参議院 消費者問題に関する特別委員会 第4号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、高齢者及び障害者の消費者被害対策ということに関しまして質問をいたしたいと思います。
 近年、高齢者、特に認知症の患者を狙った悪質商法、大きな社会問題となっております。被害に遭っているのは高齢者だけではなくて、知的障害者であるとか精神障害者などもそのターゲットになっていると言われております。最近では、クレジットの概念とかローンの意味も分からない、そういうままに契約をさせられたり、その被害の実態も御本人自体も十分に理解していないという非常に悲しい事例もたくさん伺っております。
 そこでまず、この国民生活センター、また消費生活センターに報告されております高齢者、障害者の被害実態、まず御報告をいただきたいと思います。
○政府参考人(松田敏明君) 全国の消費生活センター等に寄せられました消費生活相談件数、トラブルでございますけれども、全体としては減少傾向にある中で高齢者に関する件数は増加傾向にございまして、平成二十四年度は二十万九千件余り、この五年間で約三六%の増加。これは財産事案のみならず生命身体事案も入っておりますけれども、そういった増加傾向となっております。相談内容といたしましては、ファンド型投資商品あるいは健康食品などに関するものが上位となっております。
 また、障害者に関します相談件数も増加傾向にございまして、二十四年度、一万八千件余りでございまして、この五年間で三七%の増加となっております。相談内容といたしましては、フリーローン、サラ金などに関するものが上位となっておるところでございます。
○山本博司君 これはPIO—NETの窓口の電話相談の実態ということでございますので、実際、障害者であるかどうかという把握は分からないということですので、これは、この数というのも増加をしておりますけれども、氷山の一角ではないかと思います。特に、景気は今回復しておりますけれども所得はそれほど増えておりませんので、新しいターゲット層にこの障害者とか高齢者が狙われていると、こういうふうに言われております。
 今、障害者の方々も地域で自立できるようにということで、グループホーム、ケアホーム、約八万人の方々が生活をするようになってまいりました。ですので、こういう被害が非常に多くなっているというのは様々な福祉関係者の方からの声でもあるわけでございます。ですから、いかにこの消費生活という観点から未然に防いでいくかという、この点は大変大事であると思っております。
 四月二十六日に、消費者庁を中心として高齢者の消費者トラブルの防止のための施策の方針、これが取りまとめられましたけれども、その概要をまず御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(松田敏明君) 今委員御指摘のとおり、この四月二十六日に、高齢者の消費者トラブルの防止のための施策の方針を消費者庁として公表いたしております。これは、今申し上げましたとおり、高齢者に関する消費生活相談が大幅に増加していることを踏まえまして、地方消費者行政の充実強化を図りつつ、関係省庁の施策を含めて二十五年度に集中的に取り組むべき内容を取りまとめたものでございます。
 具体的には、まず被害防止のための事業者への働きかけといたしまして、高齢者を狙った悪質商法への取締りあるいは法的措置などの対応の充実強化でありますとか、高齢消費者に配慮した商品、サービス提供の促進を挙げております。また、高齢消費者への働きかけといたしまして、普及啓発、注意喚起の強化、見守りや相談の体制強化、被害救済の強化を行うことといたしております。
 この中には、被害に遭われた方から更に御協力をいただいて、通話の録音機を設置するとか、そういった悪質電話勧誘撃退モデル事業といったようなことも含めておりまして、できるだけいろんな形で取組を進めたいというふうに考えておりまして、政府が一体となりまして事業者と消費者の双方に向けて施策の推進を図ることといたしております。
 それから、もちろん、もとより消費生活の現場は地域でございまして、消費に伴う様々な問題もあくまで地域でございますので、地域で起きているということでございまして、地方消費者行政の充実強化につきましてもこの方針に明記しているところでございます。
 施策の方針に盛り込んだ事業者向け、消費者向けの双方の施策を今後更に充実させ、しっかりと関係省庁と緊密に連携しつつ取り組んでまいりたいと考えております。
