参議院 消費者問題に関する特別委員会 第7号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、食品表示法案に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 今回の新たな食品表示法案、これまでの食品衛生法、JAS法、健康増進法という三つの法律がそれぞれに規定をしておりました基準を一元化をしていく、安全性を最優先に重要な情報が消費者に分かりやすく伝わる、このことを改善することが図られております。消費者庁の設置前からの懸案が解消され、その三つの表示が統一化される、大変大きな意義があると思います。
 そこで、初めに、今回の法案に盛り込まれました内容についてお伺いをしたいと思います。
 まず評価をしたいのは、この法案の中で第三条の基本理念におきまして、食品に関して、表示により安全が確保され必要な情報が提供されることを消費者の権利と、こう明記したことでございます。消費者本位の姿勢、これをはっきり打ち出しております。消費者の自立の支援とともに、大変これは重要な点であると思います。
 表示は、消費者が安心、安全な食品を選ぶ際の頼みの綱でございます。ところが、原産地の問題、消費期限の問題、こうした偽装は後を絶たないわけでございます。この新しい法律が、消費者の立場を強めて、事業者のモラルの向上につながるということを私は期待をしたいと思います。
 そこで、この消費者の権利を明記した意義について、改めてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(菅久修一君) お答えいたします。
 本法案におきまして基本理念に消費者の権利の尊重と自立の支援と、こういうものを明記した趣旨でございますが、食品表示制度が基本的に消費者が必要な情報に基づき自ら安全を確保して合理的に選択できるようにするものであるという考え方を明確化することということでございます。具体的には、食品表示基準を定める際にはこうした考え方を第一に考慮すべきということでございます。
 また、この考え方を基本としつつ、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響、また食品関連事業者間の公正な競争の確保にも配慮して、消費者、事業者双方にとりましてメリットのある食品表示制度の運用に努めていくというふうにしたいと考えております。
○山本博司君 このように、消費者の権利、このことを明記した一方で、第三条の第二項では、生産の現況及び将来の見通しを踏まえるということとか小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響に配慮すると、こういう規定があるわけでございます。
 中小零細企業を含めまして原料の調達とか割合が変わることの少ないメーカーでは、こうしたコストがかさんで価格が上昇していく、こういうことになりかねないというこういう意見もございまして、表示の見直しに関しましては大変消極的な場合もございます。
 そこで、この第一項の消費者の権利ということとこの第二項の配慮規定との整合性、このことをどのように図るおつもりなのか、大臣にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 食品の義務表示事項については、消費者が自主的かつ合理的に食品を選択できること、表示から必要な情報を得られるようにすることが重要でございます。しかしながら、表示すべき事項について様々な意見があることに加えまして、食品表示基準を策定する対象を判断するに当たっては、食品の市場規模を考慮することや、小規模の食品関連事業者は大規模の事業者に比べて表示基準の遵守コストに係る負担が相対的に過重になる傾向があるため、その活動に及ぼす影響について配慮することが必要でございます。
 このため、消費者団体や小規模の食品関連事業者を含む事業者など様々な立場の方から広く御意見を伺いまして、必要とされる情報や事業者の負担を見極めることにより、消費者、事業者の双方にとってメリットとなる分かりやすい表示制度の実現に努めてまいります。
○山本博司君 そのバランスという意味で大変大事でございますけれども、やはり消費者の求めにこたえてこそ商品であるわけでございまして、やはり消費者庁というのは消費者本位で臨んでいっていただきたいと思う次第でございます。この表示内容とか体裁に関しましては内閣府令に委ねられるわけでございまして、現行規定では抜け穴があるとの指摘もございます。実態に即したこういう対応をしていただきたいと思うわけでございます。
 次に、表示の大きさ、内容につきましてお聞きをしたいと思います。
 この食品表示に関しましては、包装の裏側などに記載をされておりますけれども、法律によって用語が異なる上に情報量が多くて分かりにくいという声が上がっております。消費者庁によりますと、二〇一一年度のアンケートの中には、約七割の人たちが、表示項目を絞り、文字を大きくするなどの改善を望んでおられます。現行の制度では八ポイント以上とされておりますけれども、高齢者も見やすいように表示の文字を大きくすることは大事であると思います。また、有識者の一元化検討会では、事業者側とそして消費者側との対立による論点が少なくなく、両論併記のような形の部分もたくさんございます。この表示のサイズや内容に関しましても、文字を大きく見やすくする一方で、表示事項をこの機会に検証すべきであるということも指摘をされております。
 文字が大きくなることによりまして情報量が減るということになれば、これは消費者の知る権利が阻害をされまして情報減らしになるという警戒する声もございます。その意味で、一番肝心なのは、消費者目線で、この消費者全体の目線に立つということが私は大事ではないかと思います。
 この表示の大きさ、盛り込む内容に関しましても内閣府令で定められますけれども、今後どのようにこの点、基準を作られるんでしょうか。
○政府参考人(菅久修一君) お答えいたします。
