公明党 参議院議員 山本ひろし

公明党

厚生労働委員会

第171回国会 厚生労働委員会 第12号
平成二十一年六月二日(火曜日)

 

山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、国民年金法の一部改正案についてお聞きをしたいと思いますけれども、その前に一つだけ、原爆症の認定訴訟に関連をして大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
 国からの原爆症認定を求めて被爆者が全国で集団訴訟を起こしている中で、五月二十八日に東京高裁の判決が下されました。この判決では、原爆症認定の判断基準とする疾病の放射線起因性について、被爆後の行動や発症の経緯などを考慮して総合的に判断すべきと、こう指摘をしているわけでございます。また、肝機能障害と甲状腺機能低下症は原爆の放射線と関連性があるものとして審査に当たるのが相当と、こうしているわけでございます。
 このように、国が昨年から実施をした新基準の認定範囲を広げる判決が続いており、原告が勝訴をして国が事実上十八連敗している状況であるわけでございます。河村官房長官もこの東京高裁判決がある五月をタイムリミット、こう設定して、基準見直しを含めた対応を検討する方針を明らかにしておりますけれども、一日も早い政治的な決断が必要であると思います。
 この五月二十八日にも、私もメンバーの一人である与党の原爆被爆者対策に関するプロジェクトチーム、座長は南野先生でございますけれども、厚生労働大臣舛添大臣とともに河村官房長官、森法務大臣に対しまして一括解決を求める勧告的意見書を手渡してまいった次第でございます。
 この中では、司法判断を踏まえた認定を促進するために、先ほど申し上げた肝機能障害や甲状腺機能低下症などの積極認定の症例拡大や、がんは幅広く認定する方針を表明すること、また訴訟の解決に向けて勝訴原告は認定し、未判決原告や敗訴原告に対しても被爆者救済の立場で対応するよう求めているわけでございます。
 確かに、昨年からの新基準で昨年だけでも約三千人が認定されるなど、大幅な改善がされてまいりました。ただ、いまだに十分ではないということをこの司法判断が示していると思います。被爆者は大変高齢化していることを考えますと、これ以上先延ばしにするべきではないと思います。政府は早急な決着を図るべきと考えますけれども、舛添大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) まず、五月二十八日の東京高裁の判決に対してどういう対応をするかということについて、今、政府部内で検討をしております。まずはこの問題について判断を下したいと。これは六月の十一日がこの控訴の期限であります。その上で、私は原告の皆さん方とお会いしてお話も十分聞いた上で、官房長官を始め政府の中でどういう解決策が可能であるのかと。ただ単に政治的ということを言っても、司法の判断もこれは尊重しないといけないですし、専門家の意見もきちんと聞く必要があります。そういう中で、現行法律の中でどこまでできるのか、できないとすれば新しい立法措置が必要なのか、そういうことを含めて総括的に迅速にこれは判断を下したいと思います。
 そういう中で、元々河村官房長官はずっとこの問題、熱心に対応なさっておられまして、政府の閣僚になられる前はむしろ私のところに先頭になって陳情にいらしたような立場でもありますので、河村さんとよく相談をした上で、最終的には麻生総理の御決断をいただこうというふうに思っておりますので、まずは二十八日の高裁判決に対する対応をやり、その上で原告にお会いし、その上で様々な意見を聴取し、政府部内での意見を統一して、最終的なこの対応について考えたいと思います。
 その際に、今委員がおっしゃったように、皆さん大変御高齢であります。そして、何の責任もありません、原爆というのはアメリカが勝手に落としたわけですから。そういうのでこれだけのこの苦しみを今なお負われている方がたくさんおられますので、そういう状況を十分勘案して対応を考えたいと思っております。

