公明党 参議院議員 山本ひろし

公明党

厚生労働委員会

第171回国会 厚生労働委員会 第10号
平成二十一年四月二十三日(木曜日)

 

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。

 本日は、民主党、社民党、国民新党から提出されております厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる年金記録回復促進法案と呼ばれている法案につきまして、提案者及び政府に対して質問をさせていただきたいと思います。

 この法律は、平成十九年十二月に施行され、厚生年金の保険料が給与から天引きされていたにもかかわらず、事業主から保険料の納付や資格などの届出がされていなかったために年金記録がない人に対して、年金記録確認第三者委員会において認定された場合に年金を支払うことができるようにするための法律であり、年金記録の回復に重要な役割を果たしていると思います。

 今回の改正案では、国民の立場に立ち、保険料を天引きされた者が不利益を被らないようにするとの観点から様々な改正を提案されておりますけれども、不明な点が多くこのままでは効果が期待できないのではないかとの疑念を抱いております。そこで、本日は幾つかの課題また疑問点についてお伺いをしたいと思います。

 最初に、総務省の方から現状に関して確認をさせていただきたいと思います。

 第三者委員会の審議状況について、地域の事情も含めて説明をまずしていただきたいと思います。

 

○政府参考人(関有一君) これまでも何回か御答弁申し上げましたけれども、これまで第三者委員会で受け付けました件数、十万件をせんだって超えました。このうち六万三千件から四千件につきまして処理を終えたということでございます。残り三万六、七千件ございます。それから、毎週千件ほど新たな申立てがございます。

 こういう中で、できるだけ早く公正、迅速な処理をし、年金の記録の回復を図るということで取り組んでまいりたいと思っております。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 具体的に午前中もいろいろ議論がございました。この第三者委員会、特に地方におきましてばらつきがあるのではないか、また審査基準が地域によって違いがあるんじゃないか、そういったことが指摘をされておりますけれども、こうした点に関しましていかがでしょうか。

 

○政府参考人(関有一君) 第三者委員会におきましては、社会保険庁に記録がなく御本人も直接の証拠をお持ちでないという事案につきまして、申立人の御主張を十分に酌み取るとの基本的な方針の下に、様々な関連資料や周辺事情を検討して記録訂正に関し公正な判断を示してきているというふうに考えております。あっせんと訂正不要の件数もそれぞれ個々の事案についての判断の結果の積み重ねであるというふうに考えておるところでございます。

 地方委員会ごとにばらつきがあるのではないかということでこれまでも御議論がありましたけれども、実は私ども、そういう御批判も受けまして、昨年の七月にあっせん、非あっせん比率の地域格差の分析ということをやってみました。そこでは、これだという決め手はないわけですけれども、例えば国民年金につきましては、未納期間が非常に短期の事案が比較的多い県があったり少ない県があったりいたしました。それからまた、厚生年金の方につきましては、倒産ケースのような当時の資料、証言が確認できないような事案が多いところもあれば少ないところもあったということでございます。

 今申し上げましたように、国民年金の方で未納期間が短期間の事案が多いということですと、これはあっせんに結び付きやすいわけですし、それから倒産ケースのような当時の資料、証言が確認できない事案が多いということですとなかなかあっせんに結び付きにくいということが言えるのではないかと思います。そういうことでございまして、地域によりまして実際に申し立てられている事案も全く均一ではないということではなかろうかと思っております。

 それから、基本的には、事業所が非常に多い県もございます。それから、そういうことですと厚生年金の事案が非常に多くなるだろうと。それからまた、高齢者が多いというようなところですと、厚生年金、国民年金取りましたときに国民年金の申立て件数が多いということで、各地域の人口構成でありますとか、あるいはその事業所の数でありますとか、県ごとにやっぱり事情も異なりますし、それから、これはなかなか申し上げにくいところですけれども、この前、社会保険庁、厚生労働省の方でお調べになって、改ざんと思われる件数六万九千件というふうなお話がございましたけれども、そのデータを見せていただきますと、社会保険事務所によって非常にそういう不適切な処理が多かったところもあれば少なかったところもあると。そういうもろもろの状況が作用して地域ごとのばらつきというものも出てきているのではないかというふうに考えているところでございます。

