参議院 災害対策特別委員会 第4号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 質問に入ります前に、今回の大震災におきまして多くの方が亡くなられまして、心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。また、被災された多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。
 本日は、災害対策特別委員会ということでございまして、被災された方に対しましての生活再建支援、また仮設住宅などの住宅供給体制につきまして絞ってお伺いを申し上げたいと思う次第でございます。
 この東日本大震災、発生してから一か月が経過をしております。いよいよこれから仮設住宅の建設が始まるとともに、公営住宅とか様々宿泊施設等に移転をされて、避難所の生活から新たな生活という形で始める方々が増えているわけでございます。こうした状況の中で、まだ避難所生活、十五万人近い方が避難所生活をされております。この方たちが一日も早く自立するための支援というのが大変大事になってまいります。
 そこで、被災された方々の救済の第一歩ということになりますのが先ほどもございました被災者生活再建支援法でございます。この支援法では、豪雨とかまた地震とか津波、それに対しまして壊れた住宅を対象にして三百万から五十万と、こう支援金が支給をされるわけでございますけれども、この支援を受けるには、まず市町村から住宅等の被害認定を受けて罹災証明書を発行してもらう、これがまず大事でございます。
 ところが、こういう市町村の中には自治体機能も消失している部分がございまして、県が代行するということも含めて罹災証明書の発行を迅速に対応することが大事でございます。こうした被害状況に関しましては、原則、市町村の職員が現地を確認をするということが基本になっていますけれども、調査を簡素化するために航空写真からの判断ということも伺っております。
 そこで、この罹災証明書発行の迅速化に向けての具体的な取組、このことをまずお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(小田克起君) 罹災証明書を早急に発行するためには、その住家の被害認定、これを速やかに実施することが必要でございます。そのためのいろいろな手続の簡素化、簡便化というものを行ってございます。
 先ほど先生から御指摘がございました航空写真を活用したというのもございますが、さらに衛星写真の活用まで広げてございます。また、従来は家屋の各部位の損傷を数値化して判定するといった手法を取ってございましたけれども、今般は外形から、目で見て、イメージ図などを活用して簡単に判定できる方法を取ること、これも認めてございます。
 それから、津波浸水区域におきまして、四隅に立地する住宅のサンプル調査を行いまして、津波によりおおむね一階天井まで浸水したことが一見して明らかだというような区域につきましては、その当該区域内の全ての住宅を全壊として判定するといった、そういった判断の簡便化といった措置を講じているところでございます。
 こうしたことにつきましては被災自治体に通知をしてございますし、また自治体の職員等を対象にした研修会でも周知をしているということでございます。
○山本博司君 この罹災証明書の発行の説明会等が四月の初旬から各地方自治体で始まっていると思いますけれども、まだまだ周知が徹底されてないという形で知らない方も多いというふうにお聞きをします。早く発行するということが第一歩でございますので、この点よろしくお願い申し上げたいと思います。
 そして、この被災者生活再建支援法、今、原発事故の避難者には適用されておりません。震災被害の被災者だけでなくて、今福島第一原発から屋内退避勧告をされている方々に対しましても、この被災者生活支援法の支給対象とすべきではないかと考えるわけでございます。
 ちょうど平成十二年の三宅島噴火に際しまして全島避難指示が発令をされました。その際にはこの被災者生活再建支援法が適用されまして、長期避難世帯と認定をされて支援金が支給されたわけでございます。
 こうした例に倣って、今全くいろんな意味での支援が非常に遅いということもございますし、早く対応するためにもこうした原発事故のこういう避難住民に対しても支給対象とすべきと、こう思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(松本龍君) 先ほどの罹災証明の発行の迅速化、簡略化は、私も早くから指示をして今取り組んでいるところであります。長期避難者に着目をした制度も今取り急ぎやっておりますので、御了承いただきたいというふうに思います。
 この制度、委員も先刻御承知だと思いますけれども、自然災害により住宅が全壊等の被害を受けたものに対して、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用して支援金を支給する制度であります。御指摘の点については、避難の原因が原子力損害によるものであれば、原子力損害の賠償に関する法律により適切な損害賠償の措置が講じられるものと考えております。
 なお、原子力災害により長期避難している世帯であっても、地震や津波により住宅が全壊するなどの被害が生じたものについては、被災者生活再建支援法に基づいて支援金が支給をされるものと考えております。
○山本博司君 原賠法に関しましても一時金が払われる、これは早急に支払われないといけないと思いますけれども、こうした自然災害に起因する被害ということも含めて、是非ともそういう面での対応ということも検討をお願いをしたいと思います。
 そしてもう一つ、先ほど若林委員からも話ございました、この支給額の最大三百万ということに関しましての額を上げていくということ、この点に関しましてもやはり大事ではないかと思います。いろんな連合とか地方自治体、様々な要望が出ていると思いますし、枝野官房長官もこうした支給額の増額とか適用条件緩和ということは前向きに検討すると、こうした発言もございました。やはりこれはもう政治決断という形になるわけでございますので、是非ともこれは増額ということも含めて検討をいただきたいと思います。
