公明党 参議院議員 山本ひろし

公明党

厚生労働委員会

第169回国会 厚生労働委員会 第8号
平成二十年四月二十四日(木曜日)



山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、新型インフルエンザに関する問題についてお聞きをしたいと思います。国民にとって分かりやすい説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 近年、海外では鳥インフルエンザが鳥から人に感染する事例が増加をしており、さらに、人から人へ感染する形に変異する新型インフルエンザがいつ発生してもおかしくない状況にあると言われております。今国会におきましても、感染症法及び検疫法の改正案が提出をされておりますが、現時点ででき得る対策を早急に講じていかなくてはならないと思います。
 そこで初めに、新型インフルエンザが海外で発生をしてウイルス侵入を水際で防止しなくてはならない場合、政府挙げての取組が必要であると思いますが、この水際対策の基本的な考え方はどのようになっているか、御説明をいただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。
 新型インフルエンザが発生した場合、内閣総理大臣を本部長とした新型インフルエンザ対策本部が設置されます。関係省庁間の迅速な連絡体制を築くことになります。
 先般、新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議におきまして、昨年の訓練等を踏まえました、これは成田で行ったわけでありますけれども、新型インフルエンザが海外で発生したときの水際対策について基本的な方針の案が取りまとめられました。
 一つでございますけれども、海外で発生した初期の水際対策については、帰国を希望する在外邦人の速やかな帰国とウイルスの侵入防止を図るということで、感染性や病毒性、発生地域等により航空機の運航自粛、濃厚接触者に対する停留、在外邦人の帰国、外国に対する査証、ビザでありますけれども、発給制限等の考え方について示されたところでございます。また、今国会に提出いたしております改正法案におきまして、新型インフルエンザの発生直後から、発生地域からの入国者に対する検疫措置を開始できるとしてきているところでございます。
 いずれにいたしましても、厚生労働省としても広く関係省庁と連携し、発生に備え対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

山本博司君 ありがとうございます。
 海外で発生した場合はこういう初期段階での情報収集が大変重要となりますので、外務省とも連携をして万全の体制を講じていただきたいと思います。
 次に、今回の法案では、水際対策の一環として、停留先施設に医療機関以外の施設を追加する措置がとられておりますが、これはどういった理由からでしょうか。
 また、地方公共団体の施設や民間のホテルなどの宿泊施設に感染したおそれのある者を停留することになるので、これらの施設に関しまして、協力要請とかまた補償をどのように考えているかも併せてお答えをいただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) 今回、医療機関以外に停留先施設を設けさせていただく法案を検疫法第十六条として提出しておりますけれども、これは、新型インフルエンザにつきましては強い感染症、感染力が想定されております。停留対象者の数も膨大になることが想定されておりまして、限られた医療資源は実際に何らかの病気に罹患している者等必要な者に使用されるべきものであるというふうに考えております。
 また、もう一点でありますけれども、停留時点ではその方はいわゆる症状がないというようなことでありますので、停留先としては医療機関以外のホテル等の宿泊施設を使用できないかというふうなことでございます。
 現在、先ほども御答弁したとおり、各空港及び各港の自治体や関係団体等に対しまして、新型インフルエンザが発生した場合に停留措置を行う趣旨の説明ですとか、あるいは必要な協力要請、その中で安全対策あるいは風評被害に対する対策、費用負担等様々な課題が出ておりまして、協議を進めておるところでございます。

山本博司君 ありがとうございます。
 一度に大量の感染者が出た場合のシミュレーション、これを十分に行う必要があるかと思います。また、民間事業者に協力を求める際には、公益性の観点から十分な理解を得ることが大事だと思いますので、情報提供や使用料の支払を含めた対応をしっかりとお願いをしたいと思います。
   〔委員長退席、理事蓮舫君着席〕
 また、感染のおそれのある方に関しましては、医療施設や宿泊施設等において停留などの措置がとられることがあり、場合によっては監視などの物理的制限もあると聞いております。入院や停留措置された方々への人権への配慮規定はどのようになっているのでしょうか。先ほど家西委員からの指摘もありましたけれども、この点に関しましてお答えをいただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) お尋ねのとおり、検疫所が行う停留は検疫法に基づく強制措置でございます。しかしながら、可能な限り人権を尊重する観点から、停留対象者に対しましては適切な説明を行う、人権への配慮を行った上で措置を実施することとしております。また、停留対象者の個人情報の取扱いについても、個人情報保護の観点から最大限の配慮を行いたい、このように考えております。