 

○山本博司君 もう一点、総務省に確認をしたいと思います。

 第三者委員会、いろんな経緯がありまして今の判断基準が作られたと思います。まず、社会通念に照らして明らかに不合理でなく、一応確からしい、これ何度も今日議論をされている部分でございますけれども、そうした基準がいろんな経緯によって策定されたと、こういうことがあるわけでございますけれども、この判断基準の内容、考え方、このことに関して確認をしたいと思います。

 

○政府参考人(関有一君) まず、社会通念に照らしてということでございますが、これは社会一般で受け入れられている常識、良識で判断するということでございます。

 次に、明らかに不合理ではなく、一応確からしいということにつきましては、明らかに不合理ではないということは、例えば当時の納付制度あるいは金額等に照らして矛盾しないと、こういうような意味でございます。で、判断にあたりましてマイナスの要素にならないということでございます。

 それから、一応確からしいといいますのは、民事訴訟法上の証明よりも軽い疎明程度の確からしさということでございまして、判断をするに当たりまして、プラス要素、積極的事情に該当するということでございます。

 ですから、マイナスの要素がなくプラス要素があると、それが第三者委員会の判断基準になっているということでございます。

 

○山本博司君 それで、提案者にお聞きしたいと思います。

 今回、改正案で、一応確からしいと、この文言を削除した理由、このことに関して明快にお答えいただきたいと思います。

 

○委員以外の議員(津田弥太郎君) お答えを申し上げます。

 この基本方針では、社会通念に照らし明らかに不合理ではないというだけでなく、一応確からしいことも判断の基準としているため、保険料控除の事実がある旨の判断をするためには申立てについて何らかの裏付けとなる証拠が必要になる。先ほど関局長は疎明という言い方をされました。同じ意味として理解していただいて結構だというふうに思います。

 この証拠が必要となるとの運用がなされている。これ、もちろん法律では、第三者委員会は、保険料控除の事実があることを直接に明らかにする資料がない事案においては、速やかに雇用保険の給付記録等の官公署が有する記録をできる限り収集するほか、必要があると認めるときはこれ以外の資料又は情報をできる限り収集することとしております。

 しかし、問題は、このような記録等を収集しようとした結果として何も収集することができなかった場合であります。

 そうした事例の中には、証拠となるものが何もないこと自体が保険料を控除した事実がなかったことを推測させる一つの証拠になり得るような事案もあるでしょうし、何十年も前のことであるため、証拠となるものが何も残っていないことがやむを得ないような事案もあるというふうに考えるわけです。これは両方あるだろう。

 このような場合であっても、何らかの裏付けとなる証拠がなければ保険料を控除した旨の判断がされないということでは、真に保険料を控除されたにもかかわらず保険給付を受けられない人の年金記録が回復されず、救済することが難しくなってしまうわけであります。

 先ほどの関局長がおっしゃった疎明、これはどうしても必要だと。これが一応確からしいということになりますと、それがなければあっせんにはつながっていかない。その疎明がなくても、あらゆる事情を見て、その人は保険料を支払った可能性が非常に高いというふうに思われる事例もあるだろうと。それが先ほど私がちょっと申し上げました、四人の委員の中で意見が分かれるようなケース、それというのはまさにそういうケースになるだろう、例えば。そういう事例についても何としても救済をする方向に持っていくためにはこの文言についての削除をした方がいいんではないかという判断をしたわけでございます。

 

○山本博司君 今現在、非あっせんが一万五千件と言われておりますけれども、この判断基準を変更することによって、第三者委員会の判断がどのように変更されて、結果として具体的にどのような事案が、非あっせんとされていたものがあっせんになっていくのか。この辺の点に関して、午前中も議論あったかも分かりませんけれども、お示しをいただきたいと思います。

 

○委員以外の議員(津田弥太郎君) 納付勧奨の見直しの問題でございます。

 事業主が厚生年金保険の保険料を控除した事実があるかどうかについての年金記録確認第三者委員会の判断が円滑に行われ、年金記録の回復が促進されるようにするためには、事業主により第三者委員会の行う調査への協力が得られることが大変重要でございます。これは、既に第三者委員会の報告書の中にもこの部分が非常に大きな要素を占めているというこれまでの報告が出されているわけであります。

