参議院 予算委員会 第7号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、地方創生の課題と子ども・子育て支援の充実に関しましてお聞きをしたいと思います。
 まず、地方創生の課題に関しましてお聞きをしたいと思います。
 地方創生の鍵を握るのは何といっても人であります。公明党の、人が生きる地方創生をテーマに、全国三千名の地方議員とともに現場の声をお聞きして政策に反映してまいりました。
 この地方創生を成功に導くためには、都市部の人たちを地方に還流させること、これも重要なことでございますけれども、その上で、それらの地域にある人材の潜在力をフルに活用するということも大変重要であると考えております。それぞれの地域にある多彩な資源や人材を発掘をして、その個性を生かして地域の役割や雇用の場をつくっていく。その役割を担って、楽しく生き生き活躍する環境をつくることで人が集まる地方をつくり、そして豊かな地域社会が実現すると思います。こうしたサイクルを一過性のものではなくて継続的にすることで地域の活力を取り戻すことが地方創生の私は大きな意義ではないかなと思います。
 地方を取り巻く環境、ますます厳しさを増しております。少子高齢化、また人口減少は加速度的に進んでおりまして、集落の維持さえできない地域も珍しくありません。こうした地域に活力を取り戻すために、女性や若者、高齢者、障害者が活躍できる全員参加の社会の実現に向けて取り組むべきと思いますけれども、総理の認識を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私たちが進める地方創生は、まさに今委員が御指摘になったように人でございます。
 日本が直面するこの人口減少問題を克服をして成長力を確保していくためには、地方において人そして仕事の好循環をつくり、地方における安定した雇用を創出していくことが重要と考えております。
 このため、今委員がおっしゃったように、女性、若者、高齢者、障害者を含め一人一人の能力を高め、家庭状況や健康状態など多様な状況に応じてその能力を発揮できる、まさに全員参加型の社会の実現を目指し、雇用の場等を確保していくことが大切であると考えています。
 そのため、就業等あらゆる場面における女性の活躍を推進し、第一子出産時の就労継続率を五割以上に高める。そして、地域における若者の安定した雇用を二〇二〇年までに三十万人分確保する。そして、生涯現役社会の実現に向けて高齢者の就労を促し、六十歳から六十四歳、私も六十歳でありますが、もちろんこれを超えてもお元気な方は多いわけでありますが、非常に現役感がまだみんな強いわけでありますから、六十歳—六十四歳の就業率を高めていく。そして、就業面と生活面での一体的相談支援を行うなど、障害特性に応じた就労支援を推進をし、障害者の実雇用率を高めていく。こうしたことに取り組んでまいりまして、様々な方々がその特性を生かして地方で生き生きと活躍していくことができるよう、あらゆる施策を動員をしまして全力で取り組んでいく考えでございます。
○山本博司君 是非、全員参加をする社会の構築目指して進んでいっていただきたいと思います。
 次に、地域の潜在力を生かす事例として、障害者の雇用についてお聞きをしたいと思います。
 障害者が農作業の担い手となって水田や畑で働きます農福連携が今注目を集めております。障害者にとりましては就労先の拡大につながっていって賃金のアップにつながるということもございますし、農業者側にとりましても高齢化で不足する労働力を補うことができるということで、大変効果を上げている事例がたくさんございます。
 例えば、私のふるさとの愛媛県の松山にメイド・イン・青空という障害者の就労B型の事業所がございます。そこには、地域で増え続ける耕作放棄地を借りて自然栽培でお米や野菜を作っていらっしゃいます。今提供する農家が二十件以上増えておりまして、松山市内に点在します四十か所の耕作放棄地、合わせますと十一ヘクタール、東京ドームに匹敵する広さでございまして、賃金もB型の平均の四倍以上の月六万円、様々な障害を持っていらっしゃる方が二十五人いらっしゃいますけれども、喜々として働いていらっしゃいます。
 また、香川県では、コーディネーターを配置をしまして、農業と福祉作業所を橋渡しするということで成果を上げていらっしゃいます。香川県内の八十五の障害者の施設が加盟して、NPO法人香川県社会就労センター協議会、これを設立をしまして、共同受注の仕組みでJAの農作業を一括して請け負っておられるわけでございまして、ニンニクなどの収穫作業、多いときで三十名以上が働いていらっしゃいまして、農家の方々にとりましても大変喜ばれて、作付面積が大きく広がっているという例でございます。
