参議院 厚生労働委員会 第10号

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 私は、昨年の八月まで二十数年間、外資系IT企業でサラリーマンの生活をしておりました。政治の道を志した原点は、障害の娘でございました。重度の知的障害の娘の介護を通じて様々なことを学び、教わりました。同じような障害を持たれている方や親の会、そしてボランティア、養護学校の先生、施設などの多くの皆様に支えられて娘は生きてきました。多くの障害を持つお子さんを抱える御両親は、障害の子よりも一日でも長生きをしたい、皆さんそう言われます。親なき後のことに不安を持たれていました。また、法律のはざまで大変な思いをされている方々をたくさん見てまいりました。こうした方へもっともっと政治の光を当てないといけない、素朴にずっと感じておりました。この一年間、中国、四国地域を中心に、医療、介護、障害者の現場を百五十か所近く回りました。地方の声、弱い立場の人たちの声を国政に届けようとの思いが、議員となり、本日の厚生労働委員会で質問という形ができ、感激しております。舛添大臣もお母様の介護が政治家へのきっかけとなったことをお聞きいたしましたけれども、私も初心を忘れず取り組んでまいりたいと思います。
 本日は一般質問ということですから、こうした中から子育てや障害者の支援策などについて幾つか質問をしたいと思っております。
 まず初めに、子育て支援策についてお伺いをいたします。
 平成十四年度より待機児童ゼロ作戦が実施をされました。これは、共働き夫婦の増加などを背景に、一九九〇年代から深刻化していた待機児童問題を解消するために実施されたもので、公明党も積極的に推進をいたしました。
 そこで、厚生労働省にお伺いをいたします。これまでの待機児童の解消に向けた取組状況はどのようになっているでしょうか。
○政府参考人(大谷泰夫君) 待機児童の解消についての状況でございますが、この五年間で見ましても十三・六万人の入所定員の増を図りました。こういった結果、平成十九年四月の保育所待機児童数は四年連続で減少しまして、約一万七千九百人となったところでございます。待機児童が五十人以上いるという市町村の数も、昨年の八十一か所から七十四か所に減少しておりまして、平成十四年度から進めてまいりました待機児童ゼロ作戦の効果が着実に表れてきているというふうに考えております。
 このような改善傾向はあるものの、その入所定数の増加を上回る新たなまた入所の需要が生じておるわけでありまして、依然として都市部を中心に多数の待機児童が存在しております。そのため、平成十六年末に決定いたしました子ども・子育て応援プランに基づきまして、平成二十一年度までに受入れ児童数の拡大を図るとともに、特に待機児童五十人以上の市町村につきましては重点的な施設整備等を行うようにという対策を進めております。
 このほか、こういった保育所での保育ということに加えまして、家庭的な保育事業、例えば保育ママという言い方をしているところがありますが、そういったものや、事業所内の託児施設に対する支援の充実を進めること、また、育児休業制度の普及、定着など、仕事と家庭を両立しやすい環境整備に取り組む、こういったことによりまして、子育てに関する施策を総合的に展開して、この待機児童の解消に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 着実に減少しているものの、今ありました、都市部での一歳、二歳児では依然として待機児童が多いとのことでございます。こうした中、現実には無認可保育所などの認定外の保育施設が待機児童の解消に大きな役割を果たしていると思います。
 先日も、香川県や高知県で無認可保育所を経営されている方々からお話をお伺いしました。国からの補助もなく、限られた予算の中で、保護者の皆様とも相談をしながら、子供たちに良い保育とは何かを考え、工夫をされているとのことでございました。
 そこで、認可外保育施設の現在の状況についてお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 認可外の保育施設でありますが、現在も各地で御努力いただいているところでございます。平成十八年三月三十一日現在の認可外の保育施設の数でありますが、七千百七十八か所、利用児童数が十七万九千七百四十八人となっております。これ、前年と比較いたしますと、施設の数で二か所の増加、利用児童数で約九百人の増加となっているところであります。