 しかしながら、現行の第二条二項では、社会保険庁長官は、特例対象者に係る年金記録の確認等を行った場合は、そのすべての場合に、事業主に対し、未納保険料相当額に加算された特例納付保険料の納付を勧奨しなければならないというふうにされているわけでございます。このため、事業主が特例納付保険料の納付の勧奨を受けることを恐れて、第三者委員会の調査に対して事業主の協力が得られにくい状況になっているものと私どもは思っているわけでございます。

 そこで、社会保険庁長官が事業主に対し特例納付保険料の納付を勧奨しなければならない場合を限定する、そういうことが必要ではないかというふうに考えて、この納付勧奨の見直しを提案させていただいております。

 

○山本博司君 ちょっと趣旨が違うんですけれども、この判断基準が変更されることで、それではあっせん率の上昇にどのように結び付くのか、この点はいかがでしょうか。

 

○委員以外の議員(津田弥太郎君) 現在の第三者委員会におけるあっせん比率はおよそ三〇%台。これは動きますので、二〇〇七年度の場合は三五%、今現在はもう少し上がってトータルで三八%程度ですか、そのぐらいになっているわけであります。言い換えれば、残りの六〇%台の方々について非あっせんということになっているわけであります。

 保険料を納付したかどうかの真実というのは、これは大変難しいことだというふうに思います。ただ、私どもは百七回の部門会議をやって、そのやり取りをした経験を踏まえたときに、現在のあっせん比率に関してはやっぱり低いな、グレーゾーンの多くを非あっせんに回しているのではないか。本来はそうしたグレーゾーンについては被害者救済の立場からはあっせんの判断を行うべきではないのか、そのような思いを強くしているわけであります。

 現在、申立て件数ベースでは、厚生年金におけるあっせん比率は一九%にすぎません。これは第三者委員会における審議の遅れとあっせん判断が非常に厳しいことを物語る数字であります。私どもはこの一九%を五〇%にしていくことを目指し、先ほど蓮舫議員からもそのように申し述べましたが、トータルのあっせん比率を三〇%台後半と非あっせん比率六〇%台前半を逆転させていく、つまり、あっせんが六〇%台、非あっせんが三〇%台という、そういう状況にしていければ大変望ましいというふうに考えているわけでございます。

 もちろん、本法案が成立した場合においても、実際の判断は第三者委員会にゆだねるわけでございます。この目標数値は、これは強制力を持つたぐいのものでもありませんし、その意味であくまでも目標、願いです、はっきり言えば。この成立の暁にはそういうあっせんの比率になるということを願っております。

 

○山本博司君 分かりました。別にこれは法律がなくてもできる部分だと思いますけれども。

 今、この一応確からしいという部分でのこの文言の在り方で、先ほどもずっと議論が出ているように、申し立てれば立証の部分がなかなかないためにほとんど認められるんじゃないか、非あっせんの件数も一万五千件がすべて認められるんじゃないか、そういう議論があるわけでございますけれども、例えば脱退手当金という、累計六百五十万人が受給しているこの脱退手当金でございますけれども、記録上、これは社会保険庁が支払ったものを受給していない事案でございますけれども、もしこの一応確からしいというこの文言がなくなった場合には、このほとんどのケースが申し立てをされるという危険性があるわけでございます。こういったことに対してはどう対応されるんでしょうか。

 

○蓮舫君 脱退手当金に関しても、これまで我が党の部門会議では、多くの、いただいていないのに脱退手当金を受け取ったことになって、その先の年金がもらえない、社会保険庁に御相談をしてももうこれは何の対応もしてくれないという相談者の方、何人かお越しになられて、社会保険庁とも厚生労働省とも一緒になって、どういう解決策があるのかを具体的にこれまで何度かやってまいりました。

 過去、昭和三十年代ぐらいでしょうか、やはり脱退手当金扱いになって、退職をするときに受け取ったという形で退職金に上乗せをされて、事業主からはもう支払をしたという思い、でも労働者は退職金だと思っていて、脱退手当金は受け取っていないというこの意思疎通がうまくいっていないがために、考え方が違うと御相談された事案もありますが。他方で、本当にもらえていない、脱退手当金扱いとされてしまっている。それは、事業主側が行ったのか、社会保険事務所側で行われたのか、あるいは基礎自治体で行われたのかが分からないケースも多数ございます。

