公明党 参議院議員 山本ひろし

公明党

厚生労働委員会

第171回国会 厚生労働委員会 第7号
平成二十一年四月二日(木曜日)


○山本博司君 公明党の山本博司でございます。

 本日は、一般質疑ということで、医療の分野でがん対策を中心にお聞きを申し上げたいと思います。また、時間がありましたら、災害医療についてもお聞きをしたいと思います。どちらも命を守るという点で大変大切な内容でございます。

 最初に、がん対策についてお聞きをいたします。

 毎年百万人が死亡をしているうち、三十三万六千人ががんで亡くなられておりまして、日本人の死因のトップががんでございます。三人に一人ががんで亡くなり、六十五歳以上では二人に一人ががんで亡くなっていることを思いますと、まさにがんは国民病でございます。私の周りの中にも多くの方でがんになっている方がおられまして、大変身近に感ずるわけでございます。

 こうした中で、がん対策基本法は、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために平成十八年六月に成立をし、この法律に基づいてがん対策推進基本計画が策定をされ、五年以内にがん検診の受診率を五〇%以上とするなど目標値を定めております。本年度末には計画の進捗状況について中間報告を取りまとめることとなっており、目標の達成に向けた着実な取組が求められていると思います。

 そこで、がん対策の推進状況について確認をしていきたいと思います。

 まず、がん対策推進基本計画の主な目標について御説明をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん対策推進基本計画は、がん対策基本法に基づき、平成十九年六月に閣議決定をされたものでありまして、平成十九年度から平成二十三年度までの五年間を対象として、がん対策の基本的方向を定めたものでございます。

 同計画におきまして、重点的に取り組む課題として、まず放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師などの育成、それから治療の初期段階からの緩和ケアの実施、そして三番目といたしましてがん登録の推進の三点を定めております。

 また、分野的施策として、一つ、がん医療、二つ目として医療機関の整備など、三番目としてがん医療に関する相談支援及び情報提供、四番目としてがん登録、五番目、がんの予防、六番目、がんの早期発見、七番目、がん研究、この七つの分野のそれぞれについて、現状取り組むべき施策、個別目標を定めております。

 中でも、がんの早期発見の個別目標といたしましては、がん検診の受診率を五年以内に五〇%以上とすることを定めておりまして、その実現に向けて努力をしているところでございます。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 このがんによる死亡者を減らしていくということでございますけれども、がんを防ぐ方法としては、がんにならない生活習慣とともに、がんになっても検診で早期に見付けることが大変大事でございます。今お話がございました、平成二十三年がんの検診率を五〇%ということで目指して進んでおられますけれども、現在のがん検診の状況につきまして説明をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) 平成十九年の国民生活基礎調査にありますけれども、これによりますと、男性におきましては、胃がん、肺がん、大腸がん、これらの検診の受診率は二五・七%から三二・五%ということで、約三割程度でございます。女性につきましては、乳がん、子宮がんを含めた五つのがん検診の受診率は二〇・三%から二五・三%と、二割台前半でございます。

 なお、平成十六年の調査結果と比較しますと、すべてのがん種におきまして受診率は増加をしておりますことから、一層の努力をしたいと考えているところでございます。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 今お話ございましたように、まだまだ二〇%台という非常に低い状況でございます。平成二十年一月に、市区町村におけるがん検診の実施状況、これが調査が行われております。今年のこの状況と課題に関しまして御指摘をしていただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) 本調査は、都道府県を通じまして、平成二十年一月一日時点におきます千八百二十二市区町村のがん検診の実施状況を取りまとめたものでございます。

 国がお示しをしています指針どおりがん検診を実施しているかどうかにつきましては、胃がん、大腸がんは九七・八%、子宮がんは九三・九%、肺がんは九二・三%、乳がんは八七・九%でございました。

 一方、がん検診を実施していない市区町村は五十六ございまして、その理由としましては他に優先すべき事業があるというものが十九、予算を確保できないというのが十三でございました。

 

