参議院 予算委員会 第5号

○山本博司君 今大臣からもお話ございましたけれども、離島、大変大きな役割が果たされております。
 そういう中でも、やはりなかなか離島で住みづらくなってしまっていると。高齢化の率も非常に、資料の二ページ目でも見ていただけますように、ほかの地域と比べても大変速い速度で高齢化になっております。人口減少しております。ですから、そこに定住できる、安心して住み続けられることができる環境をどうつくっていくかということが大変大事でございます。
 私は、公明党の離島対策本部ということで、全国の離島を山口代表を中心に回っております。山口代表も喜界島に行ったり、また、宮古島とか石垣島にも行って現場の声を聞いているわけでございますけれども、そこの中で大きな部分というのは交通の問題、これが大変大きな問題でございます。
 先日も、五人の国会議員で鹿児島のトカラ列島に行ってまいりました。約、鹿児島から十三時間、週に二回しか便が出ていない状況の中で、台風の影響で二週間全く便が来なくて大変御苦労されている地域もございました。また、瀬戸内海の内海には石島という島がございますけれども、山火事が八月にございまして九割焼失をした部分でございますが、そこは定期船がありません。ですから、定期船がありませんから漁船をチャーターしていわゆる行かないといけない、そういう地域もございます。大変不利な地域があるわけでございます。
 そういう中でも、やはり物流コスト、またそうしたコストが大変大きな問題ということがネックになっているわけでございます。
 その意味で、国土交通大臣、もう一度お聞きしますけれども、こうしたコストの改善とか離島航路の、航空路の支援策ということに関してお聞きしたいと思います。
○国務大臣(前田武志君) 特に本土と隔絶されたような離島にとっては、離島航路の物流の改善というのは、住民の生活改善や産業振興図る上で一番大きな課題であるということは、もう委員御指摘のとおりでございます。
 今年度から航路運営費補助を従来よりも充実させるということにしておりまして、島民に向けての運賃の割引にも助成できるように措置をしております。そしてまた、平成二十四年度概算要求においても、自治体の行う離島の流通改善や輸送コスト補助の取組への支援を新たに要求をしております。
 そういったことで、今国会にも提出しようとしている交通基本法案において、離島の交通も含め、日常生活に必要不可欠な交通手段の確保に必要な施策を講ずるということもこの交通基本法に盛り込んでおるところでございます。
○山本博司君 しっかりそうした交通、その確保ということを全力で取り組んでいただきたい次第でございます。
 そして、もう一つ、やはり安心して住み続けられる環境ということをつくるには、やっぱり医療とか介護の社会保障の分野が大変大事でございます。その意味で、私も四十ぐらいの島を回りましたけれども、介護が受けられない島々がたくさんございます。介護保険を払っているのに介護の拠点がない、又はサービスが受けられない。
 それで、厚生労働大臣にお聞きしますけれども、介護が受けられない島、大体どのぐらいあるか御存じでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 済みません、今正確にその数は私が手元に持っておりませんが、小規模多機能型の居宅介護、これは認知症の方などが通っても泊まっても、それから訪問もできるというサービスですので、離島などのへき地でもこうした小規模多機能型居宅介護ができますように、新規の事業者が参入しやすいような工夫をしていきたいと思っています。このため、現在、市町村が地域の実情に応じて、全国一律の介護報酬額を超える独自の報酬を支払えるような設定できる仕組みをつくっています。
 さらに、これから、離島などで市町村が認める場合には、人員や設備などの基準の一部を満たしていなくても、特例として介護報酬の支払を受けてサービスを提供することができるような、そういう措置も講じまして、しっかりと離島などのへき地で介護サービスが受けられるように工夫をしてまいりたいと思っています。
○山本博司君 小宮山大臣は、医療とかそうした社会保障を担当する大臣です。この二百五十七の島々が、一体介護の拠点が、介護サービスが幾つ受けてないのか、当然分かった上での施策をすべきであります。
 国交省が五月に出した、この今私が配った資料の中に、百八十五の島で介護保険サービスが受けてない。国土交通省の五月のデータでも出ている、ホームページに出ています。介護のこうしたサービスが受けられない島が百八十五あるわけです。大きな、例えば佐渡のような六万人のそういう島もありますけれども、五十人、百人というそういう島では介護は受けられないんです。
 実際、じゃ、ほかの地域の、私もトカラ列島行きましたけれども、十島村です。五百人ぐらいの島です。七つの島があって、それぞれ百人ぐらいの単位です。でも何とか介護をしていきたいということで、トカラ列島の十島村では介護をやろうとしているわけです。
 ところが、今の、先ほど言われました離島の相当サービスが、地域密着型の、泊まりもできてそして通いもできてデイもできるという、こういう地域密着、小規模多機能ができないんです。それはなぜかというと、この離島相当のサービスということになっておりますけれども、この中の地域指定に離島が入ってないんです。ですからできないので、そのトカラ列島の十島村では、宝島、私も行きましたけれども、介護事業者、鹿児島からそこに住み着いて対応しているわけですけれども、現実、そこでは市の雇用創出事業で人を雇ってやっている。介護保険でできないんです。それが、ここにあります離島相当サービスの地域密着サービスの中に、大臣の告示で指定ができる中に離島がないんです。これはどうなんでしょうか。