○山本博司君 やはり、この消費生活センターに入った情報を地方自治体の福祉部局との連携ということでしっかり対応するということもすごく大事な部分だと思います。複数の多くの方々がやはりそうした障害者とか高齢者の方々の被害を未然に防ぐという意味では大変大事であると思います。
 特に、そういう介護福祉サービスのヘルパーさんとかケアマネジャーの方々とか、若しくは訪問看護婦の方とか、また民生委員とか自治体職員とか、こういう関係の部門との連携というのは非常に大事だと思いますけれども、この施策の中で関係部局との連携、これはどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(松田敏明君) 今委員御指摘のように、高齢者や障害者の消費者被害の救済あるいは被害の未然防止を図るためには、本当に地方の総合行政を担います多くの地方自治体で消費生活センターを中心とした分野横断的な体制づくり、こういったものが進められていると承知いたしております。
 具体的には、今委員御指摘もございましたけれども、当該地方自治体内の健康福祉担当部局あるいは教育部局などのほか、地域包括支援センターあるいは社会福祉協議会などの地域の関係機関あるいは介護サービス事業者などと連携している取組事例もございまして、実に地域によって様々な取組がございます。
 そして、私ども消費者庁といたしましても、こうした観点から引き続き様々な先進事例を全国の地方自治体に御紹介いたしまして、広く広く、こういった取組もあるんだ、こういった取組もあるんだということで普及して、どんどんそれを、先進事例を採用していただきたいといったようなことを進めますとともに、関係省庁との緊密な連携を一層図ってまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 やはりこういう高齢者の方々とか障害者の方々の権利を擁護していくということはすごく大事だと思います。特に財産管理を行うための施策ということで代表的なものの中に厚労省の日常生活自立支援事業と成年後見制度というのがございます。
 まず厚労省にお聞きをしたいと思いますけれども、今、社会福祉協議会が実施しております日常生活自立支援事業、この権利擁護に関する部分、厚労省のこういう高齢者の方々、障害者の方々を守っていくための支援、今具体的にはどういう形なんでしょうか。
○政府参考人(村木厚子君) お尋ねの日常生活自立支援事業でございますが、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等の判断能力が不十分な方々に対して、福祉サービスの利用に関する援助等を行うことにより地域において自立した生活が送れるよう支援を行っております。
 具体的な支援内容、援助内容でございますが、福祉サービスの利用のための各種手続、日常生活上の消費契約、住民票の届出などの行政手続に関する援助、それから日常的な金銭管理などを行うことによりまして利用者を支援しているものでございます。
 利用状況でございますが、事業が開始をされたのが平成十一年でございますが、以後、相談件数、利用契約件数、共に年々増加をしてきておりまして、平成二十三年度の数字で申し上げますと、年間約三万一千件の新規相談に対しまして約一万一千件が利用契約に結び付き、支援が行われているところでございます。今後とも本事業の推進に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 実際、これは申請ですので、なかなかやはりもっと多くの方々が現実的には困っていらっしゃる部分があると思います。ただ、しっかりそういうものを活用していかないといけないと思います。
 これに対して、成年後見制度は、これは日常生活、今の支援事業と比べまして、比較的能力が衰えている方々に対する制度というふうに言われております。成年後見人が付いた場合は判断能力の十分ではない方々の保護支援がなされているわけでございますけれども、この制度ができまして十年が経過をしております。この今の活動状況どうなっているか、御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(萩本修君) 御指摘いただきました成年後見制度ですけれども、平成十二年の四月一日から運用が開始されたものですが、裁判所に対する申立ての件数で見ていきますと、運用が開始された初年度は約九千件であったものが、昨年、平成二十四年度には約三万四千件となっておりまして、成年後見制度の利用は年々増加している状況でございます。
○山本博司君 ただ、やはりこうしたドイツであるとか様々な地域からすると、非常に利用状況が少ないというのがあるんではないかなと思います。ただ、今こういう認知症の方々、障害者の方々が、判断能力が十分でないという高齢者の方が増えてまいりますので、この成年後見制度をやはりより活用していくということが大変大事じゃないかなと思います。
