2050年、一人暮らしのシニアが32道府県で2割超に

2050年、一人暮らしのシニアが32道府県で2割超に 厚労省推計、全国で1000万世帯

 1人で暮らす65歳以上のシニアが全国的に増加している――。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)は12日、2020年の国勢調査を基に、「夫婦と子」で暮らす世帯など5種類の世帯構成からみた、50年までの都道府県別世帯数の推計結果を公表した。そのポイントを解説するとともに、公明党の取り組みについて、地域共生社会を支える高齢者活躍推進プロジェクトチーム(PT)座長の山本博司参院議員のコメントを紹介する。

 社人研が12日に発表した「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」によると、50年の都道府県別の世帯総数は、20年と比べ40道府県で減少する。

 ただ、若者からシニアまで1人で暮らす世帯の割合は、全都道府県で上昇傾向を示し、50年には27都道府県で4割を超える見通しだ。

 中でも、一人暮らしのシニア世帯は、50年に全国で約1084万世帯と20年と比べ1・5倍近くに増加し、世帯総数に占める割合は20・6%に上昇する。

 都道府県単位で見ても、20年には20%超はゼロだったが、50年には32道府県にまで増える見込みだ。最も高いのは高知県の27・0%、続く徳島県が25・3%で、ともに25%を超える【図参照】。

 同様の傾向は大都市地域でも見られ、神奈川県が20・3%、大阪府が22・7%、兵庫県が23・5%と20%の大台を超える。一方、東京都は18・7%にとどまるものの、1人で暮らすシニア世帯の数は約148万世帯と最も多い。

 75歳以上の「後期高齢者」の一人暮らし世帯についても、50年には20年の約1・7倍に当たる704万世帯に増加。世帯総数に占める割合は、全都道府県で1割を超え、高知県(17・9%)、和歌山県(17・1%)、奈良県と徳島県(ともに17・0%)の順に高い。

■高齢化と未婚率上昇が影響

 一人暮らしのシニア世帯が増加する背景については、少子高齢化に加え、ライフスタイルの多様化で子どもや孫と同居する高齢者が減少していることが指摘されている。

 さらに、1970年代前半に生まれた団塊ジュニア世代を中心に未婚率が高いことも大きく影響しているとみられている。

 実際、20年の国勢調査では、50歳までに結婚経験のない人の割合(生涯未婚率)は男性で約28%、女性で約18%といずれも過去最高だった。

 高齢化と単身化によって、社会的つながりが希薄化したり、身寄りのないシニア世帯が一層増えるとみられており、こうした世帯を支える体制の拡充が急務となっている。

■福祉サービス強化、活躍支援で“幸齢社会”の創造に全力/党地域共生社会を支える高齢者活躍推進PT座長 山本博司参院議員

 シニア世代の人が、いつまでも安心して暮らしていけるよう、医療・介護や福祉サービスの支援強化に加えて、シニアも活躍しやすい環境整備を進め、共に支え合う「共生社会」の実現をめざしていくことが重要です。

 政府は、公明党の主張を受け、希望する人が年齢にかかわらず、安全に働ける就労環境の改善や、福祉ボランティアなど社会活動に参加しやすい体制づくりなどに努めています。

 ただシニアの中には、就労や社会活動に加わる方法や相談窓口が分からないといった声もあり、地域のニーズとシニア世代をマッチングさせる“橋渡し”の取り組み強化が求められています。

 公明党は昨年6月に設置した「地域共生社会を支える高齢者活躍推進PT」で、先進的な地域の事例や識者との意見交換を踏まえて報告書を作成し、同11月に政府に申し入れました。同報告書では、相談から実際の活動までをワンストップ(1カ所)でサポートする「高齢者活躍地域相談センター」(仮称)の創設などを訴えています。

 今後も一人暮らしのシニアを含め、地域で孤独・孤立しがちな人たちをしっかり支えるきめ細かい施策を推進することが大切です。

 人生100年時代を見据え、誰もが健康で生き生きと豊かな心で暮らす“幸齢社会”の創造へ、公明党は引き続き、シニア世代のニーズに応じた生活支援策の拡充に全力で取り組んでいきます。

2024/11/26 公明新聞 3面