参議院 厚生労働委員会 第6号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 議題となっております戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法改正案についてお聞きを申し上げたいと思います。
 この法律は、戦後何十周年といった節目の年に国が弔慰の意を表するためとの趣旨でございます。大変意義あることと思いますし、昨年も特別給付金の審議がございましたけれども、こうした法律案の審議に当たっては、私たちは改めて戦争の悲惨さ、平和の尊さを認識しなければならないと実感をしております。
 そこで、この制度の内容についてまずお聞きを申し上げたいと思います。この法律は、戦後二十年に当たる昭和四十年に成立したとのことでございますけれども、まず、この法律が提出された趣旨、経緯についてまず確認をしたいと思います。
○政府参考人(及川桂君) お答え申し上げます。
 特別弔慰金制度、昭和四十年に創設されたものでございますが、当時の提案理由説明等を見ましても、やはり昭和四十年、ちょうど高度経済成長で日本が戦前にもなかった繁栄をしてきた時代に当たりまして、その時代に当たって、さきの大戦で尊い犠牲になられた戦没者の方々のことを思い、またあるいはかけがえのない肉親を失われた御遺族の心情を思い、国として特別の弔慰の意を表すために創設されたと、そういう趣旨でできたということで承知しております。
 その後、戦後三十周年、四十周年、五十周年、六十周年という特別な機会をとらえて国として改めて特別の弔慰の意を表すると、そういった趣旨の下に継続されてきたというように承知してございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 この特別弔慰金、先ほどもお話ございましたように、恩給法とか戦傷病者戦没者遺族等援護法等によって公務の扶助料とかまた遺族年金などを受給する遺族がいなくなった場合に、残された遺族の方々に対して支給をするというものでございます。特別弔慰金全体の現在の支給対象、今どのぐらいで、また今後どのように推移するとお考えでしょうか、この点をまずお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(及川桂君) お答え申し上げます。
 直近の平成十七年の戦後六十周年の際の特別弔慰金につきましては、申請期間が経過しておりますが、百二十六万七千件の方々が受給しているという状況でございます。
 これまでの経緯で申し上げますと、昭和四十年の制度発足以降受給者数が増加してきていたものでございますが、戦後六十周年を経過した現在におきましては、特別弔慰金の対象になる戦没者の御遺族の方々、主として御兄弟、姉妹あるいはお子さん方でございますが、高齢化してきている中で、平成七年改正において百三十七万七千件であった受給者数が、戦後六十周年の十七年改正におきましては先ほど申し上げました百二十六万七千件ということで、初めて減少傾向に転じたところでございます。
 今後のことにつきましては改めて検討するということになるものでございますが、仮に現在の制度が継続されるとした場合には、こういった減少傾向が今後も続くというように考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 この特別弔慰金でございますけれども、十年ごとに弔慰の意を表するために支給されるということでございますけれども、今回の改正案は特例的な支給ということで、前回の戦後六十周年から四年が経過したこの本年に出されております。こうした措置は昭和五十四年から行われておりますけれども、なぜ四年目に特例的な措置を講ずるようになったのか、その経緯についてお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(及川桂君) 今回、その六十周年の平成十七年から四年目に新しく支給することとした理由でございますが、まず、前回の支給基準日であります平成十七年四月一日から四年間を経過して、この間に国から何らの給付も受けていない戦没者等の御遺族の方々が新たに多数見込まれるという状況がありますこと、また、支給対象となります御遺族の平均年齢が年々高くなってまいりまして現在七十八歳に達しているといった状況を踏まえて、早期に措置を講ずる必要があると考えているといったことがございます。
 なお、委員も御指摘になりましたけれども、過去におきましても同様の趣旨の改正を戦後何十周年時における特別弔慰金の支給から四年目に行われてきているというのが先例でございます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 この法律ができてから四十年が経過をしておるわけでございまして、特別弔慰金の受給者の方たち、他の戦没者や戦傷病者の妻や遺族などに対する特別給付金と同じように今高齢化をしているわけでございます。平均年齢、今お話ございましたように七十八・二歳ということでございます。