 ここもやはり私どもは、今回法改正をしていただくことで、官公署が保有しているすべての記録を集めることによって、本当にこの方は脱退手当金をもらったのかどうなのかも第三者委員会で中立的に判断をして、なるべく前向きに、もらえていない方がいて本当に被害を受けている方がおられるんであれば救済をしていきたいと考えているところでございます。

 

○山本博司君 我々大変心配しますのは、法律上の文言から一応確からしいというこの文章が落ちることによって、今まではこれがありましたから、裏付け的なものを第三者委員会に求めないとすれば、保険料の控除、これもされていたはずでございますけれども、これをもう申立人の方が納めていたはずだと、このように主張されると、もう当時の制度上の反証はできないというような形が見当たらない場合というのはほとんどもうオーケーになってしまうという形になるわけでございまして、ですから、そういう意味では結果として一種の申立て勝ちというモラルハザードになると思うんです。こういった点、危惧あるわけですけれども、この点に関してどうお考えになるのか、お聞きしたいと思います。

 

○蓮舫君 申し立てた方の証言を一〇〇%信じるための法改正を私どもは提案しているんではなくて、これまでのいわゆる内部規定によって判断基準に一応確かであるという文言が入っているがために、第三者委員会の中で調査、協議をした結果、一応確かに当たる物証がなかったから、我々の心証としては、この方は恐らく保険料を納めていたにもかかわらず、その記録がなくなっていることによって被害を被っている方だと判断をしたいんだけれども、一応確かだという物証がないがために非あっせんとなった事案も多数あるということを私たちはまず大前提で思っている、ここが山本委員と私ども、考え方が違うところかもしれません。

 私たちは、この部分を外すことによって、内部規定を法律に規定をすることによって、もっと法的拘束力を高めて、そして様々な証拠、証言を集めて、これまで非あっせんで救済されなかった国民の方々であっせんされるべき人は救済していきたいと考えています。

 

○山本博司君 おっしゃることは本当によく分かるんです、救済をどこまでするかというのは大事な点ですから。それとやはり不正を排除するという、この両面を見ていかないといけないわけですね。

 坂本委員も、国民保険もありましたけれども、こうした本当に不正を排除する方策をどう考えるか、大事でございますけれども、この点もう一回、一般的なお話ではなくて、どうするかというお話を。

 

○委員以外の議員(加賀谷健君) 先ほども答弁いたしましたけれども、年金法の規定あるいは刑法のそういう罰則というのは当たり前のことでありますけれども、私はやっぱり、今申されているように一〇〇%排除するということは、まさにそれは不可能だろうと思います。しかし、第三者委員会が審査を徹底的に行うという中でいろんな問題をチェックすることができるわけですから、これは私は、本当に不正な申請をしていれば不合理性というのは洗い出すことは不可能ではない、そういう審査をしていかなければならないのではないかなと、こんなふうに思っています。

 一つの例ですけれども、公共料金等々を取る事業体は、なかなか、今でいう不正な人、払わないで居座るような人たちを排除するというか、何とか整理するために警察官のOBを雇用をしてお手伝いをいただく。彼らはそういうことに関してはプロでございますので、私は、ある意味では、この第三者委員会の構成員の中にそういう経験を持つ人たちも加えていって審査をするということも一つの方法ではないかなと、こんなふうに思います。

 

○山本博司君 この不正をどうするかということと救済、本当に重い問題だと思いますけれども、今回の改正の部分といいますか、資料収集が求められているわけでございます。

 この第三者委員会に資料収集の義務を法律で課した、この趣旨に関してまずお聞かせいただきたいと思います。

 

○委員以外の議員(行田邦子君) 今回の私ども提案しております法律案では、第三者委員会があくまでも資料、記録等を収集するということを義務付けております。今現在も総務大臣が決定している基本方針の中には証拠の収集、記録の収集ということも盛り込まれていますけれども、ただ残念ながら、このとおり、基本方針に定められているとおり実行されていないという実情があります。こういった事実を踏まえまして、私どもとしましては、基本方針ではなく、より法律と、法律の中に明文化することによって厳格に第三者委員会に守っていただきたいと、こういう思いで法律に盛り込ませていただきました。