○山本博司君 ただいまの御説明にありましたように、認可外の保育施設の児童数は約およそ十八万人近くもございます。これは、認可保育所の定員約二百十万人の一割にも匹敵をする数でございます。よって、現実には認可外保育施設が我が国の保育の一端を担っているとも言えるのではないでしょうか。そうした実績を認めて、都道府県とか市町村の多くでは何らかの補助金を出しております。また、税制面では、保育との役割を認め、一定の対応をしております。
 そこで、大臣にお聞きいたします。認可外保育施設の果たしている役割をどのようにお考えでしょうか。また、このような現状をかんがみれば、国としても何らかの補助、助成制度を考えるべきではないかと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 私自身も認可外の保育施設に子供を預けたりしていたことがあります。したがって、これが非常に重要な役割を果たしているというのは委員の御指摘のとおりだと思います。
 ただ、やはり片一方で、親としてみても、その保育所の水準、ちゃんとその安全性とか、やっぱり子供を預けるわけですから、一定の福祉の水準、いろんな水準が保っているかと、これを基準に補助を与えるというのが国の方針であります。
 ですから、まず何とかやっていただきたいのは、認可外の保育所、これが認可される、認可保育所の方に変わってもらうようにいろんな支援をまずは行いたいと、これが一つの原則でございます。そういう意味で、認可外から認可保育所に変わるためのあらゆる支援をやっていく。しかし、そのプロセスにおいてもこういう施設が大変大きな役割を担っているというのは、私の体験からも十分理解できるところであります。
○山本博司君 大臣、ありがとうございました。
 認可保育園の転換を促すだけではなくて、様々な理由から無認可で経営されている保育所に対しての何らかの児童福祉という観点から御支援をいただきたいと思います。
 次に、特別支援教育についてお伺いいたします。
 本年四月に施行されました改正学校教育法により、すべての学校において特別支援教育を推進することが法律上も明確に規定をされました。また、これまでの盲学校、聾学校、養護学校が特別支援学校に変わり、より一人一人に合った教育支援が実施をされており、高く評価するものでございます。
 そこで、文部科学省にお伺い申し上げます。今回の特別支援教育の理念はどういったものでしょうか、簡潔に副大臣にお答えいただきたいと思います。
○副大臣(池坊保子君) 今、山本委員がおっしゃいましたように、従来の特殊教育ですと盲学校、聾学校というふうに分かれておりましたけれども、それぞれの障害を持ったお子様方、重複化ということもございますし、また障害の多様化ということに対して対応していくことが必要かと思いまして、障害のある幼児児童生徒一人一人のニーズに応じた、それぞれの子供たちを見詰めながらその子供に合った支援、指導というものが必要で、そのように行っていきたいというのが一点でございます。
 それからもう一点は、今まで特殊教育が対象としておりませんでした知的な遅れのない発達障害、例えばLD、ADHD、そういうお子様方も在籍なさって一緒に学校において勉強、まあ援助し、助言を行うということでございます。これは今年の四月から発足いたしましたけれども、今後も特別支援教育にかかわる施策の改善充実を図って、障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導というのをしてまいりたいと思います。
 繰り返すようですが、一人一人を大切にしてということが必要になってきておりますので、このことについては十分配慮してまいりたいと思います。
○山本博司君 副大臣、ありがとうございました。
 共生社会の理念を表したものであり、障害の有無にかかわらず、ともに教育を受けて交流することは意義あることだと思います。
 それでは、施行後半年以上経過しておりますけれども、本年四月からの施行状況についてお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 この四月から特別支援学校制度が始まりまして、今年の四月の時点で複数の障害種別に対応した教育が行えるという学校は九十四校という実態でございますが、都道府県の中では、制度改正を受けまして当該都道府県内の全体の特別支援教育の体制の見直しを図る基本計画を作成するという取組も進められているところで、今後、特別支援学校制度を生かす取組を更に増やしていただけるものと思っております。