○山本博司君 今年の状態ということで、日本対がん協会が二〇〇八年度の検診状況の調査、四月から十二月ということで調査を出しております。四十支部の前年対比の減少支部ということで非常に急増している、数が減っているということが実態調査が出されているわけでございます。肺がんでは約二十六万人が減少していると、胃がんは約十万人減少しておって、乳がん以外はすべて減少しているというふうな実態がございます。また、この十二月ですから、この調査の段階ではまだ分かりませんけれども、その中からも若者の検診離れとか受診者の固定化など様々な要因が挙げられているわけでございます。

 私たち公明党も、東京都本部の女性局として、この二月中旬から三月末までに、がん検診に係るアンケート調査をいたしました。約十万二百一人の方々が協力をしていただきましたけれども、調査結果によりますと、女性特有のがんにつきましては検診を受けたことがないと答えられた二十代女性は七五%に上っているわけでございます。なぜ受診しないのか。この理由は、忙しくて時間が取れない、また婦人科に行くには抵抗がある、こういった声が多かったそうでございます。

 こうした声がございますけれども、政府はこの検診率改善に向けてどのような対策を講じているのか、教えていただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) 御指摘のような傾向はあるというふうに私どもも認識をしております。

 そういうことから、私どもといたしましては、がん検診の受診率向上に向けた取組として、まず平成十九年度にがん検診事業の評価に関する委員会を開催し、昨年三月に未受診者に対する受診勧奨や、企業、マスメディアなどを巻き込んだ普及啓発など、受診率を向上させるための取組について報告書を取りまとめたところでございます。また、各地域の実情に応じたがん検診の受診率向上にかかわるモデル的取組に対する支援を行い、受診率の向上に努めてきたところでございます。

 さらに、平成二十一年度からはがん検診受診率向上のための実施本部を設置し、全国共通のキャッチフレーズによる集中キャンペーンを実施するなど、国、自治体、企業、関係団体等が一体となって全国規模の受診勧奨事業を積極的に展開していきたいと考えているところでございます。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 先ほど、公明党のアンケートの結果の中でも、受診しやすくするための対策、このことも聞いた形がございますけれども、例えば定期検診の項目の中にそれを入れていくとか、女性の医師なら受けるとか、そういう回答が多かったそうでございますけれども、受診のしやすい体制の整備が求められていると思います。例えば、土日の検診などもっと市区町村の実施を増やしていくとか、また職域検診の充実も大事でございます。こうしたことを考慮して検討をお願いを申し上げたいと思います。

 そういう中で、先ほども市区町村の中で国の指定どおりやれていなかった理由の中に、予算がないというふうな声が多かった部分がございます。そういう意味で、受診者の負担軽減、これを図ることが大事でございます。自己負担額で胃がん検診の場合では二千五百円以上掛かっております。国民の負担が重い分がん検診の大きな阻害要因ともなっているわけでございまして、受診者の負担軽減策についてどう対応されているのか、お答えをいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん検診費用につきましては、平成十年度から一般財源により実施されております。それぞれの市区町村において財源を適切に確保し、実施に努めていただく必要があると考えております。

 平成二十一年度より、がん検診費用に係る地方交付税措置を大幅に拡充をいたしました。これは平成二十年度は六百四十九億円でございますけれども、平成二十一年度は一千三百億円と約倍増をいたしました。こういうことからも、市区町村に対しまして、当該この財源の積極的な活用により受診者の増加や自己負担額の軽減など、がん検診事業の規模拡大を図るよう要請をしたところでございます。

 今後とも、関係課長会議あるいは市区町村におけるがん検診の実施状況の調査結果の公表などを行いまして、がん検診事業の規模の拡充を図るよう市区町村に強力に要請していきたいと考えております。

 

○山本博司君 是非とも推進をお願いを申し上げたいと思います。

 検診率を上げるための様々な対策、これは本当に必要だと思いますけれども、高知県の方から次のような声がございました。お伝えを申し上げたいと思いますけれども、それは検診や人間ドックの費用を税の申告の際の医療費控除に含むことができないかとの声でございました。

 現制度では、検診は医療行為ではありませんので、税の申告をする上で人間ドックや検診に掛かった費用は医療費控除に含むことはできませんけれども、これをそうした医療費とか検診控除、仮にそういった形で税の医療費控除に含めていただければもっともっと検診率も上がるんではないか、また医療費の抑制にもつながるとの提案であるわけでございます。