 また、この適用条件の緩和といいますか、昨日、茨城県とか、また千葉県の液状化、こうした建物が傾いていることに関しましても新しい基準の見直しということも考えるというふうなことを市長に表明されたということもございますけれども、この点も含めて、基準額の増額とまた新しい基準ということも含めたこの二点をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(松本龍君) 先ほども若林委員にお答えを申し上げましたけれども、個々の被災者に着目した場合、中越沖でも昨年十月二十日の奄美大島の豪雨のときでもやっぱり三百万ということで、公平性に着目をすればなかなか難しい課題であるというふうに思っております。
 御指摘のとおり、今回の災害は本当に範囲としても規模としても今までに前例のない災害であります。そういう意味では、迅速に取り組んでいかなければならないというのは委員の御指摘のとおりでありますけれども、基金の問題等々もありますし、今五百三十八億円基金の中では残っております。そういった中で、補正で我々がどうやってこれに対応していくのかということもしっかりやって取り組んでまいりますけれども、先ほど申し上げました様々な支援制度との総合的なバランスを勘案していきながら慎重に対応していく必要があると。
 三百万以上という状況に対しては、私はなかなか今厳しい状況の中で検討をするというふうにしか言えません。そういう意味では、今御指摘のありました被災者生活再建支援法、迅速化そして簡略化に向けて今鋭意努力をしているところであります。
○山本博司君 液状化の基準ということに関して。
○国務大臣(松本龍君) 液状化の問題につきましては、昨日、茨城県の様々な市長さんあるいは町長さんからお話をお伺いをしました。確かに私も、六年前、福岡で地震が発生をして、液状化の問題深刻でありました。
 そういう意味では、基準の見直しというよりは、もう一度、いわゆる半壊、損壊とか全壊とかいろんなあれがありまして、私も一度見せていただきましたけれども、一センチ五ミリぐらいある本で、なかなかそれが難しいといいますか、いろんな条件がありますので、そこのところはしっかりこれから事務方を通して、液状化の状況をまず見るように、そして私もできたら見に行きたいと思いますけれども、どういう家屋の状況になっているかということも含めて、もう一度調査をしていきながら、基準の見直し等も含めて勉強させていただきたいというふうに思っております。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともそうした検討も含めてお願いをしたいと思います。
 じゃ、最後にもう一問お聞きをしたいと思いますけれども、この被災者生活再建支援法、被災者の方々の生活再建の第一歩であるわけでございます。今回は、大津波に襲われて本当に着のみ着のまま、命からがら避難された方々に対しまして速やかに支給をすることが安心につながってまいります。政府では現在補正予算での議論をされておりますけれども、思い切った支援策を提示するということが大変重要でございます。被災者の方々の側に立ったきめ細やかな対応をできるだけ早期に、支援金も含めて支給すべきと考えます。この点の大臣の決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(松本龍君) 今御指摘の点、非常に大事なことだと思っておりますし、被災者生活再建支援法につきましては、その手続、罹災証明からずっと、住民票あるいは振り込み先等々の手続が物すごく長いという指摘が発災当時からありましたので、そこのところの迅速化、簡略化を今進めているところであります。
 そういう意味では、先ほど言いました罹災証明書の代わりに全壊であることが確認できる写真の添付でありますとか、あるいは避難しておられる方々に着目をして、長期避難エリアを設定して、その居住地域に住む者について罹災証明の取得を不要化にしていくとか、様々今取り組んでおりますし、昨日、その点でガイドラインを各自治体に御相談を申し上げたところであります。
 そういう意味で、簡素化、迅速化は喫緊の課題でありますし、一日も早く、申請があれば速やかに事務処理方法の改善や事務処理体制の強化に最大限努力をしてまいりたいと思います。申請があれば速やかに支給できるように努力をしていきたいと思います。
○山本博司君 是非とも速やかな形での対応をよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、住宅供給に関しましてお伺いをしたいと思います。
 避難所生活から自立されるような支援という意味では、次の段階、住宅の確保が緊急の課題でございます。避難所の方々のアンケートの中でも、今後の生活で最も心配なことの第一番が住む場所でございます。阪神大震災のときのピークでも四万八千戸が用意をされました。今回の震災では各自治体から六万二千戸余りの仮設住宅の建設要請があったということでございます。大畠国土大臣も三月十四日に住宅生産団体連合会に対しまして、おおむね二か月で応急仮設住宅を三万戸供給できると、こう要請をされました。また、四月五日には、更にその後の三か月で三万戸、合計震災後半年で六万戸の建設の目標をされていると、このように認識をしております。
 そこで、初めに、現時点での仮設住宅の着工の状況を教えていただきたいと思います。
○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
 仮設住宅の着工につきましては、昨日までの数字でございますけれども、岩手県で三千七百五戸、宮城県で四千三百八十五戸、福島県で二千六百四十七戸、千葉県で二百三十戸、栃木県で二十戸、合計百三十地区、一万九百八十七戸の建設が着工又は確実な見込みで着工予定ということになってございます。この数字は、一週間で四千七百五戸、この一週間増えておりまして、着工が促進される状況になってきたというふうに考えております。
