
 ですから、増員をしていくという形で取っていかれたわけですけれども、実際、五月九日に入力のオペレーター六人採用されまして、今七人で端末を打っていらっしゃいます。ところが、今打たれているのは、先ほどありましたけれども、一週間で約千二百四十八件、大体一日二百五十件、七人での入力の作業でございます。今、一万八千件以上、昨日も、昨日一日の状態確認しましたら、約二千九百件、段ボールでどんと来たそうでございます。一昨日も二千七百七十件。ですから、どんどん今ピークになっているわけですね。
 ですから、じゃ一万八千件を一日三百件で何日掛かるか。六十日間です。土日やっていません。九時から六時までしかやっていませんから、そうすると三か月。五月中にその申請された方が支給をされるのは八月の末か九月末。これ当然怒りますよね。二週間でやるべきだというふうに、もっと早くしろというふうに言っているのに、今の状況では全くそれが見えていない。ですので、昨日、知事会の山田会長が公明党の山口代表に、こうした未曽有の事務作業に関して国が支援をしていただきたい、このことを申入れがありました。岡田幹事長にも、また谷垣総裁にも、それぞれ言ったそうでございます。
 そういう意味で、一日も早い支給をしていくために、大臣はピーク時を想定して人を増やすというふうに発言をされたわけですから、どうされるんですか。
○国務大臣(松本龍君) 先ほど、長期避難世帯の話といい、これも三月の発災の一週間後ぐらいから、罹災証明の手続の迅速化、簡素化という点でうちの内閣防災もしっかり頑張ってくれまして、罹災証明の一か月掛かるのを五分でできるようにしたところもありますし、そういう意味ではこっちの迅速化は図ったんですけれども、今、山本先生御指摘のとおり、ピーク時にしっかりやらなければならないという問題意識はずっと四月から持っておりまして、事あるごとに言っております。
 今、人員を都道府県会館の体制につきましては四名から十二名に増加するなどの事務処理体制の強化が図られておりますけれども、御指摘のとおり改善後でも十分ではないと考えられますので、第一次補正予算の成立後は支援金支給のための迅速な処理を行うよう繰り返し要請を行いましたし、あわせて、データ入力等による人員の増強、改善方法を提案をしております。何度も何度も、これからピーク時に向けて、あらゆる手だてで国ができることをやっていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 大臣、政務官はこの現場に行かれましたでしょうか、都道府県会館に。
○国務大臣(松本龍君) 今日ちょっとお会いをしますけれども、様々、現場には先生行かれたと思いますけれども、私は行っておりません。
○山本博司君 やはり実際そういう、平時で本当に一名、二名でやっていた作業を、もう十万件以上のものが、毎日段ボールがどんどん届いてくる。そして、現場へ行きましたら、その六人の方の入力する場所といっても、本当に受付のところに間仕切りで四人の方が、女性の方がいらっしゃる。あとの三台のところはみんなで作業をしているような環境で、毎日電話が掛かってくるわけです。それも、様々な苦情の電話も入ってくるそうでございます。そういうやり取りの中で、本当に入力専門でやるような環境じゃまずないんです。
 そして、実際、このシステムが難しいのかといったら、簡単なんですね。名前と住所と振り込みの口座と、あと金額を入れていく。そこに住民票とか通帳の写しとか罹災証明書、もう既に添付されていますけれども、市町村とかが全部チェックされていますから、言っていらっしゃいました、ほとんどもう掛かるのは入力時間です、入力。その端末も、三世代前のXPの非常に古いソフトで動かしていらっしゃいます。
 ですから、現実的に、例えば二万件とか三万件がもう処理的に必要な段階ですから、これは一気に百人とか二百人とか人を導入して、機械を設置して入力をしていく。今も土日はやっていないわけですし、いろんな方法でもってやるべきだと思うんです。
 同じように、仮払いで四月に東京電力、賠償金の仮払い処理始めました。百万円ということでこれ始めたわけですけれども、これは当初二十人ぐらいの職員でやっていたわけですけれども、もう大量に四万件ぐらい、実際五万件以上来るそうでございますので、対応ができない。それで急遽三百人、人を動員をして、それで一日四千件処理したそうです。そして、その日にその支給、口座に振り込んでいく。今実際、これも月三回だったのが月四回なんですよ、この振り込んでいるタイミングが。それも遅いじゃないですか。そういう様々な問題、これもやはり官房長官が四月二十八日に東電に仮払いを直ちにやりなさいと指示をしたわけです。リーダーシップですよ、大臣の。