山本博司君 是非とも大臣よろしくお願いをしたいわけでございますけれども、先日行われた北朝鮮の核実験を批判する声というのは世界的に高まっているわけでございます。また、本年四月には、アメリカのオバマ大統領がプラハで核廃絶を訴える演説の中で原爆投下の道義的責任も言及をしたわけでございます。今私たちは唯一の被爆国として核兵器の廃絶を世界中に訴えるためにも、この被爆者救済の姿勢を明確にすることが急務であると思います。そうした視点からの一刻も早い解決を是非とも目指していただきたい、このことをまず最初に強く要望したいと思います。
 それでは、本題に入りまして、国民年金法の一部を改正する法律案についてお聞きをしたいと思います。
 この改正案、午前中からずっと論議、審議が続いておりますけれども、平成十六年に行われました年金改革に基づいて、基礎年金の国庫負担を二分の一へと引き上げ、世代を超えた相互扶助という年金の基本的な仕組みを維持するとともに、年金財政の長期的な安定を図るための重要な改正であると思います。また、財源につきましては、今回の法案においては、平成二十一年度及び平成二十二年度の二年度について財政投融資特別会計の積立金などを活用して引上げを行うこととしており、現在の厳しい財政状況の中において、平成十六年の改正当初に考えられておりました平成二十一年度からの実現が図られることは大いに評価をしたいと、こう思っているわけでございます。
 この平成十六年の改正は、世界でも例のない少子高齢化が急速に進んでいく中にあって、負担と給付の限度を設けたということが大きなポイントであったと思います。つまり、現役世代の保険料を段階的に引き上げていく際に、平成二十九年度以降に厚生年金は一八・三%、国民年金は一万六千九百円という保険料の上限を明確にしたこと、そして、マクロ経済スライドの導入や積立金を取り崩すという大きな政策転換を行って、モデル世帯で現役時代の五〇%は保障するという給付の下限を設けたことであります。これとともに、今回の国庫負担の二分の一への引上げが実現することで、約百年間にわたる超長期の年金財政の安定した見通しを立てることができると思います。
 しかしながら、この間、消えた年金、こう言われる年金記録問題などが報道されることや、厳しいこの経済情勢が影響することによりまして、年金制度に対する不信感、不安感が国民の間に高まってまいっております。最近は、今日も議論のありました百年安心について様々な意見が出ており、年金制度は破綻するのではないか、払い損になるのではないか、こういう不安の声が出ておるわけでございますけれども、今大事なことは、こうした不安をいたずらにあおるのではなく、信頼される持続可能な年金制度を確立することであると思います。
 そうした意味から、不断の見直しを行うことはもちろんでありますけれども、あらゆる機会を通じて年金制度の周知徹底をお願いをしたいと思います。そのような考え方に立ちまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、大臣にお聞きをいたします。
 初めに、この基礎年金の国庫負担を二分の一に引き上げることの意義、また今回の改正が行われることによって年金財政にどのような影響があるのか、この点につきましてお伺いをしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 山本さんが今御説明なさったように、十六年改正、これは年金制度の持続可能性を高めるということで、給付も負担もその上限下限を決めるということがあります。その中で、積立金を活用するとともに、やはり余りに保険料が高くならないために、そして給付水準を維持するためには国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる必要がある。これはもう十六年に決めて二十一年までにやらないといけないということで、これをきちんとやったことでまさに今の年金制度の持続可能性が高まったというふうに思っておりますし、これは本来は税制改正でやるべきであったわけですけれども、特例的に財源の臨時的な措置を行ってこれをきちんとやったと、これをもしやらなければ非常に不安がもっと高まったと思いますので、私はむしろ、逆にこのことをきちんとやったことは更に安定性を増したということで評価していいと思います。

山本博司君 ありがとうございます。
 それでは、この国庫負担について質問をしたいと思います。
 平成十六年当時、全体の三分の一であったわけでございますけれども、これをこの五年間の間に徐々に二分の一に引き上げてきたわけでございますけれども、この国庫負担割合を引き上げるこれまでの取組状況、そして財源に関してどのようなものであったのか、この点を確認をしたいと思います。