 今回、直接の請求手続の窓口、これは市町村であると伺っておりますけれども、わざわざ役所まで出向いて届出する、大変高齢者の方々にとりましては難しい場合があると思います。私の知っている方にも、前回の支給の際に、平成二十年三月三十一日の期限までに手続ができなかった方がいらっしゃいました。もう大変その方は残念であったわけでございますけれども、こうした請求漏れによる時効消滅の可能性、先ほども委員の方からも指摘がございました。
 請求漏れを防ぐ手だて、これは大変重要になると思います。特別弔慰金の請求手続、様々なこれは配慮が必要と考えますけれども、具体的な手続方法に関しましてどのような配慮がなされているのか、もう一度御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(及川桂君) 制度の周知徹底、時効失権防止対策、万全を期してまいりたいと考えております。
 そのため、従来からの政府広報、あるいは都道府県等と連携しての自治体広報といったことはもちろんでございますが、新たに今回の対策といたしまして、総務省の協力をいただきまして恩給等の失権者データを活用して、国が直接御遺族の方に対して個別案内を実施して制度の周知に努めるといったことを実施いたします。また、その個別案内を送った方から申請がない場合には、都道府県から電話連絡等によって個別のフォローアップを行うといったような対策を講じて、時効失権の一層の防止に努めてまいりたいと考えております。
 なお、先ほど委員が御指摘なさいました高齢者の方々の受給が大変だといったようなお話もございましたけれども、例えば御親族の代理の方々が出向いて申請ができるような弾力的な配慮を現場の一線でしていくといったことで、国としても協力していきたいというように考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 周知の徹底、広報、これは大変重要でございます。もう一人も漏れなくこうした対応ができるようによろしくお願いを申し上げたいと思います。
 もう一つ、この法案が成立した場合、施行が四月一日、そして債券の発行が十月一日、その後の国債を換金できますのが毎年の六月の十五日ということでございます。御高齢の方がもう大変多いということでございまして、先ほども島尻委員から、この点に関して質問等、要請がございました。できるだけ早くこの特別弔慰金が手元に届くような、そういう具体的な形で推進をしていただきたい。もう一度、この点に関しましての御見解を確認をしたいと思います。
○政府参考人(及川桂君) この点につきましては、先ほども島尻委員の御質問の際に、財務省の方からも、厚生労働省の検討も踏まえて、財務省として技術的な点については検討したいという御答弁があったところでございまして、大臣の方からも、問題点を含めてきっちり検討をお願いしたいという答弁がございましたので、私どもとしましても財務省とよく話し合って、問題点の把握も含めてきっちり対応していきたいというように考えております。
○山本博司君 一日でも一か月でも早く手元に届くような、そういうことで財務省とよく検討をしていただきたいと思います。
 最後に、大臣にお聞きを申し上げたいと思います。
 戦争によって御苦労された方々に対しまして弔慰の意を表するということに関しましては、私たちはいつになっても忘れてはならないことだと思います。次の支給は期限が来るから戦後七十周年の年にと、こういった単純な考え方ではできないと思います。また、今後は対象者が減少する中で、国がこのような制度を行っていることを国民に知っていただくことも重要ではないかと思います。
 いずれにしましても、受給者の皆様に対しまして安心感を与えるために、今後の在り方に関しまして、大臣から御見解をお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 国のために殉じられた方々に弔慰を表するということ、それがこの特別弔慰金の趣旨でありますから、六十周年のものが最終償還を迎えたら更にまたそれを続けていくということで、この戦争の記憶を風化させないというためにも、今後ともそういう態度で臨みたいと思います。
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。
 受給者の皆様、喜んでいただけるように、よろしく御配慮をお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 以上でございます。