 税の医療費控除というのは十万円若しくは所得の五%を超える部分が控除額となりますが、この控除額は税額から直接引く税額控除ではありませんので、所得控除ですので、検診費用を医療費の控除に含めたとしても大幅に所得税が減額になることもなく、国の税収に大きな影響はないわけでございます。

 高齢化がますます進む中で、こうした予防医学、医療費抑制を考える制度としての声でございます。これは質問ではございませんので、その声があるということを含めてお伝えを申し上げたいと思います。どちらにしても、国民の負担軽減を実感できる対策は必要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、検診に関しましての個別の具体的な内容について触れてまいりたいと思います。

 まず、男性の代表的ながんでございます前立腺がんについてお聞きを申し上げたいと思います。

 国の指針以外のがん検診で、前立腺がんの早期発見のための血液検査オプションのPSA検査が市区町村で約九百、全体の四九・四%実施がされている状況でございます。市町村で、これだけ多くの自治体で実施をしている現状を見たときに、このPSA検査導入促進の検討はないのかどうか、この点についてお願いをしたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) 市町村が実施いたしますがん検診につきましては、がん検診に関する専門家の意見を踏まえ、検診の実施による死亡率減少効果に関する国内外の文献などの資料の評価を基に、科学的に有効性が認められた種類、方法、対象年齢、検診間隔などにより行われるよう国が指針を定めているところでございます。

 御指摘の前立腺がん検診につきましては、いわゆるPSA検査を活用することになりますが、これにつきましては、厚生労働省研究班のガイドラインにおいては集団検診としては効果が不十分であるとしている一方、日本泌尿器科学会のガイドラインにおいては一定の効果が認められると、このようにされておるところでございます。このように、専門家の間でも考え方が分かれているところであり、現時点において厚生労働省の指針にはこのPSA検査を含めていないところでございます。

 科学的根拠に基づいたがん検診を推進するためにも、今後とも引き続き、がんをより早期かつ的確に発見するための種類、方法、対象年齢、検診間隔等について、当該分野の専門家や研究班などの関係者を通じて、このPSA検査を含めて最新の情報の収集に努めてまいりたいと考えております。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 続きまして、女性の代表的な乳がんについてお聞きを申し上げたいと思います。

 四十代から五十代の女性に乳がんが増加をしております。乳がんの早期発見にマンモグラフィー検査は重要でございます。もう公明党もこのマンモグラフィーの充実強化を訴えてまいりましたけれども、現在の推進状況に関しましてお話をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) 市町村におきます乳がん検診につきましては、昭和六十二年度に三十歳以上の女性の方を対象といたしまして、問診、視診、触診を検査項目として開始をいたしましたが、平成十二年度には五十歳以上の女性に対するマンモグラフィー検査が追加されたところでございます。平成十五年度には、がん検診に関する検討会におきまして、死亡率減少効果の観点から実施方法等について専門家による検討が行われた結果、マンモグラフィー検査を四十歳以上の女性にまで拡大することが提言されたところでございます。この検討会の指摘を踏まえまして、平成十六年度から四十歳以上の女性に対するマンモグラフィー検査を必須としたところでございます。

 平成二十年一月現在の調査によりますと、全国で九割以上の市町村においてマンモグラフィー検査が乳がん検診として導入、実施をされていると、このように承知をしております。

 

○山本博司君 是非とも推進を更にお願いを申し上げたいと思います。

 もう一つ、日本のこの検診の状況ということで、まだ二〇%台ということでございました。お隣の韓国が、がんの検診率が二〇〇八年に五〇%を超え、五〇・七%になったそうでございます。四年前は、二〇〇四年は三八・八%から見ますと、一一・九ポイントも増加をしているわけでございます。予算倍増とか国民の普及活動など様々な対策を取ってきたと言われておりますけれども、どのように評価をしているのか、また学ぶ点があるのかどうか、この点はいかがでしょうか。

 

○政府参考人(上田博三君) 御指摘のように、がん検診につきましては、がん対策推進基本計画において、受診率を五年以内に五〇%とすることなどを個別目標として掲げております。