 以上です。

 

○山本博司君 これは、法律で明記したということは、法案ではできる限り収集すると、このようになっているわけでございますけれども、できる限りという範囲、これは不明確でありますし、第三者委員会はどこまでもこれは資料を収集せざるを得なくなるという、そういうことの、先ほど坂本委員からも第三者委員会の役割が何なのかということにもなるわけでございまして、そうなりますと、年金記録の回復を促進しないといけないというこういうこと自体、全体の審議が遅れるのではないかという、こういう点をどうお答えになるでしょうか。

 

○委員以外の議員(行田邦子君) 法律案に明記されていますこのできる限りという意味ですけれども、これはお言葉どおり取っていただいて結構かと思うんですが、あらゆるすべての資料を収集しなければいけないという意味ではありません。あくまでも可能な限り、できる限り第三者委員会は収集をしなければいけないということを明記しております。

 また、今、山本委員が御指摘のこと、私どもも議論の中でございました。今回できる限りというふうに明記したと同時に、このことによって、第三者委員会が資料や記録を収集をすることを義務付けることによって逆にこれが足かせになってしまう、申立てのあっせんが遅れてしまうことがあってはいけないと思いまして、この同じ第一条二項には速やかにということも併せて併記をさせていただいております。

 

○委員長(辻泰弘君) 蓮舫君、よろしいですか。

 

○蓮舫君 山本委員、これは私ども、どうして法律事項にしたかといいますと、今現段階で基本方針、判断基準の中で関連書類はなるべく集めることと例示も規定をされているんですけれども、実際に非あっせんとされた方々で御相談された方たちとお話をすると、第三者委員会が関連書類を集めているんではなくて、相談をした申告者本人が様々なところに行って自分で雇用保険の証書を取ったり、あるいは同業者を探したり、あるいは元々の雇主である方を探したり、その方がお亡くなりになっているというような公的証書を集めたり、自分が汗をかいて実費を払って、そして第三者委員会にお渡しをしているという事例も少なくございません。その部分では、やはり結構御高齢者の方たちが自ら汗をかくというのは、もう私たちは限界があると思っておりますので、そこは第三者委員会の責任でやっていただきたいという思いは、これは御共有していただけるのではないでしょうか。

 

○山本博司君 例えば、あの中に、所得税等に関する税のことがございますね。これは通常、保存期間七年ですから、今申立てされている方は昭和の方々、当然記録はないわけでございます。また、労災保険、これも事業所単位ですから一人一人の個人の情報ない、こういうほとんど意味のないような内容のものがあるのではないかと思っていまして、こういうことも含めてどうなんですかね。

 

○委員以外の議員(津田弥太郎君) 山本委員御案内のとおり、もう既に処分したと言われている紙台帳があちこちで発見されているわけですね。これをたどっていって記録が回復した事例もあるわけでございます。

 おっしゃるように、資料の保存期限というのはそれぞれ定められておりますが、実は市町村、様々な自治体によっては保存期限以上に長く保存している事例が実は数多くある。これによって救済された事例が多々あるわけでございます。そういう点で、決して保存期限が過ぎたらみんなもう処分してしまっているという前提ではなくて、もしかしたらあるかもしれない、可能性があるんだということを私たちはこれまでの経験では追求していける、そういうふうに思っているわけでございます。

 

○山本博司君 第三者委員会の役割が、このあいまいな判断ですとどこまでやったらいいかということで、基本的にはやっぱり追っかけてしまうということが、危険性があるということでございますので、この点は結構でございます。

 次に、財源とかの問題に移りたいんですけれども、先ほど改善目標をあっせん率五〇%にという、今三十何%ということで、要はその母体が、目標母体が非あっせん、あっせんを基にしたトータルした形での母数なのか。それとも、先ほど一八%というお話がありました、二つのパーセンテージが出ているわけですけれども、一体、当初から説明の趣旨と三八%とかということを言っておりますけれども、そこから五〇%というふうに超えるのか、それとも一八%ということの、よく分からないんです。この辺はいかがですか。