○国務大臣(小宮山洋子君) 先ほど御答弁申し上げたように、いろいろな工夫はさせていただいているのですが、委員の御指摘でもございますので、そうしたことができるように検討をしていきたいというふうに思います。
○山本博司君 全く離島の実態が分かっていないんですよ。百八十五の島々ではもうできないんですよ。離島のサービス事業者、十三時間も掛けて来れるような環境じゃないんです。ですから、離島に応じた特定のそういう基準を緩和するような形をつくられたんじゃないですか。でも、その中に離島の地域は入っていないんですよ。それを告示でできる、大臣ができるんです。大臣、やるべきですよ。
○国務大臣(小宮山洋子君) できるようにさせていただきたいと検討させていただきます。
○山本博司君 これは、やはり住み続けられる環境にするには介護が大事なんです。だから是非お願いをしたい。これはもう是非とも検討していただいて、やはり十島村でも何とか介護を持続したいという、ほかの地域でもそうなんです。百人とか二百人の地域でもできるように、これをお願いしたいと思います。
 次に、高校の問題。
 今離島に高校が未設置の島は、全体の九割、二百三十四の島々でございます。やはりこれが高校がないということで島の外の本土に通わないといけない、また寄宿をしないといけない。中学校の高校の調査によりますと、大体月四万から五万、寄宿費の金が掛かります。
 そういう意味で、公明党は二〇一〇年のビジョンの中にこうしたことに対する対策を訴えておりますけれども、文科大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中川正春君) お話のように、御党から御提起もいただいております。
 平成二十四年度、来年の概算要求の中に、新たに離島高校生修学支援費として一・八億円を計上しております。対象が二千三百五十八人ということで想定をしておりまして、年額にすると十五万円。これは、今既に地方公共団体の方で支給をしているところが三十ほどあるんですが、それを基準にといいますか、参考にしながら十五万ということを設定をしております。このうちの二分の一補助なんですけれども、あと地財で裏負担ということも併せて要求をしておるところであります。
○山本博司君 これも大変金額は少ないんですけれども、やはり倍増も含めたぐらいの形でしっかり財務省と交渉していただければと思います。
 もう一つ大きな課題は、海岸漂着物の件でございます。私も島根県の隠岐の島等行きまして、海外からのやっぱり漂着物、大変な量でございます。そうしたことに対して、非常に、ニューディール基金を使って活用しているわけですが、お金が足らない。これが来年の基金がなくなってしまうということもございます。この点に関して、細野大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(細野豪志君) 海岸漂着物対策につきましては、海岸漂着物処理推進法に基づきましてそれぞれの都道府県で対処していただいているという、そういう状況でございます。
 その中で、財政支援につきましては、平成二十一年度の補正予算におきまして、御指摘のとおり、今年度までの三か年の基金として地域グリーンニューディール基金というのを創設をしておりまして、これを活用していただいているところでございます。六十億という基金が都道府県にそれぞれ渡されているという状況でございまして、有効に活用していただいているというふうに承知をしております。
 平成二十四年度以降なんですけれども、本年の東日本大震災の影響なども踏まえまして、各都道府県から基金の延長を申請する動きが出てきておりまして、これ執行状況なども数字で私自身把握をいたしまして、できれば延長の方向でやっていきたいと、そのように考えております。
○山本博司君 執行状況を教えてください、具体的に。
○国務大臣(細野豪志君) 都道府県の執行状況ということでございますけれども、全部で約六十億、正確に言うと五十九億二千万円の基金なわけですけれども、各都道府県の中で全体の執行率が六七%という数字になっております。ただ、これは全部使い切ったということではなくて、市町村にあってまだ使っていないということもあるようですので、都道府県の手から離れたのが六七%という、そういう数字にこれは現状、直近のデータとして、九月末ですね、九月末のデータとして把握をしているところでございます。
○山本博司君 やはり、各市町村を含めて、隠岐の島も一千二百万ありますが、ほとんど使い切っています。もう九割使っている県もありますし、現状、一年間延長してもお金が来なければ意味がないんです。ですから、延長と同時に積み増しの金額もこれお願いしたいと思うんですが。
○国務大臣(細野豪志君) この海岸漂着物のしっかりとした処理というのを担当する環境大臣としては、是非そういった方向でという思いもあるわけでございますけれども、これは元々、平成二十一年度の補正予算でつくられたときは、雇用対策、経済対策として全額国費というふうになった経緯があるようであります。通常の廃棄物の場合は、災害廃棄物も含めてそれぞれ一定の地方自治体の負担をしていただいているという経緯があるようでございまして、そういう考え方の面でまだ財務当局との話が今行われていてという、そういう状況でございます。