 松本大臣、実際そういう部分でこの問題、大変もう滞っているという実態を何としてもやっていくんだという形でやっぱりやるべきじゃないですか。
○国務大臣(松本龍君) 支援金の話ですね。
○山本博司君 そうです。
○国務大臣(松本龍君) はい。努力します。しっかりやります。
○山本博司君 非常に冷たいですね。被災地の方は着のみ着のままなんですよ。やっといろんな手続を終えて申請したんですよ。ところが、お金が来ないんですよ、一か月たっても二か月たっても。そういう状態を一体ほっておくんですか。松本大臣は生活再建の対策本部の中心者でした。今はチームのリーダーですよ、責任者なんです。阪神大震災のときも経験されたと言っていらっしゃる。何でそういった形のことをやらないんですか。
 私は現場に行って、もう皆さん大変ですよ。現実、もう本当に困っていらっしゃいます。そういうことに相談に乗っていただいて、支援をする体制をやっぱりしっかり決めていただきたい。六月には支給できるように、今のままで行くと全くどんどんどんどんなし崩しになって支給ができないと思いますので、その点をお願いをしたいと思います。
 もう一点、生活再建支援金に関しまして、第一次補正予算で五百二十億円が予算計上されておりまして、十万世帯分の支援金が確保されました。これは基礎支援金でございますので、今後住宅の再建が進めば加算支援金の支給も必要となってまいります。ところが、現実的にはまだまだそれも一千億しか予算計上をされておりません。
 知事会の山田会長からの要望書の中にも、基金残高の五百億円の十倍にも匹敵する数千億円の支払が発生すると。その意味で、この制度の趣旨に沿うにはもう不可能である、是非とも国の負担割合を引き上げるべきではないかと。今、二分の一になっておりますけれども、激甚災害でも国が九割を負担をします。そういう意味では九五%に引き上げてほしいということ、また地方の負担額は現在の基金残高にすべきであると、こういう要請も受けております。昨日、岡田幹事長もそのことを受けていらっしゃっております。
 さらに、一千億円ということを考えますとまだまだ足りませんので、第二次補正、これに入れるべきだと思いますけれども、こういうことも含めた大臣の見解をお聞きします。
○国務大臣(松本龍君) 御指摘の点、しっかり受け止めておりますし、五百三十八億の基金そして五百二十億の第一次補正で一千億用意をいたしております。当然この金額では足りないというふうに思っております。そういう意味では、知事会から負担の割合を見直すという話がありましたけれども、これも平成十年にできたいわゆる被災者生活再建支援法の趣旨に沿って様々いろんなことが考えられますし、いわゆる各県の相互扶助という形もありますから、こういう問題提起も受けまして、総務大臣、財務大臣等々としっかり話をしていきながらやっていきたいと思いますし、しかし、いわゆる被災者生活再建支援金の百万基礎支援金、二百万の加算支援金、しっかり満額支給をしてまいることは当たり前のことだというふうに思っておりますので、やらせていただきたいと思います。
○山本博司君 大変大事な視点でございますので、しっかり検討していただきたいと思います。
 最後に、松下副大臣、大変申し訳ありません、原発の話ができなかったんですけれども、一点だけ。
 私もあの伊方原発、二十キロ圏内に両親の実家がございまして、先日も公明党の愛媛県本部で視察をさせていただきました。先ほど友近委員からもございましたけれども、運転再開の問題、やっぱり地元の了解は法手続上必要がありませんので、ただ、地元の了解がないとなかなか再稼働が難しいという現状がございます。
 この原子炉の再開等に関して、やはりしっかり運転再開の基準であるとか、しっかり設けていかないといけない、それがやっぱり地元の方々の要望でございます。その取組を最後にお聞きしたいと思います。
○副大臣(松下忠洋君) 当然、安全基準をしっかり示して、こういう形でやるということは示さなきゃいかぬと思っていますし、地元に対してもこれは徹底的に理解いただくための努力をしなきゃいかぬ、そう思っています。もう既に始めておりますけれども、単なる首長さんとか市議会、議会の了解を得ればいいということだけではなくて、いろんな形がありますけれども、市民の方たちにもしっかりと納得いただく形はしなきゃいかぬと、こう考えています。努力します。
○山本博司君 以上で終わります。