 

○蓮舫君 三八%という数字、これ先ほど総務省からも御説明ありましたが、これはもう厚生年金、国民年金合わせたすべてのあっせん相談があった中であっせんされた割合でございます。

 先ほど財源についてお話をさせていただいたのは、あくまで国庫負担という考え方に立っておりますから、本法律案で必要となる国庫負担は、厚生年金特例法に基づいて記録訂正が行われた後、事業主から保険料の納付が行われなかった場合に国が負担する特例納付保険料相当額で、本法案の、先ほど十五億と試算をさせていただいたのは、これは現状より多くあっせんした事案についてすべて事業主による保険料の納付がないものとして、その際五〇%まで引き上げたと考えて試算をした数字でございます。

 

○山本博司君 そうしますと、先ほど一番最初から言っているあっせん、非あっせんのトータルを含めた三八%は最終的に何%になるんでしょうか。

 

○蓮舫君 できるだけ正しいと思われる被害を求めておられて、正しく納付されたと思われる方たちをあっせんさせていただきたいと考えています。

 

○山本博司君 やはりこれ国庫で負担をする税金でございますので、やはり今後のことも含め大事な部分でございます。

 厚労省にお聞きしますけれども、現行法での国庫負担を設けた理由、このことに関して説明をお願いしたいと思います。

 

○政府参考人(渡邉芳樹君) 議員立法として制定されました現行の厚年特例法、厚生年金特例法につきまして国庫負担制度についての理由というお尋ねでございます。

 現行制度の意味とか制度の中身の具体的な在り方について御説明することでお答えに代えさせていただきたいと思いますが、本件厚年特例法の立法時には、この法律の規定によって支給される給付について、負担なくして給付なしの社会保険の拠出制の原則というものに照らして、事業主に保険料納付義務を果たさせることが基本であろうという御判断から、このために時効消滅した保険料徴収権を復活させることは、これは社会生活の安定性を損なう問題もあるので法制的に困難であり、任意であるが特例納付保険料を納める制度とした上で、複数回にわたる納付勧奨の実施や納付をしない場合の事業名の公表など、ぎりぎりまで保険料納付を求めることを前提に置いた国庫負担であると理解しております。

 したがいまして、事業主が保険料を納付する義務を履行しなかったことが明らかとなった場合につきまして、推察いたしますに、こうした、場合によっては悪質とも取られる事例については救済の要なしと判断をする判断の仕方も出てこようが、その点をどう考えるかという点を踏まえて、納付されなかった保険料相当額を国庫が負担することとし、国が肩代わりまでするのだからというメルクマールを設けて対応されているのではないかというふうに考えます。あくまで拠出制の原則に立ちつつも、救済優先の考え方を導入されたのではないかと思っております。

 なお、この厚年特例法におきましては、今申し述べたようなケースだけではなく、事業主の保険料納付義務の不履行が明らかでないケースについては、可能性としては社会保険庁に実は納付していたということも否定できないのではないかという位置付けに立って、納付勧奨の対象とはなるものの、事業主名の公表や保険料肩代わりの国庫負担までは求めずに、年金給付が同法に基づくものとして行われ救済が行われる、こういう仕組みを取っているものと考えております。

 

○山本博司君 それで、国庫負担をしていくということで、今回、国の責めに帰すべき事由、こういうことを主張していけば、猫ばばしている事業主であったとしても、社会保険庁がそれを反証することなかなか難しいですので、結果的に安易な国庫の納入という形でのそういう国民に対する負担があるのではないかという疑念がございますが、この点に関していかがでしょうか。

 

○蓮舫君 決して国民に疑念を持たれてはいけないという御指摘は、全くそのとおりだと思います。

 ただ、私どもは安易に、国の責任があるものに対してはその事業主には還付の、納付勧奨を行わないで税金ですぐ支払っていいとは考えておりません。その際には、一体どういう社会保険事務所の関与があって、この事業主との間で改ざん等が行われたのかという、その責任をしっかり取ってもらうということは考えております。

 

