参議院 厚生労働委員会 第16号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は予防接種法の改正案についてお伺いをするとともに、B型肝炎の和解合意への見解に関しましてお伺いを申し上げたいと思います。
 まず初めに、改正案の内容についてお聞きを申し上げたいと思います。
 これまでのこの新型インフルエンザワクチン接種事業では法的な位置付けが不明確だったために、今回の改正案では新たな臨時接種の類型を創設すると、こういうことになっているわけでございます。しかし、この改正案でも当面の緊急措置でございまして、恒久的な対応にはなっておりません。やはり今後の予防接種行政をどのようにするのか、こうした大きなビジョンを示すべきと考えます。
 この法案は昨年の通常国会に提出をされまして、この参議院でも審議、採決が行われたものでございまして、継続審査となって、その後一年以上経過をしてございました。そのまま当面の緊急措置という位置付けは変わっておりません。その間、政府では、昨年の六月十日に新型インフルエンザ対策総括会議報告書、これを取りまとめられまして、問題点を整理し、提言も行っておられます。
 しかし、こうした内容というのはもちろん反映されておりません。このインフルエンザ対策につきましては、当面の緊急措置ではなくて、明確な方向性を示すべきだと、こういう意見もございます。この新型インフルエンザはいつ発生するか分からない、それに常に備えていく必要があると思います。
 この新型インフルエンザ対策行動計画の見直しが必要であると思いますけれども、大臣、今後どのように取り組むお考えなのか、御見解をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) この新型インフルエンザ対策の行動計画などについてでございますが、先般の新型インフルエンザの経験を今後の対応に生かすために、厚生労働省としましては、平成二十二年三月、総括会議を設置をいたしまして、水際対策、あるいはサーベイランス、医療体制、ワクチン等の検証を行って、昨年の六月に報告書を取りまとめていただいたところでございます。また昨年の八月に開催されました新型インフルエンザ対策本部会合におきまして、内閣官房、厚生労働省を始め関係省庁におきまして早期に新型インフルエンザ対策の再構築を図るとされたところでございます。
 これらを踏まえまして、内閣官房の下で関係省庁によります協議、検討を行うとともに、厚生労働省におきまして新型インフルエンザ専門家会議におきまして検討を進めまして、本年の二月、新型インフルエンザ対策行動計画の見直しについて専門家会議としての意見を取りまとめていただいたところでございます。
 厚生労働省といたしましては、この専門家会議の意見や今回の法案審議におきます議論なども十分に踏まえながら、内閣官房を始めといたします関係省庁で十分協議の上、政府として実効性のある行動計画やガイドラインを見直すということ、この取りまとめを近々させていただくように今努力をしているところでございます。
○山本博司君 しっかりこの対応ということを早急に進めていただきたいと思います。
 時期的にはいつごろという形でございましょうか。
○国務大臣(細川律夫君) 今、近々ということを申し上げましたけれども、八月ごろには、来月でございますけれども、取りまとめをさせていただけたらというふうにして努力をいたしているところでございます。
○山本博司君 是非とも、大事な点でございますのでお願いをしたいと思います。
 次に、今後のワクチン行政に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 今我が国のワクチン行政、抜本的な見直しが求められていると考えます。平成二十二年度から始まりましたHibワクチンや肺炎球菌ワクチン、子宮頸がんの予防のヒトパピローマウイルスワクチンの公費助成につきましては、事業の継続を求める声が多数ございます。これは一年限りの予算措置となっておりますので、来年度以降の見通しが立っておりません。ワクチンで救える命がある限り、これは最優先で取り組むべきであると思いますし、来年度以降も継続すべきと、こう考えますけれども、まず大臣、この点に関して、継続の点、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) この三種類のワクチンにつきましては、平成二十二年度の補正予算で緊急に促進する事業ということで盛り込まれまして、今各市町村などにおいて実施をされております。
 そこで、これらのワクチンを含みます予防接種の在り方については、恒久的な財源の確保とか国と地方との役割分担、いろいろ課題がございまして、いろんな意見もございますけれども、今、費用負担の在り方も含め、現在審議会の予防接種部会において検討をいたしているところでございます。
 そこで、今御質問のこの三種のワクチンにつきまして、二十四年度以降どうするのかということでありますけれども、これは私といたしましては、関係省庁とも調整はしなければいけませんけれども、引き続き市町村がこれらの予防接種が実施できるようにしていきたいと、こういうふうに考えております。
○山本博司君 大臣の決意として継続をしていくというお考えでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(細川律夫君) はい、そのとおりでございます。
○山本博司君 ありがとうございます。済みません、大変うれしいお話を聞きましたので。
 続いて、この三ワクチン、これは大変大事でございますけれども、七月八日の予防接種部会では、おたふく風邪、水ぼうそう、B型肝炎など合わせて七つの疾病を予防するワクチンにつきまして接種を促進していくことが望ましいと、こういう意見で合意したとのことでございます。