 したがいまして、何らかの方向が模索できないものかどうか、貴重な御提案もいただきましたので、引き続いてしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○山本博司君 安住財務大臣、いかがですか、今の話。
○国務大臣(安住淳君) 予算の中で可能な限り検討してまいりたいと思います。
○山本博司君 今見ていただきましたように、離島というのは様々な部門に多岐にわたっているわけですけれども、今この離島振興法では、法律の所管がいわゆる国交大臣、総務大臣、農林水産大臣の三人のみを規定しているということで、医療、福祉の厚労大臣、文科の大臣が入っていないわけですけれども、官房長官にお聞きしますけれども、この二人を加えた形でやるべきじゃないかと思いますけど、いかがですか。
○国務大臣(藤村修君) 離島振興法は昭和二十八年に議員立法でできました。ですから、その当時からいうと、やっぱり時代は大きく変わっていると。今お聞きしていても、やっぱりお年寄りの介護の問題、昭和二十八年のころは余りまだそういうことに気が付いていなかったのかもしれません。ですから、総務省、農水省、そして国交省が一番中心になって法律がずっと続いてきたと。
 ちょうど平成十四年に法改正がありまして、十年後といいますので来年、平成二十四年が法改正でございます。今、各党におかれましてそれぞれチームをつくっていただいて、御党におかれましては山本先生、事務局長で御活躍をいただいていると聞いておりますが、議員立法の改正も今日まで議員立法で行われてきたということでございますので、離島振興が総合的に推進されるように、離島振興法の下で都道府県の離島振興計画の策定、あるいは施策の推進等に当たって、国交省を中心として各分野を所管する関係府省がよく連絡、連携していくと、それから新しい課題が出ているということで、そのことは非常に重要だと思います。
 いずれにせよ、離島振興法の改正をめぐる国会での御議論をいただきまして、これは議員立法でまた改正をいただくということでございますので、政府として適切に対応していきたいと存じます。
○山本博司君 ありがとうございます。
 もう一つ……(発言する者あり)
○委員長(石井一君) 前田国交大臣。
○国務大臣(前田武志君) ちょっと補足をさせていただきます。
 委員御指摘のとおりだと思います。官房長官からお答えいただいたとおりなんですが、御承知のように、この離島関係というのは、半島とか過疎とか離島はかつては国土庁が各省の調整をやっていたわけですね。その国土庁の調整機能というのが、半島と離島が国交省の方に編成替えされたというようなことで、国土交通省において各省と常に協議をして、実は厚労省も文部科学省も委員御指摘の項目についてきっちり協議していくという項目も挙がっておりまして、そういう面でやらしていただいておりますが、委員御指摘のことを受けて是非国会の方でも御議論をしていただきたいと、このように思います。
○山本博司君 今後、是非、内閣府がやはりこうした全ての所管を管轄するような形での、主導性も含めた形でお願いをしたいと思います。これも議員立法でございますので、私たち議員が関与するわけでございます。政府も是非とも後押しをお願いを申し上げたいと思います。
 じゃ、残りの時間で障害者の問題。
 平野大臣、昨日のいわゆる安否確認を含めた形で具体的にどうしていくかということの体制、このことをもう少しちょっとお願いしたいと思います。
○国務大臣(平野達男君) 障害者あるいは高齢者を始めとしたいわゆる要援護者の問題につきましては、今回の東日本大震災においても様々な課題が私どもあるなというふうに認識をしております。
 まず、平成十七年の三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを作成したんですが、これがまず徹底されていなかったということがございます。ガイドラインに基づく市町村の避難支援計画の策定状況は七六・八%、要援護者名簿の作成状況は五二・六%ということで、まだまだでございます。そこで、まずはこの徹底を図ることが大事ではないかというふうに考えております。
 それからあと、中央防災会議の専門調査会では、今回の災害において、昨日も申し上げましたけれども、どういう情報に基づいて要援護者が避難をしたのか、あるいは避難しなかったのか、避難しなかった場合にはなぜ避難しなかったのか、それからあと避難先においてどのようなケアがなされたのか、こういったことについての調査をしなくちゃならないという、こういった報告を受けておりまして、三次補正でも今回の被害実態の調査、その中でも調査をしたいと思っていますが、詳しくは二十四年度の概算要求においてこれをしっかり調査をしていきたいというふうに考えております。
 こういった調査を含めまして、今この平成十七年三月のガイドライン、この全体像も見直した上で、安否調査の確認をどうすべきか、それから再被害があった場合にはどういう対応をすべきか、こういったことについてのしっかりとしたガイドラインの見直しを含めた新たなガイドラインの制定も視野に入れて検討を進めていきたいというふうに考えております。
○山本博司君 ガイドラインはいつまでに、どんな形でやるんでしょうか。
○国務大臣(平野達男君) まずは十七年三月のガイドライン、これも専門調査会でしっかりと検討されたものでございますから、まずこれを徹底させることが一つです。
 それから、このガイドラインの見直しは、来年度の二十四年度の本格的な調査と併せて見直しをやっていきたいというふうに思っております。
○山本博司君 時間が参りましたので、草川議員に譲りたいと思います。