○山本博司君 この中で、今後、今ありましたけれども、非あっせんも含めて救済される方たちが増えてくるということが当然あるわけでございまして、先ほども、非あっせんが一万五千件ぐらいありました。また、今様々な形で記録問題等もやっておりますけれども、そうした今現状の十五億円というのは今年度のその現状の部分だけだと思いますけれども、そうした今後増えてくるその増加に対してどう考えていくかということに関して、もう一点お願いしたいと思います。

 

○蓮舫君 当然、これは被害が救済される方が増えることを私どもは目指しているわけでございますので、五〇%厚生年金の方の記録が回復されて保険料分が、あっせん分が上がった場合に十五億ですが、これが六〇、七〇になってくると、やはりもう少し財源というのは広がってくると考えております。

 ただ、平成二十一年度の社会保険庁業務運営費というのが全体で見ると四千三百十七億円、この十五億円というのはその部分の〇・三%分でございます。これは、二年前に消えた年金記録等の問題が起きてから、社会保険庁は既定経費の節減で、何とか税金ではなくて自分たちが汗をかいてこの部分は補てんをしていきたいということをおっしゃっていました。その姿勢は私たちも踏襲したいと思います。

 なお、二年前に第三者委員会の設置を決めて、八か月で五千万件の消えた記録をゼロ件にすると言われていた安倍元総理は、当時、自分が自ら汗をかくという部分で、安倍総理と当時の柳澤厚生労働大臣と村瀬社会保険庁長官とすべての社会保険庁の職員が夏のボーナスの一部を返上して十五億円が国庫に戻ってきて、これが消えた年金の整理に充てられています。その考えを私どもも踏襲していきたいと考えています。

 

○山本博司君 最後に、やはり年金の回復ということを考えたときに、年金記録問題のやっぱり第三者委員会のこの体制の強化、また、今後の取組という意味では大変大事であると思います。

 総務省に対してお聞きしたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。しっかりお願いをしたいと思いますけれども。

 

○政府参考人(関有一君) 私ども、第三者委員会の体制につきましては、委員も大幅に増やしましたし、それからそれを支える事務局職員も大幅に増やしてまいりました。

 ただ、最近の傾向を見ますと、やはり十九年度に受け付けた事案それから二十年度に受け付けた事案を比較してみますと、トータルで受け付けた事案は、十九年度分が約五万件それから二十年度に受け付けた分が四万七千件程度ということで大きな変わりはないわけですけれども、二十年度受付分はもう圧倒的に大都市を抱えるところでございます。特に、東京は一・五倍ぐらいになっております。それから、大阪、神奈川、千葉、埼玉、そこが非常に件数が多い状況でございます。一方、比較的地方になりますと、その県で受け付けられております件数というのは、十九年度分と比べて二十年度分、大分減っております。

 私ども、今考えておりますのは、東京を始めとする大都市にいかにこのマンパワーをうまく振り向けて迅速な処理をしていくかということでございまして、なかなかこれはだれかを雇えばすぐに処理ができるというようなことではなくて、やはり二か月、三か月掛けて徐々に習熟をしていくということで、更に人数をどんどん増やすということではなくて、既にある程度のスキルを持っておられる方、それをうまく再配置をしながら、二十年度以降に受け付けた分につきまして迅速な処理をしていきたいと考えておるところでございます。

 

○山本博司君 最後に、大臣にこの年金記録回復促進に向けての決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

 

○国務大臣(舛添要一君) これまで二つの車輪を回してきました。一つはねんきん特別便、今定期便が行っています。国民の皆さん一人一人の御協力で、自分の経歴を見ながらこの年金の記録を見ていただく。それから、もう一つはデータ、これを解析していく。大変手間暇の掛かる仕事ですけれども、粘り強くやっていきたいと思います。そして、国民の皆様の御協力のおかげで、一億枚以上出したこの特別便、約六千五百万人の方々について記録の確認が終わっております。

 さらに、改ざん問題含めて、まだ細々とした問題も含めたくさん問題がありますので、先般の三月末の関係閣僚会議におきまして、今後、記録解明について一万人を超える規模の体制で対応するということでおりますので、引き続き粘り強く一人でも多くの記録を一刻も早く回復すると、そういう思いで努力を続けたいと思っております。

 

○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。