公明党 参議院議員 山本ひろし

公明党

厚生労働委員会

6号 平成191120


山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、議題となっております労働契約法案と最低賃金法案について伺います。
 初めに、労働契約法案についてお伺いをいたします。
 我が国にも欧米流の契約社会の傾向が徐々に浸透しており、自己責任の原則を基本とする新しいルール作りが求められてきております。
 こうした中で、労働契約法案は、これまで判例法理によって積み重ねられてきた労働者と使用者との間の権利義務のルールを明文化しており、高く評価するものであります。透明かつ公正な法的ルールを確立することで労働者が安心をして働くことができ、更に言えば格差社会の是正に大きな役割を果たせると考えます。
 また、衆議院の段階で自民、公明の与党と民主党が協議をして修正案という形で結論を出したことは、いわゆるねじれ国会の中において大変意義あることと考えております。修正の内容も法の趣旨も明確化されたと言えるので、この法の趣旨が徹底されることを希望いたします。
 そこで、具体的な内容について、まず厚生労働省にお伺いをいたします。
 まず、第一条の目的において、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係に資することとしていますが、労働者の保護は大変重要な視点であると思います。この労働契約法が制定されることで具体的に労働者にどのような影響、メリットがあるのでしょうか。この法律による労働者保護の考え方をお伺いをいたします。

政府参考人(青木豊君) 今、個々の労働者と使用者との間の個別の紛争というのが大変増加しているわけでありまして、そういう中で労働者が安心して働くことができるように労働契約に関するルールを明確にすることが大切だというふうに思っております。
 労働契約法案では、労働契約は労使当事者が対等の立場における合意に基づいて締結されるべきという契約の原則、理念や、労働契約の成立及び変更は労使当事者の合意が原則であって、就業規則による労働条件の変更というのは合理的なものであることを要するということで、労働契約に関する基本的なルールを明確にしたものでございます。
 こういったことによりまして、労働契約に関する基本的なルールが周知をされて使用者の合理的な行動が促されるということになりますので、紛争の未然防止に資することができると、そういうことで労働者が安心、納得して働くことができるようになるということで、労働契約法一条に言うその目的にかなっているというふうに思っております。

山本博司君 法律案では労使の対等の立場をうたっていますけれども、現実的に見ると、労働者の立場は大変非常に比較的弱い状況にございます。労働者保護の視点を重視して対応していただきたいと思います。
 次に、第四条の二において「労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとする。」と、こうございます。
 書面の明示義務ではなく、「できる限り」という表現が意味をするところは何でしょうか。使用者より労働者の方が知識に乏しいので、書面の確認がないことで労働者に不利益が発生することのないように使用者に徹底すべきではないでしょうか。このことをお伺いします。

政府参考人(青木豊君) 今お取り上げになりました法案の四条第二項のできる限り書面で確認という規定でございますけれども、これは労働基準法の十五条で、労働契約締結の際に賃金や労働時間等の労働条件についての書面の交付を求めているわけですが、これとは異なりまして、書面で確認する場面や、対象である労働条件が限定されるものではなく、例えば労働者の就業環境や労働条件が大きく変わる場合でありますとか、あるいは労働者が労働契約の内容について説明を求めた場合などがこの法案の適用場面として考えられるものでございます。
 書面で確認する対象項目につきましても、労働基準法の十五条とは異なり、賃金や労働時間等の一定の労働条件に限定されるものではなく、基準法でその書面の交付まで求められていない、例えば賞与等についても含まれるものでございます。労働者が確認したいと考えた場合などにおいて、労使が話し合って、使用者が便宜、労働契約の内容を書面で示すことを明らかにしたものでございます。

山本博司君 労働者が不利益を被ることのないような、そういう徹底をお願いを申し上げたいと思います。
 さらに、第九条についてお伺いをします。
 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容にある労働条件を変更することはできないと原則を定めております。次の十条において例外規定を置いておりますけれども、このことで使用者から一方的に労働条件を切り下げられ、労働者の不利益につながるのではないか。これは先ほどもございましたけれども、危惧を持つ考え方がございます。これに対してどのように回答するのか。これまでの判例法理を法律の中で明確にしたことで解釈が変更され、この例外規定だけが独り歩きすることないのか、確認をもう一度したいと思います。