 今、公明党では、この成年後見制度の利用促進法というこの法律の制定を目指して法案の準備を進めております。この法案の中でも、成年後見制度利用促進会議、この組織を、内閣総理大臣をヘッドとして、基本計画を策定しながら利用の促進を図っていこうということを考えているわけですけれども、その中にもしっかり、消費者庁も含めた積極的な対応ということを是非ともお願いを申し上げる次第でございます。
 そういう成年後見制度、この活用の中で、御本人の財産を管理するという意味での、弁護士が成年後見人に選任されるということがございますけれども、最近、様々な報道で、この横領事件という形の事件が相次いでおります。これは大変ゆゆしき事態ではないかなと思います。昨年十月以降でも、一千八百万円の詐欺容疑で逮捕された元九州弁護士会連合会理事長を始めとして、最近でも東京の弁護士会の幹部がこうした横領を図ったということもございました。
 今日は最高裁判所の方、見えておりますけれども、この成年後見人等による横領事件の不正行為に対する家庭裁判所の対応状況、このことを御報告いただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、後見人等による不正行為が発生している現状は成年後見制度に対する国民の信頼を揺るがしかねない事態であり、最高裁としても、不正行為への適切かつ迅速な対応が家庭裁判所の喫緊の課題であると認識しております。
 各家庭裁判所では、まず、後見人等の選任の段階で適格性審査をより一層厳格化し、事案に応じて、弁護士、司法書士等の専門職を後見人に選任することによって不正行為を防止するとともに、親族を後見人等に選任する場合にはDVD教材を利用したり職務説明会を実施するなどして、後見人等の職責についての理解を深めてもらっております。
 また、後見人等に対する監督の段階では、後見人等による報告などを通じて問題を発見した場合には、速やかに解任する等適切な措置を講じ、被害を最小限にとどめるよう努めております。さらに、親族後見人による不正行為を防止するための方策として、御本人の金銭財産のうち通常使用しない部分を信託銀行等に信託し、その払戻し等には家庭裁判所の指示を必要とするという後見制度支援信託を昨年二月に導入したところでございます。
 家庭裁判所におきましては、これらの方策を活用して不正行為への対応に努めているところではございますが、後見人等による不正行為がなお発生している現状も踏まえて、今後とも一層適切な後見人等の選任、監督の在り方を検討していく必要があるものと考えております。
 以上でございます。
○山本博司君 やはり専門職の後見人がこういう不正を行うということは、もう本当に大変大きな問題だと思います。
 現在、日弁連が自主的にこの規制内容を検討していくということでございますけれども、こういう事案が続くようであれば、本来、この成年後見制度という、高齢者、障害者の権利擁護を守るということが逆の形になってしまうということもございますので、今後、この制度の利用を推進する上での適切な運用ということを、これは各関係部門を含めてお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
 その制度の理解を深める取組ということでやっぱり大事になってきますのが、周知広報の徹底ということではないかなと思います。
 これ、山口県の宇部でやられている事例でございますけれども、認知症などの判断能力が不十分な人たちをお茶やジュースを買って支えるという趣旨で、購入額の一部を成年後見制度の支援活動費に充てるという寄附付き自動販売機、これが山口県の宇部市の山口大学の医学部構内に設置されたということでございました。学生の間に社会貢献をする関心を持ってもらいたいという趣旨からこういう形でやっているそうでございますけれども、やはりこうした取組、様々な情報発信をしていくということが私は大変大事ではないかなと思います。
 弁護士であります大臣にお伺いをいたしますけれども、この消費者被害を減らすための成年後見人制度の利用促進に向けた広報の在り方、このことも含めて大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 委員御指摘のとおり、判断能力が欠けている状態にある高齢者や障害者の方を悪質業者の方がターゲットにするという許せない犯罪行為があるわけでございます。また、後見人がその身分を利用して不正行為を行うということは、もう言語道断でございます。