 御指摘の韓国においてがん検診の受診率が向上した要因の一つとして、検診の受診勧奨通知を対象者へ個別に送付をしていると、このようなことが挙げられております。本年三月に開催されました第三回がんに関する普及啓発懇談会におきましても韓国でのがん検診について事例紹介が行われたところでございまして、今後もこのような諸外国の先進事例に関する情報収集などを行いながら、我が国のがん検診の受診率向上策の検討を引き続き行っていきたいと考えております。

 

○山本博司君 実際に、今の日本での市区町村の啓蒙活動は広報紙とかホームページが中心でございます。韓国のように直接国民に受診を促す活動の大切さ、これが言えると思います。

 そこで、大臣にお聞きを申し上げたいと思います。

 昨日も大臣の元に、十万人のアンケート調査結果を踏まえまして、公明党の太田代表以下、党の女性局のメンバーが検診率向上などの申入れをした次第でございます。こうしたがんの早期発見のための検診率五〇%目指して、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

 

○国務大臣(舛添要一君) 昨日は公明党の皆さん方おいでいただいて、特に先ほど言及なさいました十万人のアンケート、これは、こういうことをおやりになるというのは大変すばらしいことだと思いまして、敬意を表しますとともに、施策を練るときに使わせていただきたいと思います。

 それで、これは国も自治体も企業もみんなで取り組まないといけない、この検診率の向上ということは、でございますんで、検診機関も含めて、全力を挙げてこの普及啓発をやりたいというふうに思っております。二十一年度予算におきましても自治体、企業との連携によって受診率向上に向けた取組が行われるような予算措置がとってありますんで、五年以内に五〇%以上とするということを是非実現させたいと思います。

 例えば、もう子宮頸がんなんというのは、先ほどの議論にもありましたけれども、早期に発見すれば、いいワクチンもありますんで、もうほとんど、八割、九割治るわけですから、若い女性が恥ずかしいというようなことだけでお行きにならないで、一生棒に振るということになってしまいますんで。これは例えば、女性医師は今、産科は半分女性医師になっています、小児科もそうですけれども。ですから、女性のお医者さんじゃないと行きにくいというところはちゃんと情報で、ここは女性の医師さんおられますよというふうなことをやったり、それからやっぱり仕事忙しいから休日じゃないと行けないと、こういうところに相談窓口を設けるなど、御提案も受けて、きめの細かい体制で五年以内に五〇%、これを実現するよう努力したいと思います。

 

○山本博司君 是非とも強烈なリーダーシップでお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、がん医療の現状についてこれから御質問を申し上げたいと思います。

 生活習慣の欧米化によりまして、胃がんは減少し始め、肺がんとか乳がん、大腸がん、前立腺がんなどの欧米型のがんが増えていると言われております。アメリカでは六六%、ドイツでは六〇%の患者の方々が放射線治療を受けておりますけれども、日本では二五%程度、約十七万人と、放射線治療が余り実施をされておりません。

 重点的に取り組む課題の中にこの放射線療法、化学療法の推進がございますけれども、現状についてどうなっているのか、推進状況をお話しいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん対策推進基本計画におきましては、放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師などの養成が重点的に取り組む課題の一つとして掲げられているところでございます。

 このため、厚生労働省におきましては、国立がんセンターにおける医師等医療従事者を対象とした放射線療法及び化学療法に関する研修の充実強化、二番目として、がん診療連携拠点病院の指定要件を見直し、放射線療法及び化学療法を行う部門の設置や専門医師の配置などの義務化、三番目として、がん診療連携拠点病院に対する放射線治療装置の緊急整備などの対策を実施したところでございます。

 これらの結果、がん診療連携拠点病院におきましては、例えば放射線治療機器、リニアックでございますが、この整備状況でございますが、平成十九年度は九三・二%でございましたが、平成二十年度は九五・二%に上昇しました。それから、外来化学療法の実施状況でございますが、平成十九年度の九四・四%から平成二十年度の九八・〇%まで上昇したと。このように、放射線療法及び化学療法の診療提供体制が充実をしてきているところでございます。