 こうした農福連携の取組、これは国としても積極的に推進すべきと思いますけれども、林農水大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(林芳正君) まさに、今委員がおっしゃっていただきましたように、障害者などの方々に農作業の一部を行っていただくこと、これは、障害者の方の就労機会の確保といった福祉の面からのみならず、まさに地域の農業における労働力不足への対応といった意味でも大変意味のある取組だと、こういうふうに思っておりまして、農業と福祉の連携の推進を図ることは重要な課題であると、こう認識をしております。
 これは、私が前回大臣だったときに、実は、地方の農政局の局長さんが集まって会議をするんですが、そのときに事例の報告でこういうことがあるということを聞きまして、なるほど、それは面白いねということで、当時、医食農連携と言っておりました、これに福祉を加えて医福食農連携にしたという経緯がございます。まさに、トップダウンではなくて、地方発のこういう取組の政策のいい例だと、こういうふうに思っております。
 厚労省と連携して「農」と福祉の連携プロジェクトを推進しまして、今例を挙げていただきましたけれども、障害者等のための福祉農園の開設、整備等の取組を支援をしておるところでございます。このプロジェクトの中で、両省に加えまして、農業関係団体、それから福祉の関係団体の皆様にも御参加いただいて、全国またブロックごとの連絡協議会というのをつくりまして、相互理解を深めるための意見交換等の開催等にも取り組んでいるところでございまして、今後とも、この農業と福祉の連携、推進してまいりたいと思っておるところでございます。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 今、農業のお話ししましたけれども、鳥取では水産業、漁業と水福連携ということもございますので、そういうことも含めて検討をお願いしたいと思います。
 地方創生の総合戦略の中には、二〇二〇年までに障害者の実雇用率を二%に高めるということが記載をされております。今、障害者の総数が七百八十八万人と言われておりまして、十八歳から六十四歳まで在宅で働ける環境の方々が三百二十四万人いらっしゃいます。しかし、五十人以上の民間企業で働いている方の数は四十三万人です。そして、それ以外に福祉的な就労という形で働いている方々が約二十万人ということでございまして、まだまだ働きたくても働けない方がたくさんいらっしゃるということがございます。障害者の方々がどんな環境でも働くことができて自立ができる、こういう環境整備が私は必要だと思います。
 しかし、現在、この福祉的な就労は、残念ながら全国平均工賃が一万四千円程度でございまして、これでは障害者年金と合わせますとなかなか自立することができないということがございます。やはり親亡き後でも生活できるような、そうした水準に引き上げることが私は切実に求められていると思いますけれども、塩崎大臣、この障害者の就労支援、工賃向上も含めまして、先ほどの農福連携の推進も含めて御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど先生、例で挙げていただきました私の地元松山の青空につきましては、まさに耕作放棄地を使いながら自然農法でということで、インターネットで販売をして、先ほど言っていただいた六万円ぐらい、普通は一万三千円強ぐらいでありますから、かなり高い工賃が得られるということでございます。共通の友人がやっているということでありますが。
 厚労省としては、この工賃向上に取り組む事業所を後押しをしようということで、専門家等を派遣し、事業所の技術力の向上等を支援する工賃向上計画支援事業を実施しておりまして、農業分野で本事業を活用している事例もそこそこあるということでございます。委員が紹介されたような農福連携の取組を全国に広げていくためには、やっぱり好事例や支援策の周知を図ることも重要であって、農水省とも連携をいたしまして積極的に情報発信をしていきたいと思っております。
 また、国や地方自治体によります障害者就労施設などからの調達を推進する、そのために各省庁や都道府県等に対して障害者優遇調達推進法、ハート購入法と我々は呼んでいましたが、この趣旨を御理解をいただいて、全庁的に取組を周知をするとともに発注事例の情報提供を行っているところでございまして、今後とも、先生御指摘のような障害者の工賃向上がしっかりと図られるように取り組んでまいりたいというふうに思います。