 また、通常の小中学校におきましても、発達障害を含む障害のある子供たちに対して適切な教育を行うことができるということになりまして、校内委員会の設置、個別の教育支援計画の作成など、小中学校におきましても特別支援教育の実施体制という方向に進められているところで、今年度の実態は現在調査中な段階でございます。
 また、特別教育支援員という形で小中学校においての配置につきましては、今年度から地方交付税措置によりまして七月現在では二万二千六百人が配置されているという形で、特別支援教育の充実が特別支援学校あるいは小中学校において進められているところでございます。
○山本博司君 子供の可能性を最大限に伸ばせるようなきめ細かな対応を行っていただきたいと思います。
 次に、具体的な点についてお伺いをしたいと思います。
 特別支援教育では、障害の状態に応じて、これまで同様、特別支援学校や小学校、中学校の特別支援学級などにおいて教育を受けることができます。また、通常の学級に在籍している言語障害や発達障害のある子供たちのためには通級による指導の制度もあり、必要に応じて障害に配慮した指導を受けることができるようになっております。
 そうした中で、今もお話にございました、通常の学級に在籍している障害のある子供によっては食事、排せつの補助や車いすでの移動補助など日常生活の介助が必要な場合がございます。また、発達障害のお子さんが増えましたので、多動のお子さんも大変でございます。こうした方々に対応するために、支援員を設けて全公立小学校一人ずつ配置することが、今ありましたように計画されております。
 ところが、全国的な配置状況を見ますと、地域によってばらつきがあるように思います。例えば今年の七月の時点では、東京都では配置率が一四三%、神奈川県が一五四%、大阪が九八%に対しまして、香川県が二五・七%、高知が八・三%、鹿児島ではいまだ三・六%という状態で、鹿児島では八百六十八の学校に対して三十一人しか活用されていない現状でございます。
 このような違いが起きるのは、何が原因になっているのでしょうか。子供一人一人の教育的ニーズにこたえるためにも、地域格差を是正して、ひとしく教育を受ける機会をつくるべきと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(布村幸彦君) 特別支援教育支援員について御説明申し上げます。
 平成十九年度から、地方財政措置ということで約二百五十億、二万一千人相当という特別支援教育支援員の配置が制度的に可能になりました。そのために、前年度から文部科学省におきましては、各教育委員会を通じまして、この配置の推進されるように情報提供に努めたところでございますが、実態として先生御指摘のように、全国的な状況としては、地方財政措置を行った二万一千人を超える二万二千六百人という配置状況でございますけれども、都道府県ごとに極めて大きなばらつきがあるという実態でございます。
 平成二十年度の地方財政措置におきましては約三万人の規模ということで予定しておりますので、今後、引き続き各市町村においてこの特別教育支援員の配置が進められるように、その充実が図られるように周知を図ってまいりたいと考えております。
○山本博司君 地方の財政は大変厳しい場合がございますけれども、是非とも地方に配慮をしていただきたいと思います。
 さらに、全国的には日常的に、たんの吸引とか経管栄養などの医療的ケアが必要な子が六千人近くおります。この医療的ケアは医師や看護師のみに許された医行為であり、保護者を除く他の者には法的に禁じられております。よって、学校が対応できないために登校できない子供がいたり、保護者に付添いを求めている学校が数多く存在いたします。
 母親の手記にもこうございます。息子は高等部三年生、学校が大好きです。先生が大好きです。仲間も大好きです。彼からその内容を具体的に聞くことはできませんが、表情や体の柔らかさで精一杯に伝えてくれます。息子の変化に教育の力というものが感じずにはいられません。親では与えられないもの、それが教育なんだと痛感をしております。けれど、現状において親がどんなに努力しても三日が限度です。息子も学びを欲しています。彼の健康が許す限り一日でも多く登校させてやりたい、けれども三日が限度です。現状の親子通学では私の体力がもたないのです。
 このお母様の声もございます。これでは教育を受ける権利が保障されず、更に言えば子供の生命にもかかわる問題ではないでしょうか。地方自治体によるばらつきもあり、不公平感が高まっております。
 公明党としても、参議院のマニフェストに盛り込み、充実を強く要求しているところですが、この医療的ケアの体制整備についてどのように取り組むおつもりでございましょうか。副大臣、お願いいたします。