政府参考人(青木豊君) この労働契約法案におきましては、まず第八条で、労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができるという合意原則を明確にまず規定しているわけでございます。その上で、就業規則による労働条件変更に関する最高裁判所の判例法理に沿って、まず原則として第九条で、使用者が労働者と合意することなく就業規則の変更により労働者の不利益に労働契約の内容を変更することはできない旨を規定しております。さらに、第十条で、変更後の就業規則が労働者に周知されており、就業規則の変更が合理的なものである、そういう場合に労働契約の内容である労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとする旨を規定しております。
 こういったことで、労働契約法案は、労働条件の変更に関しまして、労働者及び使用者の合意を原則としつつ、現在の判例法理に沿ったルールとするものであります。
 また、就業規則による労働条件の変更ができる場合の合理性の判断要素として、労働者の受ける不利益の程度という、個々の労働者にとっての影響でありますとか、あるいは労働組合等との交渉の状況という、就業規則の変更に当たっての労使協議の状況を明示しております。
 そういうことなどで労働者の保護に十分配慮したものとなっており、御心配のようなものではないというふうに考えております。

山本博司君 ありがとうございます。
 次、大臣にお伺いをしたいと思います。
 この法案が成立をした場合、この法の周知徹底、また労働雇用に対する知識を広める工夫が必要であると思います。また、今回の法律を作ったことで労働紛争がすべて解決するということではないので、今後も更なる改善を重ねなくてはならないと思います。こうした個別労働紛争を未然に防ぐための取組に対する大臣の決意をお伺いをしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 最近、労働者と使用者側のいろんな紛争が増加傾向にあるわけでありまして、これ非常に危惧をしております。今回、この契約法案がきちっと成立してルールが明確になりましたら、今委員がおっしゃったように周知徹底させると。あらゆる機会を通じてこの法案の中に盛り込まれたルールについて広く知らせていく。そして、できるだけ紛争を未然防止したいと。そういうことのためにもこの法律があるんだということを強調しておきたいと思います。

山本博司君 ありがとうございました。
 労働契約法で新たなルールができたことで労働者が安心をして働くことができるような万全の対策を講じていただきたいと思います。是非ともよろしくお願いを申し上げます。
 次に、最低賃金法案についてお伺いを申し上げたいと思います。
 今回の改正は三十九年ぶりの改正ということで、最低賃金制度はすべての労働者の賃金を下支えするセーフティーネットとして極めて重要な役割を果たしており、就業形態が多様化する中でその重要性は更に増していくものと考えております。また、生活保護との整合性を考慮することは最低限度の生活を保障するという観点とともに、就労に対するインセンティブを働かせるという点からも必要なことであり、この改正を高く評価するものでもございます。
 今回の改正では地域別最低賃金の決定が任意的設定から必要的設定に変更され、罰金の上限額も引き上げられるなど、地域別最低賃金の機能強化が図られております。これによって今後、地域別最低賃金の具体的な水準を決める地方最低賃金審議会の役割がより一層重くなるものと考えます。
 そこで、この地域別の最低賃金の決定方法について、構成、概要について御説明をいただきたいと思います。