政府参考人(渡邉芳樹君) お答え申し上げます。
 十六年制度改正において、二十一年度から基礎年金国庫負担を二分の一に引き上げるというための道筋が規定されたわけでございますが、その道筋の中で、平成十六年度そのものは、二百七十二億円を三分の一に更に積み増しをするということが法律上明記されました。これは年金課税の見直し等によるものでございます。
 それから、平成十七年度、十八年度については、法律上の規定に沿って段階的に引き上げるという対応をしてまいりました。十七年度につきましては、定率減税の縮減による国の増収により一千百一億円を加算をいたしました。また、十八年度については、国庫負担割合を三分の一プラス千分の二十五ということで、引き上げて定率化するという措置を講じております。
 さらに、平成十九年度においても、加えて国庫負担の引上げを行い、現在の三分の一プラス千分の三十二、パーセンテージでいうと三六・五%に引き上げてまいりました。
 さらに、今回、本法案により、本年度及び平成二十二年度において、財政投融資特別会計からの一般会計への繰入れという臨時の財源を手当てすることにより二分の一を実施するとともに、税制抜本改革により所要の安定財源を確保した上で二分の一を恒久化する、それが実現するまでの間も臨時の措置を講ずることにより二分の一を実施する、こういうことが法律の条文として記述され、現在ここで御審議を賜っているものでございますので、しっかり実現を図ってまいりたいというふうに考えております。

山本博司君 そうした経緯を経て二分の一まで引き上げてきたわけでございますけれども、ここでお聞きをしたいのは、保険料負担と国庫による負担の割合を二分の一ずつにした根拠、これは一体どういうものであるのか。また、厚生年金では、企業と被保険者の割合、これが五十対五十であったと思いますけれども、なぜ税金と保険料の割合を二分の一ずつとしているのか、その辺の理由に関して説明いただきたいと思います。

政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほども少しお答えする機会があったのですが、我が国の公的年金制度については、自立自助の考え方を基本としつつ、すべての国民の老後の生活の安定を図るためには、国民全体で共助の精神で保険料を拠出し合う社会保険方式がふさわしいということで制度運営が図られてまいりました。
 一定の給付水準の確保、保険料負担の軽減ということを図る観点から、かねてより費用の一部に税財源による負担が行われてまいりましたが、昭和六十年の改革によって、全国民共通の基礎的給付であり、すべての世代が負担する税財源を投入する合理性があると考えられる基礎年金部分に国庫負担を集中するということを行いました。それにより、三分の一国庫負担による基礎年金制度が確立したわけでございますが、その後の経済の変化、それから少子高齢化の更なる進展の中で、将来にわたって安定的、持続可能な制度に脱皮するように、平成十六年の年金制度改正では、先ほど説明をさせていただいた四本の柱を立てて実施するとともに、最重要の課題の一つとして基礎年金国庫負担割合二分の一を実現しようということにしておるわけでございます。
 この二分の一の意義についての今御質問でございますが、そうした中で振り返ってその意義を再確認をしてみますと、基礎年金の国庫負担二分の一というのは、基礎年金において世代間の支え合いに基づく部分、これを保険料財源とする、全国民の支え合いに基づく部分を税財源とする、全国民に対応した基礎的な給付である基礎年金ということの特性をとらえて一対一の割合ということにすることが最も適切ではないかというふうに考えられるものでございます。そのことにより、社会保険方式のメリットというものをきちっと享受しながら、世代間あるいは全国民全体の支え合いということをしっかり制度として確立することができるんではないかというふうに考えておるところでございます。