○山本博司君 先日、国会で、障害者の所得倍増を進める超党派の議連というのがございまして、百名以上の方が加入されていらっしゃいますけれども、その総会がございました。
 そこで、「寝たきりだけど社長やってます」という著者の、重度の障害を持つ佐藤仙務さんとの意見交換がございまして、動くのは右手と左手の親指だけ、そんな僕が社長ですという佐藤さんの働くことは生きる希望というお言葉に大変感銘を受けたわけでございまして、総理も佐藤さんの著作を読まれて御存じのことと思います。
 今、障害者を取り巻く環境といいますのは、障害者権利条約の批准ができ、そして障害者差別解消法の成立によって、大きく今変わろうとしております。障害のある方であっても、働くことはもとより、文化芸術に親しみ、そして教育、スポーツに取り組むということが普通にできる、そういう社会にしなくてはならないと思います。二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックがございますけれども、それを成功裏に導くためにも、バリアフリーを、解消しながら、誰もが社会参加できるようなユニバーサル社会の実現、これを目指すべきと考えますけれども、総理の障害者の社会参加の認識も含めてお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私が初当選したのが平成五年なんですが、今から二十二年前、当時、ちょうど今委員がおっしゃったバリアフリー、そしてノーマライゼーション、この二つの概念がまさに打ち出されたわけでありまして、要は、障害の有無にかかわらず人々がお互いを尊重し共生できる社会をつくっていく、そのためには、障害がある人もない人も同じようにチャンスがある社会、生きがいを感じることのできる社会をつくっていかなければならないということだと思います。そのような社会をつくっていくためには、スポーツや文化芸術の果たす役割も大きいんだろうと思います。
 昨年開催されたソチ・パラリンピックでは、選手の皆さんが自ら障害と向き合いながらひたむきに挑戦し活躍する姿が人々に大きな夢と感動を与えたと、このように思います。二〇二〇年にはオリンピック・パラリンピック東京大会が開催されますが、この大会を契機として、日本が障害者の方々にとってバリアのない、そして障害者の方々にもチャンスのある世界で最も生き生きと生活できる国としていきたいと考えています。
 政府としては、今後とも、障害のある方について、障害の特性に応じたきめ細かな就労支援、そして地域社会の一員として安心して暮らしていくための支援などに努めるとともに、地域の障害者スポーツの支援やオリンピック・パラリンピックの一体的な選手強化、障害者による優れた芸術活動の支援など、障害者の皆さんが活躍できる社会の実現に向けて幅広く取り組んでいく考えでございます。
○山本博司君 総理、是非とも二〇二〇年目指しましてそうした形での推進をお願いしたいと思います。
 次に、小さな拠点に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。
 中山間地域などの過疎地域では、人口減少、高齢化に伴いまして、医療、介護だけでなくて買物支援など住民の生活に必要なサービス機能の提供もなかなか難しい場合がございます。そのためにも、効果的、効率的なサービス提供を構築するということとともに、地域の交流とか地域の支え合いの拠点として機能を強化する必要があると思います。そのため、集落に機能サービスを集約化していく、そして周辺集落とのネットワークを持つこの小さな拠点というのは、心豊かな地域コミュニティーの形成を図る意味で大変私は重要となると思っております。
 公明党は、昨年の九月に発表しました政策提言におきまして、コンパクトでスマートなまちづくりの推進ということを明記しております。この小さな拠点に関しまして、特に中山間地域に関しまして今後どのように進めていくのか。太田国土交通大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(太田昭宏君) 人口減少あるいは高齢化が進んで学校がなくなったり、あるいは診療所の撤退、路線バスがない、こうしたことで日常に必要なサービスが十分でない状況があって、地方創生ということの中で極めて大事な概念、一つは小さな拠点をどうつくるかということだと思います。