 私どもといたしましては、がん対策基本法及びがん対策推進基本計画などの趣旨を踏まえつつ、引き続き放射線療法、化学療法の推進、またこれらを専門的に行う医師等の育成を始めとするがん対策を進めてまいりたいと考えております。

 

○山本博司君 こうした放射線治療の専門医といいますのは、アメリカでは五千人いるそうでございますけれども、日本ではまだ十分の一の五百七十五人前後と言われております。がんの治療をするお医者さんといいますと十万人とも言われておりますけれども、まだまだ少ないというのが実感でございます。今指摘されました研修などの充実とか、様々な強化が必要だと思います。

 また、診療報酬につきましても、手術と比較しまして三分の一ぐらいの安さ、これも課題ではないかとも言われております。国として更に力を入れて取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、緩和ケアに関して質問をしたいと思います。

 治療ができないがんや痛みなどの症状を持つ患者さんの様々な苦しみを和らげることを主眼とした緩和ケアの考え方が欧米では確立をされております。日本では、医薬用麻薬といいますのはアメリカの二十分の一程度で、世界平均以下の使用度だそうでございます。日本のがん患者は、がんで亡くなる方の八割、日本人全体の四人に一人ががんの激痛に苦しむと言われてきております。このまず痛みを取ることが緩和ケアの第一歩と言われておりまして、今回、がん対策の重点項目の中にもこの治療の初期の段階から緩和ケアの実施がうたわれております。

 前安倍総理が東大病院を訪れた際に、がんを診療する医師すべてが五年以内に緩和ケアの研修を修了するような前倒しの発言がございました。こうした実施計画の中にもすべてのがん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修が入っておりますけれども、実施状況に関してお話をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん対策推進基本計画におきましては、御指摘のように、治療の初期段階、まさに告知の段階から緩和ケアの実施を重点的に取り組むべき課題の一つとして掲げております。五年以内に、すべてのがん診療に携わる医師が研修等により緩和ケアについて基本的な知識を習得することなどを個別目標といたしております。

 このため、私どもといたしまして、全国どこでも精神的ケアを含めた緩和ケアをがん診療の早期から適切に提供できるよう、すべてのがん診療に携わる医師を対象とした緩和ケア研修会の全国展開を行っているところでございます。本研修会の実施状況でございますが、平成二十一年二月末現在、全国三十七都道府県において研修会が開催をされまして、合計二千六百六十九名の参加医師に対して修了証が交付されたところでございます。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 是非とも、今二千六百六十九名ということでございますけれども、十万人前後の方々を五年以内という目標でございますので、更に推進をお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、連携拠点病院に関して質問をしたいと思います。

 全国どこでも質の高いがん医療を提供することができるようにする医療機関の整備が求められております。がん診療連携拠点病院における整備状況と国の指定要件をどの程度満たしているかをまとめた調査結果について御報告をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん診療連携拠点病院につきましては、がん診療連携拠点病院の整備に関する指針に基づき、都道府県がん診療連携拠点病院については都道府県に一か所、地域がん診療連携拠点病院については二次医療圏に一か所整備をすることとしておりまして、平成二十一年四月一日現在、全国で三百七十五の医療機関を指定しているところでございます。

 新要件の充足状況でございますが、昨年十月に、これらの各拠点病院から提出をいただいた現況報告書の集計を行い、公表したところでございますが、これによりますと、現在で、緩和ケアの提供体制の整備については一〇〇%、相談支援センターの設置についても一〇〇%、これらについては非常に充足率が高いわけでございますが、一方、緩和ケアに関する研修の実施については三〇・五%、緩和ケアに携わる常勤、専従の看護師の配置については五七・五%というふうに充足率が低い状況にございます。

 

○山本博司君 同じく、この拠点病院の指定を満たすための施策、これに関して簡潔にお話しいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) この指定要件については、平成二十年三月に指定要件の見直しを行い、旧要件に基づいて指定されていた既存の拠点病院についても、指定更新期限である平成二十一年十月末までに新要件の内容を充足するよう求めております。