○副大臣(池坊保子君) 今、山本委員がおっしゃいましたように、特別支援学校には、たんの吸引、経管栄養導入といった医療的ケアが必要な子供たちが在籍し、そして学習しております。
   〔委員長退席、理事家西悟君着席〕
 このような医療的ケアがきちんとされませんと在籍することはできないわけで、文部科学省は各都道府県に対して、特別支援学校において医療的ケアが安全に行われるよう、看護師の適正な配置などの体制整備に努めていただくようにということを事あるごとに通知を出しております。これは児童生徒の生命にかかわる問題でございますから、地域もきちんとそれを受け止めて配置をしているところもございます。
 でも、今おっしゃいますように、これは地方交付税の措置がなされておりませんので、財政力の弱い地域においては、一人も看護師が置いていないというところもございます。医療的ケアが必要な児童生徒が在籍する盲・聾・養護学校って六百四十二校あるんですね。そのうちの六〇・九%、三百九十一校しか看護師が在籍していないというのが現状でございますので、私たちは、更に看護師の適正な配置が行われますよう、地方財政措置を総務省に今後とも強く強く要望してまいるつもりでございます。
○山本博司君 ありがとうございました。
 昨年成立した新しい教育基本法でも、第四条の第二項において、「国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。」とございます。この点からも、充実した体制の整備を強く求めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 文科省の池坊副大臣含めて、この後質問ございませんので、退席されて結構でございます。ありがとうございました。
○理事(家西悟君) 池坊文部科学副大臣、御退席していただいて結構でございます。
○山本博司君 あと、審議官も結構でございます。
○理事(家西悟君) 布村審議官も御退席していただいて結構でございます。
○山本博司君 次に、どこに行っても多くの方から相談をされましたのが、発達障害を持つ親の方の悩みでございました。手紙も多くいただきました。ある方の手紙には、二〇〇五年、発達支援法が成立となり、対象となる児童に対して具体的な取組が開始されたことは画期的なことであり、保護者にとっても大きな希望、明かりとなりました。しかし、一方、そうした支援を受けないまま成人し、家族も普通と違うと感じつつ、生きにくさをどこにも相談したり、ぶつけないまま悩み苦しんで生きている現実が数多く存在しておりますとの書き出しで、多くの現実、課題をいただいております。
 まず初めに、現在この発達障害者支援法が施行されて二年が経過しますが、現状をどのようにとらえているんでしょうか。また、見直すべき課題は何だとお考えでしょうか。お願いいたします。
○政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。
 発達障害対策につきましては、今お話がございましたように、平成十七年四月から発達障害者支援法が施行されておりまして、これを踏まえて、発達障害者の乳幼児期から成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制を整備するということを進めております。
 このため、都道府県、指定都市におきましては、一つとしては、発達障害者の検討委員会を設置し、この委員会で指定された圏域におきまして、学校教育、教育分野とも連携をしながら、発達障害者に対する個別支援計画の作成などを行っております。
 また、二つ目といたしまして、地域での発達障害の取組をバックアップする専門的な機能を有する機関といたしまして、発達障害者支援センターの設置を進めておるところでございます。今後は、こうした取組のより一層の普及が課題であるというふうに認識しております。
 しかしながら、一方で、発達障害者やその保護者のニーズに適切に対応できる技能を持つ専門家が少ないことに加えまして、専門的支援のノウハウの蓄積も不十分であるということがございますので、国といたしましては、一つとしては、地域での支援の核となる人材を養成するための発達研修事業を実施しております。二つ目といたしまして、今年度から発達障害者支援開発事業を実施しておりまして、先駆的な発達支援手法の収集を行っております。さらに、三つ目といたしまして、来年早々にも発達障害情報センターを設けまして情報発信していくと、こんな取組を行っております。