 この予防接種法の対象となる疾病の拡大、急務であると思いますけれども、この点に関しましての大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 今委員から御指摘がありました予防接種法の本格改正につきまして、抜本改正につきましては、先ほど大臣から御答弁もありましたように、来年度の通常国会に向けて今法案が提出できるよう準備を進めているところでございますが、予防接種部会における議論をしっかり見守りながらその結論を得ていきたいと、このように考えております。
○山本博司君 先ほどの藤井委員からの同じような質問に関しても、来年の通常国会提出をということでございますけれども、財源に関して、これはどのぐらいの金額、今三ワクチンで二千億円ぐらいと言われておりますけれども、そういう財源も含めて、これはどのぐらいの金額のことを想定されて考えていらっしゃるんでしょうか。
○大臣政務官(岡本充功君) 財源につきましては、どの予防接種をどういった対象の方に接種をするのかとか、それから、場合によっては、成人用の肺炎球菌ワクチンなんかの場合には例えばどこまでの対象とするかとか、おたふく風邪をどのような形で位置付けるかとか、いろいろ、そのいわゆる対象をどうするかによっても変わってくるというふうに思いますし、キャッチアップ分等の対応というのも考えられますので、ここで一概にお話をするというのは難しいと考えております。
○山本博司君 是非ともこの財源も含めた対応ということを検討いただきたいと思います。
 次に、子宮頸がん予防対策につきましてお伺いをしたいと思います。
 子宮頸がんに関しましては、近年若い女性の罹患が急増しまして死亡率も高いということから、女性の健康と生活に深刻な影響を与えております。一方で、ヒトパピローマウイルスの感染が子宮頸がんの主要因であるということから、ワクチン接種と検診とでほぼ一〇〇%の予防が可能とされております。
 先ほど申し上げましたこのワクチン接種緊急促進事業によりまして、ワクチン接種が進められております。こうした予防対策の必要性が高まる中で、公明党の呼びかけによりまして、自民党また新党改革の皆様にも応じていただき、この子宮頸がん予防法案を国会、参議院に提出をしてございます。この法案は予防ワクチンの接種だけではなく、検診の実施を全額公費助成とすることなどが柱となっております。二〇一〇年度の補正予算に盛り込まれました子宮頸がん予防対策ではこのワクチンの公費助成進められておりますけれども、定期的な検診を行うということで予防が図られるために、ワクチン接種と検診の両方を全額公費助成とする法案を主張しているわけでございます。
 これは是非とも成立に向けましての各会派の御理解をいただきたいところではございますけれども、この子宮頸がんの予防に関しましての見解をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(岡本充功君) 今委員がお話しになられましたように、子宮頸がんの予防につきましては、既に今行われております子宮頸がんワクチンの予防接種事業と併せて検診の充実を図っていく必要があるというふうに考えています。したがいまして、子宮頸がん予防ワクチンの接種をされた方におきましても、検診が必要であるということをしっかり周知をしていかなければならないと、このように考えています。
 がん検診を推進するためには、具体的には、がん検診の五〇%集中キャンペーン期間の設定及びがん検診五〇%推進全国大会の開催やがん検診にかかわる地方交付税の大幅な拡充を図ってきたところでございます。これらに加えて、今御指摘の二十一年度からのいわゆる一定年齢に達した女性に対しての子宮頸がん及び乳がん検診の無料クーポンと検診手帳を配付する、女性特有がん検診推進事業を今実施をしておりまして、この子宮頸がん検診を含めてしっかりと対策を取らなければいけないというふうに思っております。
○山本博司君 是非とも今後、この法案の審議も含めてお願いを申し上げたい次第でございます。
 次に、この子宮頸がんワクチンの高一生に関しましてのことでございますけれども、ちょうど六月三十日の事務連絡によりまして、七月十日から順次高校一年生にも接種を再開できると、こうされているわけでございます。でも、現場ではまだ供給量が十分とは言えず、高校一年生につきましては優先的に接種をしたとしても、三回分の接種をしないといけないということで、年度内に終えるかどうかという懸念がございました。先ほどの答弁では、来年この事業を継続するということでその懸念はないかと思いますけれども、そういう場合の様々な柔軟な対応ということがございましたので、この点申し上げておきたいと思います。この点に関して、いかがでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) 子宮頸がん予防ワクチン、サーバリックスにつきましては、本年三月に需要に比して供給が不足していることが明らかになったため、厚生労働省として早期に供給不足を解消するため、製造販売業者GSKに対し安定供給の確保に努めるよう要請するとともに、事業を円滑に実施するため、初めて接種を受ける方については接種を差し控えていただき、二回目、三回目接種の方を優先するよう地方自治体を通じてお願いしたところであります。
 その後、製造販売業者から一定の供給量が確保できることが確認できたため、順次、初めての接種を受ける方に対する接種を再開しておりまして、六月十日には高校二年生を、七月十日には高校一年生を再開したところでございます。今後、速やかに全ての対象年齢について接種を再開できるよう、引き続き製造販売業者に対して安定供給の確保を要請してまいりたいと考えております。
