参議院 厚生労働委員会 第19号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、今年の十月から半年間の子ども手当の支給を定める特別措置法案についてお伺いを申し上げたいと思います。
 この法案は、民主、自民、公明の三党が八月四日に交わしました合意文書を踏まえたものでございまして、この三党合意で見直された内容を見ますと、子ども手当の廃止、児童手当の復活ということでございます。これは、本法案の附則の第二条に、児童手当法に所要の改正を行うことを基本とし、法制上の措置を講ずると、こう規定していることから明らかでございます。
 その上で申し上げたいことは、先ほど指摘がございましたビラの内容についてでございます。民主党がチルドレンファーストを二〇〇〇年から主張したことがきっかけとなって旧政権下でも児童手当が一兆円まで増額されましたと言っておりますけれども、自公政権における児童手当の拡充の法改正にばらまきという理由から四度反対をしたのが民主党であります。民主党があたかも児童手当の拡充を推進してきたかのようなうそを書き連ねている。とんでもないことでございまして、こうした事実からすれば大変大きな問題があるのではないか、こう考えます。あえてこの点申し上げた上で、法案についてお聞きをしたいと思います。
 まず、大臣にお聞きをします。
 この三党合意、どのように受け止めているのか。公党間の合意、大変極めて重いものがございます。この合意がほごにされては絶対にならないと思います。三党合意を誠実に履行する、この点、大臣よろしいんでしょうか、認識をお聞きします。
 また、今後、これから新たな政権が発足したとしてもこの合意は引き継がれるべき、こう考えるわけですけれども、次の政権でもしっかり引き継がれるように、大臣、どのように努力をしていくのか、見解をお聞きします。
○国務大臣(細川律夫君) 委員御指摘のように、現在の、今の子ども手当の支給については九月までになっております。その後は子ども手当ではなくなり児童手当法が復活をすると、こういうようなことになると。そのことによって多くの方に、国民の皆さんに御迷惑も掛かるということで、これは民主党、自民党、公明党の三党の皆さん方が、それぞれ考え方、理念、いろいろ違いますけれども、ここで何とかしなければならないということでここで三党で合意をされたということでございます。公党間のこれは約束でございますから、これは当然誠実にそれを履行をしていくのが当然であるというふうに思っております。
 また、政権が、今の内閣が交代をするということがあってもそのことは全く同じでありまして、当然引き継がれるべき事項であるというふうに考えております。
○山本博司君 ありがとうございます。
 次に、財務省に伺います。
 この三党合意に基づきまして、当初の財源規模から減額した分、これは東日本大震災の復興費用に回すことができると、こうなっているわけですけれども、この子ども手当の減額で財務省は復興予算にどのぐらい確保できるか、この点をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(尾立源幸君) 山本委員にお答えをいたします。
 今回の三党合意に基づく子ども手当の見直しによりまして、精査はなお必要でございますが、二十三年度においては〇・一兆円程度、そして二十四年度以降におきましては〇・四から〇・五兆円程度の財源が捻出できると見込まれております。また、五年間の集中復興期間においては、この子ども手当の見直しによっておおむね約二兆円と推定しておるところでございます。
○山本博司君 この復興予算に関しましても、やはりこの復興、回すことができるという、こういう形でございますから、新政権になったとしてもしっかりとそうした形の責任を果たしていただきたいと思います。
 財務省にもう一点だけお聞きをしたいと思います。財源ということで、基礎年金の国庫負担割合につきましてお聞きをしたいと思います。
 この基礎年金の国庫負担割合、平成十六年の改正の際に段階的に五〇%に引き上げるということが決められております。そして、今年度の負担分二・五兆円につきましては第一次補正予算の財源に転用しておりましたが、これを東日本大震災の復興債で補填をすることがこれは合意をされております。
 そうした中で、ここでお聞きをしたいのは来年度の国庫負担分についてでございます。財務省は基礎年金の国庫負担割合に関しまして来年度の予算編成で現行の五〇%から三六・五%に事実上引き下げるように厚労省に要請するというような報道が一部ございましたけれども、事実関係はいかがですか。
○大臣政務官(尾立源幸君) 委員御案内のとおり、年金法では税制抜本改革の実現によりまして安定財源を確保した上で基礎年金国庫負担二分の一を恒久化することとされております。また、二十四年度以降税制抜本改革を実施するまでの扱いにつきましては、昨年の末の関係三大臣の合意におきまして、また、今国会中これ提出されております年金改正法案でございますが、国庫負担二分の一と三六・五%の差額分は、税制抜本改革により確保される財源を活用して国庫が負担するよう必要な措置を講ずるとされております。
 したがいまして、財務省としましては、この法案の内容に沿った対応を行い、年金財政の安定を確保するためにも、社会保障と税の一体改革の実現に向けて努力してまいりたいと思います。したがいまして、現時点で厚生労働省に対して、国庫負担、この引下げについて要請しているということはございません。
○山本博司君 ありがとうございます。
 こういうふうな報道が出てくるということは、この税制一体改革というか、財源が本当にできるのかどうかと、こういう部分でできないとなるとそういうことを考えざるを得ないという、この今の民主党政権がこの財源に関して大変見通しが甘いという一つの表れではないかと思うんです。
 恒久的な財源を、どうこれを確保していくかということを、これは当初から分かっていたわけでございますから、そういう点、この子ども手当に関しましても国民が大混乱をしたわけでございます。また、地方も大混乱をいたしました。そういう点でしっかりお願いをしたいと思います。