 今後とも、こうした取組を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
○山本博司君 今ありました発達障害者支援センター、都道府県にそれぞれ配置をされているわけでございますけれども、まだまだ市町村レベルまでは至っていないというのが現状でございまして、今、どこに行っても困っていらっしゃる方々が、やっぱり市町村での対応はできないということもございます。是非、整備をしていただければと思います。
 その上で、この発達障害の方々は零歳から六歳までの早期発見が大事でございます。発見が遅くなると、いじめなどにより二次障害等にもつながってまいります。早期発見のためには、全国の医師、保健師が発達障害の知識、理解と対応が大切でございます。その意味で、医師や保健師が研修を受けて、優れた技術や知識を身に付けることが重要でございます。この研修制度を拡充すべきと考えますが、現在までの取組状況について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(大谷泰夫君) 発達障害児の早期発見あるいは早期支援のためには、一歳六か月児健診や三歳児健診等の乳幼児健康診査及びその後の経過観察、指導等を適切に実施することが重要でございます。このため、厚生労働省では、平成十七年の三月から子どもの心の診療医の養成に関する検討会というものを開催いたしまして、この分野の医師の養成方法について検討を行い、十九年の三月に報告書を取りまとめたところでございます。この報告書を踏まえまして、今年度から子どもの心の診療医の養成のための研修を実施するとともに、現在テキストの作成を行っているところであります。また、これに加えまして、厚生労働科学研究において発達障害児の早期発見、支援に関する検討を行っております。
 今後、保健師等の保健医療従事者向けの研修マニュアルの作成、また研修会の開催などを通じまして、各自治体において適切な取組が行われるよう支援してまいりたいと考えます。
○山本博司君 ありがとうございました。
 愛媛県の四国中央市には、四国で初めて、全国で四例目となる発達支援室が今年度から開設し、保育園から就職まで一貫した体制で個別の児童の支援計画を立てております。保育園時代から保護者の協力を得て障害の特性や子供の情報などを集約して、発達障害児及び保護者の意思とニーズを尊重した有効的な計画が立てられていると大変評価を受けております。
 いずれにしても、早期の発見、学校、地域の連携など、医療、保育、教育、福祉が一体となって取り組む必要があると思います。
 そこで、舛添大臣に発達障害者支援に対する御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今の委員の御質問、それから政府側の答弁で非常にいい議論ができたと思います。
 例えば、身体障害者の方が車いすで動いておられる、すぐ分かります。それから、補助犬、今度法律通りましたけれども、補助犬で例えば目の不自由な方が動いておられる、こういう方に対する国民的な支援というのは非常に高まってきました。法律はできたんですけれども、この自閉症にしても、その他のLDとかADHDにしても、アスペルガー症候群にしても、そうだと分からないんですね。非常に能力の高い子供がいて、一番の問題は周囲の理解がないということなんです。国民の理解がない。ですから、これを何とか高めていきたいというふうに思っています。何でこの子は落ち着きがないの、何でそうなのと。しかし、本当に家族や本人が非常に困っている。
 そういう中で、昨年、戦略本部、これを事務次官をトップに据えまして、何とかこの問題を解決したいと。そして、今委員がおっしゃったように、ライフステージ全体にあって、小ちゃいとき発見できなかったもので、今度大人になってからの対応が出てきていません。だから、各ライフステージできちんとやれるような対応ということで、今後とも省を挙げて全力を挙げて政府としてもやってまいりたいと思いますが、是非、委員には国民の御理解を賜るために、またひとつお助けを願いたいと。これは、是非国民の皆さんの理解がないと片付かない問題なんで、省としても全力を挙げることをお誓い申し上げます。
○山本博司君 大臣、ありがとうございました。
 今後とも、発達支援者及び家族の方々の支援の充実に取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、最後の質問になりますけれども、身体、知的、精神障害の三障害や発達障害でもない、いわゆる社会的引きこもりの方や御家族も更に厳しい問題を抱えております。この点について最後にお伺いをしたいと思います。