政府参考人(青木豊君) 最低賃金の制度、とりわけ地域別最低賃金につきましては、今委員がお触れになりましたように、その必要的な設定と、あるいは罰金の上限の引上げというようなことであります。これは、すべての労働者についての賃金の最低限を保障する安全網としての役割を果たすべきであるということから、そういうように考えたわけであります。
 地域別の最低賃金の具体的な水準についての決定でありますけれども、これは公労使三者構成の地方最低賃金審議会において地域の実情を踏まえた審議を行いまして、それを経て決定されるものでございます。今回の法案が成立いたしました暁には中央最低賃金審議会が提示をいたします目安も参考にいたしながら、この今般の法改正の趣旨に沿った議論が地方の最低賃金審議会においても行われ、その結果に沿って、現下の雇用経済情勢、地域の事情を踏まえた適切な引上げ等の措置が講ぜられるということになると思っております。
 厚生労働省としましては、地方の最低賃金審議会でこうやって議論をされるわけでございますので、そこの地方の最低賃金審議会に対しまして地域の実情に即した資料が十分に提出されるように、そして、その上でこの法改正の趣旨に沿った適切な審議が行われるように都道府県労働局に対して指導を行ってまいりたいというふうに思っております。

山本博司君 地域の実情に沿った対応をしっかりお願いを申し上げたいと思います。
 さらに、重要な改正点でございます生活保護との整合性についてお伺いをしたいと思います。
 今回の改正では、最低賃金の三つの考慮要素のうち労働者の生計費を考慮するに当たっては、生活保護との整合性について配慮することとしております。また、衆議院における修正によって、第九条の三では、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、」と規定をされました。これによって憲法二十五条の生活保護法の理念が最低賃金を決める際により一層重視されることになると思いますが、具体的にどのような基準で生活保護との整合性を考慮することになるのでしょうか。このこともお願いいたします。

政府参考人(青木豊君) 生活保護と最低賃金との関係でございますけれども、地域別の最低賃金は都道府県単位で決定されております。生活保護は市町村を六段階の級地に区分しているわけでありますし、あるいは年齢や世帯構成によって基準額が異なっていると、あるいは生活保護では必要に応じた各種加算でありますとか住宅扶助だとか医療扶助などがありますと、こういうことで、生活保護と最低賃金を比較するに当たっては、こういった点をどういうふうに考慮していくのかということが問題になるわけであります。
 しかし、最低賃金は労働者の最低限度の生活を保障するものでありますので、モラルハザードの観点からも、少なくとも最低賃金が生活保護を下回っている場合には問題であるというふうに思っております。
 このため、どうするかということでありますけれども、最低賃金と生活保護の水準を比較するに当たりましては、手取り額で見た最低賃金額と、衣食住という意味で生活保護のうち若年単身世帯の生活扶助基準の、まあこれは都道府県内人口加重平均が適当かなというふうにも思いますけれども、これに住宅扶助の実績値を加えたものと比較することが一つの考え方ではないかなというふうに思っております。
 しかし、いずれにしても、これ、具体的には生活保護との整合性をどうやって考慮していくかということについては、中央最低賃金審議会及び地方最低賃金審議会における審議を経て決定されるべきものというふうに考えております。

山本博司君 ありがとうございます。
 次に、大臣にお願いをしたいと思います。
 最低賃金制度は働く人たちにとって必要最小限のセーフティーネットであり、この水準が引き上がることでより豊かな国民生活が送れることになると考えます。今後、経済成長を含めた政府一丸となった取組が求められると考えます。最低賃金の引上げに向けた大臣の決意をお願いを申し上げたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 先ほど来、生活保護との整合性も配慮ということが非常に重要であるということを何度も強調しておりますけれども、この経済の成長力底上げ戦略において、生産性を上げる、それとともにこの最低賃金を引き上げる、そういう方向付けが既に出ております。
   〔委員長退席、理事谷博之君着席〕
 この法案が成立した暁には、地方の最低賃金の審議会において、諸条件を考慮に入れながら、そして今言ったように生活保護、これを下回らないということが重要なわけですから、そういう形で最低賃金が引き上げられるという方向での努力をお願いしたいと思っております。