山本博司君 ありがとうございます。
 保険料を自分の意思で払ってこの年金制度に参加する、大変重要であると思います。しかし、もし今後、将来、経済の悪化に伴って収入が減ってくる、保険料負担も減らしてほしいという声が国民の多数となった場合を仮定して、国庫負担を増やすというこの可能性はあるのかないのか。また、例えば国庫負担を三分の二にすれば、その分税負担の財源を確保しなくてはならないわけでございますけれども、保険料負担は軽減をされるわけでございます。そして、国庫負担分を一分の一、すなわち一〇〇%にすれば税方式と言えるわけでございますけれども、こうしたことが可能なのかどうか。基礎年金の税方式に関しまして舛添大臣はどのような見解をお持ちなのか、この点、お示しをいただきたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 自助、共助、公助という我が国の社会保障制度の原則について言うと、五〇、五〇ならばまだしも、税の比率を高めて最終的に税だけにするということで、自立自助というのはどこに行くんだろうという問題点があります。それから、もちろん先ほども申し上げましたけれども、要するに、例えば消費税でやるにしても、今現に受給している方は一生懸命今まで払ってまた新たに払うのかということになって、その不満もあるというふうに思いますし、それから、どれぐらいの財源が要るのかと、そういう様々な問題がありますので、これはもっとよく議論をすべきだというふうに思います。そして、まさに経過措置をどうするか、こういう問題も入ってくると思います。

山本博司君 今大臣からもお話ありましたように、この税方式に関しまして、現行の保険料方式から移行するということになりますと、制度的に様々な課題が指摘をされると思います。今大臣も指摘されました。
 例えば、保険料方式から税方式に移行した場合、幾ら消費税がアップしたとしても、保険料の負担がなくなるので国民全体の負担は税で払っても保険料で払っても変わらない、このことをよく言われますけれども、保険料方式のときには会社員の保険料の半分は会社が出すことになっております。税方式のときには会社の負担分はなくなることになりますので、多くの世帯は世帯負担増になってしまうわけでございます。
 また、税方式に移行する場合は、保険料を払い終わっている年金受給者の世代、この方たちというのは更に消費税の負担を求めることになるわけでございますので、大変課題もあるわけでございます。
 そしてさらに、大きな課題がありますのは、税方式に移行する場合、移行期間、約六十年から六十五年程度時間が掛かると言われておりますので、それぞれの状況に合わせて調整することがかえって年金制度を複雑化させてしまい、混乱を来すのではないかと、そうした危惧もあるわけでございます。
 そこで、確認をさせていただきますけれども、現在諸外国においてこの全額税方式の基礎年金を導入している国があると思いますけれども、それはどのような国で、またその中で年金制度が発足をした当初からでなく制度の途中から税方式に移行した例が存在するのか、このことをお答えいただきたいと思います。

政府参考人(渡邉芳樹君) お答えいたします。
 主要国のうち、現在いわゆる税方式の年金制度を採用している国というのは、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、デンマークであると承知しております。
 よく言われますスウェーデンの方式というのは、むしろ税方式と言われていた基礎年金を廃止して保障年金というものに、小さな保障年金というものに切り替えたと、こういうような改革でございますので、そういうパターンではない基礎年金型の税方式の年金というのは今の四か国でございます。
 こうした国々の過去の歴史の中で、私ども十分つまびらかにしないところもあるのかもしれませんが、知る限りにおいて、当初社会保険方式を採用していた部分ないし制度をこのような税方式に移行したという事例は含まれていないと承知しております。

山本博司君 ありがとうございます。
 税方式、いろんな課題もあるわけでございます。現行の保険料方式を基本として、本当に慎重な検討が必要であると思います。
 次に、この法案、参議院に、当委員会に付託されまして既に一か月以上が経過をしております。しっかりとした議論をした上で速やかに結論を出さなくてはならないと思いますけれども、もし法案が成立しない場合には、将来の年金給付また保険料負担にどのような影響を与える可能性があるのか、この点を確認をしたいと思います。