 小さな拠点に当たりましては、道の駅を活用する、あるいは廃校舎や旧役場庁舎を利用する、あるいは買物や診療や介護を受けられるようにということを、そこを利用して、そこにそうした機能のあるものを入れていく、あるいは集落の人が集まってきて憩いの場とする、そうした、またATMがあったりする、こうした利便性を確保するということが大事だというふうに考えており、徐々に進んできていて、地方創生の中で大きく前進することだと確信をしています。
 また、小さな拠点と集落との間を結ぶ交通手段、あしたはどこに行きますということを予約して、そしてそこを回ってその小さな拠点に行けるようにというディマンドバスなどの取組も進める必要があるというふうに思っています。
 コンパクト・プラス・ネットワークという概念の下で具体的に小さな拠点をどのようにつくっていくかと。方法はいっぱいあると思いますので、更にそこを進めていきたいと考えているところでございます。
○山本博司君 この小さな拠点として、道の駅の活用が重要でございます。
 一月時点で道の駅は全国千四十か所に広がっております。特産品の直売や観光情報の提供ということで、雇用の創出とか地域経済の活性化を担っているわけでございます。
 公明党はこれまでも、全国各地でのこの道の駅の整備や事業の充実、これを求めてまいりました。この小さな拠点の形成に取り組む際には、この道の駅も活用した地域活性化を進めるべきと考えますが、太田大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 道の駅が十数年たちまして、非常に盛り上がり、大事な拠点となりつつあります。
 全国で千四十か所、その多くが地域の特産品を出す。お酒もあったり、食べ物、新鮮な野菜を近くの農家から持ってくる。そこでは真っすぐなキュウリとかいうんじゃなくて曲がったキュウリもあったりして、市場に出回らないけれどもそこには行くから新鮮であるというようなこともあったりするということで、また観光拠点ということでも、特徴のある道の駅をつくることによりまして、成田の近くに粘りの納豆を始めとするそうした発酵食品ということで道の駅をつくって大いに宣伝するとか、いろんな工夫が今されています。防災拠点ということでも大きな役割だと思いますし、役場や診療所を併設するということで小さな拠点にするという役割を果たしているというところもあります。
 先般、道の駅コンクールともいうべきものをやりまして、千四十の中で特に重点道の駅として私の方から選定させていただいて、認定証を出させていただいたりして、物すごい盛り上がりをしました。そのアイデアをまた全国共通のものにしていくということが非常に大事だというふうに思っておりまして、ハード、ソフト両面から道の駅、これが小さな拠点にもなるという、連動しながら大きく進めていくということが大事で、私は、首長さんたちにとっては、観光とか道の駅というのは、考える、町をどうつくるかというツールになると思いますので、右手に観光、左手に道の駅、これで考えてくれということを言ったりしておりますが、更に進めていきたいと思っております。
○山本博司君 そこで、大臣に一点要望したいことがございます。障害者が作った産品、これを道の駅で積極的に取り扱ってほしいということでございます。
 全国各地に様々な商品が作られております。障害者の就労の場を広げるというだけではなくて、地域の方々との交流を深める意味でも、今、道の駅に重点を置いているというこの機を捉えまして全国的に推進する仕組みを構築していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 今日の論議をしておりまして、本当に、更にそれを進めていくということが大事だと、そしてまた交流という角度を入れていただきましたけれども、そういうことが大事だなと、ユニバーサル社会という点をつくるという意味でも大事だなということを改めて痛感をしました。
 各地の道の駅に障害者が福祉施設等で製作した産品を扱っているところもありますし、徳島県の道の駅日和佐というところでは、共同作業所で製作した手提げかばんを出しているとか、あるいは栃木県の道の駅思川では、社会就労センターで焼いたクッキー、クッキーとかパンというのは非常に多く出されていると思いますけれども、という例もございます。
 地域のニーズに応えて道の駅をこのような取組に更に活用していただくとともに、今御指摘のありました交流と、一緒にそうした生活をしていくということ、非常に大事だというふうに思いますので、更に取組を進めたいと思います。
○山本博司君 ありがとうございます。是非ともよろしくお願いをしたいと思います。