 御指摘ありましたとおり、食品表示一元化検討会、またその報告書におきましても、高齢化の進展などの中できちんと読み取れる文字の大きさにすること、これは特に重要であるという指摘がされております。
 このため、例えば現行の一括表示による記載方法、これを例えば緩和しまして、一定のルールの下に複数の面に例えば記載できるようにするとかでありますとか、また、一定のポイント以上の大きさで商品名などを非常に大きく書いている場合には、義務表示事項も原則よりも大きいポイントで例えば記載すると。そうしたことを通じまして、表示スペースを確保することによりまして、原則として現行の表示内容は維持したいと思いますが、それとともに食品表示の文字を大きくする、そのためにどういうことが可能かということをこの報告書の指摘など、また御意見を踏まえて考えていきたいと考えております。
○山本博司君 その上で、この情報の提供ということでお聞きをしたいと思います。
 一元化の検討会の報告書では、代替的な手段によって商品に関する情報提供を充実させていくということも検討課題として触れておられるわけでございますけれども、この食品表示法の施行によりまして情報量が減ることになれば、何のための制度改正だったのかということにもなりかねませんので、この代替的な手段というのは大変大事な、一考に値するものだと思います。
 その意味で、例えばITの活用ということでいえば、店頭でバーコードとかQRコード、こういったことを、かざしてそうしたことを読み取っていくようなそういう方法とか、若しくは生産者のホームページを、今もスマートフォンとかそういうことで確認をするとか、そういう詳細な情報を取得できるような、そうしたことも、消費者にとって商品の、この選択の機会を広げるというのは大変大事だと思います。
 さらに今、高齢者や障害者の方も、こうした表示を見るということは視覚障害の方は大変困難でございますけれども、今は音声コードという形の、表示内容を音声で聞くということが、そういう現実的にはできるようなことがなっておりますけれども、こうしたアクセシビリティーという、こういう観点からも私は大変効果が大きいと思います。
 この代替的な手段という中にITの積極的な活用ということを私は推進すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(森まさこ君) 食品の容器包装への表示については、より詳細にしていくときに表示スペースの問題などもあり限界がございますので、委員御指摘のようなQRコードなどのITを活用した代替的手段というものを活用することが重要であるというふうに考えます。
 一方で、注意しなければならないことは、ITの活用をしない、又はできない消費者もおりますので、やはりそういう方が必要な情報を見れなかったということがないようにしなければならないということも注意しなければなりませんが、いずれにせよ、先ほどの障害者の方の事例も踏まえて、より詳細な情報を知るための代替的手段、積極的に活用をしていく方向で検討してまいりたいと思います。
○山本博司君 やはりこの議論というのは、簡素化をいかにしていくかということと、内容をどう充実させていくかという、この両立の問題だと思いますので、今後やはり、法施行に当たりましては、消費者団体の方々とか様々な広範囲なこうした方々の意見を十分に反映をして、この表示に関しましてもお願いを申し上げたいと思います。
 次に、アレルギー表示に関しましてお聞きをしたいと思います。
 このアレルギー表示につきましては、衆議院段階で修正をされまして、食品表示基準の表示事項にアレルゲンを明記することが盛り込まれまして、これは大変な重要な修正であると思います。公明党は自民党とともにアレルギー疾患対策基本法案を衆議院に提出しておりまして、食品表示の充実ということも明記をされております。
 昨年末に小学生が給食でショック死する痛ましい事故も発生をしました。アレルギー対策に関しましては、国が責任を持って総合的な取組が必要であると思います。アレルギーにつきましては、スーパーのこうした総菜などの調理済みの食品を自宅で食べる中食とか、また外食にはこの表示義務がありません。やはり、このアレルギーに関しまして、生死にかかわる問題でございますので、本人や家族にとりましては大変重い深刻な問題であります。そのことを考えましたら、中食や外食への表示の義務化、これも必要ではないかなと思う次第でございます。
 これは事業者にとりましては大変難しい面もあると思いますけれども、この検討を速やかに進めるべきではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○政府参考人(菅久修一君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、アレルギーに関する表示は安全性に関する非常に重要な表示でございます。
 現在、中食、外食についてはアレルギー表示の義務はないわけでございますけれども、これにつきましては、中食、外食におきまして積極的にアレルギー表示をしているという取組も様々あるわけでございますが、義務化ということになりますと、いわゆる意図しない混入という点について十分想定する必要があるというふうに考えております。いわゆる中食、外食店、食品を調理する際に調理器具などから意図せず混入してしまう場合ということが想定されます。その場合、誤った表示、つまり原材料そのものにはアレルギー物質が使われていないという場合でも結果的に誤った表示になって、かえってアレルギー発症を誘発してしまうおそれもあると考えられます。
 したがいまして、自主的な取組を推進するということは非常に重要なのでございますが、義務化ということになりますと、こうした点も十分踏まえた上で考えていかなきゃいけないと考えております。
 ただ、この食品表示法案の後の重要な課題の一つということになっておりますアレルギー表示については、中食、外食へのアレルギー表示は重要な課題の一つでございますので、こうした点踏まえつつ、実態調査もしっかりやって検討を進めていきたいと思っております。