政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほどもやむを得ず答弁させていただいた点でございますが、余りうれしい答弁ではございませんのですが、本法案が成立しなかった場合について答弁せよということでございますので、大変難しいことを政府参考人として答弁するわけですが。
 仮に、給付面若しくは負担面で調整を行わないで、そのままとにかく法案が成立しない状態が続いたというふうに仮定しますと、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたように、十八年後の二〇二七年には国民年金の積立金が枯渇する、すなわち基礎年金の一角を成します自営業者等の方々に対する基礎年金の給付が滞る、ということは、基礎年金制度は一体でございますので、サラリーマンのOBの方々の基礎年金についても滞る、こういった可能性が否定できないというふうに考えるところでございまして、給付面、負担面で大なたを振るうということは、これは私どもがやってはいけないことだと考えておりますので、是非本法案の成立をお願いしたいと思っております。

山本博司君 ありがとうございます。
 四月十五日の年金支給日、これは年金の積立金を約四千億円取り崩しているということでございますけれども、この改正案が成立すれば四月にさかのぼって国庫から補てんされる予定ではございますけれども、影響が出ないように早急の結論を出す必要があると思います。
 それでは、続きまして国庫負担分の財源に関しましてお聞きを申し上げたいと思います。
 今回の改正案では、平成二十一年度及び平成二十二年度については、財源確保法の規定に基づく財政投融資特別会計から一般会計への特例的な繰入金を活用し二分の一との差額を負担する、こうなっているわけでございますけれども、財政投融資特別会計という暫定的な財源で二分の一への国庫負担引上げ分を調達したことについてどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

政府参考人(渡邉芳樹君) 私どもは、本来消費税を含む税制抜本改革を実施していただき、安定財源を確保し、二分の一国庫負担を恒久化していくという機会が得られることを切望しております。そして、これまでもそうおりました。
 しかしながら、現下の経済情勢、その他様々な状況から、どうしてもこの二十一年度から税制抜本改革を実施し財源を確保することができないという見通しの下で、では、それまでの間、現在の三六・五%ということで年金財政を運営していくということが正しいことかどうかという難しい選択の中での判断でございました。そうした中で、政府全体としての将来の道筋を定める中期プログラムも閣議決定されるのと並行して、そうした将来の道筋の中で、当面の二十一年度、二十二年度について財政投融資特別会計からの臨時の財源を確保することができる、こういう可能性が出てまいりましたので、私どもとして、その可能性を実現していただくということで予算編成をさせていただき、本法案を取りまとめたわけでございます。二十一年度からは二分の一の実現を図るということは、私どもの考えで言うと、どうしてもこれは実施しなきゃいけない、ゆるがせにできない問題である、何年も待てばいいということではないと、こういうふうに考えておりましたので、そうしたところでございます。
 来るべき税制の抜本改革を実施し、その恒久化を図りたいわけでございます。
 以上でございます。

山本博司君 さらに、今回の改正案では、その後の税制改正法の規定に従って行われる税制の抜本的な改革により所要の安定財源を確保した上で基礎年金国庫負担割合二分の一を恒久化する、なお、それまでの間は上記と同様に臨時の法制上、財政上の措置を講ずるものとすると、こうしているわけでございますけれども、つまり、平成二十三年度以降は消費税を含む税制の抜本的な改革で安定的な財源を確保していく、しかし、抜本改革が遅れた場合には臨時の措置で財源を確保する、こういうことであるわけでございます。
 年金制度の長期的な安定を図るためにはこの二分の一はしっかりと恒久化をしていかなくてはならないと思うわけでございますけれども、政府として、この平成二十三年度以降の財源についてどのように考えているか、改めて見解をお聞きしたいと思います。

政府参考人(渡邉芳樹君) 先ほども御答弁申し上げましたように、税制抜本改革により二分の一を恒久化するということをメーンに置いて考えざるを得ないと思いますが、なお、よんどころない事情でそれがどうしても遅れるという場合についても、本法案において、異例のこととは思いますが、臨時の財源手当てをして国庫負担二分の一を維持すると、こういうことが規定されているわけでございます。もとよりその規定だけでそうなるわけではなく、その時点において所要の財源措置と立法上の手当てというものは必要となってこようかと思いますけれども、二分の一に実現したものをまた元に戻す、こういうような改革というものを政府として取ることはないというふうに考えております。