 この小さな拠点の運営を始め住民生活を支える生活サービスの提供には、担い手の確保がこれは重要でございます。これまでにも、担い手の確保のために住民同士が支え合うネットワークを築き、地域の暮らしを守っている地域もございます。先ほど申し上げましたように、障害者の団体が支え手となって買物支援をするなど、様々な場面で活躍をしている地域もたくさんございます。
 ただし、こうした大事な役割を担っている団体には、地域の有志が集まってつくられる任意の団体であったりNPO法人であったり、なかなか収益事業行っている組織も少ない状態の中で、財政規模というのは脆弱でございます。やはり活動を継続していくには自治体の支援が必要になってくるわけでございます。
 こうした地域の生活サービスの担い手の確保という意味での財政支援に関しまして、石破担当大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石破茂君) 御指摘のとおりでございます。先般成立をいたしました補正予算に盛り込んでおります地方創生先行型交付金、地域再生戦略交付金、こういうものによって支援をしてまいりたいと思っております。
 また、四万十市であった事例では、JAがなくなっちゃいましたということになって、地域の方々の八割が参加される、出資される形で、大宮産業という名前でしたかしら、そういうものをつくられて、そういうようなサービスをやっているということであります。
 そういうふうに財政的に支援はいたしてまいりますが、やはりこれを法律的にきちんと位置付ける必要があろうというふうに考えておる次第でございまして、地域再生法の改正案、今国会に提出をさせていただきたいと思います。
 そういうようなものをきちんと法律上位置付け、そしてまた財政的な支援を行うことによって、この小さな拠点というのは、まさしくうまくいくかいかないかは、地域を本当に再生できるかどうか、創生できるかの一番大きな鍵だと思っております。医療も福祉も担っていただかねばなりません。そういう意味で、新しい地域のマネジメント法人のようなものだと思っております。JAにも役割を果たしていただきたい、郵便局にも果たしていただきたい、あるいは社会福祉協会にも果たしていただきたい、そういう方々がきちんと活動ができるように法律に位置付け、財政的な支援も遺漏なきを期してまいります。
○山本博司君 ありがとうございます。
 今後、その地域再生の改正案も提出されるということでございますので、地域の力や、また人を生かす、そういう地方創生になるように推進をしていただきたいと思います。
 次に、子ども・子育て支援制度について質問をしたいと思います。
 この四月から、子育て世代の支援を拡充する子ども・子育て支援新制度が本格的にスタートいたします。この新制度は多様な保育の受皿を増やすということが大きな柱でございまして、公明党も、子育て世代とか事業者の方々の関係者の皆様の声を聞きながら、これまでずっと取り組んできたわけでございます。
 こちらのパネルに、この子ども・子育て支援の主要な項目がございます。(資料提示)
 消費税一〇%引上げが延期されましたので先送りされるのではないかと、こういう心配の声がございましたけれども、しかし、平成二十七年度予算案には、量的拡充の部分と質の向上の部分、どちらも必要な予算を確保することで着実に推進されることになりました。
 そこで、子ども・子育て支援新制度、この四月から実質的にスタートしますけれども、何が変わるのか、有村少子化担当大臣から説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(有村治子君) 御指摘のとおり、来月、新年度から実施する子ども・子育て支援新制度では、消費税の増収分を活用して、子育ての支援、量、質両面にわたる充実を図ります。
 具体的には、市町村が子育て支援に関する住民のニーズを的確に把握して、その実情に応じて保育所やあるいは放課後の児童クラブの受皿を全体として都市部を中心に増やしていきます。また、保育園と幼稚園の両方の特性を兼ね備えた認定こども園、小規模保育など、地域の実情に応じた保育を計画的に整備し、しっかりとニーズに応えていく自治体を全国で応援できる体制をつくっていきます。
 特に保育については、二十五年度から二十九年度までの五年間で約四十万人の保育の受皿を新たに拡充いたしまして、往年の課題でありました待機児童の解消を図ります。保育を必要とする全てのお子さんが保育を受けられるように、そのアクセスを担保していきたいと考えております。
 同時に、保育園、幼稚園、認定こども園、さらには児童養護施設等を含め、職員の配置を手厚くすることによってお子さんの安全により目が、細かい目が届くように体制を目指していきます。これらの施設の職員の処遇を改善して、保育士不足が指摘される中でございますが、保育士等の人材の確保、定着を図ってこそでございますので、子供が受ける教育、保育の内容の質も上げてまいります。