 新要件の充足については、平成二十一年度予算において、がん医療の均てん化を更に促進するため、拠点病院において専門的医療に従事する医師等の研修など様々な所要の経費を計上したところでございます。今後、新要件に基づく更新に向け、各都道府県のがん対策担当者と新要件の充足状況の確認や今後の対応策を確認する場を個別に設けて、都道府県との連携を図りつつ対応したいと考えておるところでございます。

 

○山本博司君 ありがとうございます。

 この拠点病院、専門的ながん医療の提供とか、地域のがん診療の連携協力体制の構築、さらにがん患者への相談体制など大変大事な役割となるわけでございます。ただ、医師、看護師、薬剤師などの人員が不足しているのが現状でございます。地方からも休日、夜間のがん相談の支援事業の充実などの強化の要望も出ておりますので、是非とも強力に推進をお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、がん登録に関して質問をしたいと思います。

 まず、この概要に関して説明いただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん登録とは、がん患者さんについて、診断、治療及びその後の転帰、予後とか結果でございますが、これに関する情報を収集し、保管、整理、解析する仕組みのことでございまして、具体的には、各医療機関内のがんに関するデータを把握する院内がん登録、それから院内がん登録のデータを基に都道府県内のがんの罹患、転帰、その他の状況を把握する地域がん登録、また、学会などが主体となって臓器別のがんに関するデータを収集する臓器がん登録がございます。

 

○山本博司君 このがん登録推進のためにどう取り組まれているか、この点もお願いをしたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) がん登録は、がん対策の企画立案や評価に際してその基礎となるデータの把握、提供などをするために極めて重要なものでございます。がん対策推進基本計画におきましても重点的に取り組む課題の一つとして位置付けられているところでございます。このため私どもは、平成二十年三月にがん診療連携拠点病院の指定要件の見直しを行い、国立がんセンターの研修を受講したがん登録の実務者を配置することを新たな要件として定めたほか、がん診療連携拠点病院が院内がん登録の実務者を配置するための費用の補助、国立がんセンターにおける実務者及び指導者研修の実施、がん診療連携拠点病院へのがん登録にかかわるマニュアルの提供などを行っているところでございます。

 また、二十一年度予算におきましては、がん診療連携拠点病院におけるがん登録の実施体制の強化のために所要の経費を計上したところでございます。

 

○山本博司君 このがん登録、なかなか日本は遅れているということでございます。アメリカでは一九七一年に成立したがん法によってこのがん登録が開始をされまして、一九九二年にはがん登録法が制定をされているわけでございます。また、がん登録の実務を行うがん登録士は国家資格にもなっております。欧米はもちろん、アジアでも韓国、台湾、香港など、一〇〇%のがん登録カバー率が進んでいる状況であるわけでございます。日本ではがんの告知率六割程度ですので、個人情報保護の整合性を考慮しながら情報を把握できる仕組みづくりが不可欠と思います。法制化も含めた対応も検討すべきと考えております。

 続きまして、がん対策の普及啓発ということを最後に御質問をしていきたいと思います。

 まず、厚生労働省の下に置かれておりますがんに関する普及啓発懇談会について、この懇談会の趣旨と開催状況について御説明をいただきたいと思います。

 

○政府参考人(上田博三君) 本懇談会でございますけれども、がんの病態、検診の重要性、がん登録、緩和ケアなどに対する正しい理解の普及啓発に関する先駆的な事例を収集いたしまして御意見を伺うとともに、有効かつ的確な普及啓発事業を実施するために開催をしているところでございます。

 この懇談会の開催状況でございますが、昨年秋より三回にわたり開催をしているところでございます。

 

○山本博司君 私も、この三回の議事録読ませていただきました。多角的に議論をされて大変大事なことだと思います。是非継続して進めていただきますようお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、この普及啓発という意味で、がん教育ということを取り上げたいと思います。

 このがん教育、特に義務教育時代のがん教育は大変大事であります。先ほどからも子宮頸がんのお話がございました。これは他のがんと比べて発症する年代が若いということで、二十代で発症するケースが多くなっておりまして、二十代、三十代の女性が急増をしております。性交渉に伴うヒトパピローマウイルス、HPVですね、先ほどから言われております、感染が原因ですので、性交渉のときに感染予防をするとか、またシャワーの使い方の、清潔を心掛けるとか、ワクチン等もございますけれども、予防ができるわけでございます。