山本博司君 ありがとうございました。
 国民生活の安心、安定が何よりも重要であると思いますので、更なる対策を大臣に講じていただきたいと要望いたします。
 最後に、法案の内容とは少し離れますが、労働雇用に関する法案についての審議なので、ひとつ大臣にお伺いをしたいと思います。
 それは七五三現象と呼ばれる現象についてですが、就職後三年以内に離職する人が増加をし、厚生労働省の調査によると二〇〇三年度には三五・七%と三人に一人を上回る高い離職率になっているとのことでございます。さらに、新社会人がわずか一か月半で転職を希望し、人材紹介会社に登録をする人が昨年同期の約二倍以上に増加をしており、その理由として会社が合わないため、配属が不満なためが大多数を占めているとの民間のデータもあります。
 また、財団法人の社会経済生産性本部では毎年新入社員のタイプについて命名をしていますが、本年の新入社員のタイプをデートレーダー型と命名しました。これは、細かく利益を確保しようとする売買手法のことをデートレードと言うことから、目先の利益を優先する姿勢を表現しているとのことでございます。
 いずれにしても、このような人材と職場のミスマッチの急増は、若者の努力や忍耐などの人間力の低下だけでなく、仕事に対する意識を持つことなく就職してしまう教育システムにも問題があるのではないでしょうか。
 ニート、フリーター人口の増加を抑制するためにも職業意識の形成を支援することは重要な課題と思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

国務大臣(舛添要一君) 先ほど来、私が日曜日に静岡に技能オリンピック、これを視察に行ったことをお話ししていますけど、できればこういうものをすべての日本の若者に見せたいという感じがしました。あれは二十二歳以下の若者が技能を世界的に競争するんです。大工さんもいます。左官さんもいます。それからコンピューターの技師もいる。二十二歳以下ですよ。それはすばらしい技術競争をやって、やはり物づくりの大切さ、職業意識をしっかり持つことの大切さ。恐らく彼らにとってフリーターという言葉は全く要するに無関係なものだろうというぐらいにすばらしいそこで技能が磨かれている。こういうことを体験してきたばかりでありますので、そういう安易に、職には就いた、今七五三とおっしゃったけど、さっと離職してしまう、そうじゃなくて、やっぱり地道に努力して、この分野では自分が負けないんだという、そういう職業意識をしっかり持つということも、これはフリーター対策の一つであります。
 それから、そういう意味で、私は是非技能オリンピックみたいなものを、幸い、見に来てくださった方の数は予想をはるかに超えていて大成功だったと思うんですけれども、まず、それとの関連で言うと、中高生を対象に職場体験をやってもらうと。実際、旋盤を動かしてもらう、左官ってこんなものだ、大工はこんなものだとやってもらう。そういう、ジュニアインターンシップということで、今、仕事の体験をやってもらう、これを一つやっております。
 それからもう一つは、仕事を持ったビジネスマン、企業人が中学や高校を訪問して、こういうことを自分たちはやっているんだよ、このコンピューターはこういうのが面白いよ、大工の仕事はこんなにすごいよというようなことを、職業講話を行うキャリア探索プログラム、こういうものを今やっております。
 ですから、例えば文部科学省と連携取りながら、各関係省庁と連携を取りながら、やはり若者にとって仕事とは何なのか、自分がプロフェッショナルとなるためにはどういうことをやればいいか、こういうことを地道に子供のときから訓練していくと、そういうことが必要だと思いますから、これまた目先ですぐ利益の上がる話ではありません。ないけれども、きっちりと若い人たちにこういう投資をするということが大きな花を咲かせることになると思いますんで、あしたがその技能オリンピックの最終日ですけれども、残念ながらあんまりたくさんは報道もされていない、だけど大変な大成功であり、多くの日本の若者に夢を与えたことは確かなんで、こういうこともまた一つの、技能オリンピックというようなことも一つの観点から見て進められるべきことだということをお話ししておきたいと思います。

山本博司君 大臣、ありがとうございます。
 教育や社会との連携、大変重要であると思います。公明党としましても、雇用格差是正対策本部を立ち上げて若年雇用者の支援について今検討しておりますけれども、未来を託す青年の育成には各界の連携協力が必要でございます。今後も一体となった取組をお願いをして、質問を終わります。ありがとうございました。