 ちょっと質問を飛ばしまして、地方の負担分ということでお聞きをしたいと思います。
 子ども手当もそうでございましたけれども、今回の法案におきましても、児童手当分の地方負担五千五百億円含まれております。平成二十四年度以降につきまして、児童手当法、これを基本とするとなりますと、地方負担があるという、こういう理解でいいのかどうか。また、来年度以降の児童手当の地方負担の割合、これは従来の児童手当の負担割合の水準と変わらないということでいいのか、この見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 来年度以降の子供のための金銭の給付制度につきましては、今提案をさせていただいておりますこの特措法案の附則におきまして、今般の三党合意に沿いまして、政府は特別措置法に規定する子ども手当の額等を基に児童手当法に所要の改正を行うことを基本として法制上の措置を講ずると、こういうことを規定をしたところでございます。
 地方負担の在り方、これを含めまして二十四年度以降の制度につきましては、各党の意見も伺いながら、今回の合意に沿って更にこの具体的な内容を検討することといたしておりますが、この特別措置法案の附則の中にも書いておりますように、この具体的な内容を検討するに当たっては、地方六団体の代表者などとも十分に協議を行い、これらの者の理解を得るよう努めるものとすると、こういうふうな規定もきちっとさせていただいておりまして、そこは地方の理解も得ながら対応をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○山本博司君 今、どちらにしても地方負担は変わらないということでございますから、民主党が掲げてきたこの全額国庫負担というマニフェストはもう既に破綻をしている、まあ今も破綻をしているわけですけれども、そういうことが恒久法的に明確になっているということでございまして、今後、地方の自治体、しっかりそうしたことに関しまして協議をしながら進めていただきたいと思う次第でございます。
 その上で、三党合意に基づく見直し、来年度には所得制限によるシステム改修とか全対象者の申請ということが、これから地方の自治事務というか事務負担が増大することが予想されます。今年度、十月からもう支給額が変更になりますからシステムの変更が求められます。このような地方の事務負担に関しまして、国が責任を持って負担を行うということでよろしいんでしょうか。
○大臣政務官(小林正夫君) 今回の特別措置法案における支給額、また支給要件の変更、そして申請事務などについて自治体に負担を掛けることになり、申し訳なく考えております。
 今委員御指摘のように、システム改修など、こういうことが発生をいたしますので、今般の制度見直しに伴うシステム改修等の事務費について、国から必要に応じて補助を行うことを検討して自治体における円滑な施行に努めてまいりたい、このように考えております。
○山本博司君 是非これはしっかり取り組んでいただきたいと思うんですけれども、この十月から実際この変更の部分にもかかわるわけですけれども、やはり地方自治体、これは安心こども基金からの支出等で考えている部分でしょうけれども、基金がもうないということもあるわけですけれども、こういう点を含めて、この十月からの問題に関しましても、もしこういった点の対応をしていただけるのか、また第三次補正ということも含めて考えられるのかどうか、この点、いかがでしょうか。
○大臣政務官(小林正夫君) 今年の四月から九月までは昨年度と支給額等が同じでありました。そのため、システム改修等の事務費が当初想定していたほど必要とならなかった、こういうことでございます。このため、今回の制度見直しに伴うシステム改修等の事務費についてはきちんと国から補助を行うことを検討しておりますけれども、第三次補正で対応するかどうかについては、地方の事務費の執行状況等も考慮しながら検討してまいりたい、このように考えております。
○山本博司君 どちらにしても、地方の方々のそういう負担を含めて混乱のないような形で、この成立後、お願いを申し上げたいと思います。
 この安心こども基金、今年度末で期限を迎えるわけでございます。そして、今、子ども・子育て新システム中間取りまとめが出されておりますけれども、じゃ、この財源に関しての裏付け、明確ではありません。現金、現物給与を併せたこうした子育て支援の財源を含めた総合的なビジョン、これは早急に示すべきと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 委員が御指摘のように、子ども・子育て支援につきましては、子供と子育て家庭を社会全体で支援していくと、こういう基本的な考えの下に、現金給付、そしてまた保育サービスの拡充、ワーク・ライフ・バランスなどの実現、そういうことでバランスの取れた総合的な政策を講じることが重要だと、こういうふうに考えております。
 こういう考え方に基づきまして、数値目標を盛り込みました子ども・子育てビジョン、これを昨年一月に閣議決定をし、このビジョンの実現に向けて関係各省と連携して取り組んでいきたいというふうに考えております。
 また、現在、全ての子供の健やかな育ちを保障する子ども・子育て新システムの議論を進めているところでございます。この新システムは、本年六月の社会保障・税一体改革成案の中でも優先課題というふうに位置付けられておりまして、保育等の量的な拡充や幼保一体化などの機能強化を図る、また加えて、新システムに係る工程表におきまして、税制の抜本改革とともに早急に法案を提出をされていると、そういうふうにされたところでございまして、引き続き新システムの制度化に向けて各府省と連携を取りまして財源の確保も含めて精力的に検討を進めてまいりたいと、このように考えております。
○山本博司君 しっかりと対応をお願いをしたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。