山本博司君 ありがとうございます。
 麻生総理は、この現在の経済状況、全治三年、こうおっしゃっているわけでございますけれども、この百年に一度とも言われる厳しい経済情勢を考えますと、税制の抜本的な改革というのはなかなか簡単にいかないものではないかと思っております。まずはこの経済危機から一日も早く脱却するためにも、先日成立しました本年度の第一次補正予算を始めとする経済危機対策を着実に実行することが重要であると思います。
 また、現在見舞われておりますこの世界的規模での経済不況、様々な社会の仕組みに大きな影響を及ぼしていると思いますけれども、年金制度に対しましてはどのような影響があるのか、お伺いを申し上げたいと思います。
 今国会では、景気が悪い中で保険料をきちんと支払う方が難しい中小零細企業多くなっておりますけれども、こうした方々に対しまして、厚生年金保険料の支払が遅れた場合に課される延滞利息を現行の年利一四・六%から七・三%に引き下げる厚生年金法の改正が議員立法で行われたわけでございます。
 このような景気の悪化が年金制度に対して影響を与えるような状況が起こり得るのかどうか、この点について御説明をいただきたいと思います。

政府参考人(石井博史君) お答え申し上げます。
 景気の悪化が納付率などの数値にどの程度の影響を及ぼすのか、及ぼしているのか。これについて具体的にお示しすることはなかなか難しい面があるわけでございますけれども、ただ、幾つかのことは言えるだろうと。一つは、非正規労働者の雇い止めというようなことが起きているわけでございますけれども、そういうようなことなどによりまして失業者が増加しているというようなこと。それから、現下の厳しい経済情勢の影響によりまして、事業所の経営状況もなかなか厳しい形になっているというようなこと。そうしたようなことなどを踏まえますと、やはり、現下の経済状況は保険料を納める環境としてはやはり厳しいものがあるのではないかというふうに認識しているところでございます。

山本博司君 次に、大臣にお聞きをしたいと思います。
 中期プログラムの件でございまして、先ほどもお話がございました。昨年十二月二十四日に閣議決定されましたこの中期プログラム、その名称を持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた中期プログラム、こうしているわけでございますけれども、社会保障制度の安定財源確保に向けた方針を示しております。この中期プログラムにつきましては、今後の年金、医療、介護、少子化対策などの社会保障制度を持続可能なものとするために非常に大切な方針であると思っているわけでございます。この必要な給付を行うには財源確保が不可欠でございます。
 そこで、この中期プログラムにおきまして社会保障制度の財源確保に関しましてどのように整理をされているのか、大臣から御説明いただきたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) これは広く薄く国民に御負担いただくということで、消費税を中心とした財源を手当てをしたいということでありますんで、現役世代と将来世代とのバランスも考えながらそういう方向での取組をやっていきたいと思っております。

山本博司君 ありがとうございます。
 増税による財源の確保というのは国民に負担増を強いるということでございますので、国民の理解と協力を得るためには明確なビジョン、また考え方を示していくことが大事でございます。是非とも議論を先送りしないで進めていただきたいと思います。
 この中期プログラムの中には、社会保障の安定財源確保といたしまして消費税を主要な財源として確保することが示されておりますけれども、先日の衆議院予算委員会の審議でも、麻生総理から消費税の社会保障目的税化について言及があったと伺っております。また、税制改正の附則におきましても、消費税の改正の方向について、上げる場合には社会保障制度と少子化対策の目的税化に使うこと、そしてもう一つはそれ以外には一切使わせないということが書かれております。
 こうした考え方ならば国民の皆様にも理解していただけるのではないかと思いますけれども、この消費税の社会保障目的税化についての大臣の見解をお聞きしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 中期プログラムの中でもこういうふうに書いてあります。消費税の全税収を確立・制度化した年金、医療及び介護の社会保障給付及び少子化対策の費用に充てることにより、消費税はすべて国民に還元すると。まさに消費税を社会保障のために使うということで、その方針で結構だと思っております。