 先日も、愛媛県とか香川県の引きこもり親の会の皆様と懇談をいたしました。成人した引きこもりの子を持つ親御さんからは、家庭内暴力があり大変な状況だが相談する場所もないため解決の糸口が見えない、親も高齢化しており今後が心配であるとのお話を聞きました。こうした社会的引きこもりの方を抱える家族は、全国で近年増加をしております。
   〔理事家西悟君退席、委員長着席〕
 全国引きこもりKHJ親の会では八千家族、組織率はまだ一%とも言われておりますけれども、この親の会の二〇〇五年調査では、平均年齢が二十九・五歳と言われております。こうした現状を見るに、早急な対策が求められているのではないでしょうか。
 そこで、厚生労働省にお聞きをします。
 この社会的引きこもりの定義と実態をどのように把握され、取り組んでいるか、お聞きをしたいと思います。
○政府参考人(中村吉夫君) お答えいたします。
 引きこもりにつきましては、きめ細かな相談への対応を通じて本人や家族との関係を築き、個々のケースに応じた支援を行うことが大変重要であるというふうに思っております。
 このため、その対策の一つといたしまして、各都道府県等の精神保健福祉センターあるいは保健所において引きこもりを含む精神保健福祉に関する相談に応じておるところでございます。実績を申し上げますと、精神保健福祉センターにおける引きこもり相談は平成十八年度で一万四千九百九十一人というようになっております。また、保健所におきます引きこもりを含む思春期関連相談の総件数は平成十七年度で一万一千五百九十七人という形になっております。
 こうした相談活動の充実に資するため、平成十五年には引きこもりに関する具体的な支援方法等を盛り込んだガイドラインを作成いたしまして、都道府県、指定都市に配付をしておるところでございます。また、引きこもりを含む思春期精神保健の専門家の養成を図るために、平成十三年度からは医師、看護師等を対象に思春期精神保健対策研修会というようなものも実施しておるところでございます。
 いずれにいたしましても、相談をきちんとした対策に結び付けるよういろいろ取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○山本博司君 今、ガイドラインとございましたけれども、まだまだ全国にそういったガイドラインが徹底されていないという状況もございます。そういう意味での早期の対応をお願い申し上げたいと思います。また、各県ごとの相談窓口とか訪問相談員の体制整備、長期化、高齢化、片親化した家族に対する早期支援策が求められていると思います。自治体のレベルでは訪問サポート事業などの支援の取組が一部始まっておりますけれども、その引きこもりに対しての総合的な政府一体となった対策の確立をお願いをしたいと思っております。このことを再度要望しておきます。
 最後、一点だけ申し訳ありません、離島の医療体制に関しましてお聞きをしたいと思います。大臣にちょっとお聞きしたいと思います。
 瀬戸内海には多くの島々がございます。小豆島、笠岡列島諸島とか多くの島々にも参りました。先日、十月には松山市の中島という地区に視察をいたしました。この中島でも約四千人、小さな五つの島では数百人の人口でございます。この中島の中央病院では、医師が五つの島の診療を巡回をして診察をしております。やはり医師、看護婦の不足が、足りないということでもございました。このように離島では大変厳しい状況が続いております。
 その意味で、島の方から言われましたのは、緊急搬送のときに非常に大変船では時間が掛かってしまうと、このような島の住民の不安を解消するためにも、離島こそドクターヘリの配備が求められているのではないかと考えます。財政的には大変厳しい四国ではまだドクターヘリが配備されておりません。ドクターヘリの全国整備を計画されておりますけれども、大臣に、最後にこのドクターヘリの全国整備促進への決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 離島も当然このドクターヘリのニーズが高いわけでありますし、今年ドクターヘリ法が成立しましたから、これに基づいて精力的に整備を進めていきたいと思います。そしてまた、離島につきましては、自衛隊、それから消防庁、こういうところのヘリも含めて活用しながらきちんと国民の命を守っていく、そういう体制を整え、また都道府県に対しても必要な支援を行ってまいりたいと思います。
○山本博司君 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。