 事業の実施期間である今年度末までに三回の接種を完了するためには、九月末までに初回接種を受ける必要があるわけでございます。今後、仮にワクチンの供給不足が解消されない等の理由から多くの接種対象者が九月末までに初回接種を受けられない事態となった場合には、これらの対象者の方々が円滑に三回分の接種を受けることができるよう、本事業の接種可能期間の延長も含めまして、柔軟な対応を検討してまいりたいと考えております。
○山本博司君 是非こういう場合の対応を柔軟にお願いをしたいと思います。
 じゃ、予防接種の最後、大臣にお聞きをしたいと思います。
 やはり国民が安心して予防接種を受けられる体制の整備、大変重要でございます。このワクチンを接種しておりますと病気を未然に防ぐことが可能でございまして、こうした予防医療の充実というのは医療費の削減にもつながるわけでございます。こうしたワクチン接種を推進するための国民に対する情報提供、欠かせないと考えます。
 現在、先ほど申し上げました厚生科学審議会の感染症分科会予防接種部会におきまして、予防接種法の抜本的な見直しに関しまして精力的な議論が行われてございます。財源の確保の問題とか国と地方の役割分担、様々課題は山積してございますけれども、大臣、この抜本的な改正に向けた決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) 予防接種というものは、もう委員が御指摘のように、感染症を予防して国民の健康を保持するということで、大変重要な手段でございます。しかし一方、我が国では、副反応の問題などもありまして慎重な対応が求められてきた経緯もございます。そういうことから、予防接種行政の推進に当たっては、予防接種の便益とリスクの正しい理解に基づきます国民的な合意の形成というのが不可欠だというふうに思っております。
 このため、昨年から審議会の予防接種部会で予防接種の抜本改革について様々な観点から議論を進めていただいておりまして、現在は中間的な論点の整理を行っているところでございます。これらの論点の中には、委員も指摘されましたように、恒久的な財源の確保の問題、あるいは国と地方の役割分担など、様々な課題や意見があるものでございますけれども、引き続きしっかり検討を進めまして、できるだけ早い時期に抜本的改正ができるように最大限努力をしたいと思いますが、来年の通常国会を目指してしっかり検討していきたいと、このように考えております。
○山本博司君 是非ともお願いをしたいと思います。
 あと何問か質問を飛ばした形でございますけれども、四国の私出身でございますので、このワクチンの国内の製造されている現場に行かせていただきました。大変品質が高い、そういう中で次の細胞培養ワクチン等の取組も見た次第でございます。この国内体制に関しましての整備に関しましてはこの後秋野議員から質問がございますので、予防接種に関しましてはこれで控えておきたいと思います。
 それでは、B型肝炎訴訟に関しまして最後にお伺いをしたいと思います。
 国が法律で義務付けました予防接種でB型肝炎ウイルスに感染した人たちが国に損害賠償請求訴訟を行ってございましたけれども、六月二十八日に原告と国が和解に合意をしたわけでございます。国が和解金を支払うとともに、被害の真相究明を行う第三者機関の設置や肝炎医療の恒久対策を話し合う協議会の設置などを行うことになってございます。和解金の費用は最大で三・二兆円、推計してございまして、特別の財源措置が必要でございます。政府はこの救済の枠組みを含めた法案をこの秋にも提案されると伺ってございます。
 そこで伺いたいのは、この財源の確保をどのように考えているかということでございます。原告の方々は、増税はB型肝炎患者のためにという見方が強まることを大変恐れてございます。先日も、そうした代表の方々、この増税が独り歩きをしてしまって被害者への新たな差別が生まれないように配慮をして早期救済を行う義務があると考えるわけでございます。
 患者の皆さんは高齢化が進んでおりまして、肝硬変や肝がんで亡くなっている方が多くいらっしゃいます。時間がない中で、この原告の皆さんの心情を考えましてこうした対応をどのように考えるのか、大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(細川律夫君) B型肝炎訴訟につきましては、御承知のように、六月の二十八日に締結をいたしました基本合意書、これの内容に沿って誠実に実施をしていくということでございます。今後その訴訟を提起された、今訴訟を提起をされている方だけではなくて今後訴訟を提起される方々、こういう方についても対応がしっかりできるように全体解決の枠組みを構築をしなければならないと、このように考えております。
 その際、政府としては、責任を持って対応するためには給付に見合った財源を確保するという必要がございます。その財源確保でありますけれども、所要の法案をこれからいろいろと準備をしていくところでありますけれども、その準備する過程の中で検討いたしてまいりますが、この予防接種を行ったということで、それによって利益を受けた国民全体でその費用を分かち合うという観点から検討をしなければということで今検討しておりますけれども、その中には、税負担ということも検討の中に入ってくるというふうに考えております。
 ただ、おっしゃるように、患者の皆さん方のお気持ちにもいろいろと当然配慮もしていかなければならないと思いますし、国民の皆さんにもこのB型肝炎訴訟での基本的合意書、これも御理解もいただかなければならないということで、この全体解決に向けての最大の努力をしてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○山本博司君 よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。