山本博司君 ありがとうございます。
 人口減少、高齢化社会、乗り切っていくためには、この社会保障改革、大変税制と一体となって考えていかなくてはならないと思います。しっかりした議論を進めていただきたいと思います。
 次に、社会保障費の抑制策について大臣にお伺いをしたいと思います。
 先ほども質問がございましたけれども、二〇一一年度のプライマリーバランスをゼロにする、そのために社会保障費を五年間で一兆一千億円、毎年二千二百億円の自然増を抑制していくということについて様々な議論がこれまで行われてまいりました。これは続けていくにはなかなか難しいとして今年度の予算編成では一定の方針が決められたと思っておりますが、一方では、経済財政諮問会議ではこの抑制策を引き続き堅持していくという取りまとめが行われております。
 そこで、今後の方向性としてのこの社会保障費の抑制策についての大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 社会保障費についても効率化しないといけないところはやるということはこれは当然ですけれども、やはり政策にはプライオリティーを付けないといけない。今何が一番大事なのか、二千二百億円を抑制することが大事なのか、国民の生命と健康を守るために必要な施策を十分行うことが大事なのか、それは言をまたないと思っております。

山本博司君 ありがとうございます。
 最後に、今の問題とも関連をするわけでございますけれども、社会保障制度の在り方についてお伺いを申し上げたいと思います。
 これまでに、昨年は、社会保障国民会議やその他の審議会、検討会などでもこの社会保障制度の在り方について議論をされてまいりました。本年に入ってからも、経済財政諮問会議、また安心社会実現会議など様々な場で議論が進められております。いよいよ財源の確保につきましても相当の議論が行われているわけでございます。
 ここで重要なことは、国民が安心をして暮らせるセーフティーネットを再構築していくことでもあるわけでございます。もう一度、我が国の現在のそしてこれからの状況に適切に対応できるようにこれまでの制度を見直す必要があると思いますけれども、この社会保障制度の在り方について大臣の見解をお聞きをしたいと思います。

国務大臣(舛添要一君) 社会保障制度というのはまさに国民の日々の生活にかかわっていることでありますし、今では新型インフルエンザ、これに対してどう対応するか、それからこの不況の中において雇用をどう確保するか、これも非常に大切ですし、私は日本の医療システムの再構築をやっていかないといけないと思っています。そしてまた、財源、コストという観点からだけ、だけと言うと、これは厚生労働大臣がそう言うとしかられますけれども、コスト概念が先行した介護現場への対応というのはこれは変えていかないといけない。ですから、三%の改正、それから一人約一万五千円の介護報酬のアップ、これは補正予算で今対応しようと。こういう多くの施策によってセーフティーネットの更なる拡充を行っていく。
 ただ、何度も申し上げますけれども、効率化の努力や、それから例えばNPOの力を借りるといういろんなこともありますけれども、やはり基本は財源であります。ですから、今のようなセーフティーネットを更に拡充することに対する必要性、これを国民に十分説明し、その上で、国民の御理解を得た上で例えば消費税を中心とする税制改正を行い、そしてこれは例えば消費税を二%上げる、二%というと五兆円の増税になります、しかし、その五兆円をまさに国民に還元するということで社会保障のために使う、そのことによって国民が安心を得、活力を得ることによって更に十兆、二十兆の税収増を図ることができれば、私は十分それは可能な論理立てだと思いますので、今後とも、そういうことを国民とともに考え、国民とともに社会保障制度の更なる拡充を図ってまいりたいと思っております。

山本博司君 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。