○山本博司君 このアレルギー表示以外にも、原料原産地表示でありますとか食品添加物表示、これらの具体的な表示基準、これがどのようになるか、これは大変重要でもございます。これは五月に、私を含めまして地元の中国、四国のそういう消費者団体、NPO法人の方々の署名簿を持ちまして消費者庁にもこうした要望を申し上げた次第でございますけれども、こうした検討も速やかに推進をしていただきたいと思います。
 続きまして、今回の法案の中の、悪質な違反に、国が回収し、業務停止を命じ、罰則を強化することも盛り込んでおります。この食品表示につきましては、消費者団体訴訟制度が導入をされまして、商品の被害者個人に代わりまして国が認める適格消費者団体が表示の差止め請求ができるようになります。
 こうした改正が偽装表示への歯止めとなることが期待をされますけれども、やはり実効性のあるものにしなくてはならないと思います。この差止め請求するに当たりましては、適格消費者団体が偽装であることを立証しなければなりません。十分な情報提供や様々な支援がなければこうした偽装の立証も難しいのではないかということも言われております。こうした差止め請求の実効性を担保するための対策、これはいかがでしょうか。
○政府参考人(菅久修一君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、差止め請求制度が実効性のあるものとなるためには、適格消費者団体の活動、これが充実したものになっていくことが重要でございます。
 適格消費者団体に対しましては、消費者庁としましては、消費者団体訴訟制度また適格消費者団体の周知、普及、また認定NPO法人制度の活用促進、さらに国民生活センター等によります消費生活相談に関する情報の提供など、これまでそうした支援策を実施してきたところでございます。今後も、適格消費者団体に対します必要な支援につきましては、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
○山本博司君 それは具体的にこの概算要求等で支援をしっかりしていくという意味での、予算も含めて検討するということでしょうか。
○政府参考人(菅久修一君) 様々な方策について検討を進めていきたいと考えております。
○山本博司君 やっぱりしっかりこの実効性を担保するということは非常に大事なわけですから、大臣含めてこの点お願いをしたいと思います。
 続きまして、この食品表示の見直しに関しましてやはり大事なことは、賢い消費者を育てることというのは大変大事なことだと思います。やはり、様々な情報が分かりやすくなって情報量が得られたとしても、それを理解をして生かすことができる消費者の方々が増えていかなければ、これはなかなか意味がないんではないかなと思います。
 その意味で、この消費者教育、食育という観点は私は大変重要だと思います。衆議院の段階でも、参考人の方々の中でも、子供の時代からやはりこうした、お母さんと一緒に買物に行くときに表示を含めた教育が大事であるという、こういった点の参考人の御意見もございました。この点、いかがでしょうか。
○政府参考人(松田敏明君) 消費者が適切な食生活を選択し、食品の安全性に関する知識と理解を深める、こういうために食品表示を適切に理解し、活用できる能力を育む消費者教育、こういうものが必要であるというふうに、非常に重要であるというふうに考えております。
 委員御指摘のとおり、例えば消費期限でありますとかアレルギーでありますとかということを、こういう意義を小さいころから理解していただくといったようなことが本当に大切だと思っておりまして、消費者教育は、いろいろ年齢、幼児期からの年齢段階、あるいは各分野における体系的にやると。あるいは、様々な場、学校、地域等々の場でやるというようなことを体系的に進めようというふうにしようとしているところでございますけれども、この食品表示につきましても、その一分野としてしっかり取り組む必要があると考えております。
 また、御指摘のとおり、食育の関係でございます。今後、消費者教育の推進につきましては、この基本方針を間もなく閣議決定いたしまして、更に進めることといたしておりますけれども、食品表示を含めた食品に関する消費者の理解促進につきましては、食育に関する施策と連携いたしまして、実施、展開していくことをこの方針の中に盛り込むことといたしております。そういった形で、大いに積極的に消費者教育の中にこの食品表示の分野につきましても含めまして、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○山本博司君 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。
 この法案、大変大まかな骨格にすぎません。具体的な中身の検討はこれからだと思いますけれども、要望等でも署名でお持ちをいたしましたけれども、こうした加工食品の原料原産地表示の拡大など、現在の範囲にとどまっているこの状況、積み重ねた課題というのが、残された課題がたくさんございます。その意味で、この二年間の中でどういう形で大臣が進まれていくのか、その決意を最後にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 本法案に基づき、整合性の取れた分かりやすい表示基準を策定し、消費者、事業者にとってメリットがある食品表示制度としていくことが重要でございます。また、本法案により栄養表示の義務化が可能となることから、対象となる栄養成分等、必要な表示基準の検討を早期に行っていくこととしています。さらに、加工食品の原料原産地表示を始めとした、いろいろと御指摘もいただきました課題が山積をしております。
 消費者にとって必要な情報が的確に伝えられる分かりやすい表示制度としていくことが必要と考えておりますので、食品表示制度の充実に努めてまいります。
○山本博司君 以上で終わります。