○山本博司君 この目標に対しましていろいろな皆様、関係者の方が御努力されておると思いますけれども、まだまだこのペースが遅い。その大きな要因というのは、やっぱり用地がなかなか確保できないということが言われております。浸水された平地では厳しいので、高台といってもなかなかまとまった用地がないとかですね。南三陸町でも、人口一万八千人で今八千人近くの方が避難所生活をされて、約三千五百戸から四千戸ぐらい必要だということに関しましても、実際千戸ぐらいしか現状まだ建っていないという。
 自治体の方々、大変苦労しながらこうしたことをやっていらっしゃいますけれども、この用地の確保策に関して今どのような取組でございましょうか。
○政府参考人(井上俊之君) 用地につきましては、県から報告を受けましたところ、岩手県が一万二千戸、宮城県が一万戸、福島県が四千戸、合計二万六千戸については現時点でめどが立っているというふうに伺っております。
 また、なかなか沿海部では用地がないというようなことで、内陸部も含めますと更にかなりの用地が確保されている状況だというふうに聞いております。これにつきましては、被災者の要望等も踏まえながら被災地周辺で用地を確保するというのがまず基本になると思いますので、大量の住宅供給ということと用地の確保というのが、どうギャップを埋めていくかということが問題になると思いますけれども、現在、各市町村と十分調整をして進めているというふうに伺っております。
 公用地が多いんですけれども、都市公団、都市機構あるいは鉄道・運輸機構、中小企業基盤機構等の用地、あるいは民有地も含めまして使える土地はできるだけ使っていくということで進めているというふうに理解をしております。
○山本博司君 現状、大変今御苦労されながらの推進だと思いますけれども、やはりこの点、用地を確保するために地方自治体の方、県と協力し合って国がリーダーシップを取っていただきたいと思います。
 もう一つ大きな仮設住宅の建設の課題というのは、住宅の建設資材の不足ということが指摘をされております。昨年の夏以降の住宅版のエコポイントの活用とか、様々住宅建設が増えたということがございますけれども、また震災によって生産の拠点の東北地方の停止ということが追い打ちを掛けていると、このようにも言われております。今、政府では各省庁が連携をして緊急の調査を行って対応をしているということでございますけれども、この点も御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(井上俊之君) 御指摘のように、地震の発生に伴いまして仮設住宅の大量供給を求めたという一方で、資材関係の工場が被災を受け、あるいは輸送が滞ったりということで、資材の不足について懸念する声が多く寄せられておるところでございます。国土交通省それから経済産業省、農林水産省、環境省、四省庁合同で対策会議を設置するなど、連携して必要な対策を講じてきたところでございますけれども、三月末に緊急調査を行いました。
 一例でございますけれども、例えば構造用合板につきましては、被災地以外での工場のフル稼働によりまして、四月以降は震災前の生産量に戻るんではないかと。あるいは、断熱材のグラスウールにつきましては、被災工場の再開や、あるいは輸入の拡大、こういった措置でこれは四月の下旬ごろからは平時の供給量を確保できるというような調査結果が出ておりまして、少し、まだ四月末というようなこともございますけれども、時間をいただければ供給量自体はだんだん平準に戻っていくんではないかというふうに理解しております。
○山本博司君 この資材の問題といいますのは、仮設住宅だけの問題ではなくて、私は四国でございまして、四国の住宅メーカーとか建設業、様々こうした同じように資材が回ってこないと。大手のハウスメーカーに資材が行ってしまって、中小零細企業になかなか回ってこなくて納期の確保ができないということも、大変切実な声もお聞きをしております。そういう意味で、こうしたことに対する対策、対応、政府の取組を教えていただきたいと思います。
○副大臣(池口修次君) 御指摘のように、今回の災害は、被災地だけではなくて日本全体の住宅産業に影響を及ぼしているということは我々も認識をしております。
 繰り返しになりますけれども、まずは需要側でいえば応急仮設住宅を大量にということで、我々としては今住宅業界にお願いしているのは最低六万戸というお願いをしておりますので、これを早急にやらなきゃいけないということでは、今御指摘のありましたように、大手メーカーの方で大量に資材を確保しているという状況はあろうというふうに思っております。
 一方で、生産側でいえば、これも御指摘にありましたけれども、施設が被害に遭っていますし、一時期物流の混乱等がありましたので、需給関係が逼迫をしている状況であるというのは事実であろうというふうに思っております。
 これについては調査を三月末にしました。一時的には影響はありましたけれども、現段階では様々な人の努力で生産が回復をしてきておると。一部の資材については若干まだ問題は残ると思いますが、四月、五月になればほぼ回復をするというふうに聞いておりますが、御指摘もいただきましたので再度調査はさせていただきたいというふうに思っております。
 その中でいろいろ、場合によっては買占め等があれば我々としては十分業界を指導をしていきながら日本全体の、まずは被災地ということになりますけれども、日本全体の住宅の生産、建築に対して影響が最小限になるように努力をさせていただきたいというふうに思っております。
○山本博司君 時間でございますので、今副大臣からも指摘ございましたけれども、是非ともこの仮設住宅、被災者の方々に対して、一刻も早く着工をしていくということをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。