 同時に、例えば障害を持ったお子さんの養育支援など、在宅子育てしている家庭に対してもこれらの施設がしっかりと機能を図っていけるような、そういう体制を支援してまいります。共働き家庭だけではなくて、在宅で子育てをしている家庭にもしっかりと手が届くような体制を強化いたします。
 なお、結びになりますが、新年度においては、保育園、幼稚園、認定こども園、地域の子育て支援といった多様な子育て支援を総合的に推進していくことになります。お子さんの安全、保護者の安心を確保するために、今までの主体の中で重篤な事故ということの情報収集がなかなか集まらなかったんですが、その情報収集を国として進めて、そのノウハウを現場に還元していって、子供の安全を重層的に横の取組によって確保したいというのも狙いでございます。
○山本博司君 具体的な点について、総理にお聞きしたいと思います。
 今お話がありましたように、二〇一三年度からスタートした待機児童解消加速化プラン、これ四十万人分の保育の受皿を確保するというものでございますけれども、この待機児童の解消、しっかり進めていくという総理の御決意をお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平成二十五年に我々新しい政権がスタートして、五年間で四十万人分の保育の受皿をつくり、そして待機児童という言葉をなくしていく、待機児童ゼロを実現し、自分の子供は保育所に入ることができるかどうか、こういう不安をなくしていく、これを国民の皆様にお約束をしたところでございますが、二十五年、二十六年、最初の二年間におきまして従来の二倍のスピードで整備を進めまして、予定どおり、お約束どおり二十万人分の保育の受皿が確保できる見込みであります。また、平成二十七年度からの三年間で更に二十万人分の受皿の確保を進めていくこととしております。
 このため、平成二十七年度においては、保育所の整備等により約八・二万人の受入れ児童数の拡大を図るとともに、本年一月に策定した保育士確保プランにより、必要となる保育士を確保することとしております。
 平成二十九年度末までに、お約束をしたとおり待機児童ゼロを実現できるよう、強力に取組を進めていく考えでございます。
○山本博司君 是非ともしっかり取り組んでいただければと思います。
 この新制度によりまして、保育、幼児教育環境の整備を進め、量の拡大を進めていくには、一人一人の保育士や幼児教諭の質の改善も大事なポイントでございます。
 他の職種に比べまして非常に低賃金と言われる保育士などの処遇の改善をすることが質の向上につながると考えますけれども、この点に関しまして、処遇改善策、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先生御指摘の処遇改善は極めて大事でございまして、これにつきましては、本年四月から施行されます子ども・子育て支援新制度において、消費税の財源を活用し、公定価格上三%程度の処遇の改善を行うということとしておりまして、特に平均勤続年数の十一年以上の保育所、これにつきましては四%とするということで、職員の勤続年数、そして経験年数等に応じた人件費の加算を行う仕組みを設けることとしているところでございます。
○山本博司君 また、この待機児童の解消に向けまして、財務省では定期借地制度を用いました国有地の貸付けや優先的な売却を積極的に行っております。
 昨年、私が財務大臣政務官のときには、こうした全国各地の国有地の事例、新座市とか世田谷とか回らせていただきました。施設整備に大変有効な施策であるということを痛感をしたわけでございますけれども、麻生大臣、この活用状況に関して御報告をいただきたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 平成二十五年度の日本再興戦略に盛り込まれました待機児童解消加速化プランにおきまして、国有地を活用した保育所整備を行うこととされております。
 これを受けまして、財務省としては、地方公共団体に対して公務員宿舎跡地などの国有地の情報提供を行い、保育所整備用地としての利用要請があった場合には国有地の貸付け、売却に積極的に取り組んできたところであります。
 この結果、平成二十六年の九月までに、今後契約予定のものなどを含めて合計六十八件、七千八百人の保育の受皿を確保しているところでありますが、引き続き待機児童の解消に向けて国有地の活用等々を積極的に推進してまいりたいと考えております。