山本博司君 国民の理解を得るための十分な配慮をよろしくお願いを申し上げたいと思います。また、感染者の個人情報の保護に関しましても万全を期していただきたいと思います。
 さらに、新型インフルエンザが発生した場合、関係省庁や団体の間での情報の共有の連携、大変重要となってまいります。政府では新型インフルエンザ発生を想定をしてこれまでに訓練を三回実施してきておりますけれども、訓練の実施状況はどのようなもので、どういう成果があったのか、御説明をいただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) 特に二回目に徳島県が参加した訓練の内容を事例として説明させていただきます。
 一つ目として、徳島県では、送付されたシナリオに合わせて県の対策本部の設置あるいは患者の搬送体制、指定医療機関での診療、患者家族等への積極的疫学調査、これは感染した方ほかにもいるということで、積極的な疫学調査を実施すると、そういう意味でありますけれども、それから発熱外来の設置等につきまして、机上訓練ではなくて実動訓練を行っております。発生時の対応の検討、確認がされました。
   〔理事蓮舫君退席、委員長着席〕
 この訓練におきましては、早期対応に重点を置くというようなことで、新型インフルエンザ発生の初期の段階、すなわち行動計画におきますフェーズ4及び5の範囲における状況を想定したわけであります。
 私どもと徳島県と協力いたしまして訓練の総括的な評価を五段階で求めたところ、おおむね良い結果であったというような評価を県からいただいております。県の方で評価しております。ただ、問題としては、動作に不慣れな点があるように感じたとか、あるいは発熱外来での対応者の感染防護対策が疑問であるなど多数の課題がございまして、これらの課題について私どももいろいろと勉強している、解決策に取り組んでいるところでございます。

山本博司君 ありがとうございます。
 こうした実際行われた訓練が実際に生かされるように、これまでの対応を検証していく、更なる改善を目指していく、このことは大変重要でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、治療薬やワクチンの備蓄状況についてお聞きをしたいと思います。
 予防効果があると言われておりますタミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬やプレパンデミックワクチンの備蓄状況に関しまして、現在どのようになっているのでしょうか。また、今後の備蓄目標をどのくらいに設定しているのか、地域ごとの備蓄状況も含めて教えていただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。
 新型インフルエンザが発生した場合に備えまして、国及び都道府県におきまして抗インフルエンザウイルス薬及びワクチンを備蓄しております。
 まず、抗インフルエンザウイルス薬でございますけれども、タミフルにつきましては、流通、備蓄と合わせて二千八百万人分を備蓄目標とし、国においては治療用に一千五十万人分、予防投与用に三百万人分を備蓄目標とし、平成十八年度に備蓄を完了したところでございます。また、各都道府県におきましては、治療用に総計一千五十万人分を備蓄目標としまして、平成十九年度に備蓄をすべて完了したところでございます。
 一方、ワクチンでございますけれども、医療従事者等に接種することとしておりますプレパンデミックワクチンを、平成十八年度にベトナム・インドネシア株について約一千万人分、それから平成十九年度、この前の補正でございますけれども、中国安徽株について約一千万人分を備蓄したところでございます。

山本博司君 これまで輸入に全面依存をしていた抗インフルエンザウイルス薬ですね、最近になって国内の医薬品各社が国内生産に乗り出しており、新型インフルエンザ対策にも効果が期待ができると思います。必要なときに供給できる体制を十分確立をしていただきたいと思います。
 次に、事前接種についてお聞きをしたいと思います。
 四月十六日に行われました新型インフルエンザの専門家会議では、この国が備蓄している二千万人分のプレパンデミックワクチンの一部を医療従事者や検疫担当者など約六千人に事前に接種する方針が明らかとなりました。この事前接種は世界初の取組と言われておりますけれども、この事前接種を実施をする理由はどのようなものでしょうか。今年度から始まる臨床研修の概要について御説明をいただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。
 お尋ねのワクチンでありますけれども、既に薬事法の承認、治験が終わっております。有効性、安全性について確立されたというふうに考えておりますけれども、ただ治験のときの対象者数が少なかったということも併せまして専門家会議で御議論いただきました。やはり、臨床研究として更なる安全性、有効性の検討を行う必要があるだろうということで、今後のワクチンの備蓄方針や効率的な利用方法を判断するためのものであると、これが目的でございます。
 内容としましては、副反応の確認による安全性、それから先ほど申し上げましたように、インフルエンザワクチン、株が異なりますと効き方が違うというふうなことでございますので、異なるウイルス株に対する交差免疫性、これを確認すると。それから、免疫がどのくらい持続するのか、これを確認すると。それから最後でありますけれども、一回打ちまして二回目打つということがインフルエンザでありますけれども、そのときの追加接種、いわゆるブーストと呼んでいますけれども、その効果について調査を行うと。このような計画を今しているところでございます。