 ところが、この子宮頸がんの予防、義務教育の時代、特に中学校三年生のときにしっかり教育をして、また子宮がん検診などの検診の重要性、これを教えることが大変大事だと思います。十五歳でございますからすぐ五年間、二十歳になるということでございまして、そういう意味でこのがん検診を含めたがん教育の重要性が大事でございます。

 そこで、文部科学省にお聞きを申し上げたいと思います。

 教科書にこのがん教育の記述はどのように紹介をされているのでしょうか。また、例えば日本人の死因の第一位はがん、こういった明確な記述はあるのか。また、がん検診の重要性、こうした記述はあるのか。この点に関してお答えをいただきたいと思います。

 

○政府参考人(尾崎春樹君) お答えを申し上げます。

 がん教育、とりわけ義務教育段階での教育の重要性は高いものというふうに認識をしておりますけれども、具体的には小学校の体育あるいは中学校の保健体育を中心といたしまして、がんを含む健康に関する指導が行われているところでございます。例えば、小中学校を通じまして、生活習慣病の予防のためには望ましい生活習慣を身に付ける必要があること、また中学校では、例えば個人の健康には地域の健康診断あるいは健康相談などの社会の取組が有効であることなどを指導することとされております。こういうことを受けまして、大多数の教科書ではがんを具体的に取り上げまして、早期発見、早期治療の重要性に関する記述が盛り込まれているところでございます。

 それから、今、ただいま御指摘のありました、がんが死因の第一位であるということは、一番シェアの大きい教科書を具体的に見ますと、円グラフを使いましてその明確な記述がございます。また、日本人の三大死因であるがん、心臓病、脳卒中などという記述から生活習慣病とその予防の章が始まっているところでございます。

 また、文部科学省といたしましては、この教科書、学習指導要領を踏まえた教科書の記述のほかに、がんの予防の大切さを含んだ健康に関するパンフレットというものを作成をいたしまして、小五、中一、高一の各段階で全生徒に行き渡るように配付をしているところでもございます。

 今後とも、がんについての教育、早期教育が充実されるように努めてまいりたいと考えております。

 

○山本博司君 がん教育ということで、この義務教育の時代に本当に検診の重要性とかがんの怖さ、このことを訴えることが大変大事だと思います。

 こちらにあります小冊子は「がんについて学ぼう」という小冊子でございますけれども、先ほど話題になりました普及啓発懇談会の座長の東大病院の中川先生が中学生向けに分かりやすく書かれた小冊子でございます。この義務教育の時代にがん教育を教えること、大変大事でありますし、がん対策の最大の啓発活動だと思います。

 また一方、乳がん制圧を目指すピンクリボン運動、これも本当に広がりがございますし、また乳がんをテーマにした相次ぐ映画の公開とか、また有名人が乳がんであることを明らかにして検診を呼びかける、そういうことで乳がんの関心が高まり、乳がんの検診受診数がほかのがんと比べても比較して増えているということも言えるわけでございまして、こうした国民への啓発活動、これは大変大事になるかと思います。

 それで、最後に大臣にお聞きをしたいわけでございますけれども、がん普及啓発、この取組、決意、この点をお聞きをしたいと思います。

 

○国務大臣(舛添要一君) 先ほどのがんに関する普及啓発懇談会、先般、三回目を三月十七日に行いました。それで、先ほども申し上げまして、今文部科学省の方からも学校の場における取組がございました。関係省庁ともこれは連携し、自治体、それから企業、検診機関、こういうところとも連携してオールジャパンで取り組んでいきたいというふうに思います。

 がんを知り、がんと向き合い、がんに負けないと、そういう社会を目指すというスローガンを実現できるように努力をしたいと思っております。

 

○山本博司君 是非とも、がん撲滅に対しての取組を国を挙げて、大臣のリーダーシップの下にお願いを申し上げたいと思います。

 時間がなくなりまして災害医療に関してやれなくなりましたので、参考人の方々、大変申し訳ありませんけれども、次回に譲りたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。