参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第3号 令和2年12月2日

○柳ヶ瀬裕文君 つまり、これ、PCR検査の陽性者と判定された方でも感染性がない人たちがたくさんいるということだと思いますよ、これは。その可能性があるということだというふうに思います。
 PCR検査のそもそもの目的は、これ感染拡大を止めるということにあると思います。決してその遺伝子の保持者を特定しようということではないですよね。感染力を持っている人を特定して、その人に社会活動を遠慮いただくということのためにこの検査はあるものだというふうに思っております。ですから、今の検査の在り方でいいのかということは、これは考えなければいけない課題だと思います。
 これは海外でも問題視する動きが出ていまして、英米でのメディアでも、PCR検査で陽性とされた者の中で実際に感染している者は少ないのではないかという疑念の声が上がっています。海外では、Ct値が三十四以上だと感染性ウイルスを排せつしないと推測できるという論文も発表されていて、実際に台湾ではCt値が三十五より低い場合のみを陽性と判定しているということであります。
 当初、感染研がこのマニュアルを作成した三月の時点では、未知のウイルスだということで、ウイルス遺伝子のかけらも見逃さないという厳格な検査方法の設定をしてきたことは、これは理解できます。しかし、そこから九か月がたとうとしていて、様々な知見が積み重なっていると思います。先ほど幾つか御紹介いただきましたけれども、これ、政府の方でもしっかりとこの知見を理解しているわけですよね。
 五月二十九日の第十五回新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の中に提出された資料ですね、患者のウイルス量と感染性に関する国内外の知見という資料では、ウイルス量が低いが検出可能な範囲ではほとんど培養陰性と、ウイルス分離はされないということが書かれております。つまり、これ、Ct値が三十五を超えたら感染力がないという知見があるんだよということが紹介されているわけです。
 また、日本感染症学会もこの問題に注目をしていて、十月に発表したCOVID―19検査法及び結果の考え方では、Ct値が高い場合には、たとえ遺伝子検査が陽性であっても、その検体から感染性を示すウイルスが分離されにくくなることに注意する必要がある、また、遺伝子検査陽性が必ずしも感染性ありとはならない可能性が示唆されているとしています。
 多くの専門家がこの問題を指摘していて、新型コロナウイルス感染症対策分科会の会長である尾身さん御自身も、日本内科学会の雑誌に収録されているインタビューの中で、Ct値については三十五ぐらいがよいのではないかと、尾身さん自身がこれ言っているわけですよ。
 三月に作成された検査マニュアルから九か月がたち、その期間に、Ct値とこの感染性の関係、ウイルス量と感染性の関係など多くの知見が積み重なってきております。そこで、本来の検査目的にかなったものとなるように、この感染研法におけるCt値の変更など、感染能力のある人を特定できるように検査を見直していく必要があるというふうに考えますけれども、山本副大臣の見解を伺いたいと思います。
○副大臣(山本博司君) 柳ヶ瀬委員の問題意識を含めて、大変大事であると思います。
 委員御指摘の感染性のある方のみを判定できる検査につきましては、現時点では確立したものはないと承知している次第でございます。
 先ほど審議官の方からも答弁がありましたように、新型コロナウイルス感染症におきまして、どのような感染者が他者を感染させ得るかという感染性を判断するに当たりましては、いずれの検査におきましても、例えば検体採取の際の手技が適切でない場合であったり、また検体を採取する時期が潜伏期間である場合であったり、特にウイルス量が少ないと考えられる検査結果の取扱いにつきましても課題があるものと、こう承知をしている次第でございます。
 いずれにしても、委員御指摘の点も踏まえまして、様々な知見を収集し、適切な検査を行うために必要な見直しを行ってまいります。