山本博司君 接種をすることで一定の免疫力を持つ、このように言われておりますけれども、その有効性と安全性に関しましては十分確認をしていただきたいと思います。
 そこで、事前接種について、高い水準で安全性が確認をされた場合は一般国民にも対象を拡大する方向で検討されることでありますけれども、プレパンデミックワクチンの備蓄量を増加させるためにも国を挙げて制度、体制を強化すべきと考えますけれども、現状はどのようになっているのでしょうか、教えていただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) お答え申し上げます。
 新型インフルエンザに対するプレパンデミックワクチンの製造ですけれども、我が国では国内四社が行うことができるというようなことでございます。ただ、四社合わせても我が国民の必要量には全然足りないわけでして、それにつきまして総合的に検討しております。
 新型インフルエンザに対するパンデミックワクチン、あるいはパンデミックが起こったときのワクチンの製造でありますけれども、四月十六日の専門家会議で御議論いただきましたパンデミックワクチンを早期に確保するための方策として、細胞培養等の技術開発、これに取り組むと。米国も五年間で細胞培養技術を確立するというふうなことで発表しております。私ども日本としても、細胞培養の技術確立を図りたいというふうなことで御提言を受けまして、予算要求をしていきたいというふうに考えております。

山本博司君 国内でこのワクチンを製造できる、大変限られているということで、飛躍的な製造体制の強化がないと国民全体には行き届かないというふうに思っております。体制強化に是非とも取り組んでいただきたいと思います。また、新型インフルエンザに対応できるパンデミックワクチンも発生したらすぐに製造をしなくてはならないことがございますので、期間の短縮など製造技術の確立にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、この新型インフルエンザ対策に携わる研究の中心施設として国立感染症研究所がございます。先日、舛添大臣も視察されたとのことでございますけれども、ウイルスの分析やワクチンの実用化を早めるための研究など、今後の対策に重要な役割を担っていると思います。新型インフルエンザ関連の分野に人員の拡大や予算の増額などを行い、研究開発への支援を拡充すべきと考えますが、舛添大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 今委員おっしゃってくださったように、国立感染症研究所に行ってまいりました。
 一つは、卵、鶏卵、有精卵によらない形でメーカーはワクチンを作る、そのための細胞培養技術の確立、それから注射型ではなくて鼻から噴霧器で入れる形の経鼻型の摂取方法、この開発、これはまだしばらく時間は掛かりますけど、この二つが完成すればワクチンの準備が相当早まると思います。そういう意味で、これはきちんと予算も付けないといけない、人員も確保しないといけない。
 ちなみに、平成二十年度からは新型インフルエンザ対応室を設けまして、五名の人員を配置することにいたしました。予算的には、試験研究費二億円のアップということをいたしておりますけど、来年度予算の概算要求に向けてこの点も念頭に置いて更に充実を図りたいと思いますので、委員各位の御協力をお願いしたいと思います。

山本博司君 ありがとうございます。
 是非とも実効性のあるものに、大臣よろしくお願いをしたいと思います。
 さらに、新型インフルエンザが発生する危険性が高いとされております東南アジア地域各国とは緊密な情報交換を行うとともに、我が国の優れた研究機関の技術提供や保健衛生や医療分野の支援を通じて爆発的な流行を抑制することが重要と考えますが、諸外国との協力体制はどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

政府参考人(西山正徳君) 御指摘のとおり、新型インフルエンザは国境を超えた世界規模の感染拡大が懸念されております。アジア諸国との情報交換や国際協力は我が国の国民を守る上でも重要なものと考えております。
 システムでありますけれども、海外の情報を迅速に把握するために、国際保健機関、WHOと今お話出ました国立感染症研究所等の各国の研究機関との構築していますネットワーク、グローバル感染症対応ネットワークと呼んでおりますけれども、ここが中心となって新型インフルエンザの情報収集をしているところであります。
 また、外務省を通じての在外公館からの情報収集あるいはアジア諸国との政府研究機関との連携の強化等々について、引き続き連携を強めてまいりたいというふうに考えております。

山本博司君 ありがとうございます。
 被害の拡大を未然に防止できるような我が国がリーダーシップを発揮していく、非常に大事なことでございますし、諸外国との連携を強化をしていただきたいと思います。
 最後に、新インフルエンザ対策、いつ発生するか予測できない、そういうことで、被害を最小限に食い止めるためには、随時見直しを行って常に最新の対策を取らなくてはなりません。行動計画の中では、医療機関を受診する患者数が最大で二千五百万人、死亡者数が最大で六十万人、こう想定しているために国民の不安が増大をしている面もあると思います。そうした国民の不安を払拭をして、いざ発生したというときに機動的な対応ができるように、ふだんから国民に対して正しい知識を伝え、情報の周知徹底を行う必要があるのではないでしょうか。
 この点も踏まえまして、新型インフルエンザ対策への舛添大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 正しい情報を国民一人一人が正確に持っていると、これが危機への対応の前提だと思いますので、今委員御指摘になりましたような点も踏まえまして、リスクコミュニケーションに対するガイドラインを作る、それから四月一日に新型インフルエンザの対策室を設けました。その中にメディアの出身者の方、リスクコミュニケーションの専門家も入っております。そういう知恵も動員しながら、また厚生労働省のホームページを使う、先ほど申し上げましたような小冊子とか子供向けの絵本とか、こういうものを動員しながら国民に正しい情報を迅速に伝えていく、そしてこの新型インフルエンザ対策に万全を期したいと、こう思っております。

山本博司君 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。