 こういったことがないように、適切に成年後見制度が使えるようにし、そしてまた、その利用促進をしていく必要があると思います。消費者庁としては、成年後見制度の利用を含め、消費者被害の防止を図るための方策について消費者への情報提供を行ってきたところではございますが、まだまだ情報提供をしていく余地があるというふうに思いますので、今後とも関係省庁と連携しつつ、成年後見制度の利用促進等を通じ、高齢者や障害者を含めた消費者被害の防止に向けて取り組んでまいります。
○山本博司君 ありがとうございます。
 この成年後見制度、今大きな課題となっておりますのは選挙権の問題でございます。公職選挙法の十一条、これが被後見人に対して選挙権を剥奪するという、このことに関しまして東京地裁でも違憲の判決が下されました。これ、やはり財産の管理が難しいからといって選挙権を剥奪するということは大変大きな問題ではないかなと思います。
 今、与党・公明党におきましても、法改正が行われるために準備をしている段階でございますけれども、こうした選挙権が今後回復した場合に、やはり適切な周知ということを更に推進をする必要があるのではないかなと思います。
 森大臣は内閣府の共生担当、障害者の担当大臣でもございますけれども、是非とも積極的な取組をお願いをしたいと思いますけれども、大臣、何かこの点に関してございますでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 共生担当の大臣でもありますので、委員の御指摘を踏まえて適切に取り組んでまいりたいと思います。
○山本博司君 是非ともお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、あらゆる方々、消費者被害に遭わないために、先ほどもありましたけれども、ふだんからの啓発が大事であるという意味では、この消費者の教育ということが大事だと思います。平成二十五年度の予算にも四千五百万、消費者の教育に充てられております。この部分に関しまして御報告いただきたいと思います。
○政府参考人(松田敏明君) 今委員御指摘の平成二十五年度予算、四千五百万ほどの予算の内訳でございます、消費者教育関係。消費者教育推進会議という審議会の運営経費が一千百万余、それから副教材の作成経費が一千百万余、それから調査研究費としまして七百万余、それからポータルサイトの拡充が四百万余、それから高齢消費者、障害消費者の見守りネットワークの協議会関係費が四百万余、それから子供の不慮の事故防止関係、これが五百万余ということが内訳となっております。
○山本博司君 最後に大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、今、やはり高齢者、障害者の方は大変この消費者被害に遭っているわけでございます。やはり、こういう大変弱い方々に対してしっかり支援をしていくということが大事だと思います。
 特に、福祉と消費生活をつなぐ専門的な、やはり専門家の育成とか市民後見人の養成とか、消費生活相談員に対しての高齢者、障害者が陥りやすいトラブルのこうした様々な研修であるとか、かなり広範囲な形での支援が必要ではないかなと思います。
 森大臣は弱者救済ということがこの三十年間の取組だということもお聞きしておりますし、著書も読ませていただいておりますけれども、この消費者被害、この高齢者、障害者の取組の強化ということに関して、最後に大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 高齢者からの被害ですね、財産的被害では金額はトップなんですね。そのほかに、安全の方も、生命を奪われるような事故も最近起きたばかりでございます。そのような意味では、高齢者の消費者被害をなくすためにやはり特に努力しなければならないということがございます。
 また、消費者からの相談件数も増加傾向にございます。今後とも、その現場である地方消費者行政の充実強化を図りつつ、着実に取組を進めていく必要がございます。高齢者については、先ほどのような様々な啓発等、更に充実を拡大していきたいと思います。
 障害者については、平成二十三年の障害者基本法の改正の際に、御党から御提案をいただき、新たに消費者としての障害者の保護に関する規定が加えられたところでございます。今後は、この規定の趣旨も踏まえて、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるように、消費者被害の防止のための情報提供等に着実に取り組んでまいりたいと思います。
○山本博司君 以上です。ありがとうございました。