○山本博司君 次に、学童保育について伺いたいと思います。
 小学校入学を機に預け場所がなくなって育児と仕事の両立が困難になる、いわゆる小一の壁の解消が急務でございます。この点に関してどう改善をされるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、山本先生御指摘の、小一の壁をどう打破するかということでございますが、昨年七月に文科省と共同いたしまして放課後子ども総合プランを策定したわけでありまして、このプランで、学校施設を徹底活用して、平成三十一年度末までに放課後児童クラブを約三十万人分新たに整備をする。そして、小一の壁を打破するとともに、利用できていなかった児童の解消を目指すこととしているところでございます。このため、初年度となります来年度、二十七年度の予算案においては、約十七万人分の新たな受皿の確保に向けて市町村への支援策の大幅な充実を図ったところでございます。
 また、放課後児童クラブに従事する方々の処遇改善、それから質の向上に必要な経費についても盛り込んだところでございまして、市町村がそれぞれの子ども・子育て支援事業計画を着実に達成できるように支援をしっかりしてまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 さらに、この新制度の中には障害児の支援拡充につながる取組も含まれております。また、最近では、特に発達障害に関しまして、自分の子供はどうなんだろうと気になるお子さんをお持ちの親に対しても適切な支援につながる必要性が増加をしております。そこで、この点に関しましてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、発達障害のことについて言及がございましたけれども、今回のこの四月に施行されます子ども・子育て支援新制度においては、障害児に対する支援として、保育所などでの優先利用、そして障害児を受け入れる保育所などが、そのノウハウを生かして地域の子供の療育支援に取り組む職員を配置する場合の加算、それから集団保育が著しく困難である障害児等を一対一で保育する居宅訪問型保育の創設など充実を行っておりまして、乳幼児健診や子育て家庭が利用する施設事業において特別な支援が必要となる可能性のある子供、いわゆる気になる子供たち、特に気になる子供たち、これを早期に発見をして、そして適切な専門機関につなぐことなどによって、気付きの段階から支援に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 最後の質問でございますけれども、公明党は日本版ネウボラの推進に取り組んでおります。ネウボラとはフィンランド語で助言の場という意味で、妊娠から子育て期までを一貫して支えるものでございます。
 公明党の井上幹事長はこの二月の衆議院代表質問で、この日本版ネウボラの重要性を強調したことに対しまして、安倍総理から全国で整備すると、こういう力強い答弁をいただきました。
 この点、厚労大臣、今後どのように推進をするのか、答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生からお話がございましたように、このネウボラはアドバイスをする場所というフィンランド語であるわけでございまして、まさに妊娠、出産から就学前に至るまでの健診、予防接種、保健指導などを実施するという、育児を切れ目なく継続的に支援をする、そういう施設であると承知をしております。
 このような取組を我が国においても推進することは極めて有意義であることは先生今御指摘のとおりであって、このため、希望どおりの出産、子育てができるように妊娠期から子育て期にわたるまで切れ目のない支援のためのいわゆるワンストップの拠点、これを子育て世代包括支援センターという名の下において立ち上げて、全ての妊産婦等の状況を継続的に把握をいたしまして、特に支援を必要とする方にはいわゆるオーダーメードの支援、支援プランを策定をするなどといったきめ細かな配慮をした支援を行っていこうということにしております。
 今後、実施市町村の増加状況や財政状況を踏まえつつ、全国展開をこれについては目指していきたいというふうに考えておりますので、また先生方の御支援をよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
○山本博司君 今、これ以外にも社会的養護の充実とか拡充をされております。しっかりこの点、四月から実施ができるように推進をお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。